上行性網様体賦活系

この系の中心は中脳に存在する巨大細胞性網様体であり、ここは視床髄板内核群と脊髄前角に投射する。髄板内核群に投射された興奮は大脳皮質全野へと投射(上行性賦活)されて、覚醒に関与する。脊髄前角に投射された興奮はそのまま運動神経へと入る。

中脳網様体から視床髄板内核群へと投射する覚醒ルートとしては、中脳と橋の境界にある橋脚被蓋核(Ch5)と外背側被蓋核(Ch6)からのコリン作動性ニューロンが担っている。

また、脊髄視床路を上行する知覚神経は中脳網様体へも軸索を伸ばしていて、髄板内核群へと投射し、覚醒に関与している。

ヒスタミンの細胞体である視床下部の結節乳頭核(TM)からのヒスタミン神経は、視床非特殊核や、腹側経路の前脳基底部マイネルト基底核へも投射して覚醒に関与している。

モルヒネは髄板内核群のμ受容体に作用することで、侵害刺激による疼痛を抑制する(上行性抑制系)。

その他の覚醒経路

覚醒経路には、上記感覚路からの視床髄板内核群を経由するルート以外にも、

  • 大脳皮質から脊髄へ至り、ノルアドレナリン等のモノアミン分泌による覚醒(闘争や恐怖等の意図しない出来事が起こった時の覚醒)。青斑核NAニューロンは前脳基底部のCh4(マイネルト基底核)に投射している。
  • 前脳基底部(マイネルト基底核:アセチルコリンの神経核の一つ)からのコリン作動性神経が、大脳皮質に投射した場合の覚醒。A6以外にCh5、Ch6もマイネルト基底核へと投射している。なお、セロトニンB7はこの部位へは抑制的に投射しているが覚醒には関与せず、REM睡眠の発現にのみ関与する。

の2つがあり、これらが複雑に絡み合って覚醒状態を保っています。

カフェインの覚醒機序は、カフェインの薬剤に与える影響を参照。


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