ノルアドレナリン神経系

ノルアドレナリンの合成

チロシン(必須アミノ酸ではない)からチロシン水酸化酵素によってL-ドパへ、L-ドパはドパ脱炭酸酵素によってドパミンに合成される。

ドパミンはドパミンβ水酸化酵素(β酸化)の働きで、ノルアドレナリンに合成される。ノルアドレナリンはN-メチルトランスフェラーゼによりメチル化されてアドレナリンへ。

ノルアドレナリンはCOMT(カテコール-O-メチル転移酵素)によってノルメタネフリンへ、MAO(モノアミン酸化酵素)によって、MHPG(3-メトキシ-4水酸化フェニールグリコール)へと分解され代謝される。

ノルアドレナリンの神経核

神経集団番号 神経集団名称 主な作用
A1 外側網様核の周辺 外側被蓋NAd神経系:中心被蓋束を上行し、視床下部(室傍核)、前脳基底部へ投射。その75%が視床下部へ投射
A2 孤束核の周辺
A3 下オリーブ核の背側 外側被蓋NAd神経系:中心被蓋束を上行し、前脳基底部へ投射
A4 上小脳脚の周辺 青斑核NAd神経系:内側前脳束を通り、視床・視床下部等へ投射
A5 上オリーブ核の周辺 外側被蓋NAd神経系
A6 青斑核 青斑核NAd神経系:内側前脳束を通り、大脳皮質、海馬、扁桃体、前脳基底部、脊髄(下行性抑制)等へ投射
A7 網様体の外側部 外側被蓋NAd神経系

外側被蓋NAd神経系は中心被蓋束 (腹側NAd束) を介して上行し、視床、視床下部、前脳基底部(主としてマイネルト基底核)などへ投射する。

青斑核NAd神経は、背側被蓋 (NAd) 束を上行し、内側前脳束を介して、視床、視床下部、中隔、海馬、扁桃体などに軸索側枝を投射しつつ、大脳皮質の全域に神経終末を投射する。 さらに、別の経路を介して小脳や脊髄にも投射する。

ノルアドレナリンの作用

ストレス反応により活性化され、視床下部室傍核を中心としたCRH分泌→コルチゾールの分泌や、交感神経の活性化が起こる。

前脳基底部(主としてマイネルト基底核)へ投射し、アセチルコリン分泌を介して覚醒反応に関わる。(上行性網様体賦活系

快・不快情動中枢として機能する扁桃体への投射は不安や注意など情動的情報を記憶・付加し、情動回路として前頭前野へ投射し、不安・恐怖・パニック等の行動を引き起こす。

セロトニンはこのようなノルアドレナリンの作用を抑制的に制御しているとされる。リフレックスのように、逆にノルアドレナリンのα1作用やα2遮断作用がセロトニン神経を活性化することで抗不安・抗うつ作用を示すことはある。

つまりは、ストレス行動により惹起されるNA分泌は情動回路を回して不安症状を引き起こすわけだが、ストレス条件下出ない状態で(薬で)NAの分泌を促進してあげると、主として前頭葉の覚醒、認知・思考を高め、陰性症状を改善、意欲を高める抗うつ効果を示すということでしょうか。


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