HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)

スタチン系の作用機序

HMG-CoA還元酵素を阻害し、コレステロールの合成を抑制する。

肝臓内コレステロールは減少し、細胞質に存在する転写因子SREBPの核内への移行が促され、SREBPは LDL受容体遺伝子プロモーターの特定の配列に結合し、LDL受容体を増加させ、血中からのLDLの取り込み促進が起こる。

すべて1日1回の服用だが、リピトールとクレストールは服用時期(朝・昼・夕食後など)の記載がないのでいつの服用してもかまわない。 肝代謝ということで、食後のほうが吸収率がよいが、AUCはかわらない。即効性があり、どの薬も1h~2h程度で、最高血中濃度に達する。

また、HMG-CoAレダクダーゼ阻害薬はBMP-2活性を介して骨芽細胞を活性化することで、骨粗しょう症の治療薬として注目されている。

加えて、スタチンが糖代謝に与える影響については、唯一リバロが血糖値を上昇させないということを売りにしているが、スタチンが血糖値を上昇させるという機序は、シンバスタチンのデータで膵β細胞のL型CaチャネルからのCa2+の流入を阻害してインスリン分泌を抑制するという論文がもとになっているが、リバロはこれを抑制しないらしい。(ロスバスタチンの糖代謝に及ぼす影響の検討

スタチン系の薬の種類

  • メバロチン(プラバスタチン)・・・1日1回または2回。唯一の水溶性で肝細胞選択性が高い、腎排泄。CYPで代謝されず相互作用少ない。血液凝固抑制作用もあり。(T1/2:2.7h)
  • リピトール(アトルバスタチンCa)・・・半減期が長い(10h)、Tmax:0.8h
  • リポバス(シンバスタチン)・・・1日1回夕食後。プロドラッグ。イトラコナゾール、ミコナゾールと禁忌(T1/2:2h)
  • ローコール(フルバスタチンNa)・・・1日1回夕食後。(T1/2:0.9h、Tmax:0.83)
  • リバロ(ピタバスタチンCa)・・・1日1回夕食後。食後と食前では、TmaxとCmaxの遅延(吸収率の低下)が見られるが、AUCは変わらない。(T1/2:11h)
  • クレストール(ロスバスタチンCa)・・・(T1/2:20h、Tmax:5h) 半減期がやたら長いが、1日1回24hごとに服用していれば3日で定常状態に達し、その濃度は単回投与の1.2倍であり、蓄積性もない。

注意すべき副作用として肝障害とミオパシーがあり、トランスアミナーゼが正常上限の3倍を超える肝障害の出現頻度は、いずれのスタチンも1%程度で、用量 依存的である。スタチンはすべて肝代謝型薬物と考えてよい。

ミオパシーは筋肉痛・筋力低下を伴い、クレアチンホスホキナーゼが正常上限の10倍を超える。0.1%の出現頻度で、用量依存的である。

相互作用は、CYP3A4を阻害する薬剤、シクロスポリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アゾール系抗真菌薬などが血中濃度を増大させる。

スタチンを投与する前には肝機能とCPKを測定すべきである。

高脂血症の薬の種類

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