興奮伝導

興奮(刺激)の伝導は電気によってなされていて、Na+(ナトリウムイオン)とK+(カリウムイオン)、Cl-(塩化物イオン)らが電気を作り出す元となっている。NaCl(塩化ナトリウム)は塩のことですので、塩が神経伝達になくてはならない、生きていくためには必要ということがわかると思う。

何も起こっていない状態(静止状態)では、Na-Kポンプの働き(ATPが必要)と、細胞膜のNa+透過性が低いという理由で、細胞外にNa+、細胞内にK+が多い状態となっている。

皮膚に刺激が与えられると、個々の受容器がそれぞれに対応する感覚を受容し、局所的に外向きの電流が生じる。この外向きの電流に促されて、 細胞膜のNa+透過性が高まって(Na+チャネルの開口)Na+の細胞膜内への流入が起こる

プラスのイオンが膜内へはいってきたので、内向きの局所電流が流れる。このNaチャネル開口による発生した電位を、活動電位と呼び、活動電位が生じるたことで分極の程度が減少する(-90mVから+35mVへの推移=0からの分極の程度が減少している。)ことを脱分極と呼ぶ。反対に、-90mVから-97mVへのようにさらに大きく分極した場合のことを過分極と呼ぶ。

活動電位が起こり、興奮の伝達が終わるとNa+チャネルが閉じて、K+チャネルが開口し、静止膜電位(-90mV)に戻る(再分極)。

Na+流入により発生した活動電位が脊髄後角や後索核(弧束核、薄核)へと達すると、神経終末が脱分極を起こして、終末部の 電位依存性N型、P/Q型Ca2+チャネルが開口して終末内部へCa2+が流入する。

流入したCa2+によって、シナプス小胞内から運動神経であればAch(アセチルコリン) 、自律神経であればAch、NE(ノルエピネフリン)、感覚(知覚)神経であれば、グルタミン酸、SP(サブスタンスP)、CGRPなどの神経伝達物質が放出される。

Ca2+の流入はNOにより促進され、オピオイドにより抑制される。オピオイドはGiタンパクを介してcAMPを減少させて、Caチャネルを閉鎖する(痛みの抑制、痒みには効かない)。

1次ニューロン神経終末から放出された化学伝達物質は2次ニューロンの細胞体上の特定の受容体に結合する。

結合によりCa2+、Na+、K+などの流入が起こり、また活動電位が発生する。発生した活動電位は視床VPL核ら3次ニューロンに伝達され、最終的に大脳皮質(体性感覚野)へと至る。

なお、三次ニューロンへの接続は共通であるが、触圧覚の一次ニューロンと二次ニューロンの接続は延髄の後索核にて、温痛覚の接続は脊髄後角と異なるので注意する。


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