無菌製剤の利用について

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薬事法施行規則第十一条の八

第十五条の九

薬局開設者は、その薬局で調剤に従事する薬剤師でい者に販売又は授与の目的で調剤させてはならない。

ただし、高度な無菌製剤処理を行うことができる作業室(以下「無菌調剤室」という。)を有する薬局の薬局開設者が、無菌調剤室を有しない薬局の薬局開設者から依頼を受けて、当該無菌調剤室を有しない薬局で調剤に従事する薬剤師に、当該無菌調剤室を利用した無菌製剤処理を行わせるときは、この限りでない。

2 前項ただし書の場合においては、当該無菌調剤室を有しない薬局の薬局開設者は、当該無菌調剤室を有しない薬局で調剤に従事する薬剤師の行う無菌製剤処理の業務に係る適正な管理を確保するため、事前に、当該無菌調剤室を有する薬局の薬局開設者の協力を得て、指針の策定、当該薬剤師に対する研修の実施その他必要な措置を講じなければならない。

第十五条の十二

薬局開設者は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、その薬局で調剤に従事する薬剤師にその薬局で調剤させなければならない。

薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行等について

第1改正省令の内容

薬局開設者の義務として、調剤に関する遵守事項を次のように改めることとしたこと。

(1)無菌調剤室提供薬局の薬局開設者が、処方菱受付薬局の薬局開設者から依頼を受けて、当該処方葵受付薬局で調剤に従事する薬剤師に、当該無菌調剤室を利用した無菌製剤処理を行わせるとき(以下「無菌調剤室を共同利用する場合」という。)は、当該薬剤師が、当該無菌調剤室提供薬局において販売又は授与の目的で調剤することを可能としたこと(薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「規則」という。)第15条の9第1項関係)。

(2)無菌調剤室を共同利用する場合においては、当該処方菱受付薬局の薬局開設者は、当該処方菱受付薬局で調剤に従事する薬剤師の行う無菌製剤処理の業務に係る適正な管理を確保するため、事前に、当該無菌調剤室提供薬局の薬局開設者の協力を得て、指針の策定、当該薬剤師に対する研修の実施その他必要な措置を講じなければならないこととしたこと(規則第15条の9第2項関係)。

(3)調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、その薬局で調剤に従事する薬剤師にその薬局で調剤させなければならないこととしたこと(規則第15条の12関係)。なお、ここでいう正当な理由とは、薬剤師法(昭和35年法律第146 号)第21条に規定する正当な理由と同様であること。また、薬剤師法第22条に規定する医療を受ける者の居宅等において調 剤の業務を行う場合若しくは同条ただし書に規定する特別の事情がある場合又は無菌調剤室を共同利用する場合に、当該薬局以外の場所で調剤の業務を行うことは、正当な理由に該当すること。

第2無菌調剤室を共同利用する場合の留意点等

(1)無菌調剤室提供薬局と処方菱受付薬局の間で共同利用に関して必要な事項を記載した契約書等を事前に取り交わしておくこと。契約書等には、、少なくとも以下の内容を含むものであること。

  • ①処方菱受付薬局の薬局開設者が、事前に無菌調剤室提供薬局の薬局開設者の協力を得て講じなければならないとされている指針の策定、当該薬剤師に対する研修の実施その他必要な措置について、その具体的な内容を定めておくこと(第1(2)関係)。
  • ②無菌調剤室を利用する処方菱受付薬局の薬剤師から処方菱受付薬局の薬局開設者及び無菌調剤室提供薬局の薬局開設者の双方に対し、無菌調剤室を利用した無菌製剤処理に係る事故等が発生した場合に、速やかに報告するための体制を定めておくこと。

(2)無菌調剤室は、以下の要件を満たすものであること

  • ①高度な無菌製剤処理を行うために薬局内に設置された、他と仕切られた専用の部屋であること。無菌製剤処理を行うための設備であって、他と仕切られた専用の部屋として設置されていない設備については、無菌調剤室とは認められないこと。
  • ②無菌調剤室の室内の空気清浄度について、無菌製剤処理を行う際に、常時ISO14644-1に規定するクラス7以上を担保できる設備であること。
  • ③その他無菌製剤処理を行うために必要な器具、機材等を十分に備えていること。

(3)処方菱受付薬局の薬剤師が利用できる無菌調剤室提供薬局の設備は、無菌調剤室及び無菌調剤室内で行う無菌製剤処理に必要な器具、機材等のみに限られること。

第3無菌調剤室を共同利用する場合の薬事法令の運用等

(1)無菌調剤室提供薬局の管理者の義務について(薬事法(昭和35年法律145号)第8条第1項)

無菌調剤室提供薬局において行った無菌製剤処理を含め、処方葵に基づいてなされた調剤の責任については、一義的に処方葵受付薬局にあると解される一方、無菌調剤室提供薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、無菌調剤室を利用する処方葵受付薬局の薬剤師を監督し、無菌調剤室及び無菌調剤室内で行う無菌製剤処理に必要な器具、機材等を管理しなければならないこと。

(2)処方菱受付薬局の薬局開設者が行う届出等について(規則第1条第1項、第16条第1項、様式第一及び様式第六)

新たに薬局を開設して、無菌調剤室提供薬局の無菌調剤室の共同利用を行う場合には、規則第1条第1項に基づき、様式第一中「薬局の構造設備の概要」の欄に記載すること。また開設の許可を有している薬局が、無菌調剤室提供薬局の無菌調 剤室の共同利用を行う場合、無菌調剤室提供薬局の共同利用を取りやめる場合、無菌調剤室提供薬局を変更する場合等には、それぞれ規則第16条第1項に基づき、様式第六中「変更内容」の欄に記載すること。

(3)薬局機能に関する情報の報告について(薬事法第8条の2,規則第11条の3及び別表第一)

処方菱受付薬局が、無菌調剤室提供薬局の無菌調剤室の共同利用を行うことにより無菌製剤処理を要する医薬品を調剤することができる場合においては、処方菱受付薬局の薬局機能に関する情報のうち無菌製剤処理に係る調剤の実施の可否について、「可(○○薬局(無菌調剤室提供薬局の名称及び所在地)の無菌調剤室を共同利用)」として差し支えないこと。

(4)帳簿の作成等について(規則第13条第1項及び第3項)

無菌調剤室提供薬局の薬局開設者は、無菌調剤室の利用に関する帳簿を無菌調剤室提供薬局に備え、最終の記載の日から3年間保管しなければならないこと。

(5)調剤された薬剤の表示について(薬剤師法第25条〈薬剤師法施行規則(昭和36年厚生省令第5号)第14条)

販売又は授与の目的で調剤した薬剤の容器又は被包には、処方菱受付薬局の名称及び所在地を記載しなければならないこと。なお、無菌調剤室提供薬局の名称及び所在地については、省略して差し支えないこと。

(6)処方菱への記入等について(薬剤師法第26条、薬剤師法施行規則第15条)

処方菱受付薬局の名称及び所在地について、記入しなければならないこと。なお、無菌調剤室提供薬局において無菌製剤処理を行った薬剤については、無菌調剤室提供薬局の名称及び所在地についても、処方菱に記載すること。

(7)処方菱の保管について(薬剤師法第27条) 処方菱受付薬局の薬局開設者は、調剤済みとなった処方菱を、調剤済みとなった日から3年間保存しなければならないこと。

(8)調剤録への記入等について(薬剤師法第28条、薬剤師法施行規則第16条)

処方葵受付薬局の調剤録には、無菌調剤室提供薬局において無菌製剤処理を行った薬剤に関する事項も含め、当該処方菱が調剤済みとなるまでに行った全ての事項について記載する必要があること。また無菌調剤室提供薬局の調剤録には、無菌調剤室提供薬局において無菌製剤処理を行った薬剤に関する事項についてのみを記載すれば足りること。

薬局における注射薬の無菌調整について

無菌製剤の分類

薬局が実施している無菌製剤(注射薬)の調剤(調製)は、ほぼ下記に示す6種類であることが推察された。

  • ①患者がそのまま使用することを前提とした無菌製剤(注射剤)の調剤
  • ②患者が使用時に混合することを前提とした無菌製剤(注射剤)の調剤
  • ③TPN基本液とその他注射剤の混合(薬局で混合して投薬)
  • ④抗がん剤の混合(薬局で混合して投薬)
  • ⑤粉末アミノ酸製剤等を生食に溶解させる等の注射剤の作成
  • ⑥バルーン式持続皮下注入器への薬液充填

この中で、①と②については、薬局に無菌製剤を調製するための設備を要しない。一方、③~⑥に関しては、薬局に何らかの無菌製剤を調製するための設備を必要とする。

無菌製剤を調整するための環境

薬局での無菌製剤の調製を行う場所(区画)として、下記の3つの場所を仮定する。

  • a. 無菌室(クラス10,000 または、より良好)内にクリーンベンチ(クラス100)を設置
  • b. 清潔な部屋にクリーンベンチ(クラス100)を設置
  • c. 調剤室にクリーンベンチ(クラス100)を設置

無菌室とは、独立空調であり、HEPAフィルター(高性能フィルター)による塵埃、微生物の除去機能、及び温度、湿度、圧力の調整機能が整備された部屋のこと。空気清浄度は、NASA規格クラス10,000以下が必要。

クリーンベンチと安全キャビネットはともに、HEPAフィルターにより塵埃や微生物を除去した空気を作業スペースに送ることで、無菌の清浄空間を作ることの出来る装置のこと。

2つの違いは、クリーンベンチが上から調整者に向かって陽圧の空気が流れるのに対して、安全キャビネットは下部に吸気流がついているため、上から送られた空気が下から吸い込まれ(陰圧)、飛散した薬液も吸い取る構造。細胞毒性のある抗癌剤の調整は安全キャビネットを使用する。

上記③TPN基本液とその他注射剤の混合」に類する無菌製剤の調製を薬局で行う場合には、特に高い清浄度にすることが推奨されるため、「b. 清潔な部屋にクリーンベンチを設置」した場所(区画)、または、それよりも良好な環境で実施することが望ましい。他設置場所等の工夫についてはリンク参照。

無菌調剤の施設要件はH24年調剤報酬改定で緩和されている(以下参考)

無菌調剤を行うためには、特別な施設が必要とされるが、現行の施設基準では一部不都合が生じていることから、より合理的な基準となるよう、無菌製剤処理の施設基準における「十分な施設を有している」との要件を「十分な施設又は設備を有している」と合理的に改める。

(小スペースでも実施可能となるよう、専用の部屋(5平方メートル以上)の施設要件を削除。)

Q&A: Q:十分な施設また設備を具体的に示して欲しい? A:5平方メートル以上の施設要件を削除して、クリーンベンチなどを有するとうことだけでも可とした。

無菌室管理マニュアルの整備

マニュアル例は日薬のHPを参照してください。

無菌室調整に必要な器具

  • シリンジ・・・プラスチック製ディスポタイプ(抗癌剤調整時はルアーロック式)
  • 注射針・・・ディスポタイプ(18~22G)(通常18g、抗癌剤は20~22g)
  • 消毒薬・・・滅菌ガーゼ、噴射瓶、含浸不織布、含浸綿
  • 滅菌キャップ、シール・・・調整後、輸液ボトル等のゴム栓を覆う
  • 作業シート・・・抗癌剤調整時には必須。表面は吸収性、裏面は薬液不透過のプラスチックフィルム
  • 医療用廃棄物用容器・・・抗癌剤廃棄用は他のものと区別する
  • 連結管・・・輸液に多量の薬液を注入するときに用いる

無菌室調整時の着衣

  • マスク・・・通常はディスポタイプ、抗癌剤調整時はフィルターマスク
  • 帽子・・・ディスポタイプ
  • ガウン・・・袖口が閉まるディスポタイプガウン、抗癌剤の調整時は薬剤不透過性のもの
  • 手袋・・・通常はラテックス製、抗癌剤の調整時はニトリルゴム製
  • 保護メガネ・・・防塵用保護メガネ又はゴーグル。抗癌剤の調整時に必要。

抗癌剤調整時は、手袋を30~60分毎に取り替えることが望ましい。

調整手順

1)バイアルからシリンジへの薬液秤取

バイアルのキャップを外して、ゴム栓消毒する。

粉末注射薬の場合は、専用溶解液あるいは、輸液から適量の溶解液をシリンジに秤取し、バイアルに注入し、バイアル内が陽圧とならないように秤取液量分の空気をシリンジに吸引した後に、バイアルから線を抜き、バイアルを軽く振って溶解する。

バイアルからシリンジへの薬液秤取は、バイアル内が陰圧となり薬液の秤取が困難にならないよう、予め適量(秤取する薬液量より若干少ない量)の空気をシリンジに吸引してから行います。バイアルゴム栓に針を垂直に刺し、シリンジ内の空気をバイアルへ注入後、バイアル内の薬液をシリンジに秤取する。

バイアルゴム栓に注射針を刺す時はコアリングと呼ばれる、ゴム片(コア)が削り取られて、容器内に混入する現象が起きないように、必ず垂直に、回転させず、1回だけ刺す。

バイアル内が陽圧になっていると、ゴム栓と針の隙間から薬液が噴出することがあるので、陽圧にならないよう注意する。

泡立ちやすい注射液の妖怪は、バイアル内壁にそって溶解液を入れて、シリンジに出来る限りゆっくり秤取する。

2)アンプルからシリンジへの薬液秤取

アンプル頸部をエタノール含浸ガーゼで消毒します。

アンプルない丈夫に薬液がある場合は、アンプル上部を持ち、円を描くようにフルか、指で弾いて薬液をアンプル下部へ落とします。

アンプルカットポイントを手前に向けて持ち、アンプル上部をガーゼで覆い、少し引っ張りながらポイントの反対側におるようにカットします。

カット後に発生したガラス片をアンプル内に沈降させるため、約10秒静置します。

アンプルからシリンジへの薬液秤取は、アンプルをゆっくり傾けた後、カット口から注射針を挿入し、ガラス片を吸い込まないよう、アンプル肩の内側部分から秤取します。

アンプルカットポイントの向きが逆であったり、強く握ると割れることがあるので注意する。 注射針の先がアンプルカット口や外側にふれないよう注意する

3)秤取した薬液の輸液への注入・混合

輸液ボトル等のゴム栓をエタノール消毒し、バイアルやアンプルからシリンジに秤取した薬液を輸液ボトル等へ注入・混合します。

薬液を注入後、注入量と同量の空気をシリンジ内にに吸引して注射針を抜き、輸液ボトル等内を陰圧に保ちます。

注入終了後、汚染防止のため、ゴム栓をエタノール消毒し、滅菌キャップや滅菌シールで密封します。

輸液ボトル等のゴム栓に注射針を複数回刺す場合は、コアリングや液漏れ防止の為、ゴム栓の刺す位置を変えます。

4)連結管を使用した輸液の混合

高カロリー輸液用ブドウ糖液・電解質液(基本液)に、アミノ酸液を混合する等、多量の薬液を混合する場合は、連結管を用いる。

混合する輸液をクリーンベンチ内につるし、ゴム栓を消毒した後、連結管の瓶針をゴム栓に刺し、連結管のもう一方の瓶針は基本液と接続します。

連結管のクランプを開放し、混合する輸液を基本液の輸液バッグ内に落とします。

混合が終了したら輸液バッグ内の空気は出来る限り抜きます。輸液バッグ情報に空気を集め、連結管を通して、空になったもう一方の輸液容器に空気を押し出した後、連結管のクランプを止め、瓶針を抜きます。

ゴム栓はエタノール消毒し、滅菌キャップや滅菌シールで密封します。

  • 参考・引用文献:ENIF医薬ニュース vol21.no17

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