目次
- 突合点検・縦覧点検
- 突合点検・縦覧点検の具体的な項目
- コメント
突合点検・縦覧点検
突合点検
突合点検では、処方箋を発行した医療機関のレセプトとその処方箋に基づいて調剤を行った薬局のレセプトをコンピュータを用いて患者単位に紐付け
医科・歯科レセプトに記載された傷病名と調剤レセプトに記載されている医薬品の「適応」、「投与量」、「投与日数」を点検
点検後の審査の結果、査定がある場合
- 調剤が不適当な場合は、薬局の支払額から差し引く
- 処方箋が不適当な場合は、医療機関への支払額から差し引く
突合要件
- 医科、歯科レセプトと調剤レセプト双方が電子レセプトであること
- 診療月、調剤月が同じであり、同一月に支払基金に請求されたものであること
注:現行の調剤審査における「1500点以上の調剤レセプト」という制限は設けない。
具体的項目
区分 | チェック内容 | チェック条件 |
---|---|---|
算定ルール チェック |
医科・歯科のレセプトの記録されている処方箋料の種類と調剤レセプトに記録されている医薬品の品目数の適否等 | 医科・歯科のレセプトでは、7種類未満の内服薬の投与を行った場合の処方箋料が算定されているのに対して調剤レセプトで7種類以上の内服薬が記録されていかいか等 【参考】 ・7種類以上の内服薬の処方箋料=400円 ・7種類未満の内服薬の処方箋料=680円 |
医薬品 チェック |
適応症 | 調剤レセプトに記録されている医薬品に対する適応傷病名が、医科・歯科レセプトに記録されているか |
投与量 | 調剤レセプトに記録されている医薬品の投与量が、医科・歯科レセプトとに記載されている傷病名に対する投与量として妥当か | |
投与日数 | 調剤レセプトに記録されている医薬品の投与日数が制限を超えていないか | |
傷病名と医薬品の禁忌 | 調剤レセプトに記録されている医薬品の禁忌病名が医科・歯科レセプトに記載されているか | |
医薬品と医薬品の併用禁忌 | 調剤レセプトに記録されている医薬品の中に併用禁忌、併用注意に該当するものはないか |
縦覧点検
縦覧点検では、複数月にわたって同一医療機関から請求された同一患者のレセプトをコンピュータを用いて紐付け
同一付きに同一医療機関から請求された同一患者の「入院」及び「入院外」レセプトをコンピュータを用いて紐付け
点検は、当月請求されたレセプトについて、過去の請求内容を参照しながら行う(入院と入院外は同一月のレセプトの請求内容)
このことから、参照する過去のレセプトを査定対象とはしない
注:過去のレセプトに誤りを発見した場合、必要に応じ保険者又は医療機関に連絡し、再審査請求を受けて改めて審査
縦覧要件
- 支払基金は、請求内容を参照するため、過去6ヶ月分のレセプトをコンピュータ内に蓄積
- 紐付けするレセプトは、同一医療機関から請求された同一患者に関わるもののみ
- 6ヶ月を超える算定ルールについては、当該行為のみ抽出して患者単位に蓄積
具体的項目
区分 | チェック内容 | チェック要件 |
---|---|---|
算定ルール チェック |
一定期間内における算定回数等の適否 | 3月に1回を限度として算定できる診療行為が3月に2回以上算定されていないか等 |
医薬品 チェック |
投与量 | 突合と同様 |
投与日数 | ||
診療行為 チェック |
実施回数 | 特定の診療行為が過剰に算定されていないか |
過去の審査履歴に照らした チェック |
過去の算定事例と同じ請求 | 前月の査定事例と同じ請求が同一患者について行われていないか |
突合点検・縦覧点検の具体的な項目
適応外処方等
- 胃・十二指腸潰瘍と診断されない患者に対するヘリコバクター・ピロリ除菌療法
- 静脈留置針穿時以外に使用したペンレス
- 単なる逆流性食道炎に8週超えて投与したパリエット
- 治癒後の傷病にもかかわらず投与し算定しているアストミン錠10mg
- 胃腸炎関連痙攣の患者に投与したテグレトール細粒
- 統合失調症の患者に投与したマイスリー錠
- 適応外の疾患に使用した二次感染の併発等のない湿疹にリンデロンVG軟膏
- 適応外の疾患に使用した女性に対するキシロカインゼリー2%(女性患者の導尿)
- 適応外として使用した術直後の創傷処置に対するソフラチュール
- 適応外の疾患に投与したロヒプノール錠11錠の頓用処方
- 適応外の疾患に投与したニトロダームTTS、アゼプチン、オパルモン
- 適応傷病名がないにもかかわらず投与したパキシル、PL顆粒
病名禁忌
- 消化性潰瘍のある患者に投与したカロナール、ロキソニン、ボルタレンサポ、メブロン
- 胃潰瘍の患者に投与したボルタレンサポ
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の病名がありながら投与したロキソニン
- 緑内障の患者に投与したレンドルミン、PL顆粒、ニトロール錠
- うっ血性心不全の患者に投与したリスモダン、テノーミン
多剤投与等
- 睡眠導入剤、下剤などの多剤投与
- 慢性膵炎に対するフオイパンの6錠投与(6ヶ月上限)
- 適宜増減との記載がないものは1日最大量まで。適宜増減とある薬剤は「2倍量」を上限とする。上限量が示されている薬剤はその量を上限とする。しかし、上限量を超える算定の理由が注記され、その医学的必要性を審査委員会が認めた場合は、例外として算定を認めることがある。
肝・胆・消化機能改善剤
- ウルソ、ウルデストン他・・・肝機能障害、肝炎、脂肪肝は300mgまで。慢性肝炎、B型肝炎、胆石は600mgまで。原発性胆汁性肝硬変、C型(慢性)肝炎、肝硬変、自己免疫性肝炎は900mgまで
タンパク分解酵素阻害剤
- 慢性膵炎の急性増悪から、6ヶ月以内→1日6Tまで、6ヶ月超→1日3Tまで
- 急性膵炎は診療開始日から、6ヶ月以内→1日6Tまで、6ヶ月超→3Tまで
- 術後逆流性食道炎は1日3Tまで。胃がん・食道がんがあって、逆流性食道炎がある場合は1日3Tまで。
- 医科レセ詳記に膵炎の増悪と記載があれば6Tまで
投与量
- ブロプレス(高血圧、腎実質性高血圧、慢性腎不全、腎疾患):1日12mgまで
- PGE1製剤(オパルモン、プロレナール):慢性動脈閉塞症、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓血管炎→6錠まで、腰部脊柱管狭窄症→3錠まで
- アラセナA軟膏:単純疱疹、カポジー水痘様発疹症→5gまで、帯状疱疹、ハント症候群→30gまで。アラセナとバルトレックス併用は基本的には単純・帯状共にできない。帯状疱疹はダメだが、単純疱疹だけは併用OKとしているところもあり。
★軟膏の1ヶ月の投与量について
部位 | 投与量 |
---|---|
全身 | 900g |
体幹 | 400g |
両上下肢 | 400g |
両上肢 | 200g |
両下肢 | 300g |
片上肢 | 100g |
片下肢 | 200g |
手と足 | 150g |
手又は足 | 80g |
頭・顔・首 | 80g |
臀部 | 150g |
指・趾 | 40g |
ヒルドイド | 400g(埼玉は大人200g・小児100gというデータも有り) |
副腎皮質ホルモン剤 | 250g(外用テープ1枚は1枚4g換算) |
ボンアルファハイ軟膏、ドボネックス軟膏 | ボンアルファ:200g、ドボネックス:360g |
オキサロール軟膏 | 300g |
プロトピック軟膏 | 90g(1日最大投与量は10g) |
プロスタンディン軟膏 | 280g |
フロジン液、アロビックス | 120ml |
疑義照会の事例
- 消化性潰瘍が違われる患者に対して投与されている、PL、バイアスピリン、バファリン、アセトアミノフェン、ボルタレン、ロキソニン等
- うっ血性心不全が疑われる患者に対して投与されている、サンリズム、シベノール等
- 緑内障が疑われる患者にたいして投与されている、ポラキス、バップフォー等
- パーキンソン病が疑われる患者に対するインプロメン、セレネース等
- てんかんが疑われる患者に対するルジオミール等
- 倍量処方(ハルシオン、マイスリー、レンドルミン、ロヒプノール、ユーロジン等)
- アムロジン、ディオバン、カルデナリン等の1日2回投与
- プリンペラン、漢方等の食後服用
- プルゼニドの1回48mgを超える投与
- プロマック顆粒を味覚異常患者に投与
- マイスリー錠を統合失調症、躁鬱病に伴う不眠症の患者に投与
- 抗菌薬、化学療法剤を投与していない患者に対するビオフェルミンRの投与
- 異なる医師によるセルタッチの処方
- 異なる医師によるポンタールカプセルとボルタレン坐薬の処方
- セルベックス細粒とセルベックスカプセル
- リンデロンVG軟膏とリンデロンDP軟膏
- パリエットとガスターD錠
- 漫然と長期に渡り処方されている医薬品の処方(メチコバール、シナール、ビタメジン、ノイロトロピン、フラビタン、ピドキサール等、キネダック、サアミオン、ケタス等)
- PPIの8週間以上投与
- 検査前投与の記載があるトリクロリールシロップ、ラキソベロン液
- 処方箋で自己注射の消毒に使用することが明確である消毒液
- ウルソとリーバクトの併用
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記事No2424 題名:突合について 投稿者:鎌田隆広 投稿日:2023-03-27 20:42:45
医療機関と調剤薬局のコンピューターによる突合が、この医薬品の品薄時に、本当にしっかりと行われているのでしょうか?
医療機関に働いているのですが、これが行われていないとのであれば、後々、患者様の体に何か起きた時に、国内中で問題となり、厚労省を含めた問題となるのでは?保険者として今のうちに対策を取らないといけないのではないでしょうか。四日市にあるみたき総合病院では、少しはそれに対応できるよう行っております。これでは、後々と大変なことになるのではないかと心配しております。
記事No2333 題名:Re:あいあい様 投稿者:管理人tera 投稿日:2022-11-09 22:14:43
これは県の問題ですね。
県の薬剤師会等に確認してみるしかないと思います。
うちは埼玉なので、併用不可となっています。
記事No2331 題名:バラシクロビル錠とビダラビン軟膏の併用 投稿者:あいあい 投稿日:2022-11-07 09:35:34
コメント失礼いたします。
バラシクロビル錠500㎎とビダラビン軟膏が一緒に処方になった場合、今までは必ず疑義照会をかけていたのですが、すこし前に皮膚科のドクターから「それ、併用OKになったんだよ」と疑義照会の際に回答いただきました。しかし、調べてもそのような記述はみつけることができません。地域によっても違うのでしょうか。東京都23区です。
記事No1579 題名:Re:tera様 投稿者:薬剤師1年目 投稿日:2021-01-13 21:57:15
お忙しいところ、ご教授いただき本当にありがとうございました!
返信が遅くなってしまい大変失礼致しました!
きちんと適応の違いを意識しておりませんでした。
これまで複数の店舗でリーバクトとウルソ併用例を散見したのですが、これらの突合が返ってきてないのはたまたま目に留まらずすり抜けていたからという事なんでしょうか……。
本当に勉強になりました。
過去コメント282も参照させていただきます。
ありがとうございました。
記事No1573 題名:Re:薬剤師1年目様 投稿者:管理人tera 投稿日:2021-01-06 15:33:19
はじめまして。
まずはじめに、当ページの引用元については、過去コメNo282を参照していただくとして、
ウルソとリーバクトの併用については、
リーバクトは非代償性肝硬変に対する適応であり、ウルソは非代償性肝硬変についての有効性は確立していないと添付文書上なっているからだと思われます。
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