多汗症の治療法

多汗症の治療には塗り薬、注射薬、手術等がある。

  • 塗り薬(ラピフォートワイプorエクロックゲルor塩化アルミニウム液)・・・下記参照
  • 注射薬(A型ボツリヌス毒素)・・・汗を出す命令を伝える神経に作用する毒素をわきに注射
  • 手術・・・汗を出す命令を伝える神経を切断
  • その他・・・神経ブロック、レーザー治療、精神療法等

ラピフォート(グリコピロニウムトシル酸塩水和物)ワイプ

作用機序はエクロックと同じ。1日1回、1回使い切りのワイプ1枚を用いて腋窩に塗布する。

エクロック(ソフピロニウム臭化物)ゲルの使い方

エクロックゲルは有効成分が皮膚から浸透して、エクリン汗腺の交感神経から発汗の指令を受ける部分をブロックすることで発汗を抑えることができる。具体的には、エクリン汗腺に発現するムスカリン受容体(M3)に結合して交感神経からのシグナルを阻害する。

ツイストボトル(40g)が2023.6.1発売になった。これにより直接腋窩に塗布できるようになるとともに、旧40g製品と比べてコンパクトになった。

  • この抗コリン作用による機序ゆえに、腋窩のみの使用に限定される。手についたあとに目をいじったり、他の人に触ったりして抗コリン作用による散瞳作用といった副作用が出ることを防ぐためでも有る。
  • 同機序により、上画像のように、アプリケーターを使ってゲルを腋窩に塗布する(直接触らない)。
  • さらに、原発性腋窩多汗症という縛りがあり、以下6項目のうち2項目が当てはまる必要がある。
    • 最初に症状が出るのが25歳以下であること
    • 左右両方で同じように発汗が見られること
    • 睡眠中は発汗が止まっていること
    • 1週間に1回以上の多汗の症状が出ること
    • 家族にも同じ疾患の患者さんがいること
    • 脇汗によって日常生活に支障をきたすこと
  • 原発性腋窩多汗症の病名が確定したあと、レセプトの摘要欄にHDSSのいくつに該当するか(最低3-4)を記載しなければならない。
    • 1、発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない。
    • 2、発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある。
    • 3、発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある。
    • 4、発汗は我慢できず、日常生活に支障がある。

塩化アルミニウム液の作り方

塩化アルミニウムは、汗の出口を塞ぐ働きがあるので、脇や手のひら等に塗布することで汗を抑える効果がある。金額は自費になるが、材料費はそんなに高くはないので、100ml位ならワンコインで買える。

器具

  • メスフラスコ・・・500ml用
  • ビーカー・・・300ml以上
  • ロート
  • ろ紙
  • スパーテルやガラス棒、秤などの小道具

材料

  • 塩化アルミニウム(Ⅲ)六水和物・・・100g
  • ホウ砂・・・4g
  • 精製水・・・500ml

作り方

塩化アルミニウム(無水物ではなく6水和物。アルミニウムに水分子が6つ配位したもので、水に用意に溶解し、水酸化アルミニウムと塩酸に加水分解する)とホウ砂(弱アルカリで中和及び防腐剤として)を量り取り、ビーカーに少しずつ水300mlと一緒に加えて溶かす。(一度に加えると発熱するが、大した発熱ではない)

メスフラスコにロートとろ紙をセットし、溶かした溶液をろ過する。ろ過の時、余った精製水で少しビーカーを洗ってろ過。

ろ過したら、残りの精製水をメスフラスコの500mlの線まで加えて混ぜる。残り全量を入れると500mlを超えるので、500mlになる分だけ加えて残りは捨てる。

精製水の入っていたボトルに戻して終わり。

使い方

水酸化アルミニウムが汗腺に蓋をするので、すぐに洗い流さない夜寝る前に塗布(orスプレー容器とかに入れてスプレー)し、起きたら石鹸で洗うか濡れタオルで拭き取る(肌荒れ防止のため。肌が強ければそのままでもよいが普通は流す)。

持続時間は詳しくは不明だが1日1回の塗布で、長く使っていくと、効果時間が伸びるとのこと。

効果が薄い場合手袋などで密封する。

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