咳の原因と症状

一口に咳と言っても、色々な病態が有り、咳が出ているからこういう疾患でこういう薬を使うと簡単には決められない。市販の咳止めが著効する病態はほんの一部であって、漫然と服用していても改善が見られない場合は、すぐに医者にかかるべきである。

以下、咳ガイドラインを熟読すれば、医者にかからずしてある程度は自分の咳の原因疾患がわかるのではないだろうか。

このページは、長引く咳で月に3,4回受診し薬をもらっている人が「このままずっと治らないの?」と不安げに聞いてきた時にどうやってアドバイスするべきかを考えるためのページである(よく遭遇するため・・・)。

呼吸関連臓器について

咳の原因と症状を理解するためには、どうしても呼吸関連臓器の理解が必要となる。

一般的に風邪(感冒)と呼ばれる疾患は、急性上気道炎を指し、上気道というのは、鼻腔・咽頭・喉頭・扁桃腺等を指し、気管は含まれない。気管・気管支・細気管支は下気道である。細気管支より先の肺胞は上気道にも下気道にも含まれない。

聴診器により聞かれる呼吸音も幾つかに分類できる。細かい詳細は下記動画の最初の20分位を見ればわかるのであるが、あえて書き出してみる。

呼吸音は何らかの理由で単に減弱しているもの(胸水とか)と、ラ音(異常音)を生じるものに分類できる。動画にもある通り、気管・気管支と肺胞では構造が異なるゆえに減弱音やラ音も全く異なる。

ラ音は、気管・気管支で起こる音(連続音:吸気と呼気時)として、

  • いびき音(rhonchi:ロンカイ)・・・中枢気道(気管及び主気管支のような太い気管)が閉塞する。ボーボーといった低音。COPD
  • 笛音(wheezes:ウィーズ)・・・末梢気道(細気管支のような細い気管)が閉塞する。ヒューヒューといった高音。喘息

が、肺胞で起こる音(断続音:吸気時のみ)として、

  • 水泡音(coarse crackles:コースクラックル)・・・肺胞に水が溜まっている。水の膜に当たる時の音。粗い音。肺水腫
  • 捻髪音(fine crackles:ファインクラックル)・・・肺胞壁の間質が固まって広がらない。乾いた音。細かい音。間質性肺炎

がある。

上記は聴診器を使って効くことのできる呼吸音で、聴診器がなくても聞こえる異常音が喘鳴である。喘鳴には、

  • 吸気性喘鳴(ストライダー)・・・上気道が閉塞。吸い込む時に音がなる
  • 呼気性喘鳴・・・下気道が閉塞。吐き出す時に音がなる

がある。

ここまでわかると、自分で聞ける音は喘鳴であり、息を吐き出す時にヒューヒュー音がしたならば喘息(咳喘息でない)かなぁとか、息を吐き出す時にボーボー音がしたならCOPDかなぁとか、自己診断が可能。

咳の発生機序

咳受容体は、気管支の上皮間や上皮下などの気道壁表層に分布する知覚神経終末に存在し、異物による咳受容体の刺激はAδ線維かC線維により迷走神経求心路を介して延髄弧束核の咳中枢に伝達される。

気道に炎症が起こるとC線維の受容体が刺激され、C線維からの軸索反射によってSPが放出され、これが近傍に存在するAδ線維の咳受容体感受性を亢進させて、咳中枢が刺激される。

また、強い気管支壁の炎症により、NOが産生され、温度感受性TRPチャネルであるTRPV1(バニロイド1受容体)やTRPAなどの神経上の受容体が刺激、C線維を介して咳中枢が刺激されることもある。

微生物による気道上皮障害の方法は、インフルエンザやRSウイルス等のウイルス群は気道上皮に侵入し、上皮細胞の破壊を起こす。マイコプラズマは気道上皮細胞の線毛に付着し、過酸化水素を発生させて気道上皮を破壊する。肺炎クラミジアはエネルギー寄与体のために気道上皮に侵入し増殖時に気道上皮を破壊する。百日咳菌は百日咳毒素の作用で線毛運動を傷害したり、気道上皮の破壊を起こす。気道上皮の破壊が起こると、粘膜下のC線維の一部が露出するため、外気吸入の僅かな刺激によりC線維末端からSPなどが放出されて咳嗽が発生する。

胃食道逆流症(GARD)では、食道下部の知覚神経が胃酸で刺激→迷走神経反射を介して気道壁表面の咳受容体の感受性を亢進させる。

ただし、咳の受容体である迷走神経知覚受容体は下気道以外にも広範に存在することに注意する。

咳の診断と治療

咳の診断は上記ガイドラインのフローチャートに従うのが普通。

その為、肺がん、結核、肺炎、間質性肺炎の除外診断を先に行うため、片側ラ音を聴取した場合や1~2週間以上持続する咳は胸部X線写真を撮影し、陰影の有無を確認。

しかしながら、聴診器もなければ、レントゲンもない状態である程度の目星をつけるためには、自己流のフローチャートを作る必要がある。

  • 感染症or非感染症・・・急性咳嗽の殆どが感染症、先行する感冒様症状がある、自然軽快傾向である、周囲に同様の症状の人がいる経過中に膿性度の変化する痰がみられるのような所見がある
  • 乾性咳嗽or湿性咳嗽・・・乾性咳嗽はマイコプラズマ(長期では湿性)、喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、、咽頭アレルギー、湿性咳嗽は百日咳、結核、後鼻漏、慢性気管支炎、COPD、副鼻腔気管支症候群
  • 急性咳嗽or慢性咳嗽・・・急性咳嗽(3週間以内)なら感染症、慢性咳嗽(8週間以上)なら非感染症を疑う。感染症で8週間以上の遅延性感染性咳嗽の原因は、結核菌などの抗酸菌感染症、アスペルギルスなどの真菌感染症および寄生虫疾患としてのウエステルマン肺吸虫感染症がある。
  • 喘鳴の有無・・・夜間や早朝の呼気時の喘鳴があれば喘息を疑う。咳喘息とアトピー咳嗽は喘鳴はない。気管支拡張薬(β2、抗LT、テオフィリン)は喘息と咳喘息にのみ有効であり、気管支拡張薬が無効な場合にはアトピー咳嗽を疑う。
  • 痰の色・・・喀痰検査は一般細菌等による感染性の咳か、非感染性の咳かの判別に用いる。
  • 上気道炎(鼻・咽喉頭)or下気道炎(気管・気管支)・・・上気道炎の原因としては、ウイルス感染(RS、アデノ、ライノ等)が大部分で残りの1~2割が細菌感染(溶連菌、インフルエンザ菌等)
  • 嘔吐の有無・・・咳嗽後の嘔吐など特異的な症状が認められる場合は百日咳を疑う
  • 年齢・・・肺炎クラミジアは高齢者に、マイコプラズマは若年者に多い

とかを自分で調べて、どの疾患が一番近いかを推測するしか無い。

例えば、喉の痛みから始まる風邪は、上気道感染の可能性が高いけどウイルスか細菌かこの時点ではわからない。周りの状況で類推することになる。感染性咳嗽への抗菌薬の使用は、罹患患者本人ではなく、他者への感染予防のために投与され、周囲への感染力が強い、マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳菌、インフルエンザが対象となる。

1週間たっても治りが悪く、上気道炎は治ったけど咳と痰が残るとかなら、下気道の可能性もあり、痰の色、咳が乾性か湿性か、嘔吐や喘鳴の有無等を調べて、痰の色がなくて乾性咳嗽っぽかったら喘息、咳喘息、アトピー咳嗽あたりを類推し、喘鳴がなければ咳喘息かアトピー咳嗽、気管支拡張薬が効かなければアトピー咳嗽かなとか。喘息系ならステロイドとβの合剤、アトピー咳嗽ならステロイドのみみたいな?

下記に調べる上での参考情報を羅列(いやガイドラインから抜き出し)。

咳の種類

咳には感染症による咳それ以外の咳があり、急性咳嗽(3週間未満)は大部分が感染症によるもの、遷延性の咳(3週間以上~8週間未満)は感染症と非感染症が半々、慢性咳嗽(8週間以上)は大部分が非感染症のものが原因となっています。

  • 感染症による咳(主に急性咳嗽(3週間以内)
    • ウイルス性感染症
    • インフルエンザ
    • マイコプラズマ
    • 百日咳
    • 結核
    • その他(肺炎クラミジア、インフルエンザ桿菌、肺炎球菌)
  • 非感染症の咳(主に慢性咳嗽(8週間以上)
    • 喘息・・・慢性咳嗽の約半数を占める。乾性咳嗽
    • 咳喘息・・・乾性咳嗽(長期で湿性)
    • アトピー咳嗽・・・乾性咳嗽
    • 耳鼻科領域の咳(咽頭アレルギー、後鼻漏)・・・咽頭は乾性咳嗽、後鼻漏は湿性咳嗽
    • COPD
    • 慢性気管支炎・・・湿性咳嗽
    • 副鼻腔気管支症候群・・・湿性咳嗽
    • 胃食道逆流症(GERD)
    • 感染後咳嗽
  • その他
    • 肺がん

感染症による咳

ウイルス感染症

RSウイルス、ライノウイルス、アドノウイルスといった咳の原因ウイルスが原因の咳。根本治療はないので免疫がつくまでは対症療法のみ。

インフルエンザ

インフルエンザは御存知の通りの筋肉痛、高熱を伴う疾患。

ウイルスなのでリレンザやタミフル等の抗ウイルス薬を使って治療します。

マイコプラズマ

マイコプラズマは、細胞壁のない細菌で、セフェムやペニシリンと言った細胞壁合成阻害剤が効かないため、マクロライドニューキノロンを使って治療します。再発の可能性があるため、1週間程度の投与が推奨される。

2~3週間続く乾いた咳が特徴だが、3週間以上経過すると湿性咳嗽になる。微熱を伴うことが多いが、他の細菌との重複感染でなければ黄色膿性痰にはならない。

百日咳

百日咳は、百日咳菌による起こる発作性の咳や粘り気のある痰が3週間程度続く、夜間に起こることが多い疾患で、マクロライド(アジスロマイシンは適応外)やニューキノロンを使って治療します。

服用開始から5日後には菌の分離はほぼ陰性となるが、再排菌を考慮して、抗菌薬の投与期間は2週間程度は必要。痰咳に対しては鎮咳去痰薬、気管支拡張薬などが使用される。

2,3週間以降も続くようなら、ただの風邪ではなく、マイコか百日咳を疑います

DPTの効果が切れてくる若い人がなりやすく、子供からうつる。呼気性笛声(ひゅー)、発作性の咳、咳き込み後の嘔吐(嘔吐があるのは百日咳くらい)。

結核

結核は、結核菌により起こる痰を伴う咳が出る疾患で、イスコチンやエブトールなどの抗結核薬を用いて治療します。抗結核薬にはビタミンB1が一緒に処方されます。

肺結核を疑った場合、まず胸部単純X線写真を撮影し、陰影が合った場合、喀痰が採取可能であれば喀痰の検査を行う。結核はレントゲンで多くはわかるが、肺の入り口はレントゲンは一見正常、CTとかでないとわからない。

その他

これら以外に、クラミジア肺炎(性感染症とは別のクラミジアです)や、かかると重症化する肺炎球菌(65歳以上の高齢者に多いので、インフルエンザと少し開けてワクチンを接種するとよい。1度打つと5年程度効果は持続する)、溶連菌(化膿レンサ球菌)インフルエンザ菌らもあります。

細菌感染で溶連菌の場合、ペニシリン系を10日間投与かセフェム系を5日間投与がされるようで、その二つが使えない人はマクロライドを使うようです。(ペニシリンかセフェムかというのは色々議論はあるようですがね)

非感染症による咳

喘息

喘息は、アレルギー性のもの(ダニ、ハウスダストなど)と非アレルギー性のもの(原因不明)があって、いずれも、気管が刺激され続けることで、炎症が起こり、気管支平滑筋が肥厚、それに痰が相まって気道が細くなる疾患です。

気道がかなり狭くなると、空気の通り道が細くなってヒーヒーという喘鳴を伴う一般的な喘息が起こりますが、喘鳴が起こるほどには気道が狭くならない場合に、咳のみが症状として現れることがあり、それを別名でせき喘息と呼んでいます。

喘息と聞くとアレルギー性で発作があるというイメージが先行しがちですが、そうでないものもあることに注意ですね。

治療は、吸入ステロイド&β、PDE阻害薬などが主として使われます。

咳喘息

咳喘息は、気管が細くなるが治療でもとにもどる。気管支が震える程度(喘息は閉塞するし不可逆性のリモデリング)。

喘鳴や呼吸困難を伴わない(喘息はヒューヒューいう)という点で喘息と区別される慢性咳嗽(8週間以上)である。呼吸機能はほぼ正常、気道過敏性軽度亢進(喘息は過剰な過敏症亢進)、好酸球性の炎症、β2刺激薬等の気管支拡張薬で改善する。聴診上もwheezeを認めない。

就寝前と深夜あるいは早朝に咳嗽が悪化しやすく、喀痰は伴わないことは多いが、湿性咳嗽の場合も少なくない(通常少量で非膿性)。

Ⅰ型アレルギーが一部の患者で関与するが、IgE値は喘息に比して低い。

気道攣縮が咳受容体(Aδ)を刺激して咳を生じる。気道過敏性は、典型的喘息に比して軽度あるいは同等である。

喀痰や気管支組織の好酸球数が高く、好中球も増加する。好酸球、好中球の両者が増加している場合、吸入ステロイドに抵抗性を示す。

治療は典型的喘息と基本的には同様で吸入ステロイドが第一選択。吸入β2刺激薬が咳に有効であるため、ステロイドとの合剤が推奨。テオフィリン製剤に比べてより安全で気管支拡張作用が強いβ刺激薬が第一選択だが状態に合わせて抗LT薬やテオフィリン製剤と併用もできる。夜間の咳にはホクナリンテープ等の貼付剤がよい。

アトピー咳嗽との鑑別のために、気管支拡張薬の効果は確認しておくこと。

経過中に成人では3割~4割、小児ではさらに高頻度で喘鳴が出現し、典型的喘息に移行することから咳喘息からの喘息発症を予防するため、吸入ステロイドを2年継続が推奨。

アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、喘息や咳喘息と同じ症状であるものの、気管支拡張薬は効かない、非喘息性好酸球性気道炎症である。

喘息や咳喘息の好酸球性気道炎症が中枢気道~末梢気道に起こるのに対して、アトピー咳嗽は中枢気道を炎症の主座として、気道壁表層の咳受容体感受性の亢進により引き起こされる慢性咳嗽(8週間以上)である。喘鳴は伴わず、呼吸機能はほぼ正常、気道過敏性は正常である。聴診上もwheezeを認めない。

咳嗽はエアコン、煙草の煙、会話、運動、精神的緊張などによって誘発されやすい。

アトピー素因を有する中年女性に多く、咽喉頭の掻痒感を伴う乾性咳嗽(痰は伴っても少量)で、H1ブロッカーまたは吸入ステロイドがよく効く。予後は良好であるので咳嗽が警戒すれば治療は中止可能。

COPD

COPDは、たばこが原因で気道に炎症が起こり、気道が狭くなって息切れや痰を伴う咳を起こす疾患です。

第一選択として抗コリンの吸入が使われる場合が多いです。ひどい場合は、喘息と同じ治療(吸入ステロイド含む)をします。βよりも弱めでかつ、連続耐性がないのが抗コリンなのかな。

抗コリン薬とβ2が第一選択薬、テオフィリン、シムビコートもかませる。アドエアは250と125エアーだけが適応。

副鼻腔気管支症候群

副鼻腔気管支症候群は、慢性副鼻腔炎を合併した慢性気管支炎で、好中球性気道炎症を上気道と下気道で合併しており、呼吸発作を伴わない、痰を伴う慢性咳嗽(8週間以上)が特徴です。

慢性副鼻腔炎を伴わない喫煙が原因の慢性気管支炎とは区別する。

治療は、マクロライドなどの抗生物質を少量長期で使います。耐性化予防の観点からエリスロマイシン使用後、効果がない場合にクラリスロマイシンやロキソシロマイシン、アジスロマイシンを使用する。痰には去痰薬を使用。

副鼻腔炎により起こる鼻水が気管に垂れてくることと、気管自体の炎症とで、鼻から気道まで一連の症状があることから2つの名前合わさってます。

慢性気管支炎

慢性気管支炎の咳は喫煙を原因とした慢性の湿性咳嗽で、禁煙で軽快する。

これに肺気腫を合併して気道閉塞を伴うようになると、COPDへオーバーラップする。

治療は、禁煙の一択。増悪機の抗菌薬の有用性は認められているが、慢性安定期の抗菌剤投与による湿性咳嗽の軽減に関するエビデンスは乏しい。

通年性耳鼻科疾患による咳嗽

耳鼻咽喉科領域の慢性咳嗽の原因疾患は、通年性咽頭アレルギーと通年性アレルギー性鼻炎の後鼻漏の2つがある。

咽頭アレルギーによる咳は、咽喉頭異常感(そう痒、イガイガ等)があることを除けば、アトピー咳嗽と同じと考えて良いように思える。治療法も同じようにH1ブロッカー。

後鼻漏による咳は、後鼻漏の鼻汁が喉の方まで移動することで出る咳。原因は慢性副鼻腔炎が4割、アレルギー性鼻炎が2割位。鼻から来ているのでマクロライドを使う。

胃食道逆流症(GERD)

胃食道逆流症(GERD)は、逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症が該当し、胃と食道の隔て役となっている下部食道括約筋(LES)の筋力が弱まるか正常に作動しない(TLESR:一過性のLES圧の低下 or 恒常的なLES弛緩)場合に胃酸や食べ物が食道に逆流して起こる慢性咳嗽(8週間以上)です。

逆流が下部食道の迷走神経受容体を刺激し、中枢を介して反射的に下気道の迷走神経遠心路に刺激が伝わるreflex theoryと、逆流内容が上部食道から咽喉頭や下気道に到達し直接刺激となるreflux theoryとによる。

前者reflexによる咳はTLESRを介して起こる咳で、臥位時や睡眠中には生じにくく昼間に多く、食道症状が乏しい。後者refluxによる咳には食道裂孔ヘルニアなど恒常的なLES弛緩の関与が大きく、夜間に好発し、食道症状も多い。

胸焼け、呑酸、咳払い、嗄声といった症状や、咳が会話や食事、起床、上半身前屈、体重増加などにともなって悪化することは両者共通であるものの、夜にのみ咳が出るとは限らないことに注意。

治療は胃酸を抑制するPPIかH2ブロッカー。

感染後咳嗽

感染後咳嗽はウイルスや細菌による呼吸器感染症の後に続く自然軽快する慢性咳嗽である。

特徴として、乾性咳嗽であること、中高年者や女性に多いこと、咳嗽の発現時間帯として就寝前~夜間、朝が中心であることなどが挙げられる。好酸球の増加はなくリンパ球や好中球が増加している。

治療は、コデイン等の中枢性鎮咳薬、H1ブロッカー、抗コリン薬、麦門冬湯(乾性咳嗽に用いる)などが用いられる。改善しない場合は経口ステロイドを短期間用いることもある。

肺がん

抗がん剤のページを参照

咳疾患の治療薬

咳の治療薬のまとめ。図はガイドラインより引用。

  • 去痰薬は湿性咳嗽において痰の喀出を改善する。
  • 中枢性鎮咳薬は原則として、初期からの使用は上気道炎~感染後咳嗽等の乾性咳嗽に使用することが望ましい。
  • 吸入ステロイドは咳喘息診断確定後の第一選択、アトピー咳嗽にも奏功する。
  • 抗LT薬は咳喘息において好酸球性炎症の抑制作用を発揮して咳を改善させるが、アトピー咳嗽には無効である。
  • 抗ヒスタミン薬はアトピー咳嗽で著効例が多い。急性咳嗽に対してH1ブロッカーは一般に無効である(花粉症による急性咳嗽は除く)。
  • 漢方では麦門冬湯は喉を潤し、咳を鎮める。痰の少ないor切れにくい痰を伴う乾性咳嗽に用いて、咳の強度を有意に改善させる。小青竜湯は湿性咳嗽に用いて、これも咳の回数、強さ、喀痰の切れを有意に改善させる。
  • 抗コリン剤のスピリーバ(チオトロピウム)は慢性咳嗽時の痰量と痰の喀出困難などとともに咳の頻度、強さを抑える。

※肺炎マイコプラズマの第一選択

小児マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方のポイント

  1. 急性期の血清抗体価陽性所見のみでは、肺炎マイコプラズマ感染症の診断が困難な場合も多いため、急性期の確定診断には、肺炎マイコプラズマ核酸同定検査(LAMP 法)を実施することが望ましい。
  2. マイコプラズマ肺炎治療の第一選択薬に、マクロライド系薬が推奨される。
  3. マクロライド系薬の効果は、投与後 2~3 日以内の解熱で概ね評価できる。
  4. マクロライド系薬が無効の肺炎には、使用する必要があると判断される場合は、トスフロキサシンあるいはテトラサイクリン系薬の投与を考慮する。ただし、8歳未満には、テトラサイクリン系薬剤は原則禁忌である。
  5. これらの抗菌薬の投与期間は、それぞれの薬剤で推奨されている期間を遵守する。
  6. 重篤な肺炎症例には、ステロイドの全身投与が考慮される。ただし、安易なステロイド投与は控えるべきである
抗菌薬 用法・用量 投与法 投与期間
エリスロシン 25~50mg/kg/日、分4~6 経口 14日
クラリス 10~15mg/kg/日、分2~3 経口 10日
ジスロマック 10mg/kg/日、分1 経口 3日
オゼックス 12mg/kg/日、分2 経口 7~14日
ミノマイシン 2~4 mg/kg/日、分2 経口、点滴静注 7~14日

(引用元:日本小児科学会

コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。



  • << 前のページ
  • 次のページ >>
ページトップへ