糖尿病の原因と症状

糖尿病の定義

糖尿病とは、血糖値が常にある一定以上の高い水準を維持している状態を指します。

具体的な診断基準としては、

空腹時血糖値 ≧126mg/dl(正常は≦110mg/dl)
随時血糖値 ≧200mg/dl
75gブドウ糖負荷試験2時間値 ≧200mg/dl(正常は≦140mg/dl)
HbA1c ≧6.1%(JDS値)

表にあるように、「血糖値が高く、糖尿病の典型的症状と糖尿病網膜症がある場合」を除き、1項目だけが1度高いだけでは糖尿病とは診断されません。

また、血糖値の上昇を伴わないで、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が高値の状態だけでも糖尿病とは診断されません。(糖尿病型=予備軍とされます)

糖尿病の検査値

糖尿病検査値の項目を参照

糖尿病の薬とサプリメント

糖尿病の薬の種類糖尿病サプリメントは別ページを参照

糖尿病の型と治療方法

糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病があります。

1型糖尿病

インスリン依存型:5%

膵β細胞が自己免疫により破壊され、インスリンの生産が完全に停止して、絶対的なインスリン不足に陥る疾患。 自己免疫とは、自分のすい臓を自分の体が異物と判断して攻撃してしまうことです。

HLA遺伝子に誘因があると考えられている。その多くが20歳未満、特に思春期に発症するため、成人以降に発症するケースは少ない。

発症すると一生続くもので、治療にはインスリンを必要とする。注射は毎日行うことが必要で、血糖をコントロールするため 一日数回の注射が必要。

絶対的にインスリンが不足しているため、一生涯にわたってのインスリン注射と、食事療法、運動療法を併用して いくことが必要です。

運動療法は、インスリン治療を行っている人がインスリン注射後に行うと、インスリンの吸収と作用が増強され、低血糖を起こす可能性があります。

2型糖尿病

Ⅱ型(インスリン非依存型:95%)

遺伝的背景(両親が糖尿病:57%、片親:27%)と肥満がその大半を占める。 遺伝的要因の場合はインスリン抵抗性が問題となります。

インスリン抵抗性とは、インスリン拮抗物質の存在、 インスリン受容体数が少ない場合を指します。肥満の場合は、血液中の糖質の量が多すぎて常用量のインスリンでは 処理しきれなくなることによります。

Ⅱ型の場合は、肥満の人は特にですが、遺伝的背景がある人も運動療法、食事療法をまず行います。 それでも下がらない場合は、薬物療法へも併用していきます

糖尿病の症状

血糖値が高い状態が続いていたとしても自覚症状が全くなく、血糖値が高いのの何が悪いのか?とおもわれる方は多数いると思いますが、糖尿病の真の治療目的は、その三大合併症である網膜症、腎症、末梢神経障害への進行、そして動脈硬化(血管壁が硬くなり血管が腐る)を予防することにあることに注意します。

血糖値が高い状態が常に続いていると、以下の様な症状が現れることがあります。

  • 糖尿病症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)
  • 糖尿病昏睡
  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性末梢神経障害

糖尿病症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)

口渇、多飲等の自覚症状がでるのは、一般には空腹時血糖値が大体200mg/dl↑の時です。

糖代謝の異常により、糖(グルコース)からエネルギーを得ることができなくなると、使われずに残った糖が尿中に そのまま移行して尿糖陽性となります。

尿中に糖が多くなると糖の濃度を薄めようとして水分が引き抜かれて多尿が起こるとともに、水分不足による口渇、多飲 症状もそれに次いで起こってきます。

なお、糖からエネルギーを得ることができないことから、脂肪からのエネルギー獲得(β酸化)が起こり、体重減少や 栄養不足が起こります。

糖尿病昏睡

糖尿病性昏睡とは、(ケトアシドーシス+脱水)による意識障害を言います。

尿中の糖が多くなると、糖の濃度をうすめる方向に血液中から水が流れ込みます。その結果として、細胞内脱水(やせ)が起こります。

また、糖からエネルギーを得ることができない(糖代謝異常)ことから、脂肪の分解からβ酸化が亢進するも、TCAサイクルが抑制されているためにアセチルCoAの蓄積を起こし、ケトン体が上昇します。 ケトン体は弱酸性のため、血液が酸性に傾きます。

ケトアシドーシスでは、吐き気、倦怠感、口臭等の初期症状が現れる。

糖尿病の3大合併症(しめじ)

糖尿病性網膜症

糖代謝異常による高血糖はポリオール経路を亢進させる。グルコースからポリオール経路にて作られるソルビトールは、細胞膜を透過できないため、グルコースに比べて血中に蓄積しやすい上、ソルビトールから作られるフルクトースは蛋白質(ヘモグロビン、血小板など)との結合がグルコースの10倍以上も高いため、糖化蛋白質になりやすく、血管壁を傷つける作用は強いです。→網膜、末梢血管、腎血管の損傷

また、フルクトースが解糖系からはずれたフルクトース-3-リン酸経路へと進むと、代謝物の3-デオキシグルコソンがAGEs(週末糖化合物)と呼ばれるものを産生し、それが血管障害を引き起こします。

主な症状は目のかすみ、視力の低下等。進行すると失明に至る。

糖尿病網膜症は、網膜内の血流が悪くなって毛細血管から血液がにじみ出て点状出血を生じる単純網膜症から、増殖前網膜症へと進行し、血管閉塞、網膜浮腫が見られる状態で放置しておくと、虚血部分に血液を送ろうとする新生血管が伸びていく増殖網膜症へと移行する。

新生血管はもろく出血しやすいので、新生血管が破れて硝子体内に出血を起こしやすく、より悪化すると増殖膜により網膜剥離、ひいては失明をきたすことがある。

増殖前網膜症の段階から、黄斑部の毛細血管が傷害されて血管から血液中の水分が漏れ出し、黄斑部にたまり、浮腫が起こる(黄斑浮腫)事がある。

HbA1cが10%を超えている人は1~2ヶ月に一度は眼科検診を受けたほうが良い。

増殖した新生血管から出血した血液が硝子体内に移行し、失明が起こらないように、網膜の虚血部分にレーザー光を照射して熱で凝固して新生血管の発生を阻止するレーザー抗凝固術や、黄斑浮腫の減少と新生血管の退縮目的で硝子体内に注入する抗VEGF製剤、ステロイドの後部テノン嚢下または硝子体内注射も炎症を抑えて黄斑浮腫を抑える。

治療方法は加齢黄斑変性症と同じである。

糖尿病性腎症

ソルビトールが糸球体基底膜に蓄積することで、基底膜の細胞が硬化することで透過性が亢進しネフローゼ症候群へと進行します→腎症(ネフローゼ)。

主な症状は、血圧上昇、体のむくみ等。進行すると腎不全になり透析を余儀なくされる。

糖尿病性末梢神経障害

末梢神経内でのソルビトールの蓄積により、グルコースから作られるイノシトールリン脂質の構成成分であるミオイノシトールの細胞内取り込みが低下(Na-KATPase活性低下による)し、神経伝導速度が遅延します。→末梢神経障害。

主な症状は、手足のしびれ、ほてり、痛み等。進行すると足の潰瘍や壊疽が現れる。

(参考・引用:クレデンシャル2017.10)

コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。



  • << 前のページ
  • 次のページ >>
ページトップへ