鎮痛剤(痛み止め)

鎮痛剤(痛み止め)は痛みを抑える以外にも炎症を抑える作用、体温のセットポイントを下げる解熱作用も併せ持っていますので、痛みがなくなったからといって勝手に服用・使用をやめずに、ドクターの指示に従いましょう。

がん疼痛については、下記3段階ラダーに従う。

  1. 第一段階(軽度)・・・非オピオイド鎮痛薬(NSAIDs等)
  2. 第二段階(軽度~中等度)・・・弱オピオイド鎮痛薬(コデイン、トラマドール、少量のオキシコドン等) ± 非オピオイド鎮痛薬 ± 鎮痛補助薬(抗てんかん薬、三環系抗うつ薬、抗不安薬等)
  3. 第三段階(中等度~高度)・・・強オピオイド鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル) ± 非オピオイド鎮痛薬 ± 鎮痛補助薬

鎮痛剤(痛み止め薬)の種類

  1. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
  2. 下行性抑制系活性化薬
  3. 電位依存性Ca2+チャネル遮断薬
  4. オピオイド関連薬

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

アラキドン酸カスケードにおいて、COX阻害作用によりプロスタグランジン類の生成を抑えるとともに、それに伴って増強されるブラジキニンなどの発痛物質の生成も抑えて、抗炎症作用や鎮痛作用、解熱作用を発現する。

相対的にLT系が活性化するので、LTC4による気管支収縮、つまり、アスピリン喘息が起こることがある。

胃粘膜障害はPGE2らの血管拡張が押さえられることで、胃粘膜の血流が悪くなるために起こる。

市販(OTC)の痛み止め(ロキソニンS、バファリン、イブクイック頭痛薬等)は、このNSAIDsに該当します。

内服薬
外用薬

下行性抑制系活性化薬

5-HT1A受容体に結合してGABAニューロンを抑制→下行性抑制を活性化する抗うつ薬(特にSNRI)らの適応外作用機序である。

サインバルタはH28.3.18に「慢性腰痛症に伴う疼痛」の効能が追加に。

アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール他)はH28.2.29に「末梢性神経障害疼痛」の効能・効果を追加。

ノイロトロピンはこの機序とは別に下行性抑制系を活性化して疼痛を抑制するといわれる。

糖尿病性末梢神経障害でもよく使用される。

内服薬
外用薬
  • なし

電位依存性Ca2+チャネル遮断薬

神経終末のCaチャネルのα2δサブユニットに結合し、Caの流入を抑制して、神経伝達物質の放出を抑えることで、一次ニューロンと二次ニューロンの伝達を遮断して、痛みを止める。

眠気、ふらつきが起きやすいので低用量から徐々に増やしていく。

内服薬
外用薬
  • なし

オピオイド関連薬

オピオイドとは、中枢や末梢に存在するオピオイド受容体(μ、δ、κ)を介して作用を発現するモルヒネ類似の作用を持つ物質のこと。この内、鎮痛に関与するのはμ、ついでκである。

オピオイド受容体は、大脳皮質から脳幹、脊髄に至るまで幅広く存在しているため、その作用部位により、痛みを抑える作用以外にも、咳や消化管運動を抑制する等、副次的な作用も示す。

  • 鎮痛作用・・・
    • 一次知覚神経終末(Aδ・C)のμ受容体を刺激すると電位依存性Ca2+チャネルが抑制され痛みの神経伝達が抑制される。
    • 脊髄後角に存在するμ・κ受容体を刺激するとK+チャネルが開口し、脊髄後角細胞が過分極し痛みが抑制される。
    • 中脳や延髄領域において、抑制性GABA神経上のμ・δ受容体を刺激して、下行性抑制系の活性化→痛覚の伝達を抑制する。
  • 鎮静作用
  • 消化管運動抑制・・・オピオイド受容体は腸管壁内に存在している。μ受容体は、副交感神経細胞体、副交感神経終末、交感神経終末に存在するため、消化管運動の促進作用(交感神経終末からのNE放出抑制)と抑制作用(副交感神経終末からのAch放出抑制)の2面性を有している。κ受容体は副交感神経終末に存在し消化管運動を抑制する。
    消化管運動が抑制されるため、胃での消化が低下し、小腸では膵液分泌が抑制され、食物通過時間が延長して内容物の粘稠度が増加、大腸では蠕動運動が低下して食物が長時間とどまり、水分吸収が一段と進むために便が硬くなる。また直腸においては排便反射の低下や肛門括約筋の緊張状態が起こり、排便しにくい状態となる。
  • 呼吸抑制・・・延髄の呼吸中枢を直接抑制する。
  • 咳嗽反射抑制・・・延髄の咳中枢に直接作用し、咳嗽反射を抑制する。
  • 嘔吐中枢刺激・・・CTZの刺激によりD2受容体が活性化され、延髄の嘔吐中枢(VC)が刺激を受ける場合や、前庭神経核の刺激により遊離したヒスタミンがCTZ及びVCを刺激する場合などがある。嘔吐の発現には複数の機序が想定されるので、その機序にあった薬剤を選択する。オピオイド鎮痛薬が原因の嘔吐の第一選択薬は、D2ブロッカー(ハロペリドール、プロクロルペラジン)や抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン)、消化管蠕動運動が原因出るときはメトクロプラミドやドンペリドンが用いられる。第二選択は非定型抗精神病薬である。
成分 オピオイド受容体 備考 分類
βエンドルフィン μ+、δ+ 生体内オピオイド
ダイノルフィン κ+ 生体内オピオイド
メチオニンエンケファリン μ+、δ+ 生体内オピオイド
ロイシンエンケファリン δ+ 生体内オピオイド
アヘン μ+++ アヘンアルカロイド 麻薬、劇薬
モルヒネ μ+++ アヘンアルカロイド 麻薬、劇薬
フェンタニル μ+++ 合成麻薬 麻薬、劇薬
レミフェンタニル μ+++ 合成麻薬 麻薬、劇薬
オキシコドン μ+++、κ+ 半合成麻薬 麻薬、劇薬
メサドン μ+++ 合成麻薬 麻薬、劇薬
ペチジン μ++ 合成麻薬、部分作動薬 麻薬、劇薬
コデイン μ++ アヘンアルカロイド、
代謝→10%モルヒネへ
麻薬、劇薬
ブプレノルフィン μ++、κ++ 部分作動薬、麻薬拮抗性 第二種向精神薬、劇薬
トラマドール μ++ 部分作動薬、SNRI作用有 劇薬
タペンタドール μ+++ NE再取込阻害作用有 麻薬、劇薬
ペンタゾシン μ++、κ++ 部分作動薬 第二種向精神薬、劇薬
レバロルファン 麻薬拮抗性 なし
エプタゾシン μ-、κ++ 部分作動薬 劇薬
ナルフラフィン κ++ 部分作動薬 劇薬
ナロキソン μ-、κ-、δ- 麻薬拮抗性 劇薬

オピオイド鎮痛薬には完全作動薬部分作動薬が有り、部分作動薬には効果の有効限界(天井効果)があるため、完全作動薬に比べて効果、副作用(精神依存や呼吸抑制症状)ともに軽い。そのため、これらは非麻薬性鎮痛薬とされている。

トラマドールは活性代謝物のM1がμ受容体に結合する。ラセミ体であり、(+)体が主に5-HTの、(-)体が主にNAの再取込阻害作用を示す。鎮痛作用はモルヒネの1/20~1/4程度。ワントラムはトラマドールの徐放性製剤で、1日1回で即放性製剤であるトラマールカプセル(1日4回)と同等の血中濃度推移を示す。

タペンタドールはNA再取込阻害作用に対して選択的に働き、5-HT再取込阻害作用は弱い。鎮痛作用はモルヒネの1/4~同程度。

内服薬
  • アヘン(末・散・液)
    パンオピン(散)
    ドーフル(散)
  • モルヒネ(末・錠)・・・レスキュー
    モルベス(細粒)
    カディアン(Cap、スティック粒)
    パシーフ(Cap)
    ピーガード(錠)
    MSコンチン(錠)
    MSツワイスロン(Cap)
    エチルモルヒネ(末)
    オプソ(液)・・・レスキュー
  • アブストラル(舌下錠)・・・レスキュー
    イーフェンバッカル(錠)・・レスキュー
  • オキシコドン(Cap)
    オキシコンチン(錠)
    オキノーム(散)
  • メサペイン(錠)
  • オピスタン(末)
  • コデインリン酸塩(末・散・錠)
  • ジヒドロコデインリン酸塩(末・散)
  • ワントラム(錠)
    トラマール(錠、Cap)
    トラムセット(錠)
  • タペンタ(錠)
  • ソセゴン(錠)
    ペルタゾン(錠)
    ペンタジン(錠)
  • ノピコール(Cap)
    レミッチ(Cap)・・・かゆみ抑制
外用薬
  • アンペック坐剤
  • デュロテップMTパッチ・・・3日間持続
    フェントステープ・・・1日間持続
    ワンデュロパッチ・・・1日間持続
  • ノルスパンテープ・・・7日間持続
    レペタン坐剤
注射薬
  • パンアト注
    パンスコ注
    パンオピン注
  • モルヒネ塩酸塩注・・・レスキュー
    モヒアト注
    プレペノン注・・・レスキュー
    アポカイン注
    アンペック注・・・レスキュー
  • フェンタニル注・・・レスキュー
    タラモナール注
  • アンチバ注
  • オキファスト注・・・レスキュー
    パビナール注
  • ペチジン塩酸塩注
    オピスタン注
    ペチロルファン注
  • レペタン注
    ザルバン注
  • トラマール注
  • ソセゴン注
    トスパリール注
    ペンタジン注
  • ロルファン注・・・麻薬拮抗薬
  • セダペイン注
  • ナロキソン注・・・麻薬拮抗薬

(参考・引用文献:PharmaTribune2015.5、2014.1、2014.8、麻薬-脳科学辞典

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