核磁気共鳴スペクトル

電子が自転しているように陽子も自転をしている。電子の自転による磁場は他の電子がスピンを逆にして入ることにより打ち消されるが、陽子の磁場も他の陽子に打ち消される。原子核内の陽子と中性子は,複数の陽子が存在する場合は,磁極が逆向きの陽子2個で1対となり,磁力を打ち消しあっている。

中性子においても同様な性質があるため,陽子と中性子のいずれかの個数が奇数になる原子では,その核全体で磁気モーメントを持っている。一般的にNMR装置で観測する原子核にはこのような条件を満たした1H・13C・19F・23Na・31Pがある.

とはいえ、実際にNMRで測定するのは、どこの臓器にも存在するという理由で1Hについてのみ、他の元素は分布が非統一なことが多いからだということ。

例えば・・・エタノールCH3OHなんかでは、Hが4つある=水素陽子が4つある。そして、この4つの陽子は互いに適当な方向の磁場を発している。

これに外部から強い直流磁場をかけて方向を揃えてやる。そうすると、中には遮蔽が強く磁場とは逆向き(高エネルギー)のやつもいるけど、とにかく全ての陽子が歳差運動と呼ばれる回転するコマが倒れる直前に頭を廻すような運動を始める。

歳差運動は外部磁場の強さに比例して激しくなり、それとともに周波数が増し、エネルギーも増す。その歳差運動と周波数が近い交流磁場(ラジオ波)を1瞬の間だけパルスとして加えると,スピンが反転し、歳差運動に共鳴してエネルギーの吸収が起きて高エネルギー状態になる。ラジオ波の照射をやめると、それぞれの原子核の歳差運動から低いエネルギー準位に戻ろうとするときの高周波(NMRシグナル)が発生するので、それを測定する。

なお、陽子の周りの電子が、かけた外部磁場を打ち消す方向に働くため(電子密度が高いと遮蔽が高まる)できるだけ大きな磁場をかけて全ての陽子スピンの方向を揃えて、その結果生じる歳差運動の激しさ(振動数)が1つ1つの陽子で異なるため、歳差運動に等しいラジオ波を当てた時、それぞれで吸収するラジオ波の波長が異なることを利用する。

ラジオ波が高周波数になるほど歳差運動が激しく、電子による遮蔽がされていないことを意味する。(OのとなりのHは、Oにより電子を引っ張られるので電子密度が低く、低磁場に現れる)

そして、かけなければならない外部磁場が大きいほど遮蔽が大きいことを意味する。これにより、NMRの測定法は2種類あることがわかる。1つは外部磁場を徐々に変えて測定する。もう1つはラジオ波の周波数を変えていく測定である。

NMRの縦軸は不明、横軸は化学シフト(ppm)で、ppmはヘルツをヘルツで割っているため単位を持たない。そして、割ることによりTMSの振動数に対して核磁気共鳴の振動数をとるという、外部磁場の大きさに関係ない単位を持てる。

放射線について

放射性同位元素が存在する元素は、H、C、N、F、P、Ca、Co、Ga、Sr、Tc、I、Cs、Ra、Uがある。

ヨウ素の放射性同位核種3つの、元素名称、半減期、エネルギーは以下のようになっている。

名称 半減期 エネルギー 医薬品
123I 13時間 EC インビボ放射性医薬品
125I 59.4日 EC インビトロ放射性医薬品
131I 8.04日 βー、γ 内用放射性医薬品

131Iは診断用としても治療用としても使われる。

βー線のエネルギーが最大0.606MeVは診断用としてはいいが治療用としてはやや低い。しかし、γ線を放出するためにイメージングが同時にできる入手が容易である。甲状腺にI‐が選択的に取り込まれること。多くのヨウ素化合物が診断用として用いられているため体内動態に対する知見が多いことから治療用としても用いる。

α線とは、質量数が140以上のような原子番号の大きな元素は不安定なためヘリウムの形で放出するもので、紙1枚で遮蔽することができる。線スペクトルを示す。

β線は、β壊変の際、ニュートリノがエネルギーの一部を持ち去るため(β線+ν=一定)連続スペクトルとなる。とECでは原子番号が1減少する。

変化
β+ 中性子 → 陽子 + 陰電子(e-)
β- 陽子  → 中性子 + 陽電子(e+)
EC 陽子 + 陰電子(e-) → 中性子

例えば、β-壊変によりOはFになる。

陽電子消滅とは、運動エネルギーがなくなる瞬間e+とe-が出会い0.511MeVの2本のγ線となり物質が消滅すること。

γ線とは、α、β壊変の後不安定な核が安定な状態に戻ろうとする時のエネルギー。X線と違い核から放射される。放射性壊変する核種を親核種、壊変により生成する核種を娘核種と言う。

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