メトトレキサート

1 用法・用量

薬剤名 規格 適応症 用法・用量
リウマトレックスCap 2mg
  • 関節リウマチ
  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 膿疱性乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 関節症状を伴う若年性特発性関節炎
(若年性特発性関節炎以外)
1週間初回6mg(1週間最大16mg)、12時間間隔
メトジェクト皮下注 7.5mg/10mg/12.5mg/15mg
  • 関節リウマチ
1週間初回7.5mg(1週間最大15mg)、週に一回

2 禁忌or原則禁忌

  • 妊娠中、授乳中(メトジェクトは授乳は禁忌ではないが避けることが望ましい)
  • 骨髄抑制
  • 肝疾患、腎障害
  • 胸水、腹水のある患者

3 その他の注意

通常効果は1~2ヶ月後に得られるので、8週間以上投与しても効果が得られない場合にメトトレキサートとして16mgまで1回2~4mgずつ増量する。(カプセル)

長期間投与で、肝組織の繊維化・硬変が現れる恐れがある。

食道に停留し、崩壊すると食道潰瘍を起こす恐れがあるので、多めの水で服用させ、就寝直前の服用は避けさせること。(カプセル)

4 相互作用

NSAIDs、スルホンアミド、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、フェニトイン、バルビツール、ペニシリン、プロベネシド、レフルノミド、ポルフィマーNa等

5 副作用

皮膚粘膜眼症候群などの初期症状として、紅斑、口内炎を、間質性肺炎の初期症状として発熱、咳、呼吸困難を確認する。

6 薬物動態

Tmaxは1~2時間、T1/2は2.2時間~3.2時間であり、蓄積性はほとんどない。(カプセル)

7 薬効

メトトレキサートは免疫グロブリン産生、赤血球産生抗体、血管新生及び滑膜線維芽細胞の増殖を抑制する。

メトトレキサートは炎症部位への好中球の遊走を in vivo で抑制した。この好中球遊走抑制作用には、メトトレキサートの作用によって線維芽細胞や血管内皮細胞から遊離したアデノシンの好中球に対する細胞接着阻害作用や、強力な好中球遊走活性を有し、リソゾーム酵素の遊離作用も知られているロイコトリエン B4の産生抑制が関与する可能性が考えられる。

サイトカインへの作用として、メトトレキサートはラットのアジュバント関節炎モデルで亢進したマクロファージのインターロイキン-1(IL-1)産生を経口投与で抑制した。17)IL-1 産生の抑制は、臨床的に認められている C-反応性タンパク質等の急性期物質の低下や全身症状の改善に寄与する可性が考えられる。

一方、メトトレキサートは滑膜組織や軟骨組織の破壊に関与するコラゲナーゼ産生を in vitro(ヒト滑膜線維芽細胞)で抑制し、メトトレキサート治療の関節リウマチ患者では滑膜組織中コラゲナーゼ mRNA 発現が抑制された。

以上の諸作用により、メトトレキサートは関節リウマチの滑膜病変を沈静化すると共に全身症状を改善する結果、関節リウマチの活動性を低下させるものと推察される。

メトトレキサートはDHFレダクターゼを阻害することで葉酸→ジヒドロ葉酸がテトラヒドロ葉酸に還元されるのを抑えてDNA合成を阻害する。ピリミジン代謝に拮抗することで効果を示すため、抗癌作用を示すとも言える。

代謝図にあるように葉酸の効果を打ち消してしまうため、葉酸不足に陥り口内炎や、吐き気、下痢等がでることがある。これを抑えるためにメトトレキサートを最後に服用した翌日あるいは翌々日に葉酸剤(フォリアミン等)を服用する。同時に服用すると相殺されるため注意する。

8 具体的な使用方法(カプセル:ガイドラインより)

MTX は原則 , 6~8 mg/ 週で経口投与を開始する.開始時投与量は副作用危険因子や疾患活動性,予後不良因子を考慮して決定する.特に,予後不良因子をもつ非高齢者では,8 mg/ 週で開始することが勧められる。

◇低用量で治療開始が勧められる症例

  • 高齢者
  • 低体重
  • 腎機能低下症例
  • 肺病変を有する例
  • アルコール常飲者
  • NSAID複数内服例

1週間あたりのMTX 投与量を1回または2~3回に分割して,12 時間間隔で1~2日間かけて経口投与する.1週間あたりの全量を1 回投与することも可能であるが,8 mg/ 週を超えて投与するときは,分割投与が望ましい。

MTX 8 mg/ 週を超えて投与する際や副作用リスクが高い高齢者,腎機能軽度低下症例では,葉酸併用投与が強く勧められ。また白血球と血小板値が低い場合は、葉酸を最初から投与。

葉酸欠乏症は、口内炎や、悪心や腹痛をはじめとする胃の障害、肝臓障害、血球産生障害などの副作用を引き起こす。

葉酸製剤は5mg/ 週以下を,MTX 最終投与後24~48 時間後に投与する。葉酸製剤は,通常,フォリアミンを使用するが,重篤な副作用発現時には,活性型葉酸製剤ロイコボリンを使用する。

ロイコポリンは活性型葉酸でDHFRの作用を必要としないのでレスキュー使用される。

MTXを十分量(通常10~12 mg/ 週以上)継続的に使用して,3~6 カ月経過しても治療目標に達しない場合は,従来型合成抗リウマチ薬の併用は選択肢の1 つである。

その場合,MTX との併用により有効性が確認されているブシラミン(BUC=リマチル),サラゾスルファピリジン(SASP=アザルフィジン),イグラチモド(IGU=ケアラム),タクロリムス(TAC=プログラフ)を推奨する。

MTX 効果不十分例に対して分子標的型合成抗リウマチ薬併用は選択肢になりうる。

腎排泄のため、eGFRが60に相当する腎機能を有する患者に使用(30以下は禁忌)。併用禁忌はないが、併用注意のNSAIDsといった腎臓の血流を悪くする薬剤は注意。

定期的に血液検査、尿検査、レントゲンを行うのは間質性肺炎等の早期発見のため

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