抗痒/抗炎症薬(ステロイド、NSAIDs以外)の種類と作用機序

抗痒/抗炎症薬の種類

分類 成分名 適用法
亜鉛華 亜鉛華 酸化亜鉛
サトウザルベ
ポチシート
カチリ 酸化亜鉛+フェノール
タール剤 グリパスC グリテール+亜鉛華+ジフェンヒドラミン
グリメサゾン グリテール+デキサメタゾン
モクタール モクタール
アズレン軟膏 アズノール ジメチルイソプロピルアズレン
クロタミトン軟膏 オイラックス(H) クロタミトン(ヒドロコルチゾン)

亜鉛華軟膏(20%)と亜鉛華単軟膏(10%)は、酸化亜鉛の濃度が異なる。継続使用では20%は過乾燥で痒みなどを生じるので10%が最適である。

また、基剤も亜鉛華単軟膏がサラシミツロウと植物油の油同士を混ぜたものであるため、吸水性が低いが、亜鉛華軟膏の基剤は白色軟膏(乳化剤配合)であるため、前者に比べて吸水性が高い。すなわち、浸出液が多い時は亜鉛華軟膏、少なくなってきたら亜鉛華単軟膏に変えるのが望ましい。

これら薬物はステロイドとはまったく異なる機序で抗そう痒・抗炎症薬作用を示します。作用は緩和なものがほとんどで、 ステロイドの強さランクで言えばweakクラスに相当します。

しかし、ステロイドではないのでコレステロール皮膚炎のリバウンドも起こらず、 かつ作用が緩和なのでプロトピックのような急にやめたときの交感神経緊張による悪化も起こりません。

そのため、 脱ステ、脱プロトの際に使っている場合が多いです。

亜鉛華

亜鉛華製剤は主成分である酸化亜鉛が、皮膚のタンパク質と結合することによる被膜作用や収斂作用(血管収縮)、弱い抗炎症、 分泌液吸収作用を示します。

亜鉛華の抗炎症作用は、酸化亜鉛が細胞質内および核内に吸収されて、酵素活性を賦活することによる。

亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違いは基剤が白色軟膏か単軟膏かの違いであり、亜鉛華軟膏の基剤である白色軟膏には セスキオレイン酸ソルビタンが含有されているため、吸水性が高い。 フェノールは消毒剤です。

タール剤

タール剤は、上記のもの以外にもありますが、薬価収載成分はグリテールとモクタールの2つのみです。グリテールは脱脂大豆乾留タール とも呼ばれる大豆由来のタール液で、モクタールはアカマツ、クロマツその他同属植物の木部から得たタール液のことです。

どちらも抗そう痒・抗炎症作用を持ちますが、においが強いので敬遠されがちです

タール剤(特にモクタール)は脱ステの際に使用される薬の代表で、副作用がなく安全な反面、塗布した場合に余計に痒くなって掻きむしってしまい、 逆に悪化させるケースも多々あります。 使用してみて余計に体に手が行くようでしたらすぐに中止することを勧めます。

置いている薬局は少ないですが、薬価収載品のため、取り寄せは可能です(保険もききます)。

アズレン

アズノールの成分であるジメチルイソプロピルアズレンは天然物由来であり、抗炎症作用、ヒスタミン遊離抑制作用、創傷治癒促進作用、 抗アレルギー作用を持ちます。

ハチアズレ、アズノールなどのうがい薬でもよく使われます。

副作用はないものの、やはりかぶれる方は結構います(基剤のラノリンのせいかもしれませんが・・・)

クロタミトン

クロタミトンは痒み止めとして用いられます。皮膚に軽いしゃく熱感を与えて、 VR1?で競合を起こさせ、痒みを止めると考えられています。

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