α-グルコシダーゼ阻害薬

分類 成分名 商品名 規格・剤形・補足
α-GI ボグリボース ベイスン 規格:錠0.2㎎/0.3mg、OD錠0.2㎎/0.3mg
適応:糖尿病の食後過血糖の改善(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)、耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(OD錠0.2のみ)
アカルボース グルコバイ 販売中止、規格:錠50mg/100mg、OD錠50mg/100mg
ミグリトール セイブル 規格:錠25mg/50mg/75mg、OD錠25mg/50mg/75mg
適応:糖尿病の食後過血糖の改善(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えてSU剤、BG若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)

α-グルコシダーゼ阻害薬の作用機序

小腸粘膜上皮細胞に存在する二糖類分解酵素(αグルコシダーゼ)の作用を 競合的に阻害して二糖類から単糖への分解を抑制する。糖の分解を遅らせることでインスリン分泌とのタイミングを合わせる。

炭水化物などのデンプン質は唾液や膵臓からのαアミラーゼによってグリコシド結合が切断されて、多糖もしくはオリゴ糖に分解され、多糖及び二糖類は、αグルコシダーゼによってブドウ糖(グルコース)に分解される

βアミラーゼはデンプンをマルトースに分解する。

低血糖時の糖補給にはショ糖などの二糖類は効果ない(αグルコシダーゼが阻害されていてはニ糖が単糖に分解されないため)のでブドウ糖(グルコース)を使う。食直前(10分以内)の服用で、食事中に思い出した場合は直ちに服用する。一般的には食後投与は効果がかなり落ちるが、ミグリトールは食事開始後30分までに服用すれば、食直前の服用と同程度の有効性であることが示されている。

気がついたときにできるだけ早く飲み忘れた分(1日分)を服用するが、次の服用時間が近い場合は飲み忘れた分は飛ばして、次の決められた時間に服用する。食事が取れない場合や、嘔吐や下痢が強い場合は中止する。

(上図:調剤と情報より一部改変)

α-グルコシダーゼ阻害薬の種類

  • グルコバイ(アカルボース)・・・1日3回。αアミラーゼ阻害作用もあるので、ジアスターゼ及びそれが含まれる薬剤との併用に注意
  • ベイスン(ボグリボース)・・・1日3回、作用はグルコバイより強力
    ①糖尿病の食後過血糖の改善
    通常、成人には1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を0.3mgまで増量することができる。

    ②耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(錠、OD錠0.2のみ)
    通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。
  • セイブル(ミグリトール)・・・作用している時間が、他の2剤が2時間のところ、1時間と短いため、大腸へ未消化の糖質が流入して放屁、下痢、便秘といったSEが発現しにくい。これは、ミグリトールが他が小腸全体に対して小腸上部でかつ、ほぼ未変化体で吸収されて、尿中へと排泄されるためである。

腸閉塞様の症状

→腹部膨満・鼓腸,放屁増加等があらわれ、腸内ガス等の増加

α-GIにより未消化の炭水化物が小腸下部(大腸)に達して、腸内細菌の酵素によって酢酸、酪酸、乳酸などの有機酸が生成されること、短鎖カルボン酸や水素ガス、メタンガスなどが生成されることにより腹部膨満感、放屁の増加、便通異常(軟便、下痢、便秘)などの消化器症状が起こる。これは阻害作用が機能して未消化物が大腸に到達した証拠で必発な症状であるが、通常は軽度で服薬の継続によって1~2ヵ月で改善・消失することが多い。

肝機能障害、黄疸

→からだのかゆみ、全身けん怠感、黄

アカルボース、ボグリボースでは重篤な肝機能障害、劇症肝炎の報告がある。これら成分の大半は吸収されずに便中に排泄されるが、腸管内での分解産物の一部が吸収されることが原因ではないかとされる。なお、ミグリトールは小腸上部で吸収されるが、現在では劇症肝炎の報告はない。 重篤な肝機能障害の多くは投与開始後早期に認められているので、投与開始後6ヵ月までは月1回検査を受けるよう説明する。

糖尿病の薬の種類


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