自律神経(交感神経、副交感神経)というもの
自律神経は、基本的には体性神経のような感覚を脳に伝える神経ではなく、求心性の知覚神経を介して脳に伝わった感覚を行動に表す(入力から出力へ)、遠心性の神経としての役割を担っています(例外として、内臓感覚(求心性神経)だけは副交感神経です)。
かゆみを感じるのは知覚神経ですが、それを掻くという動作に結びつけるためには、自律神経の助けが必要なわけです。
自律神経は意思に関係なく独立して働き、内臓や血管の活動、呼吸などをコントロールしており、交感神経と副交感神経{平滑筋、心筋・・に作用}とNANC(非アドレナリン非コリン作動性神経)の3種類があります。
交感神経と副交感神経
交感神経と副交感神経の2つはまったく逆の作用(車のアクセルとブレーキの関係)をしていて、日中活動期には交感神経が亢進しているので副交感神経は抑制されていますが、夜間休止期には副交感神経が亢進して胃腸や内臓運動が活発になります。
なお、パーキンソン病のメカニズムの理解にも必要な、アセチルコリンとドパミンのシーソーの関係(コリン作動性神経は抑制性介在ニューロンとして働く)も重要で、交感神経の亢進は副交感神経を抑制するのにくわえて、ドパミン神経を亢進させます。
NANC
NANC(nonadrenergic noncholinergic nervous system)は交感神経・副交感神経を共に抑制しても気道平滑筋の収縮が収まらなかったことから発見された第三の自律神経であり、興奮性のNANC(e-NANC)と抑制性NANC(i-NANC)の二種類に分類されている。
e-NANCの伝達物質は副交感神経求心路にあたる知覚神経C線維に存在するサブスタンスP、ニューロキニンAなどで、タキキニンと呼ばれ、タキキニン以外にはCGRPが知られている。
i-NANCの伝達物質は、副交感神経遠心路に存在するVIP(vasoactive intestinal peptide)、PHI/PHM(peptide histidine isoleucine/methionine)、Hd(helodermine) 、PACAP(pituitary adenylate cyclase activating peptide)、NOなどであり神経内でアセチルコリンと共存している。
e-NANCは主としてNK-1(ニューロキニン受容体)を介して、血管拡張作用などを示し、i-NANCの代表であるVIPはアデニル酸シクラーゼを活性化してcAMPを上昇させて、またNOはグアニル酸シクラーゼを活性化してcGMPを上昇させて平滑筋を弛緩させる。
この第三の自律神経はまだ、気道や肺での知見なので、アトピー性皮膚炎への関わりは今のところ明らかになっておりません。
※DAは主として脳(線条体、側坐核)に、NEは脳(視床下部、大脳皮質、海馬、小脳)と末梢交感神経終末に、アドレナリンは主として副腎髄質に存在する。
交感神経と副交感神経の神経伝達物質
運動神経の伝達物質はアセチルコリン(Ach)であり、受容体はニコチン様アセチルコリン受容体(Nm)である。
交感神経は、神経節が神経細胞側にあるのが特徴で、神経節の伝達物質はAchで受容体はニコチン受容体(Nn)、節後線維終末からでる伝達物質はノルエピネフリン(NE)で効果器の受容体はα1,β1,β2受容体である。
α2受容体は主として中枢(脳・脊髄)に存在していて、フィードバックをかけるために節後前維終末に存在し、ノルエピの放出量を調節したり、効果器側にも存在し、興奮性シナプス伝達を抑制している。
なお、汗腺は交感神経支配であるが、伝達物質はアセチルコリンですので注意してください。
副交感神経は、神経節は効果器側にあるのが特徴で、神経節の伝達物質、節後線維終末の伝達物質は共にアセチルコリンであるが、神経節受容体はニコチン受容体(Nn)で、効果器受容体はムスカリン受容体である。
唾液腺は交感・副交感神経共に分泌ですが、交感神経では粘り気のある、副交感神経の方はさらさらの唾液を分泌する。
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体性神経(運動・感覚神経)
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自律神経(交感・副交感神経)
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