局所麻酔薬の種類と作用機序
局所麻酔薬の種類
分類 | 成分名 | 適用法 | 特徴 |
アルカロイド | コカイン | 表面 | 麻薬、組織浸透性が高く表面麻酔のみの適用 |
エステル型 | 塩酸プロカイン | 浸潤 伝達 脊椎 |
組織浸透性が悪い。歯科領域で主として用いる |
塩酸オキシプロカイン | 表面 | 泌尿器、気管、胃などの麻酔 | |
塩酸テトラカイン | 表面 浸潤 伝達 脊椎 |
プロカインより強力かつ毒性強い | |
アミノ安息香酸エチル | 表面 | 皮膚の鎮痛、鎮痒 | |
アミド型 | 塩酸ジブカイン | 表面 浸潤 伝達 脊椎 |
効力はかなり強いが毒性も強い |
リドカイン | 表面 浸潤 伝達 脊椎 |
中枢抑制作用もしめす。抗不整脈薬としても用いる | |
塩酸メピバカイン | 浸潤 伝達 脊椎 |
||
その他 | オキセサゼイン | 表面 | 製品名ストロカインとして胃粘膜の鎮痛に用いる |
ここで紹介した中で実際に痒み止めとして使われているのは、アミノ安息香酸エチル、塩酸ジブカイン、リドカインの3種でしょう。ジブカインとリドカインは市販の痒み止めの中によく配合されています。皮膚科領域ではリドカインワセリンの形で痛み止めとしてたまに使用されます。
エステル型は血中のコリンエステラーゼにより分解されるので、持続時間が短く、アレルギーを起こしやすいが、アミド型はコリンエステラーゼにて分解されないため、持続性である。アミド型は肝臓にてP450で代謝を受ける。
なお、アトピーの治療薬として載せてはいますが、全身性、中枢性の副作用が心配されるため、 実際のアトピー性皮膚炎の治療には用いませんので注意してください。局所麻酔薬入りの薬は全身の痒みではなく、蚊に刺されたときのような局所の痒みに用います。
局所麻酔薬の作用機序
局所麻酔薬はNa+チャネルを遮断することで、Na+の細胞内への流入を阻害し、活動電位の発生を止めます。これにより痒みや痛みの原因となる刺激が脳へ伝わらず、痒さ、痛みを感じなくなります。
局所麻酔薬の適用法は表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔、脊椎麻酔の4つあって、このうち痒みの抑制に用いられる方法は表面麻酔のみとなります。
表面麻酔は粘膜に表面から塗布する方法で、組織浸透性の高い薬物が使用されます。浸潤麻酔は知覚神経末端の細い線維(C線維)を麻痺させる 方法、伝達麻酔は神経幹に対して麻酔する方法、脊椎麻酔は脊椎膜のくも膜下腔に注入する方法です。
局所麻酔薬の副作用
局所麻酔薬の副作用は血管系のものと中枢系のものの2つあります。
コカインはNa+チャネル遮断作用のほかに、NE再取り込み阻害作用とBBBを通過して中枢抑制作用を示します。そのため、大量に投与するとNEの量が増えて、血管が収縮するとともに、精神依存に陥ります。
コカイン以外の局所麻酔薬にはNE再取り込み阻害作用はないので血管収縮作用はありません。 そのため、Na+チャネル遮断作用による血管拡張作用(C線維は痒みの線維だけでなく、自律神経節後線維でもある) がでてしまい、大量投与をするとショックが起こる可能性があります。局所麻酔薬投与の際にエピネフリンを併用するのはこのためです。
リドカインは、中枢抑制作用を示すため、大量投与で眠気が出ます。メピバカインは血管拡張作用を持たない。
コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。
- << 前のページ
- 次のページ >>