アセチルコリン神経系
アセチルコリンの合成
アセチルコリンは、コリンとアセチルCoAから、ChAT(コリンアセチルトランスフェラーゼ)の作用で作られる。
アセチルコリンは、AchE(コリンエステラーゼ)の作用で、コリンと酢酸に分解される。そのため、NAや5-HT神経のような自己受容体を持たないが蓄積性はない。
アセチルコリンの神経核
神経集団番号 | 神経集団名称 | 主な作用 |
---|---|---|
Ch1 | 内側中隔核 | 海馬へ投射 |
Ch2 | ブローカ対角帯核 | |
Ch3 | ブローカ対角水平亜核 | 嗅結節へ投射 |
Ch4 | マイネルト基底核 | 大脳皮質へ投射、認知・記憶力増強。アルツハイマーの傷害部位 |
Ch5 | 橋脚被蓋核 | 背側路(視床へ行き上行網様体賦活系)と腹側路(マイネルト基底核へ行き皮質賦活)の2通りの経路 |
Ch6 | 背側外側被蓋核 | |
Ch7 | 内側手綱核 | 脚間核へ(機能不明) |
Ch8 | 二丘体傍核 | 上丘へ(機能不明) |
Ch1からCh4までの神経核は、大脳基底核の下にある前脳基底部に存在している核群で、中でもCh4(マイネルト基底核)は記憶や覚醒、認知、思考に非常に重要な役割を担う。
Ch1(内側中隔核)、Ch2(ブローカ対角帯核)からの海馬への入力は、θ波を発生させ、海馬の記憶固定に深く関与している。
中脳橋領域にあるCh5(橋脚被蓋核)とCh6(背側外側被蓋核)は、背側路と腹側路の2つの経路を介して覚醒に深く関わっている。
背側路のコリン作動性神経は、視床非特殊核を介して大脳皮質を覚醒させる経路である。脊髄視床路を上行する知覚神経ニューロンの一部が中脳網様体へ分岐し、髄板内核群へと投射して覚醒を担う上行性網様体賦活系の一部として働く。
腹側路のコリン作動性神経は、視床下部の内側前脳束を経由して、前脳基底部のマイネルト基底核に投射する。マイネルト基底核は大脳皮質の広範な領域に軸索を投射する。
内側前脳束経由でマイネルト基底核に投射するのはCh5,6神経以外にも背側縫線核(B7)5-HT神経、青斑核(A6)NA神経、網様体のグルタメート神経があり、マイネルト基底核は、これらの神経から興奮もしくは抑制入力を受けている。
具体的には、マイネルト基底核による大脳皮質賦活作用は、ノルアドレナリンとグルタメートにより増強される。セロトニンはマイネルト基底核を抑制するが、覚醒には関与せず、レム睡眠の発現にのみ関わるとされる。
アルツハイマー病は大脳皮質に投射するCh4(マイネルト基底核)や海馬に投射するCh1(内側中隔核)、Ch2(ブローカ対角帯核)の細胞が脱落していることが原因で起こる。
末梢神経の伝達物質としてのAch
アセチルコリンは、末梢では、運動神経の神経終末、交感神経と副交感神経の神経節、副交感神経(迷走神経)の神経終末、交感神経(汗腺のみ)の神経終末における伝達物質として機能しています。
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神経路の理解
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