薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行について

第一(改正の趣旨)

良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法などの一部を改正する法律(平成18年法律第84号)による改正後の薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第8条の2の規定に基づき、医療を受けるものが薬局の選択を適切に行うために必要な情報について、薬局開設者が都道府県知事に報告する事項、都道府県知事による公表の方法などを定めるとともに、法第9条の規定に基づき、薬局開設者の遵守事項として、薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保するために講ずべき措置を定めたものである。

第二(改正の内容)

1 薬局に関する情報の提供等

  • (1)薬局開設者の都道府県知事への報告等(改正省令による改正後の薬事法施行規則第11条の2及び第11条の3関係)
    • ①薬局開設者による当該薬局の所在地の都道府県知事(以下「都道府県知事」という。)への報告は、1年に1回以上とすること。また、報告の頻度、期日、手段など、詳細な方法については都道府県知事が定めることとし、薬局開設者はこれに従って報告すること。
    • ②薬局開設者が都道府県知事に報告しなければならない事項は、規則別表第一の通りとしたこと
  • (2)変更が生じた際に速やかに報告すべき情報(規則第11条の4関係)
    薬局開設者が都道府県知事に報告した事項について、変更が生じた際に速やかに都道府県知事に報告しなければならない事項は、規則別表第一に掲げる情報のうち同表第一の項第1号に掲げる基本情報としたこと。
  • (3)書面の閲覧に変わる方法(規則第11条の5関係)
    薬局開設者が都道府県知事に報告した事項について、書面の閲覧に変えて電磁的方法により提供するときは、予め、患者に対し、その電磁的方法の種類及び内容を示すこととしたこと。 また、薬局開設者が、当該薬局において公表する薬局機能に関する情報について、書面の閲覧に代えて提供することができる電磁的方法は、電子メール、インターネット、PCなどのモニター画面での表示、CD-ROM等の交付によるものであること。
  • (4)都道府県による公表方法(規則第11条の6関係)
    都道府県知事は薬局開設者より報告された事項について、インターネット、書面による閲覧又はPCなどのモニター画面での表示などの方法により公表しなければならないものとしたこと なお、法第8条の2に基づく情報の提供などの制度に係る具体的運用方法などについては、別に定める「薬局機能情報提供制度実施要領について」(平成10年3月28日付け薬食発第0326026号厚生労働省違約食品局長通知)を参照すること。

2 薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保するための措置

法第9条第1項の規定に基づき、薬局開設者は、規則第12条の②第1項体制省令第一条へ移行に定めるところにより、薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保するため、指針を策定するとともに、その指針に基づき、従業者(薬剤師及びその他従業員を言う。)に対する研修の実施その他医薬品の業務に係る医療の安全を確保するために必要な措置を講じなければならないものであること。

  • (1)医薬品の業務に係る医療の安全を確保するための指針の策定について(規則第12条の②第1項関係)
    • ア 薬局開設者は、規則第12条の②第1項に規定する指針として、以下の事項を書面などに明記したものを作成すること。
      • ①薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保するための基本的考え方に関すること。
      • ②従業者に対する研修の実施に関すること。
      • ③医薬品の使用にかかわる安全な管理(以下「安全使用」という。)のための責任者に関すること。
      • ④従業者から薬局開設者への事故報告の体制に関すること。
      • ⑤医薬品の安全使用のための業務に関する手順書(以下「医薬品業務手順書」という。)の作成及びこれに基づく業務の実施に関すること。
      • ⑥医薬品の安全使用のために必要な情報の収集に関すること。
      • ⑦患者からの相談の対応に関すること。
      • ⑧①~⑦までに掲げるほか、医薬品の業務に係る医療の安全を確保することを目的とした改善のための方策の実施に関すること。
    • イ 薬局開設者は、策定した指針を従業者へ周知するとともに、薬局開設者及び従業者は当該指針に基づく適切な対応を図ること
    • ウ 一般医薬品の販売などの業務に係る安全の確保については、医薬品の業務に係る安全を確保する観点から、当該指針を踏まえ、調剤などの業務に係る安全確保に準拠した取り扱いを図ること。
  • (2)従業者に対する研修の実施について(規則第12条の2第1項関係)
    • ア 薬局開設者は、規則第12条第1項の規定に基づき、薬局の従業者に対して研修を実施することにより、薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保するための基本的考え方、安全確保に関する具体的方策などについて、ここの従業者が理解を深め、安全確保に関する意識を高めるとともに、薬局において安全に業務を遂行するための技能の向上を図ること。
    • イ 本研修は、調剤業務における事故防止のための方策、関連法規の遵守事項の確認など、薬局における医薬品の業務に係る医療の安全を確保することを目的とした内容とし、年二回程度、定期的に開催すること。
    • ウ 薬局開設者は、研修を実施した場合には、開催日時・場所、受講した従業者数及びその氏名ならびに研修の項目及び内容等を記録し、3年間保存すること。
    • エ 研修を行う事項のうち、薬局の業務手順に関する事項を除き、医薬品管理、調剤技術、事故発生時の対応、関連法規の遵守事項の確認などについては、複数の薬局や関係団体などが共同で研修を実施することとして差し支えないこと。 なお、業務手順に関する事項については、個々の薬局で異なることから、従業者が勤務する薬局以外で実施される研修を当該従業者が受講することは適当でないこと。
  • (3)医薬品の使用にかかわる安全な管理のための責任者の設置について(規則第12条の2第2項第1号関係)
    • ア 薬局開設者は、策定した指針に沿って、薬局における医薬k品の安全使用のための責任者(以下「医薬品安全管理責任者」という。)を設置すること。
    • イ 医薬品安全管理責任者は、医薬品に関する十分な知識を有する常勤薬剤師であること。
    • ウ 法第8条の規定に基づく薬局の管理者が医薬品安全管理責任者を兼務するとしても差し支えないこと。
  • (4)事故報告の体制の整備について(規則第12条の2第2項第2号関係)
    薬局開設者は、薬局において発生した医薬品の業務に係る事故などの情報に関し、従業員から迅速な報告がなされるよう、報告に関する時手順や報告すべき情報の範囲などを明示し、体制の整備を図ること。
  • (5)医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成及び当該手順書に基づく業務の実施について(規則第12条の2第2項第3号関係)
    • ア 薬局開設者は、医薬品業務手順書を作成し、従業者に対して当該手順書に基づき業務を実施するよう指導するなど、適切な運用を図ること。
    • イ 医薬品業務手順書の作成に当たっては、以下の事項を含むこと。
      • ①薬局で取り扱う医薬品の購入に関する事項
      • ②医薬品の管理に関する事項(医薬品の保管場所、薬事法などの法令により適切な管理が求められている医薬品(麻薬・向精神薬、覚醒剤原料、毒薬・劇薬、特定生物由来製品など)の管理方法など)
      • ③一連の調剤の業務に関する事項(患者情報(薬剤の服用歴、医療機関の受診など)の収集、疑義照会方法、調剤方法、調剤器具・機器の保守・点検、処方箋や調剤薬の監査方法、患者に対する服薬指導方法など)
      • ④医薬品情報の取り扱い(安全性・副作用情報の収集、管理、提供等)に関する事項(在宅患者への医薬品使用に関する事項を含む)
      • ⑤事故発生時の対応に関する事項(事故事例の収集の範囲、事故後対応など、(4)に基づく事項)
      • ⑥他施設(医療機関、薬局等)との連携に関する事項
    • ウ 医薬品業務手順書は、作成後も必要に応じて見直しを行うこと
    • エ 薬局開設者は、医薬品安全管理責任者に対して、従業者が医薬品業務手順書に基づき適切に業務を実施しているか、定期的に確認させるとともに、確認内容を記録させなければならないこと。 また、医薬品安全管理責任者は、当該確認の結果を踏まえ、必要に応じて薬局開設者に対し、必要な意見を述べること。
  • (6)医薬品の安全使用のために必要な情報の収集について(規則第12条の2第2項第4号関係)
    薬局開設者は、医薬品の安全使用のために必要な情報を収集するよう、医薬品安全管理責任者に対して、製造販売業者、行政機関、学術誌などからの情報を広く収集し、管理させるとともに、得られた情報のうち必要なものについて、従業者に迅速かつ確実に周知徹底を図らせること。 また、情報の収集などに当たっては、法において、
    ①製造販売業者などが行う医薬品などの適正な使用のために必要な情報の収集に対して薬局開設者、薬剤師その他の医薬関係者が協力するよう努める必要があること等(法第77条の3第2項及び第3項)、
    ②薬局開設者、薬剤師その他の医薬関係者は、医薬品などについて、当該品目の副作用などの発生を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に対して副作用などを報告することが義務付けられていること(法77条の4の2第2項)に留意する必要があること。
  • (7)その他医薬品の業務に係る医療の安全確保を目的とした改善のための方策について(規則第12条の2第2項第4号関係)
    薬局開設者は、(1)から(6)までに掲げる事項のほか、医薬品の業務に係る医療の安全確保のため、以下に掲げる事項を含む必要な方策を講じること。(薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業
    • ①ヒヤリ・ハット事例の収集
    • ②収拾した事故事例、ヒヤリ・ハット事例の分析と改善措置
    • ③薬局における事故事例、ヒヤリ・ハット事例の共有

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