難病医療(54)と特定疾患(51)
目次
新制度(H27.1.1以降)の概要
新制度による変更点は以下
- 平成27年1月より、既存の特定疾患医療(法別番号51)から難病医療(法別番号54)となり、新しい医療費助成層度に変わります。ただし、一部の疾患(スモン等)については引き続き特定疾病(法別番号51)での医療費助成となります。
- 平成27年1月1日以降は、医療費助成の対象となる医療機関等(病院、診療所、薬局、訪問看護事業所)は、都道府県が指定した「指定医療機関」に限定されます。
- 原則、指定されていない医療機関等を受診した際の医療費等については、償還払いの対象となりません。→昔は受給者証に医療機関名が記載されておりその薬局でしかもらえませんでしたが、現在は県内の指定医療機関であればどこでも受け付けることができる。
- 患者が県外の医療機関にかかる場合は、医療機関の所在地の都道府県の指定があれば利用することができます。
- 医療費助成の対象疾病を56疾病から110疾病へ大幅拡大
- 入院と外来の区別がなくなります。
- 医療費の自己負担が3割から2割に変わります。
- 所得に応じ、自己負担する金額の限度額が、これまでの制度から変わります。
- 新たな医療費助成制度の対称となるのは、指定難病で、①病状の程度が一定程度以上の方、もしくは②高度な医療を継続することが必要な方となります。
- 「難治性肝炎のうち劇症肝炎」「重症急性膵炎」に罹患されている方は新たな制度の対象となりません。ただし、現行制度で認定されている方は、平成27年1月以降も医療費助成が受けられます。
- スモンは、平成27年1月以降も現行の医療費助成制度の対象となります。
- 経過措置(3年間:平成29年12月31日まで、1年毎に更新が必要)期間については、既認定者の負担上限額は、新規認定者より負担を軽減します。
- 医療給付の内容は、医療受給者証に記載された疾病及びその疾病に付随して発生する傷病を治療するために受ける診療、調剤、居宅における療養上の管理及びその治療に伴う看護などです。各種医療保険を適用した後の自己負担額から、「月額自己負担上限額」を控除した額を助成します。ただし、入院時の食事代と生活療養標準負担額は含みません。
- 介護の給付の内容は、指定医療機関が行う次のサービスに限ります。①訪問看護 ②訪問リハビリテーション ③居宅療養管理指導 ④介護療養施設サービス⑤介護予防訪問看護 ⑥介護予防訪問リハビリテーション ⑦介護予防居宅療養管理指導(3)上記の医療費助成は、国疾病の場合、あらかじめ都道府県の指定を受けた医療機関(病院、診療所、薬局)又は訪問看護事業者で受診をした場合に限り受けられます。→居宅療養管理指導も、県独自の難病でない限りは管理票で管理し、負担金額に含める。
- 受給者は、原則として、受給者証に記載された指定医療機関を受診することになるが、難病法が施行されてから間もない時期であることを考慮し、暫定的な対応として、受給者証に名称が記載されていない指定医療機関での診療等も医療費助成の対象と認める(H27.10.1 疾1443-6号。H28.12現在継続中)
概要
厚生労働省が指定した、特定疾患治療研究事業対象疾患(56疾患110疾患+196疾患→H27.7に306疾病へ)に対する医療費助成制度です。
認定を受けると、「特定疾患受給者証」が交付されます。有効期限は申請を行った日から1年以内の9月30日まで1月1日~12月31日までです。
(注:上受給者証例は、下図にあるように新制度に移行する前の一時的なものであり、医療保険の適用区分、医療機関等の名称が記載された受給者証が後日発行される予定)
受給者証に記載された適用区分のAとかCとかⅣとかは所得区分であり、高額療養費の自己負担限度額を算出するときに使用するものです(特定疾患の自己負担限度額とは別物)。下記対応表を元にして、レセコン入力の時に該当する区分を打ち込みます。(レセプトの特記事項欄への記載が必須のため)
70歳未満
区分 | 数字(年3回未満) | 数字(年3回以上) | 負担 | 限度額適用認定証 (適用区分) |
---|---|---|---|---|
ア:上位 | 26区ア | 31多ア | 3割 | ア |
イ:上位 | 27区イ | 32多イ | イ | |
ウ:一般 | 28区ウ | 33多ウ | ウ | |
エ:一般 | 29区エ | 24多エ | エ | |
オ:低所 | 30区オ | 35多オ | オ |
70歳以上
区分 | 数字(年3回未満) | 数字(年3回以上) | 負担 | 限度額適用認定証 (適用区分) |
---|---|---|---|---|
現役並みⅢ | 26区ア | 31多ア | 3割 | - |
現役並みⅡ | 27区イ | 32多イ | 現役Ⅱ | |
現役並みⅠ | 28区ウ | 33多ウ | 現役Ⅰ | |
一般 | 29区エ | 34多エ | 2割or1割 | - |
低所得者Ⅱ | 30区オ | - | Ⅱ | |
低所得者Ⅰ | Ⅰ |
54の処方箋を受けるのに、保険薬局であれば、別途他に申請を受けている必要はありません(栃木)。※埼玉は届出が必要など県により異なるようです。H27.1.1の新制度では6年毎の届出が必要になります。
特定疾患(指定難病)の公費申請の流れ
上記に掲げる指定難病にかかっているものが、医師から指定難病との診断を受けると公賓申請ができる。
指定難病の診断が出たら、保健所にて、臨床調査個人票(診断書)と特定医療費(指定難病)支給認定申請書を入手する。臨床調査個人票には新規と更新の二種類あるので注意する。
臨床調査個人票は病院へ提出し医師に記載してもらい、特定医療費支給認定申請書は患者自身で記入、これを保健所へ提出する(マイナンバーの番号と本人確認書類が別に必要)。
これらの手続きを終えると、保健所から自宅へ受給者証と自己負担上限管理表が送付される。
ただし、実際に送付されるのは2~3ヶ月後と申請後かなり時間が立っていることが多いが、後日償還払いの申請をすることで戻る。
特定疾患(指定難病)の自己負担限度額
以下の自己負担限度額の表は、受給者証に記載されている1医療機関で支払う医療費の限度額であり、調剤薬局の薬剤費については負担金が生じません。
受給者証は医療機関の名称だけで薬局の名称は書かれていないと思います。(医療機関の名称すら書いていない場合はある。埼玉)
保険調剤薬局(外来)については、医療助成対象について「負担なし」から「2割」に引き上げられます。(健康保険優先のため1割負担の方は1割、3割負担の人は2割)
受診した複数の医療機関等の自己負担をすべて合算した上で負担上限額を適用します。
医療費(薬局では保険調剤の他、介護費(居宅療養管理指導等)を、自己負担額上限額管理票を用いて月額自己負担上限額の管理を行います。
世帯の所得の階層区分に応じた負担上限額が設定されます。(外来・入院で負担額の区別はなし)
(図:参考資料より)
旧制度(H27.1.1以前)
階層区分 | 対象者別の一部自己負担の月額限度額 | ||
入院 | 外来等 | 生計中心者が 患者本人の場合 | |
ただし、スモン・プリオン病、劇症肝炎、重症急性膵炎の患者及び、重度患者の認定を受けた場合には自己負担金額はありません。
受給者証内容に変更があった場合
特定疾患(指定難病)医療費の払い戻し
医療費の払い戻し(それまでは受給者証を持っておらず、3割等で負担していたが、申請を行い、申請書を保健所に受理されてから、受給者証を交付されるまでの間の医療費)については、薬局も関わることになります。
交付された受給者証を確認し、受給期間内で3割で薬代を支払っていた場合、上記のように負担金は生じないので、その間に頂いた3割分をお返しします。
その際、患者さんが一般特定疾患治療研究費請求書(医療保険用)という書類を持ってくるので、太枠内を記入します。自己負担限度額は薬局には関係ないですが、一応うつしときます。
栃木記入例
埼玉記入例
埼玉県の償還払いの方法は埼玉県のHP(療養費支給申請の手続き)参照
- 療養費支給申請書・・・患者が書いて提出
- 指定難病療養証明書(医療保険・原則)・・・薬局が記入
- 指定難病療養証明書(介護保険)・・・薬局が記入。サービス利用票orサービス提供票を添付するように書かれているが、在宅でない場合(施設入所の場合など)はサービス提供票がないので、介護の領収書(項目がわかるもの)を添付して提出。
指定医療機関未申請の医療機関
H27年1月1日以降、難病法指定医療機関の申請を出していない医療機関は、難病法対象疾患の医療費助成の対象となる医療機関とはみなされません。
54処方箋の発行、54処方箋の調剤ともに行うことができないため、医療保険での請求となります。(54を使わずに医療保険のみで治療を受けることもできます。1割の方で1月の窓口負担が限りなく少なく、自己負担上限までは届かない人は54を使わないという手もあるかと思います。)
なお、現時点で医療機関の指定を受けていなかったとしても、県の方で日付をさかのぼって指定を受けれる証明書を発行してくれる?らしいので、レセプトを先延ばしにすれば問題なく54処方箋を処理できるかと思います。
埼玉県単独指定疾病の取り扱い等について
指定医療機関について(埼玉県)
「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が平成27年1月1日から施行となり、新たな難病医療費助成制度が実施されます。
新制度では、知事の指定を受けた医療機関等が行う医療に限り、難病患者の方が助成を受けることが出来ます。
指定医療機関の指定を受けるためには、申請の手続が必要になります。
現行制度における委託契約を集結している医療機関等や埼玉県医師会に加入している医療機関も、新制度では申請が必要になります。
現在、平成26年9月30日を有効期間満了日とする特定疾患医療受給者資格の有効期間を平成26年12月31日までとします。
要件(難病法第14条第1項)
以下の医療機関等であること。
- 保険医療機関
- 保険薬局
- 健康保険法に規定する指定訪問看護事業者
- 介護保険法に規定する指定居宅サービス事業者(訪問看護を行うものに限る)
- 介護保険法に規定する指定介護予防サービス事業者(介護予防訪問看護を行うものに限る】
難病法第14条第2項で定める欠落事項に該当していないこと。
責務(難病法第16条、第17条、第18条)
指定医療機関は、指定難病の患者の療養生活の質の向上を図るため、良質かつ適切な特定医療を行わなければならない。
指定医療機関の診療方針は、健康保険の診療方針の例による。
指定医療機関は、指定医療の実施に関し、知事の指導を受けなければならない。
指定医療機関の申込手続き等
「指定医療機関指定申請書」を郵送で提出する。同一の開設者が多数の医療機関(薬局等)の申請を行う場合は事前にご相談下さい。
留意事項
指定後、埼玉県から申請者宛に指定書を送付します。
指定医療機関の名称、所在地等は、埼玉県のホームページ等で公示します。
指定の有効期間は6年間です。更新の手続きについては、健康保険法の保険医療機関又は保険薬局の指定の更新方法に準じて行います。
軽症高額該当について(特例)
特定医療費の支給認定の要件である重症度分類等を満たさないものの、月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある患者については、支給認定を行う。
(対象者)
支給認定の申請日の属する月以前の12ヶ月胃内(※)において、医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある患者。
※①申請日の属する月から起算して12ヶ月、又は②支給認定を受けようとする指定難病の患者が当該指定難病を発症したと難病指定医が認めた月を比較していずれか後の月から申請日の属する月までの期間。
(確認方法)
・医療費総額33,330円に考慮する医療費については、指定難病に関わるもののみとし、次のいずれかの方法で説明する。
- ①医療費申告書に領収書等を添付(新規申請の場合)
- ②自己負担上限額管理票(更新申請の場合)
- ③医療費管理票(最新性の場合)
※②又は③がない場合又はこれらの記載が不十分な場合には医療費申告書に領収書等を添付
・特定医療費の支給対象となり得る介護保険サービスに要する費用は含み、入院等の食事療養費・生活療養費は除く。
コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。
記事No1780 題名:レセプトについて 投稿者:事務 投稿日:2021-09-08 11:41:05
ありがとうございました
記事No1778 題名:Re:事務様 投稿者:管理人tera 投稿日:2021-09-07 17:16:07
54ですと請求先が同じなので、レセプトは1枚にまとめていただいてよろしいかと思います。
ただ、同日に受け付けた処方箋でなければわざわざ54つきの画面で54を外して入力をするまではしなくてもレセコンがうまく処理してくれるとは思います。
ただ、めったにレセコンに触らないのでおそらくこうかなという程度にとってください。
記事No1777 題名:レセプトについて 投稿者:事務 投稿日:2021-09-07 15:26:04
54含む3医療機関を受診されています。
A=54 BC=国保のみ
この場合入力はどのようにしたらいいのでしょうか?
Aは普通に54つきの入力をします。
BCは国保だけの入力を作るのか
54つきの保険で対象医薬品から外すのか。
レセプトを1人で2つか1つかにどちらですれば困っています。
わかりにくくてすみません。
よろしくお願いいたします。
記事No1740 題名:自己負担金額管理指導について 投稿者:匿名希望者 投稿日:2021-07-05 08:33:22
教えて頂きありがとうございました。
記事No1738 題名:Re:匿名希望者様 投稿者:管理人tera 投稿日:2021-07-04 00:07:41
6月のレセプトとして請求するのであれば6月の所に記載しても問題ないですが、5月で処理しているものを6月に渡したのであればそれは5月で処理すべきかとは思います。
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