胃薬の市販薬(おすすめ)

ドラッグストアやインターネット等で売られている(処方箋なしでも買うことができる)医薬品(一般用医薬品)の中で胃薬・消化薬・健胃薬中心に医療用医薬品と比較してご紹介します。

軽い胸焼けや胃もたれ、食欲不振、胃痛であれば、わざわざ病院を受診しなくても市販の胃薬で十分対応は可能かと思います。

市販薬の胃薬は非常に沢山あるので、おすすめの薬をピックアップして紹介していこうと思います。

平成26年6月12日施行の薬事法関連改正により一部の医薬品が要指導医薬品となり、インターネットで購入することができなくなりました。要指導医薬品の第一類~第三類医薬品はインターネットで購入可能です。

医療用としても使われている胃薬の成分

市販薬の中で医療用としても比較的よく使われている(スイッチ化されている)成分は以下。

  • 要指導医薬品・・・
    トリメブチン(過敏症腸症候群治療薬に限る)(セレキノン)
  • 第一類医薬品・・・
    ファモチジン(ガスター)、ラニチジン(ザンタック)、ニザチジン(アシノン)、ロキサチジン(アルタット)、シメチジン(タガメット)
  • 第二類医薬品・・・
    安中散、六君子湯、アルジオキサ(アルサ)、オキセサゼイン(ストロカイン)、スクラルファート(アルサルミン)、チキジウム(チアトン)、チメピジウム(セスデン)、テプレノン(セルベックス)、ピレンジピン(ガストロゼピン)、ロートエキス、トリメブチン
  • 第三類医薬品・・・
    アズレン(マーズレン)、アミノ安息香酸エチル(スルカイン)、セトラキサート(ノイエル)、ウルソデオキシコール酸(ウルソ)

これらの薬を薬効別に分類すると以下。

  • PPI(超強胃酸↓)・・・市販薬はなし
  • H2ブロッカー(強胃酸↓)・・・ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、シメチジン
  • M1ブロッカー(胃酸↓)・・・ピレンゼピン
  • ガストリン拮抗(胃酸↓)・・・オキセサゼイン、ピレンゼピン
  • 抗コリン薬(弱胃酸↓・鎮痙・鎮痛)・・・チキジウム、チメピジウム、ロートエキス
  • 局所麻酔薬(鎮痛)・・・オキセサゼイン、スルカイン、ロートエキス
  • 胃粘膜保護・・・アルジオキサ、スクラルファート、テプレノン、セトラキサート、アズレン
  • D2ブロッカー(胃運動↑)・・・市販薬はなし
  • μ・κ刺激(胃腸運動調整)・・・トリメブチン
  • グレリン刺激(食欲亢進)・・・六君子湯
  • 健胃薬(胃全般症状)・・・安中散、六君子湯
  • 制酸剤(胃酸を中和)・・・炭酸水素ナトリウム等塩類
  • 消化薬・・・アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ他
  • 利胆薬(脂肪分解)・・・ウルソデオキシコール酸

胃薬の選び方

胃もたれ・胃痛・胃酸の逆流・胸焼けには、H2ブロッカーが第一選択で、腹痛・胃痛には抗コリン薬、嘔気を伴う食欲不振にはμκ刺激薬、食欲不振(特に機能性ディスペプシア症状)には六君子湯、食べ過ぎの胃のもたれには消化剤、他軽い胃全般症状には漢方薬の安中散のような感じです。

漢方薬はヤセ型で冷え気味の人が使うとより効果があります。

塩類の制酸剤はアレグラやウルソ等いくつかの医療用医薬品の効果を減弱する可能性があるので注意します。

症状によって使う薬が異なるため、ランキングのような形で表示することは残念ながらできません。ご自身の症状にあった薬を選んでください。

胃もたれ・胃痛・胸焼けがある方におすすめの市販薬

食べ過ぎ飲み過ぎやストレスによって胃酸が過剰にでて、胃を荒らしている場合は、胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカーがおすすめ。

通常、H2ブロッカー単体だけで十分効果が有りますが、H2ブロッカーだけで効果が不十分な場合に、胃の粘膜を保護する薬(セトラキサートスクラルファート)を加えて服用することができます。

健胃薬である安中散含有の胃腸薬(タケダ漢方胃腸薬大正漢方胃腸薬太田漢方胃腸薬)、安中散に加えて制酸剤や消化剤を配合した胃腸薬(太田胃散)も胃痛や胸焼けに使われる薬です。生薬成分ということもあり作用は緩和である反面、症状が軽度な人や薬を飲むのに抵抗がある方、妊婦や授乳婦さんには適していると言えます。

H2ブロッカーで市販薬として販売されているのが、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジンの4種類です。

成分名 市販品 医療用
含有量 服用回数 年齢 含有量 服用回数 年齢
ファモチジン 10mg 1日2回まで 15歳~79歳 10mg、20mg 1日2回まで 成人
ラニチジン塩酸塩 63mg 1日2回まで 15歳~79歳 84mg、168mg 1日2回まで 成人
ニザチジン 75mg 1日2回まで 15歳~79歳 75mg、150mg 1日2回まで 成人
ロキサチジン 75mg 1日1回まで 15歳~79歳 37.5mg、75mg 1日2回まで 小児/成人

1錠あたりの市場価格は、ファモチジン(約130円)、ラニチジン(約80円)、ニザチジン(約70円)、ロキサチジン(約300円)。

ラニチジンは用量がやや少ないので、ロキサチジンは価格が高いので除外。ファモチジン(ガスター)かニザチジン(アシノン)>で選ぶとよいでしょう。

唾液分泌が少ない方、価格を安くあげたい方、医療用と同用量を服用したい方はニザチジン、水なしで飲める口腔内崩壊錠をお求めならファモチジンかな。効果はそこまで変わらないと思うのでどちらでもお好きな方を(個人的にはニザチジン)。

ガスター10 S錠

ガスター10 S錠 12錠【第1類医薬品】
 参考価格:1,480円

有効成分のファモチジンが胃酸の分泌を抑えて胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき症状を改善します。

医療用医薬品と同一成分ではありますが、医療用では20mgを使うことが多いため、やや弱めの用量となります。しかし10mg分2服用でも十分効果があります。

ガスターのS錠は口腔内崩壊錠で、水なしでも服用することの出来る製剤です。錠剤が飲みこめない方にはお勧めです。また液剤や散剤といった剤形が多いことこのブランドの特徴です。

ファモチジンの医療用と市販薬の比較
比較項目 ガスター10 S錠 ガスターD錠10mg
分類 第1類医薬品 医療用医薬品
含有量 10mg/1錠 10mg/1錠
服用方法 1日2回 1日2回
価格 1706円/12錠 880~1460円/12錠

※価格について
病院(3割負担で初診:約1000円、再診:約420円)、薬局(3割負担で約460円(基準1))で計算。

1割負担の人は断然病院の方がお徳。3割負担負担であれば市販で買うほうが楽かもしれません。

アシノンZ錠

アシノンZ錠 12錠【第1類医薬品】
 参考価格:842円

有効成分のニザチジンが胃酸の分泌を抑えて胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき症状を改善します。

急性胃炎や慢性胃炎に対しては医療用医薬品と同用量での使用できる唯一のH2ブロッカー。加えて値段が安い。

唾液分泌促進作用を適応外処方する場合もあり、そういった副症状(口渇)をお持ちの方にはよいのではないでしょうか。

ニザチジンの医療用と市販薬の比較
比較項目 アシノンZ錠 アシノン錠75mg
分類 第1類医薬品 医療用医薬品
含有量 75mg/1錠 75mg/1錠
服用方法 1日2回 1日2回
価格 842円/12錠 880~1460円/12錠

※価格について
病院(3割負担で初診:約1000円、再診:約420円)、薬局(3割負担で約460円(基準1))で計算。

1割負担の人は断然病院の方がお徳。3割負担で継続的に服用するつもりがないのであれば断然市販品のほうが安いし、手間がかからない。

ストレス性胃痛がある方におすすめの市販薬

”食べ過ぎ飲み過ぎでなく”ストレスで胃痛がひどい方は、H2ブロッカーに加えて頓服(症状が出た時だけの服用)で抗コリン薬配合の市販薬を服用することもできます。

この系統の薬で市販薬として販売されている成分は、チキジウムとロートエキスがあり、弱い胃酸の分泌抑制作用(ロートエキスのみ)と胃腸の運動を抑制(消化を抑制)する効果があるため、食べ過ぎが原因で起こる胃痛には使うべきではありません。また、便秘がちの方が使うと腸の運動が抑制され、便秘症状が悪化する場合があります。

抗コリン薬関連の市販薬をいくつかピックアップ。

スクラルファートとセトラキサートは胃の粘膜を保護する成分で、胃酸による胃の痛みを軽減することが出来ます。

ストパン

ストパン 10カプセル【第2類医薬品】
 参考価格:1,420円

胃痛・腹痛に頓服で使用する薬。

スクラルファート胃腸薬

スクラート胃腸薬 顆粒 12包【第2類医薬品】
 参考価格:1,007円

医療用アルサルミン含有も、抗コリン薬+消化剤の組み合わせがいまいちな気も。下の新センロックのほうがいいか。

新センロック

新センロック 散剤 24包【第2類医薬品】
 参考価格:1,451円

有効成分のセトラキサートが胃の粘膜を保護し、ロートエキスが胃痛や胃酸の分泌を抑え、塩類が胃酸を中和する。

セトラキサート、ロートエキスともに医療用医薬品と同一成分・同用量です。H2ブロッカーであるガスターやアシノンと併用することが可能です。

抗コリン薬特有の副作用(便秘・口渇)が起こることが有ります。15歳未満の小児、緑内障、前立腺肥大の方は使うことができません。

セトラキサートの医療用と市販薬の比較
比較項目 新センロック ノイエルCap200mg
分類 第2類医薬品 医療用医薬品
含有量 200mg/1包 200mg/1Cap
服用方法 1日3回 1日3回
価格 1451円/24包 900~1480円/24錠

※価格について
病院(3割負担で初診:約1000円、再診:約420円)、薬局(3割負担で約480円(基準1))で計算。

1割負担の人は断然病院の方がお徳。3割負担の方は市販薬を選ぶのも手か。

キャベジン

新キャベジンコーワS 18錠【第2類医薬品】
 参考価格:617円

抗コリン+消化剤がいまいち。

ストレス性胃痛・食欲不振等がある方におすすめの市販薬

あなたの症状が機能性ディスペプシアの症状に当てはまり、ヤセ型・冷え気味の方であれば、六君子湯がおすすめです。

ツムラ六君子湯

ツムラ漢方 六君子湯(1043) 24包【第2類医薬品】
 参考価格:2,153円

六君子湯に配合されている8種類(でも八君子湯ではない)の生薬は、血行を改善し、水分代謝を促し、体を温め、体の中から胃腸の働きを改善してくれます。

食欲亢進作用があるとされるグレリンの受容体増加作用と分泌促進作用があり、機能性ディスペプシアのみならず、抗鬱時への食欲不振等にも使われることが多くなってきました。

市販薬は医療用の半分の用量になります。

六君子湯の医療用と市販薬の比較
比較項目 ツムラ六君子湯 ツムラ六君子湯
分類 第2類医薬品 医療用医薬品
含有量 3.75g/2包 7.5g/3包
服用方法 1日2回 1日3回
価格 2345円/24包 1120~1700円/同量換算

※価格について
病院(3割負担で初診:約1000円、再診:約420円)、薬局(3割負担で約700円(基準1))で計算。

漢方の市販薬は高いですね。普通に病院でもらえるのであれば病院で貰いたいところです。お金があれば市販薬でも良いですが・・・。

食べ過ぎで胃もたれの方におすすめの市販薬

単純に食べ過ぎて胃がもたれる人には消化酵素配合の薬がおすすめです。

でんぷん(炭水化物)を分解するアミラーゼ系、タンパク質を分解するプロテアーゼ系、脂肪を分解するリパーゼ系が胃の中で消化されずに残った食物の消化を助けてくれます。(消化酵素一覧

飲み過ぎや脂肪を取り過ぎた時に、胆汁の分泌を促進したり、肝臓を保護したりするウルソデオキシコール酸とかクルクミン(ウコン)を使うという手もあります。市販でもハイウルソやウコンの力が販売されています。作用機序からこの目的での服用はあまり効果が期待できないと思い割愛。

嘔気に関しては唯一トリメブチン含有製剤がやや抑制するというデータを持ちますが、医療用のD2ブロッカーに比べたら気持ち程度のものと考えてよいでしょう。よって気持ちが悪くてしょうがない人に著効する市販薬は現在のところないということになります。医療機関を受診してください。

市販薬を3つピックアップしてその特徴を比べてみます。

ヂアミトンG錠

ヂアトミンG錠 360錠【第3類医薬品】
 参考価格:1,771円

パンクレアチンやその10倍の効果があるとされるプロザイム6を配合、炭水化物・タンパク質・脂肪のすべてを消化でき、市販薬の中でも最も消化能力に優れた薬といえるのではないでしょうか。

その他、整腸剤とビタミン、弱い胃酸中和剤を含有しています。牛豚蛋白アレルギーの方は飲めません。

気持ち悪くはないんだけど、なんか胃がもたれて、お腹の調子も悪くなってきた。とにかく消化を早くさせたいという人はこれ。

ナチュラーゼLX錠

ナチュラーゼ LX錠 360錠【第3類医薬品】
 参考価格:1,666円

消化酵素が糖化菌と少量のビオヂアスターゼで、これも3第栄養素のすべてを消化できる。

消化能力はヂアミトンに劣るものの、パンクレアチンが入ってないために牛豚アレルギーの方でも服用可能、2種類の制酸剤と整腸剤、健胃薬の生薬が配合されて胃腸の機能を全体で助ける感じ。

食べ過ぎて胃もたれ、食欲もなく、やや胃痛もある、そんな人はこれ。

タナベ胃腸薬

タナベ胃腸薬 調律 顆粒 32包【第2類医薬品】
 参考価格:1,317円

主成分のトリメブチンが亢進した胃腸運動を抑制し、抑制された胃腸運動を亢進する(胃腸運動調整作用)にて、消化を助ける。ビオヂアスターゼにリパーゼを配合し、3第栄養素すべての消化をできるようにし、3種の制酸剤が胃酸を中和、ロートエキスが胃酸の分泌をやや抑制する。

トリメブチンを食べ過ぎで使うというのは個人的にどうかなと、かと言ってストレス性の胃炎で使うと消化剤や抗コリン薬を配合するのはどうかなと。目的と効果がいまいちはっきりしない薬。

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記事No1691 題名:Re:TK様 投稿者:管理人tera 投稿日:2021-05-11 17:13:12

はじめまして。
ストレス性胃炎は、胃酸が過剰に出ている状態なので、まずはH2ブロッカー(ガスター)を使用します。それでも痛みが治まらない場合に、抗コリン薬をしようしますが、チメピジウム製品が販売中止になっているため、ブスコパンA錠を使用する感じになるかと思います。


記事No1689 題名:ストレス性胃痛がある方におすすめの市販薬 投稿者:TK 投稿日:2021-05-10 09:13:21

貴重な情報いつもありがたく拝見しています。


新センロックが製造終了となりましたが、現時点でストレス性胃痛がある方におすすめの市販薬を教えていただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。


記事No368 題名:Re:山田様 投稿者:管理人tera 投稿日:2016-10-09 22:13:26

はじめまして。
別ページ(http://kanri.nkdesk.com/otc/kaze.pdf)にある風邪薬で、酸化Mgや水酸化Alの入っていないものであれば、どの胃薬とも問題なく併用可能です。


記事No365 題名:飲み合わせ 投稿者:山田 投稿日:2016-10-08 18:19:14

風邪薬と飲めるのはどれ


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