訪問介護と介護予防訪問介護

訪問介護と介護予防訪問介護の定義(介護保険法第8条第1項、第2項介護保険法施行規則第4条、第5条)

この法律において「居宅サービス」とは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売をいい、「居宅サービス事業」とは、居宅サービスを行う事業をいう。

「訪問介護」とは、要介護者であって、居宅(軽費老人ホーム有料老人ホーム、その他の厚生労働省令で定める施設における居室を含む。)において介護を受けるものについて、その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの(夜間対応型訪問介護に該当するものを除く。)をいう。

法第八条第二項 の厚生労働省令で定める施設は、老人福祉法 (昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の四 に規定する養護老人ホーム(以下「養護老人ホーム」という。)、同法第二十条の六 に規定する軽費老人ホーム(以下「軽費老人ホーム」という。)及び同法第二十九条第一項 に規定する有料老人ホーム(以下「有料老人ホーム」という。)とする。

法第八条第二項 の厚生労働省令で定める日常生活上の世話は、入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事(居宅要介護者(同項 に規定する居宅要介護者をいう。以下同じ。)が単身の世帯に属するため又はその同居している家族等の障害、疾病等のため、これらの者が自ら行うことが困難な家事であって、居宅要介護者の日常生活上必要なものとする。第十七条の二及び第十七条の五において同じ。)、生活等に関する相談及び助言その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話とする。

2012年の介護報酬改定で複合サービス等との兼ね合いからか、夜間・深夜・早朝(午後6時から午前8時まで)と一定の条件(要介護3~5など)を満たす日中(午前8時から午後6時まで)に行われる場合に、20分未満の時間区分を選択できるようになった。

身体介護 入浴、起床・就寝、排泄、介助の準備食事、介助の後始末、衣服の着脱、相談・助言
生活介護 掃除、洗濯、調理
対象外 利用者の家族の援助、草むしり、来客の応接、家具の移動、ペットの散歩、大掃除等

訪問介護の申請(介護保険法施行規則第114条)

法第七十条第一項 の規定に基づき訪問介護に係る指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書又は書類を、当該指定に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。

  • 一  事業所(当該事業所の所在地以外の場所に当該事業所の一部として使用される事務所を有するときは、当該事務所を含む。)の名称及び所在地
  • 二  申請者の名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名、生年月日、住所及び職名
  • 三  当該申請に係る事業の開始の予定年月日
  • 四  申請者の定款、寄附行為等及びその登記事項証明書又は条例等
  • 五  事業所の平面図
  • 五の二  利用者の推定数
  • 六  事業所の管理者及びサービス提供責任者の氏名、生年月日、住所及び経歴
  • 七  運営規程
  • 八  利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  • 九  当該申請に係る事業に係る従業者の勤務の体制及び勤務形態
  • 十  当該申請に係る事業に係る資産の状況
  • 十一  当該申請に係る事業に係る居宅介護サービス費の請求に関する事項
  • 十二  法第七十条第二項 各号(病院等により行われる居宅療養管理指導又は病院若しくは診療所により行われる訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション若しくは短期入所療養介護に係る指定の申請にあっては第六号の二、第六号の三、第十号の二及び第十二号を除く。)(法第七十条の二第四項 において準用する場合を含む。)に該当しないことを誓約する書面(以下この節において「誓約書」という。)
  • 十三  役員の氏名、生年月日及び住所
  • 十四  その他指定に関し必要と認める事項

2  前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、当該指定を受けようとする者が法第百十五条の二第一項 の規定に基づき介護予防訪問介護に係る指定介護予防サービス事業者の指定を受けている場合において、既に当該都道府県知事に提出している前項第四号から第十号までに掲げる事項に変更がないときは、これらの事項に係る申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる。

3  法第七十条の二第一項 の規定に基づき訪問介護に係る指定居宅サービス事業者の指定の更新を受けようとする者は、第一項各号(第三号及び第十二号を除く。)に掲げる事項及び次に掲げる事項を記載した申請書又は書類を、当該指定に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。

  • 一  現に受けている指定の有効期間満了日
  • 二  誓約書

4  前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、当該申請に係る事業者が既に当該都道府県知事に提出している第一項第四号から第十号までに掲げる事項に変更がないときは、これらの事項に係る申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる。

訪問介護の人員、設備、運営(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第2~43条

第二条 (定義)

  • 一  居宅サービス事業者 法第八条第一項に規定する居宅サービス事業を行う者をいう。
  • 二~七 略

第三条(指定居宅サービスの事業の一般原則)

指定居宅サービス事業者は、利用者の意思及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供に努めなければならない。

2  指定居宅サービス事業者は、指定居宅サービスの事業を運営するに当たっては、地域との結び付きを重視し、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、他の居宅サービス事業者その他の保健医療サービス及び福祉サービスを提供する者との連携に努めなければならない。

指定居宅サービスに該当する訪問介護(以下「指定訪問介護」という。)の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、入浴、排せつ、食事の介護その他の生活全般にわたる援助を行うものでなければならない。

第四条(基本方針)  

指定居宅サービスに該当する訪問介護(以下「指定訪問介護」という。)の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、入浴、排せつ、食事の介護その他の生活全般にわたる援助を行うものでなければならない。

第五条(訪問介護員等の員数)  

指定訪問介護の事業を行う者(以下「指定訪問介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第八条第二項 に規定する政令で定める者をいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする。

2  指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、常勤の訪問介護員等のうち、利用者(当該指定訪問介護事業者が指定介護予防訪問介護事業者(指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準 (平成十八年厚生労働省令第三十五号。以下「指定介護予防サービス等基準」という。)第五条第一項 に規定する指定介護予防訪問介護事業者をいう。以下同じ。)の指定を併せて受け、かつ、指定訪問介護の事業と指定介護予防訪問介護(指定介護予防サービス等基準第四条 に規定する指定介護予防訪問介護をいう。以下同じ。)の事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合にあっては、当該事業所における指定訪問介護及び指定介護予防訪問介護の利用者。以下この条において同じ。)の数が四十又はその端数を増すごとに一人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。この場合において、当該サービス提供責任者の員数については、利用者の数に応じて常勤換算方法によることができる。

3  前項の利用者の数は、前三月の平均値とする。ただし、新規に指定を受ける場合は、推定数による。

4  第二項のサービス提供責任者は介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者であって、専ら指定訪問介護に従事するものをもって充てなければならない。ただし、利用者に対する指定訪問介護の提供に支障がない場合は、同一敷地内にある指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 (平成十八年厚生労働省令第三十四号。以下「指定地域密着型サービス基準」という。)第三条の四第一項 に規定する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所をいう。以下同じ。)又は指定夜間対応型訪問介護事業所(指定地域密着型サービス基準第六条第一項 に規定する指定夜間対応型訪問介護事業所をいう。)に従事することができる。

5  指定訪問介護事業者が指定介護予防訪問介護事業者の指定を併せて受け、かつ、指定訪問介護の事業と指定介護予防訪問介護の事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合については、指定介護予防サービス等基準第五条第一項 から第四項 までに規定する人員に関する基準を満たすことをもって、前各項に規定する基準を満たしているものとみなすことができる。

第六条(管理者)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問介護事業所の管理上支障がない場合は、当該指定訪問介護事業所の他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。

第七条(設備及び備品等)  

指定訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けるほか、指定訪問介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。

2  指定訪問介護事業者が指定介護予防訪問介護事業者の指定を併せて受け、かつ、指定訪問介護の事業と指定介護予防訪問介護の事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合については、指定介護予防サービス等基準第七条第一項 に規定する設備に関する基準を満たすことをもって、前項に規定する基準を満たしているものとみなすことができる。

第八条(内容及び手続の説明及び同意)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、第二十九条に規定する運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない。

2  指定訪問介護事業者は、利用申込者又はその家族からの申出があった場合には、前項の規定による文書の交付に代えて、第五項で定めるところにより、当該利用申込者又はその家族の承諾を得て、当該文書に記すべき重要事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により提供することができる。この場合において、当該指定訪問介護事業者は、当該文書を交付したものとみなす。

  • 一  電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
    • イ 指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機と利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
    • ロ 指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項に規定する重要事項を電気通信回線を通じて利用申込者又はその家族の閲覧に供し、当該利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該重要事項を記録する方法(電磁的方法による提供を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
  • 二  磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項に規定する重要事項を記録したものを交付する方法

3  前項に掲げる方法は、利用申込者又はその家族がファイルへの記録を出力することによる文書を作成することができるものでなければならない。

4  第二項第一号の「電子情報処理組織」とは、指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機と、利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

5  指定訪問介護事業者は、第二項の規定により第一項に規定する重要事項を提供しようとするときは、あらかじめ、当該利用申込者又はその家族に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得なければならない。

  • 一  第二項各号に規定する方法のうち指定訪問介護事業者が使用するもの
  • 二  ファイルへの記録の方式

6  前項の規定による承諾を得た指定訪問介護事業者は、当該利用申込者又はその家族から文書又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該利用申込者又はその家族に対し、第一項に規定する重要事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該利用申込者又はその家族が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

第九条(提供拒否の禁止)

指定訪問介護事業者は、正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではならない。

第十条(サービス提供困難時の対応)  

指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の通常の事業の実施地域(当該事業所が通常時に当該サービスを提供する地域をいう。以下同じ。)等を勘案し、利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難であると認めた場合は、当該利用申込者に係る居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならない。

第十一条(受給資格等の確認)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供を求められた場合は、その者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめるものとする。

2  指定訪問介護事業者は、前項の被保険者証に、法第七十三条第二項 に規定する認定審査会意見が記載されているときは、当該認定審査会意見に配慮して、指定訪問介護を提供するように努めなければならない。

第十二条(要介護認定の申請に係る援助)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、要介護認定を受けていない利用申込者については、要介護認定の申請が既に行われているかどうかを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意思を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)が利用者に対して行われていない等の場合であって必要と認めるときは、要介護認定の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要介護認定の有効期間が終了する三十日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならない。

第十三条(心身の状況等の把握)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供に当たっては、利用者に係る居宅介護支援事業者が開催するサービス担当者会議(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 (平成十一年厚生省令第三十八号)第十三条第九号 に規定するサービス担当者会議をいう。以下同じ。)等を通じて、利用者の心身の状況、その置かれている環境、他の保健医療サービス又は福祉サービスの利用状況等の把握に努めなければならない。

第十四条(居宅介護支援事業者等との連携)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供するに当たっては、居宅介護支援事業者その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の終了に際しては、利用者又はその家族に対して適切な指導を行うとともに、当該利用者に係る居宅介護支援事業者に対する情報の提供及び保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

第十五条(法定代理受領サービスの提供を受けるための援助)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、利用申込者が介護保険法施行規則 (平成十一年厚生省令第三十六号。以下「施行規則」という。)第六十四条 各号のいずれにも該当しないときは、当該利用申込者又はその家族に対し、居宅サービス計画の作成を居宅介護支援事業者に依頼する旨を市町村に対して届け出ること等により、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けることができる旨を説明すること、居宅介護支援事業者に関する情報を提供することその他の法定代理受領サービスを行うために必要な援助を行わなければならない。

第十六条(居宅サービス計画に沿ったサービスの提供)  

指定訪問介護事業者は、居宅サービス計画(施行規則第六十四条第一号 ハ及びニに規定する計画を含む。以下同じ。)が作成されている場合は、当該計画に沿った指定訪問介護を提供しなければならない。

第十七条(居宅サービス計画等の変更の援助)  

指定訪問介護事業者は、利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合は、当該利用者に係る居宅介護支援事業者への連絡その他の必要な援助を行わなければならない。

第十八条(身分を証する書類の携行)  

指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に身分を証する書類を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならない。

第十九条(サービスの提供の記録)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日及び内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項 の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載しなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。

第二十条(利用料等の受領)  

指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当する指定訪問介護を提供した際には、その利用者から利用料の一部として、当該指定訪問介護に係る居宅介護サービス費用基準額から当該指定訪問介護事業者に支払われる居宅介護サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする。

2  指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当しない指定訪問介護を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額と、指定訪問介護に係る居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならない。

3  指定訪問介護事業者は、前二項の支払を受ける額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問介護を行う場合は、それに要した交通費の額の支払を利用者から受けることができる。

4  指定訪問介護事業者は、前項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、利用者の同意を得なければならない。

第二十一条(保険給付の請求のための証明書の交付)  

指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当しない指定訪問介護に係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定訪問介護の内容、費用の額その他必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に対して交付しなければならない。

第二十二条(指定訪問介護の基本取扱方針)  

指定訪問介護は、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その目標を設定し、計画的に行われなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、自らその提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。

第二十三条(指定訪問介護の具体的取扱方針)  

訪問介護員等の行う指定訪問介護の方針は、次に掲げるところによるものとする。

  • 一  指定訪問介護の提供に当たっては、次条第一項に規定する訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行う。
  • 二  指定訪問介護の提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又はその家族に対し、サービスの提供方法等について、理解しやすいように説明を行う。
  • 三  指定訪問介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術をもってサービスの提供を行う。
  • 四  常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、利用者又はその家族に対し、適切な相談及び助言を行う。

第二十四条(訪問介護計画の作成)  

サービス提供責任者(第五条第二項に規定するサービス提供責任者をいう。以下この条及び第二十八条において同じ。)は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した訪問介護計画を作成しなければならない。

2  訪問介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければならない。

3  サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。

4  サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成した際には、当該訪問介護計画を利用者に交付しなければならない。

5  サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成後、当該訪問介護計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて当該訪問介護計画の変更を行うものとする。

6  第一項から第四項までの規定は、前項に規定する訪問介護計画の変更について準用する。

第二十五条(同居家族に対するサービス提供の禁止)  

指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に、その同居の家族である利用者に対する訪問介護の提供をさせてはならない。

第二十六条(利用者に関する市町村への通知)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を受けている利用者が次の各号のいずれかに該当する場合は、遅滞なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければならない。

  • 一  正当な理由なしに指定訪問介護の利用に関する指示に従わないことにより、要介護状態の程度を増進させたと認められるとき。
  • 二  偽りその他不正な行為によって保険給付を受け、又は受けようとしたとき。

第二十七条(緊急時等の対応)  

訪問介護員等は、現に指定訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならない。

第二十八条(管理者及びサービス提供責任者の責務)  

指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者及び業務の管理を、一元的に行わなければならない。

2  指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。

3  サービス提供責任者は、第二十四条に規定する業務のほか、次の各号に掲げる業務を行うものとする。

  • 一  指定訪問介護の利用の申込みに係る調整をすること。
  • 二  利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること。
  • 三  サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者等と連携を図ること。
  • 四  訪問介護員等(サービス提供責任者を除く。以下この条において同じ。)に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。
  • 五  訪問介護員等の業務の実施状況を把握すること。
  • 六  訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施すること。
  • 七  訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施すること。
  • 八  その他サービス内容の管理について必要な業務を実施すること。

第二十九条(運営規程)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下この章において「運営規程」という。)を定めておかなければならない。

  • 一  事業の目的及び運営の方針
  • 二  従業者の職種、員数及び職務の内容
  • 三  営業日及び営業時間
  • 四  指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額
  • 五  通常の事業の実施地域
  • 六  緊急時等における対応方法
  • 七  その他運営に関する重要事項

第二十九条の二(介護等の総合的な提供)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の事業の運営に当たっては、入浴、排せつ、食事等の介護又は調理、洗濯、掃除等の家事(以下この条において「介護等」という。)を常に総合的に提供するものとし、介護等のうち特定の援助に偏することがあってはならない。

第三十条(勤務体制の確保等)  

ない。

2  指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等によって指定訪問介護を提供しなければならない。

3  指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。

第三十一条(衛生管理等)  

指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行わなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所の設備及び備品等について、衛生的な管理に努めなければならない。 

第三十二条(掲示)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければならない。

第三十三条(秘密保持等)  

指定訪問介護事業所の従業者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

2  指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の従業者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

3  指定訪問介護事業者は、サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。

第三十四条(広告)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所について広告をする場合においては、その内容が虚偽又は誇大なものであってはならない。

第三十五条(居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止)  

指定訪問介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない。

第三十六条(苦情処理)  

指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に係る利用者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。

3  指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に関し、法第二十三条 の規定により市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、及び利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

4  指定訪問介護事業者は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。

5  指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に係る利用者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会(国民健康保険法 (昭和三十三年法律第百九十二号)第四十五条第五項 に規定する国民健康保険団体連合会をいう。以下同じ。)が行う法第百七十六条第一項第三号 の調査に協力するとともに、国民健康保険団体連合会から同号 の指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

6  指定訪問介護事業者は、国民健康保険団体連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。

第三十六条の二(地域との連携)  

指定訪問介護事業者は、その事業の運営に当たっては、提供した指定訪問介護に関する利用者からの苦情に関して市町村等が派遣する者が相談及び援助を行う事業その他の市町村が実施する事業に協力するよう努めなければならない。

第三十七条(事故発生時の対応)  

指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。

3  指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。

第三十八条(会計の区分)  

指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。

第三十九条(記録の整備)  

指定訪問介護事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。

2  指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。

  • 一  訪問介護計画
  • 二  第十九条第二項に規定する提供した具体的なサービスの内容等の記録
  • 三  第二十六条に規定する市町村への通知に係る記録
  • 四  第三十六条第二項に規定する苦情の内容等の記録
  • 五  第三十七条第二項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

第四十条(訪問介護員等の員数)  

基準該当居宅サービスに該当する訪問介護又はこれに相当するサービス(以下「基準該当訪問介護」という。)の事業を行う者(以下「基準該当訪問介護事業者」という。)が、当該事業を行う事業所(以下「基準該当訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(基準該当訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第八条第二項 に規定する政令で定める者をいう。以下この節において同じ。)の員数は、三人以上とする。

2  基準該当訪問介護事業者は、基準該当訪問介護事業所ごとに、訪問介護員等のうち一人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。

3  基準該当訪問介護の事業と基準該当介護予防訪問介護(指定介護予防サービス等基準第四十一条第一項 に規定する基準該当介護予防訪問介護をいう。以下同じ。)の事業とが、同一の事業者により同一の事業所において一体的に運営されている場合については、同項 及び同条第二項 に規定する人員に関する基準を満たすことをもって、前二項に規定する基準を満たしているものとみなすことができる。

第四十一条(管理者)  

基準該当訪問介護事業者は、基準該当訪問介護事業所ごとに専らその職務に従事する管理者を置かなければならない。ただし、基準該当訪問介護事業所の管理上支障がない場合は、当該基準該当訪問介護事業所の他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。

第四十二条(設備及び備品等)  

基準該当訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な広さの区画を設けるほか、基準該当訪問介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。

2  基準該当訪問介護の事業と基準該当介護予防訪問介護の事業とが、同一の事業者により同一の事業所において一体的に運営される場合については、指定介護予防サービス等基準第四十三条第一項 に規定する設備に関する基準を満たすことをもって、前項に規定する基準を満たしているものとみなすことができる。

第四十二条の二(同居家族に対するサービス提供の制限)  

基準該当訪問介護事業者は、訪問介護員等に、その同居の家族である利用者に対する訪問介護の提供をさせてはならない。ただし、同居の家族である利用者に対する訪問介護が次のいずれにも該当する場合には、この限りでない。

  • 一  当該訪問介護の利用者が、離島、山間のへき地その他の地域であって、指定訪問介護のみによっては必要な訪問介護の見込量を確保することが困難であると市町村が認めるものに住所を有する場合
  • 二  当該訪問介護が、法第四十六条第一項 に規定する指定居宅介護支援事業者又は法第四十七条第一項第一号 に規定する基準該当居宅介護支援の事業を行う者の作成する居宅サービス計画に基づいて提供される場合
  • 三  当該訪問介護が、第四十条第二項に規定するサービス提供責任者の行う具体的な指示に基づいて提供される場合
  • 四  当該訪問介護が、入浴、排せつ、食事等の介護をその主たる内容とする場合
  • 五  当該訪問介護を提供する訪問介護員等の当該訪問介護に従事する時間の合計時間が、当該訪問介護員等が訪問介護に従事する時間の合計時間のおおむね二分の一を超えない場合

2  基準該当訪問介護事業者は、前項ただし書の規定に基づき、訪問介護員等にその同居の家族である利用者に対する基準該当訪問介護の提供をさせる場合において、当該利用者の意向や当該利用者に係る第四十三条において準用する第二十四条第一項の訪問介護計画の実施状況等からみて、当該基準該当訪問介護が適切に提供されていないと認めるときは、当該訪問介護員等に対し適切な指導を行う等の必要な措置を講じなければならない。

第四十三条(準用)  

第一節及び第四節(第十五条、第二十条第一項、第二十五条、第二十九条の二並びに第三十六条第五項及び第六項を除く。)の規定は、基準該当訪問介護の事業について準用する。この場合において、第十九条中「内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項 の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額」とあるのは「内容」と、第二十条第二項及び第二十一条中「法定代理受領サービスに該当しない指定訪問介護」とあるのは「基準該当訪問介護」と、第二十条第三項中「前二項」とあるのは「前項」と、第二十四条第一項中「第五条第二項」とあるのは「第四十条第二項」と、「第二十八条」とあるのは「第四十三条において準用する第二十八条」と読み替えるものとする。

訪問介護の人員、設備、運営の留意事項(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について

(1) 「身体介護」及び「生活援助」の意義について

注2の「身体介護」とは、利用者の身体に直接接触して行う介助並びにこれを行うために必要な準備及び後始末並びに利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援助であり、一人の利用者に対して訪問介護員等が一対一で行うものをいう。(特別な事情により複数の利用者に対して行う場合は、一回の身体介護の所要時間を一回の利用者の人数で除した結果の利用者一人当たりの所要時間が?にいう要件を満たすこと。)その具体例としては、例えば、「食事介助」の場合には、食事摂取のための介助のみならず、そのための一連の行為(例:声かけ・説明→訪問介助護員等自身の手洗等→利用者の手拭き、エプロンがけ等の準備→食事姿勢の確保→配膳→おかずをきざむ、つぶす等→摂食介助→食後安楽な姿勢に戻す→気分の確認→食べこぼしの処理→エプロン・タオルなどの後始末・下膳など)が該当するものであり、具体的な運用に当たっては、利用者の自立支援に資する観点からサービスの実態を踏まえた取扱いとすること。(具体的な取扱いは「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成十二年三月十七日老計第十号)を参照すること。)

また、「利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援助」とは、利用者の日常生活動作能力などの向上のために利用者の日常生活動作を見守りながら行う手助けや介助に合わせて行う専門的な相談助言を言うこと。

なお、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)の規定に基づく、自らの事業又はその一環として、たんの吸引等(口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養又は経鼻経管栄養をいう。以下同じ。)の業務を行うための登録を受けている事業所が、指定訪問介護として行うたんの吸引等に係る報酬上の区分については「身体介護」として取り扱うこと。

注3の「生活援助」とは、身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助とされたが、次のような行為は生活援助の内容に含まれないものであるので留意すること。(具体的な取扱いは「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成十二年十一月十六日老振第七十六号)を参照すること。)

  • ① 商品の販売や農作業等生業の援助的な行為
  • ② 直接本人の援助に該当しない行為
    ・主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行為
  • ③ 日常生活の援助に該当しない行為
    ・訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為
    ・日常的に行われる家事の範囲を超える行為

(2) 訪問介護の区分

訪問介護の区分については身体介護が中心である場合(以下「身体介護中心型」という。)、生活援助が中心である場合(以下「生活援助中心型」という。)の二区分とされたが、これらの型の適用に当たっては、一回の訪問介護において「身体介護」と「生活援助」が混在するような場合について、全体としていずれかの型の単位数を算定するのではなく、「身体介護」に該当する行為がどの程度含まれるかを基準に、「身体介護」と「生活援助」を組み合わせて算定することとする(?に詳述)。この場合、身体介護のサービス行為の一連の流れを細かく区分しないよう留意すること。例えば、「食事介助」のサービス行為の一連の流れに配下膳が含まれている場合に、当該配下膳の行為だけをもってして「生活援助」の一つの単独行為として取り扱わない。いずれの型の単位数を算定するかを判断する際は、まず、身体介護に要する一般的な時間や内容からみて、身体介護を構成する個々の行為を

  • ① 比較的手間のかからない体位変換、移動介助、移乗介助、起床介助(寝床から起こす介助)、就寝介助(寝床に寝かす介助)等の「動作介護」
  • ② ある程度手間のかかる排泄介助、部分清拭、部分浴介助、整容介助、更衣介助等の「身の回り介護」
  • ③ さらに長い時間で手間のかかる食事介助、全身清拭、全身浴介助等の「生活介護」に大きく分類することとし、その上で、次の考え方を基本に、訪問介護事業者は、居宅サービス計画作成時点において、利用者が選択した居宅介護支援事業者と十分連携を図りながら、利用者の心身の状況、意向等を踏まえ、適切な型が適用されるよう留意するとともに、訪問介護計画の作成の際に、利用者又はその家族等への説明を十分に行い、その同意の上、いずれの型かを確定するものであること。
  • ① 身体介護中心型の所定単位数が算定される場合
    ・専ら身体介護を行う場合
    ・主として「生活介護」や「身の回り介護」を行うとともに、これに関連して若干の生活援助を行う場合
    (例)簡単な調理の後(五分程度)、食事介助を行う(五十分程度)場合(所要時間三十分以上一時間未満の身体介護中心型)。
  • ② 生活援助中心型の所定単位数が算定される場合
    ・専ら生活援助を行う場合
    ・生活援助に伴い若干の「動作介護」を行う場合
    (例)利用者の居室から居間までの移動介助を行った後(五分程度)、居室の掃除(三十五分程度)を行う場合(所要時間二十分以上四十五分未満の生活援助中心型)。
    なお、訪問介護の内容が単なる本人の安否確認や健康チェックであり、それに伴い若干の身体介護又は生活援助を行う場合には、訪問介護費は算定できない。

(3) 一回の訪問介護において身体介護及び生活援助が混在する場合の取扱い

一回の訪問において身体介護及び生活援助が混在する訪問介護を行う必要がある場合は、居宅サービス計画や訪問介護計画の作成に当たって、適切なアセスメントにより、あらかじめ具体的なサービス内容を「身体介護」と「生活援助」に区分してそれに要する標準的な時間に基づき、「身体介護」と「生活援助」を組み合わせて算定することとする。なお、身体介護中心型の単位数に生活援助が二十分以上で七十単位、四十五分以上で百四十単位、七十分以上で二百十単位を加算する方式となるが、一回の訪問介護の全体時間のうち「身体介護」及び「生活援助」の所要時間に基づき判断するため、実際のサービスの提供は身体介護中心型の後に引き続き生活援助中心型を行う場合に限らず、例えば、生活援助の後に引き続き身体介護を行ってもよい。

(例)寝たきりの利用者の体位変換を行いながら、ベッドを整え、体を支えながら水差しで水分補給を行い、安楽な姿勢をとってもらった後、居室の掃除を行う場合。

〔具体的な取扱い〕「身体介護」に該当する行為がどの程度含まれるかを基準に以下のいずれかの組み合わせを算定

  • 身体介護中心型20分以上30分未満(254単位)+生活援助加算45分(140単位)
  • 身体介護中心型30分以上1時間未満(402単位)+生活援助加算20分(70単位)

なお、二十分未満の身体介護に引き続き生活援助を行う場合は、引き続き行われる生活援助の単位数の加算を行うことはできない(緊急時訪問介護加算を算定する場合を除く。)。

(4) 訪問介護の所要時間

  • ① 訪問介護の所要時間については、実際に行われた指定訪問介護の時間ではなく、訪問介護計画において位置付けられた内容の指定訪問介護を行うのに要する標準的な時間とすること。
  • ② 訪問介護の報酬については、①により算出された指定訪問介護を行うのに要する標準的な時間が、いずれの時間区分に該当 するかをもって決定されるものである。訪問介護の所要時間は、介護支援専門員やサービス提供責任者が行う適切なアセスメント及びマネジメントにより、利用者の意向や状態像に従い設定されるべきものであることを踏まえ、訪問介護計画の作成時には硬直的な運用にならないよう十分に留意し、利用者にとって真に必要なサービスが必要に応じて提供されるよう配慮すること。
  • ③ 訪問介護は在宅の要介護者の生活パターンに合わせて提供されるべきであることから、単に一回の長時間の訪問介護を複数回に区分して行うことは適切ではない。したがって、前回提供した指定訪問介護から概ね二時間未満の間隔で指定訪問介護が行われた場合には、それぞれの所要時間を合算するものとする。 なお、この取扱いについては、所要時間が訪問介護費の算定要件を満たす指定訪問介護(二十分未満の身体介護中心型を算定する場合及び緊急時訪問介護加算を算定する場合を除く。)に限り適用されるものとする。
  • ④ 所要時間が訪問介護費の算定要件を満たさない指定訪問介護(身体介護中心型の所要時間が二十分未満(日中に行われる(5)の①から④のいずれかに該当しない指定訪問介護であって、緊急時訪問介護加算が算定されないものに限る。)又は生活援助中心型の所要時間が二十分未満の場合)については、訪問介護費の算定対象とならないが、こうした所定時間数未満の訪問介護であっても、複数回にわたる訪問介護を一連のサービス行為とみなすことが可能な場合に限り、それぞれの訪問介護の所要時間を合計して一回の訪問介護として算定できる。例えば、午前に訪問介護員等が診察券を窓口に提出し(所要時間二十分未満)、昼に通院介助を行い、午後に薬を受け取りに行く(所要時間二十分未満)とした場合には、それぞれの所要時間は二十分未満であるため、それぞれを生活援助(所要時間二十分以上四十五分未満)として算定できないが、一連のサービス行為(通院介助)とみなして所要時間を合計し、一回の訪問介護(身体介護中心型に引き続き生活援助を行う場合)として算定できる。
  • ⑤ 訪問介護計画に位置付けられた訪問介護の内容が、単なる本人の安否確認や健康チェックであり、それに伴い若干の身体介護又は生活援助を行う場合には、④の規定にかかわらず、訪問介護費は算定できないものとする。
  • ⑥ 一人の利用者に対して複数の訪問介護員等が交代して訪問介護を行った場合も、一回の訪問介護としてその合計の所要時間に応じた所定単位数を算定する。訪問介護員等ごとに複数回の訪問介護として算定することはできない。

(5) 二十分未満の身体介護の算定について

所要時間二十分未満の身体介護中心型の算定については、夜間、深夜及び早朝の時間帯に提供される指定訪問介護(注9に該当するものをいう。具体的な取扱いは?を参照されたい。)の場合又は日中の時間帯において提供される指定訪問介護のうち、次の各号に掲げるいずれにも該当する場合に限ること。

  • ① 要介護三、要介護四及び要介護五の利用者であって、「「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」の活用について」(平成三年十一月十八日老健百二-二号厚生省大臣官房老人保健福祉部長通知)におけるランクB以上に該当するものに対して提供される指定訪問介護であること。この場合、当該自立度の取扱いについては、第二の1の?に定める「認知症高齢者の日常生活自立度」の取扱いに準じること。
  • ② ①の要件を満たす利用者を担当する介護支援専門員が開催するサービス担当者会議において、一週間のうち五日以上の二十分未満の身体介護の提供が必要と判断されたものに対して提供される指定訪問介護であること。この場合、当該サービス担当者会議については、当該指定訪問介護の提供日の属する月の前三月の間に一度以上開催され、かつ、サービス提供責任者が参加していなければならないこと。なお、一週間のうち五日以上の日の計算に当たっては、日中の時間帯のサービスのみに限らず、夜間、深夜及び早朝の時間帯のサービスも含めて差し支えないこと。
  • ③ 当該指定訪問介護を提供する指定訪問介護事業所は、営業日として毎日を、営業時間として最低でも午前六時から午後十時までの時間帯を含む時間帯を運営規程において定めており、かつ、二十四時間体制で、利用者又はその家族等から電話等による連絡に常時対応できる体制にあるものでなければならない。 また、利用者又はその家族等からの連絡に対応する職員は、営業時間中においては当該事業所の職員が一以上配置されていなければならないが、当該職員が利用者からの連絡に対応できる体制を確保している場合は、利用者に指定訪問介護を提供することも差し支えない。また、営業時間以外の時間帯については、併設する事業所等の職員又は自宅待機中の当該指定訪問介護事業所の職員であって差し支えない。
  • ④ 当該指定訪問介護を提供する指定訪問介護事業所は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と一体的に運営しているもの又は指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の指定を併せて受ける計画を策定しているものでなければならないこと。
  • ⑤ ③及び④の事項については届出を要することとされており、日中における二十分未満の身体介護中心型の算定を開始する始期については、第一の1の(5)の取扱いに準じること。①から⑤までに掲げる要件については、日中の時間帯に提供される二十分未満の身体介護中心型を算定する場合に適用されるものであり、夜間、深夜及び早朝については、全ての指定訪問介護事業所において二十分未満の身体介護中心型の単位を算定できることに留意すること。 なお、二十分未満の身体介護中心型については、下限となる所要時間を定めてはいないが、本時間区分により提供されるサービスについては、排泄介助、体位交換、服薬介助、起床介助、就寝介助等といった利用者の生活にとって定期的に必要な短時間の身体介護を想定しており、訪問介護の内容が単なる本人の安否確認や健康チェックであり、それに伴い若干の身体介護を行う場合には、算定できないものであること。 また、いずれの時間帯においても二十分未満の身体介護中心型の単位を算定する場合、引き続き生活援助を行うことは認められない(緊急時訪問介護加算を算定する場合を除く。)ことに留意すること。

(6) 「生活援助中心型」の単位を算定する場合

注3において「生活援助中心型」の単位を算定することができる場合として「利用者が一人暮らしであるか又は家族等が障害、疾病等のため、利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合」とされたが、これは、障害、疾病のほか、障害、疾病がない場合であっても、同様のやむを得ない事情により、家事が困難な場合をいうものであること。

なお、居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合には、居宅サービス計画書に生活援助中心型の算定理由その他やむを得ない事情の内容について記載するとともに、生活全般の解決すべき課題に対応して、その解決に必要であって最適なサービスの内容とその方針を明確に記載する必要がある。

(7) 「通院等乗降介助」の単位を算定する場合

  • ① 指定訪問介護事業者が注4の「通院等乗降介助」を行う場合には、当該所定単位数を算定することとし、「身体介護中心型」の所定単位数は算定できない。当該所定単位数を算定するに当たっては、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)等他の法令等に抵触しないよう留意すること。なお、移送行為そのものすなわち運転時間中は当該所定単位数の算定対象ではなく、移送に係る経費(運賃)は、引き続き、評価しない。
  • ② 注4において「通院等乗降介助」の単位を算定することができる場合、片道につき所定単位数を算定する。よって、乗車と降車のそれぞれについて区分して算定することはできない。
  • ③ 複数の要介護者に「通院等乗降介助」を行った場合であって、乗降時に一人の利用者に対して一対一で行う場合には、それぞれ算定できる。なお、効率的なサービス提供の観点から移送時間を極小化すること。
  • ④ 利用目的について、「通院等のため」とは、「身体介護中心型」としての通院・外出介助と同じものである。
  • ⑤ サービス行為について、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助」とは、それぞれ具体的に介助する行為を要することとする。例えば、利用者の日常生活動作能力などの向上のために、移動時、転倒しないように側について歩き、介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る場合は算定対象となる が、乗降時に車両内から見守るのみでは算定対象とならない。 また、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」に加えて、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」を行うか、又は、「通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助」を行う場合に算定対象となるものであり、これらの移動等の介助又は受診等の手続きを行わない場合には算定対象とならない。
  • ⑥ 「通院等乗降介助」は、「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助」を一連のサービス行為として含むものであり、それぞれの行為によって細かく区分し、「通院等乗降介助」又は「身体介護中心型」として算定できない。例えば、通院等に伴いこれに関連して行われる、居室内での「声かけ・説明」・「目的地(病院等)に行くための準備」や通院先での「院内の移動等の介助」は、「通院等乗降介助」に含まれるものであり、別に「身体介護中心型」として算定できない。 なお、一人の利用者に対して複数の訪問介護員等が交代して「通院等乗降介助」を行った場合も、一回の「通院等乗降介助」として算定し、訪問介護員等ごとに細かく区分して算定できない。
  • ⑦ 「通院等乗降介助」の単位を算定するに当たっては、適切なアセスメントを通じて、生活全般の解決すべき課題に対応した様々なサービス内容の一つとして、総合的な援助の一環としてあらかじめ居宅サービス計画に位置付けられている必要があり、 居宅サービス計画において、
    • ア通院等に必要であることその他車両への乗降が必要な理由
    • イ利用者の心身の状況から乗降時の介助行為を要すると判断した旨
    • ウ総合的な援助の一環として、解決すべき課題に応じた他の援助と均衡していることを明確に記載する必要がある。

(8) 「通院等乗降介助」と「身体介護中心型」の区分

要介護四又は要介護五の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(二十~三十分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には、「通院等乗降介助」の所定単位数は算定できない。

(例)(乗車の介助の前に連続して)寝たきりの利用者の更衣介助や排泄介助をした後、ベッドから車いすへ移乗介助し、車いすを押して自動車へ移動介助する場合。

(9) 「通院等乗降介助」と通所サービス・短期入所サービスの「送迎」の区分

通所サービス又は短期入所サービスにおいて利用者の居宅と当該事業所との間の送迎を行う場合は、当該利用者の心身の状況により当該事業所の送迎車を利用することができないなど特別な事情のない限り、短期入所サービスの送迎加算を算定することとし(通所サービスは基本単位に包括)、「通院等乗降介助」は算定できない。

(10) 二級課程修了者であるサービス提供責任者を配置する指定訪問介護事業所の減算について

  • ① 「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成十一年九月十七日老企第二十五号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、「サービス提供責任者の任用要件として、「三年以上介護等の業務に従事した者であって、二級課程を修了したもの」を定めているところであるが、この要件については暫定的なものである」とされており、サービス提供責任者の質の向上を図る観点から、将来に向け当 該暫定措置を解消することとしている。このため、二級課程修了者であるサービス提供責任者を配置する事業所に係る訪問介護費を減算することとしたところであり、当該者を配置する指定訪問介護事業所は、早期にこれらの者に介護福祉士の資格取得等をさせるよう努めること。
  • ② 本減算は、一月間(暦月)で一日以上、二級課程修了者であるサービス提供責任者を配置している事業所について、当該月の翌月に提供された全ての指定訪問介護に適用となること。ただし、当該サービス提供責任者が月の途中に介護福祉士(介護福祉士試験の合格者を含む。)又は実務者研修若しくは介護職員基礎研修課程若しくは一級課程を修了(全カリキュラムを修了している場合、必ずしも修了証明書の交付を求めない。)した者(以下この②において介護福祉士等という。)となった場合については、翌月から減算は適用されないこと。また、配置時点で介護福祉士等である者についても、本減算の適用対象者とはならないこと。
  • ③ 平成二十四年三月三十一日現在、現にサービス提供責任者として従事している者については、その処遇に配慮する観点から、平成二十五年三月三十一日までに介護福祉士の資格取得又は実務者研修、介護職員基礎研修課程若しくは一級課程の修了が「確実に見込まれる」旨を都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)に届け出た場合は、平成二十五年三月三十一日までの間に限り減算の適用を受けないこととする経過措置を設けたところであるが、当該経過措置の適用を受けようとする指定訪問介護事業所は、当該サービス提供責任者の介護福祉士の受験又は実務者研修等の受講意思を文書で確認し、当該受験又は受講時期の見込みを記載した書面を作成し保管しなければならないこと。なお、当該サービス提供責任者が育児休業、介護休業又は病気休職の期間中である場合の、当該文書及び書面の作成については、当該育児休業等の終期(当該終期が経過措置の対象期間である場合に限る。)までに行うことで差し支えない。
  • ④ ③の経過措置の適用を受けようとする事業所においては、都道府県知事に対する届出を平成二十四年四月末日までに行うものとする。
  • ⑤ ③の経過措置に係るサービス提供責任者が同一法人(グループ法人及び事業承継した場合の承継先法人を含む。)内の他の指定訪問介護事業所に異動した場合についても、当該経過措置は適用されること。この場合において、④により作成した文書及び書面については、当該他の指定訪問介護事業所で保管し、当該他の指定訪問介護事業所は速やかに都道府県知事に届け出なければならないこと。

(11) 指定訪問介護事業所と同一の建物に居住する利用者に対する取扱い

  • ① 同一の建物の定義
    注7における「同一の建物」とは、当該指定訪問介護事業所と構造上又は外形上、一体的な建築物(養護老人ホーム、経費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅又は旧高齢者専用賃貸住宅に限る。)を指すものであり、具体的には、当該建物の一階部分に指定訪問介護事業所がある場合や、当該建物と渡り廊下等で繋がっている場合が該当し、同一敷地内にある別棟の建築物や道路を挟んで隣接する場合は該当しない。
    また、ここでいう同一の建物については、当該建築物の管理、運営法人が当該指定訪問介護事業所の指定訪問介護事業者と異なる場合であっても該当するものであること。
  • ② 前年度の一月当たりの実利用者
    厚生労働大臣が定める施設基準(平成二十四年厚生労働省告示第九十七号。以下「施設基準」という。)第一号の「前年度の一月当たりの実利用者の数」の計算に当たっては、前年度(毎年四月一日に始まり翌年三月三十一日をもって終わる年度とする。以下同じ。)(三月を除く。)の各月の実利用者(月の末日において当該指定訪問介護事業所と同一の建物に居住しており、かつ、当月に当該事業所が指定訪問介護の提供を行った者をいう。)の実人数を合計し、指定訪問介護の事業を実施した月(指定訪問介護を提供した月に限る。)数で除した数(端数切り捨て)とする。したがって、年度途中に事業を開始した事業所は当該事業開始年度には、三月に事業を開始した事業所は当該事業開始時の翌年度には、本減算は適用されないが、前年度(三月を除く。)の実績が一月以上ある事業所には本減算の適用があり得ること。
  • ③ ②の実利用者については、当該指定訪問介護事業所が、指定介護予防訪問介護事業所と一体的な運営をしている場合、指定介護予防訪問介護の利用者を含めて計算すること。
  • ④ 本減算の対象となるのは、当該事業所と同一の建物に居住する利用者に限られることに留意すること。

(12) 二人の訪問介護員等による訪問介護の取扱い等

二人の訪問介護員等による訪問介護について、所定単位数の百分の二百に相当する単位数が算定される場合のうち、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成二十四年厚生労働省告示第九十五号。以下「九十五号告示」という。)第三号イの場合としては、体重が重い利用者に入浴介助等の重介護を内容とする訪問介護を提供する場合等が該当し、同号ハの場合としては、例えば、エレベータのない建物の二階以上の居室から歩行困難な利用者を外出させる場合等が該当するものであること。したがって、単に安全確保のために深夜の時間帯に二人の訪問介護員等によるサービス提供を行った場合は、利用者側の希望により利用者や家族の同意を得て行った場合を除き、所定単位数の百分の二百に相当する単位数は算定されない。

なお、通院・外出介助において、一人の訪問介護員等が車両に同乗して気分の確認など移送中の介護も含めた介護行為を行う場合には、当該車両を運転するもう一人の訪問介護員等は別に「通院等乗降介助」を算定することはできない。

(13) 早朝・夜間、深夜の訪問介護の取扱い

居宅サービス計画上又は訪問介護計画上、訪問介護のサービス開始時刻が加算の対象となる時間帯にある場合に、当該加算を算定するものとすること。なお、利用時間が長時間にわたる場合に、加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかな場合においては、当該加算は算定できない。

(14) 特別地域訪問介護加算について

注11の「その一部として使用される事務所」とは、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等(以下「サテライト事業所」という)を指し、例えば、本体の事業所が離島等以外に所在し、サテライト事業所が離島等に所在する場合、本体事業所を業務の本拠とする訪問介護員等による訪問介護は加算の対象とならず、サテライト事業所を業務の本拠とする訪問介護員等による訪問介護は加算の対象となるものであること。サテライト事業所のみが離島等に所在する場合には、当該サテライト事業所を本拠とする訪問介護員等を明確にするとともに、当該サテライト事業所からの提供した具体的なサービスの内容等の記録を別に行い、管理すること。

(15) 注12の取扱い

  • ① (14)を参照のこと。
  • ② 延訪問回数は前年度(三月を除く。)の一月当たりの平均延訪問回数をいうものとする。
  • ③ 前年度の実績が六月に満たない事業所(新たに事業を開始し、又は再開した事業所を含む。)については、直近の三月における一月当たりの平均延訪問回数を用いるものとする。したがって、新たに事業を開始し、又は再開した事業者については、四月目以降届出が可能となるものであること。平均延訪問回数については、毎月ごとに記録するものとし、所定の回数を上回った場合については、直ちに第一の5の届出を提出しなければならない。
  • ④ 当該加算を算定する事業所は、その旨について利用者に事前に説明を行い、同意を得てサービスを行う必要があること。

(16) 注13の取扱い

注13の加算を算定する利用者については、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号。以下「指定居宅サービス基準」という。)第二十条第三項に規定する交通費の支払いを受けることはできないこととする。

(17) 特定事業所加算について

特定事業所加算の各算定要件については、次に定めるところによる。

  • ① 体制要件
    • イ計画的な研修の実施
      厚生労働大臣が定める基準(平成二十四年厚生労働省告示第九十六号。以下「九十六号告示」という。)第三号イ(1)の「訪問介護員等ごとに研修計画の作成」については、当該事業所におけるサービス従事者の資質向上のための研修内容の全体像と当該研修実施のための勤務体制の確保を定めるとともに、訪問介護員等について個別具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等を定めた計画を策定しなければならない。
    • ロ会議の定期的開催
      同号イ(2)(一)の「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議」とは、サービス提供責任者が主宰し、登録ヘルパーも含めて、当該事業所においてサービス提供に当たる訪問介護員等のすべてが参加するものでなければならない。なお、実施に当たっては、全員が一堂に会して開催する必要はなく、サービス提供責任者ごとにいくつかのグループ別に分かれて開催することで差し支えない。会議の開催状況については、その概要を記録しなければならない。なお、「定期的」とは、概ね一月に一回以上開催されている必要がある。
    • ハ文書等による指示及びサービス提供後の報告
      同号イ(2)(ニ)の「当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項」とは、少なくとも、次に掲げる事項について、その変化の動向を含め、記載しなければならない。
      • 利用者のADLや意欲
      • 利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
      • 家族を含む環境
      • 前回のサービス提供時の状況
      • その他サービス提供に当たって必要な事項
      なお、「前回のサービス提供時の状況」を除く事項については、変更があった場合に記載することで足りるものとし、一日のうち、同一の訪問介護員等が同一の利用者に複数回訪問する場合であって、利用者の体調の急変等、特段の事情がないときは、当該利用者に係る文書等の指示及びサービス提供後の報告を省略することも差し支えないものとする。 また、サービス提供責任者が事業所に不在時のサービス提供に係る文書等による指示及びサービス提供後の報告については、サービス提供責任者が事前に一括指示を行い、適宜事後に報告を受けることも差し支えないものとする。この場合、前回のサービス提供時の状況等については、訪問介護員等の間での引き継ぎを行う等、適切な対応を図るとともに、利用者の体調の急変等の際の対応のためサービス提供責任者との連絡体制を適切に確保すること。
      同号イ(2)(ニ)の「文書等の確実な方法」とは、直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX、メール等によることも可能である。
      また、同号イ??の訪問介護員等から適宜受けるサービス提供終了後の報告内容について、サービス提供責任者は、文書(電磁的記録を含む。)にて記録を保存しなければならない。
    • ニ定期健康診断の実施
      同号イ(3)の健康診断等については、労働安全衛生法により定期に実施することが義務付けられた「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等も含めて、少なくとも一年以内ごとに一回、事業主の費用負担により実施しなければならない。新たに加算を算定しようとする場合にあっては、少なくとも一年以内に当該健康診断等が実施されることが計画されていることをもって足りるもの
      とする。
    • ホ緊急時における対応方法の明示
      同号イ(4)の「明示」については、当該事業所における緊急時等の対応方針、緊急時の連絡先及び対応可能時間等を記載した文書を利用者に交付し、説明を行うものとする。なお、交付すべき文書については、重要事項説明書等に当該内容を明記することをもって足りるものとする。
  • ② 人材要件
    • イ訪問介護員等要件
      第三号イ(5)の介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者及び一級課程修了者の割合については、前年度(三月を除く。)又は届出日の属する月の前三月の一月当たりの実績の平均について、常勤換算方法により算出した数を用いて算出するものとする。 なお、介護福祉士又は実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者若しくは一級課程修了者とは、各月の前月の末日時点で資格を取得している又は研修の課程を修了している者とすること。
    • ロサービス提供責任者要件
      同号イ(6)の「実務経験」は、サービス提供責任者としての従事期間ではなく、在宅や施設を問わず介護に関する業務に従事した期間をいうものであり、資格取得又は研修修了前の従事期間も含めるものとする。
      なお、同号イ(6)ただし書については、指定居宅サービス基準第五条第二項の規定により常勤のサービス提供責任者を二人配置することとされている事業所については、同項ただし書により常勤のサービス提供責任者を一人配置し、非常勤のサービス提供責任者を常勤換算方法で必要とされる員数配置することで基準を満たすことになるが、本要件を満たすためには、常勤のサービス提供責任者を二人以上配置しなければならないとしているものである。
  • ③ 重度要介護者等対応要件
    第三号イ?の要介護四及び要介護五である者、日常生活に支障をきたすおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症である者並びに社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十一年厚生省令第四十九号)第一条各号に掲げる行為を必要とする者の割合については、前年度(三月を除く。)又は届出日の属する月の前三月の一月当たりの実績の平均について、利用実人員又は訪問回数を用いて算定するものとする。なお、「日常生活に支障をきたすおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症である者」とは、日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する利用者を、「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第一条各号に掲げる行為を必要とする者」とは、たんの吸引等(口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養又は経鼻経管栄養)の行 為を必要とする利用者を指すものとする。また、本要件に係る割合の計算において、たんの吸引等の行為を必要とする者を算入できる事業所は、社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づく、自らの事業又はその一環としてたんの吸引等の業務を行うための登録を受けているものに限られること。
  • ④ 割合の計算方法
    ②イの職員の割合及び③の利用実人員の割合の計算は、次の取扱いによるものとする。
    • イ前年度の実績が六月に満たない事業所(新たに事業を開始し、又は再開した事業所を含む。)については、前年度の実績による加算の届出はできないものとする。
    • ロ前三月の実績により届出を行った事業所については、届出を行った月以降においても、直近三月間の職員又は利用者の割合につき、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。 また、その割合については、毎月ごとに記録するものとし、所定の割合を下回った場合については、直ちに第一の5の届出を提出しなければならない。

(18) 緊急時訪問介護加算について

  • ① 「緊急に行った場合」とは、居宅サービス計画に位置付けられていない(当該指定訪問介護を提供した時間帯が、あらかじめ居宅サービス計画に位置付けられたサービス提供の日時以外の時間帯であるものをいう。)訪問介護(身体介護が中心のものに限る。)を、利用者又はその家族等から要請を受けてから二十四時間以内に行った場合をいうものとする。
  • ② 当該加算は、一回の要請につき一回を限度として算定できるものとする。
  • ③ 緊急時訪問介護加算は、サービス提供責任者が、事前に指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員と連携を図り、当該介護支援専門員が、利用者又はその家族等から要請された日時又は時間帯に身体介護中心型の訪問介護を提供する必要があると判断した場合に加算されるものであるが、やむを得ない事由により、介護支援専門員と事前の連携が図れない場合に、指定訪問介護事業所により緊急に身体介護中心型の訪問介護が行われた場合であって、事後に介護支援専門員によって、当該訪問が必要であったと判断された場合には、加算の算定は可能である。
  • ④ 当該加算の対象となる訪問介護の所要時間については、サービス提供責任者と介護支援専門員が連携を図った上、利用者又 はその家族等からの要請内容から、当該訪問介護に要する標準的な時間を、介護支援専門員が判断する。なお、介護支援専門員が、実際に行われた訪問介護の内容を考慮して、所要時間を変更することは差し支えない。
  • ⑤ 当該加算の対象となる訪問介護の所要時間については、(4)③及び(5)の規定は適用されないものとする。したがって、所要時間が二十分未満であっても、二十分未満の身体介護中心型の所定単位数の算定及び当該加算の算定は可能であり、当該加算の対象となる訪問介護と当該訪問介護の前後に行われた訪問介護の間隔が二時間未満であった場合であっても、それぞれの所要時間に応じた所定単位数を算定する(所要時間を合算する必要はない。)ものとする。
  • ⑥ 緊急時訪問介護加算の対象となる指定訪問介護の提供を行った場合は、指定居宅サービス基準第十九条に基づき、要請のあった時間、要請の内容、当該訪問介護の提供時刻及び緊急時訪問介護加算の算定対象である旨等を記録するものとする。

(19) 初回加算について

  • ① 本加算は、利用者が過去二月間(暦月)に、当該指定訪問介護事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合に算定されるものである。
  • ② サービス提供責任者が、訪問介護に同行した場合については、指定居宅サービス基準第十九条に基づき、同行訪問した旨を記録するものとする。また、この場合において、当該サービス提供責任者は、訪問介護に要する時間を通じて滞在することは必ずしも必要ではなく、利用者の状況等を確認した上で、途中で現場を離れた場合であっても、算定は可能である。

(20) 生活機能向上連携加算について

  • ① 「生活機能の向上を目的とした訪問介護計画」とは、利用者の日常生活において介助等を必要とする行為について、単に訪問介護員等が介助等を行うのみならず、利用者本人が、日々の暮らしの中で当該行為を可能な限り自立して行うことができるよう、その有する能力及び改善可能性に応じた具体的目標を定めた上で、訪問介護員等が提供する指定訪問介護の内容を定めたものでなければならない。
  • ② ①の訪問介護計画の作成に当たっては、指定訪問リハビリテーションを行う理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下2において「理学療法士等」という。)にサービス提供責任者が同行し、当該利用者のADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)及びIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する利用者の状況につき、理学療法士等とサービス提供責任者が共同して、現在の状況及びその改善可能性の評価(以下「生活機能アセスメント」という。)を行うものとする。
  • ③ ①の訪問介護計画には、生活機能アセスメントの結果のほか、次に掲げるその他の日々の暮らしの中で必要な機能の向上に資する内容を記載しなければならない。
    • ア利用者が日々の暮らしの中で可能な限り自立して行おうとする行為の内容
    • イ生活機能アセスメントの結果に基づき、アの内容について定めた三月を目途とする達成目標
    • ウイの目標を達成するために経過的に達成すべき各月の目標
    • エイ及びウの目標を達成するために訪問介護員等が行う介助等の内容
  • ④ ③のイ及びウの達成目標については、利用者の意向及び利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえ策定するとともに、利用者自身がその達成度合いを客観視でき、当該利用者の意欲の向上につながるよう、例えば当該目標に係る生活行為の回数や当該生活行為を行うために必要となる基本的な動作(立位又は座位の保持等)の時間数といった数値を用いる等、可能な限り具体的かつ客観的な指標を用いて設定すること。
  • ⑤ ①の訪問介護計画及び当該計画に基づく訪問介護員等が行う指定訪問介護の内容としては、例えば次のようなものが考えられること。達成目標として「自宅のポータブルトイレを一日一回以上利用する(一月目、二月目の目標として座位の保持時間)」を設定。
    (一月目)訪問介護員等は週二回の訪問の際、ベッド上で体を起こす介助を行い、利用者が五分間の座位を保持している間、ベッド周辺の整理を行いながら安全確保のための守り及び付き添いを行う。
    (二月目)ベッド上からポータブルトイレへの移動の介助を行い、利用者の体を支えながら、排泄の介助を行う。
    (三月目)ベッド上からポータブルトイレへ利用者が移動する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う(訪問介護員等は、指定訪問介護提供時以外のポータブルトイレの利用状況等について確認を行う。)。
  • ⑥ 本加算は②の評価に基づき、①の訪問介護計画に基づき提供された初回の指定訪問介護の提供日が属する月以降三月を限度として算定されるものであり、三月を超えて本加算を算定しようとする場合は、再度②の評価に基づき訪問介護計画を見直す必要があること。なお、当該三月の間に利用者に対する指定訪問リハビリテーションの提供が終了した場合であっても、三月間は本加算の算定が可能であること。
  • ⑦ 本加算を算定する期間中は、各月における目標の達成度合いにつき、利用者及び指定訪問リハビリテーションの理学療法士等に報告し、必要に応じて利用者の意向を確認し、当該理学療法士等から必要な助言を得た上で、利用者のADL及びIADLの改善状況及び③のイの達成目標を踏まえた適切な対応を行うこと。

(21) 介護職員処遇改善加算について

介護職員処遇改善加算は、平成二十三年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金による賃金改善の効果を継続する観点から、当該交付金を円滑に介護報酬に移行することを目的とし平成二十六年度までの間に限り創設したものである。その内容については、別途通知(「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」)を参照すること。

訪問介護と介護予防訪問介護の費用

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