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カフェインの薬剤に与える影響
カフェインはアデノシンの構造類似体として、アデノシン受容体(A1、A2A、A2B、A3)のうち、A1とA2A受容体に作用して、アデノシン拮抗作用(競合阻害による)を示す。またホスホジエステラーゼ阻害作用(テオドールと同作用)もある。
アデノシンは、心臓のA1受容体を介し、徐脈作用や房室伝導抑制作用、心収縮力抑制作用を発現する。冠血管や末梢血管ではA2受容体を介し、血管拡張作用を発現する。
一方、腎臓においてアデノシンはA1受容体を介して、輸入細動脈およびメサンギウム細胞の収縮、レニン分泌およびエリスロポエチン産生の低下、尿細管における水およびナトリウムの再吸収の亢進を引き起こす。また、A2受容体を介して輸出細動脈の拡張、レニン分泌およびエリスロポエチン産生の増加を引き起こす。
アデノシンA2A受容体は、大脳基底核回路内の線条体-淡蒼球経路(間接経路)に特異的に発現している。
受容体 | G蛋白 | Effecter | 部位 | 作用 |
---|---|---|---|---|
A1、α2 | Gi | AC↓ | 心臓・腎 | 心筋弛緩、心拍減少、腎輸入細動脈収縮 |
A2A、β | Gs | AC↑ | 脳・末梢血管・腎 | 血管拡張、腎輸出細動脈弛緩 |
A2B、β | Gs | AC↑ | ||
A3、α1 | Gq | PLC↑ |
カフェインが血管拡張(腎臓)と血管収縮(脳)という作用を同時に示すことのできる理由は、相反する挙動(AC↓とAC↑)を示すA1とA2Aに同時に作用し、かつ、それら受容体の分布密度が臓器により異なるために起こると考えられる。
また、ホスホジエステラーゼを阻害することでACを上昇させて気管支平滑筋を拡張するとともに、アデノシンに拮抗することで脳内ドパミンの作用を高めて覚醒や交感神経興奮作用を示す。(ドパミンとアデノシンはシーソーの関係。AchとDA、5HTとDAと同じく互いに拮抗する)
まとめると以下
- 心拍の上昇・・・A1
- 利尿作用(腎血流量の増加)・・・A1
- 頭痛の改善(脳血管収縮)・・・A2A
- 覚醒(ドパミン作用)・・・A2A
- 気管支拡張作用・・・PDE阻害
選択的アデノシンA2A拮抗薬としてパーキンソン病に適応を持つノウリアスト(イストラデフィリン)がある。
ドパミンは中型有棘細胞GABAニューロンを抑制するが、アセチルコリンやアデノシンはGABAニューロンを活性化して視床を抑制し、パーキンソン病(錐体外路障害)を引き起こす。すなわち、抗コリン薬やアデノシン拮抗薬はパーキンソン病の治療薬となり得る。
気管支拡張作用を示すPDE阻害剤-テオドール(テオフィリン)にはアデノシンA1受容体拮抗作用があると言われ、アデノシンによるけいれんの抑制作用を抑制し、けいれんを誘発させる機序が知られている。(小児薬の調剤)
アデノシン拮抗作用があるのでパーキンソン病の治療薬になりうるのではという検討がなされたことがあったらしいが、治験での有効性は示されず。
ドパミン神経系はもちろん中枢に存在するため、A1ではなく中枢に多いA2Aに特異的に拮抗するノウリアストが効果を示し、テオドールが効果がなかったのであろう。
(参考・引用:ノウリアストIF、生体システム間境界領域におけるATP・アデノシン情報伝達の役割、G蛋白共役型受容体、wiki)
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