化粧水の使用法
化粧水を使用する目的は、皮膚に潤いを与えることであるが、基剤が主として水であるため蒸発しやすく、乳液、クリーム、軟膏ほどの水分保持作用はない。
化粧水と乳液やファンデーション、そして、その他のローションやクリームタイプの保湿剤、ワセリンなどの油脂性基剤の併用は、全く問題はないが、 塗布する順番を間違えると、期待される効果すらでないこともあるので注意したい。
基本的には、水溶性の高いものを先に塗布し、順々に脂溶性の高いものを重ねて塗っていけばよい。
化粧水→乳液→ファンデーションの順番に、ヒルドイドローションやワセリンを効率よく組み込むためには、 化粧水→ヒルドイドローション→乳液→ワセリン→ファンデーションという順番に塗布すればよい。
こうすることで、ヒアルロン酸様作用を持つヒルドイドが化粧水の成分を吸着しておき、それを乳液でコーティングし、さらにその上から蒸発を防ぐワセリンを コーティング、最後に薬効に関係しないファンデーションを塗るというふうに互いの効果を助長することができる。
化粧水の成分
化粧水は先に述べたとおり、皮膚に潤いを与えられればよいので、特に何かを混ぜなければならないという規定はありません。
アトピー性皮膚炎の人に限って言えば、セラミド不足と表皮バリア機能が低下して水分が逃げやすくなっているため、いくら過剰に保湿成分を混ぜても、すぐに 水分は蒸発する上に、水分を保持するために加えた物質が肌に残って刺激となるだけなので、なるべく、表皮に存在している保湿成分や皮脂と同じ油成分を 使用して、吸湿作用よりも蒸発を防ぐほうに重点を置くようにしたほうがよいです。
グリセリンに代表される吸湿作用のある保湿剤は状況によっては考えものです。グリセリンは、空気の水分と肌の水分のバランスで吸湿性を示すことが知られており、 夏のように湿度が高い場合は全く問題ありませんが、冬のように空気が乾燥している季節は逆に肌から水分を奪いますので大量に使用する場合(含有する水分量を超えて) には注意が必要です。
以下に、よく化粧品に含有している成分を書き出してみました。
保湿剤 | |||
角質層の水分保持は通常NMF(天然保湿因子)と皮脂膜によってコントロールされている。 肌の水分を補う保湿成分として、NMFの構成要素である、 アミノ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、乳酸などが用いられる。 また真皮層の保湿にかかわりの深いヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸や、水酸基を多く持つ 多価アルコール類も用いられる。 | |||
分類 | 成分名 | 作用 | 安全性 |
多価アルコール | 1.2-ヘキサンジオール | 無色透明な液体でわずかなにおいがあり、水、エタノールによく溶ける。保湿剤として使用される。ポリオールの一種で、抗菌性にきわめて優れており、防腐、殺菌目的あり。 | |
グリセリン | 非常に吸湿性が強い保湿剤として使われる。また、皮膚に対する柔軟剤として、製品ののび、すべりをよくする。ただし、外気の乾燥に左右されやすく、空気中の湿気が少ない季節は高濃度配合すると、皮膚の水分を吸収してしまい、皮膚を荒らす原因となることもある。グリセリンとヒアルロン酸Naを一緒に組み合わせると保湿の相乗効果が高まり、薄い皮膜をつって、外気の乾燥に左右されることなく、ひふのうるおいをしっかり守る。グリセリンを脱水重合したジグリセリンは保湿効果を高めた保湿剤である。 | ||
ソルビトール | 多価アルコール、吸湿作用は他の保湿剤に比べて緩和であるが、水分保持作用があるので保湿剤、柔軟材として化粧品に使われる。皮膚や口腔粘膜に対して高濃度でも毒性や刺激性が全くない。 | ||
BG(1.3-ブチレングリコール) | アセトアルデヒドを合成して得られる無色、無臭の液体でわずかに甘みがある。適度の湿潤性と抗菌力があり、皮膚に対する刺激もないので、化粧品として有用である。 | ||
キシリトール | 糖アルコールの一種であり、化粧品では保湿剤、保香剤として用いられる。機序不明 | ||
ペンチレングリコール | 1,2ペンタンジオール。多価アルコールの一種で保湿、抗菌性を有する。 | ||
NMF | PCA-Na | ピロリドンカルボン酸Na液。ピロリドンカルボン酸Naの50%水溶液である。無色、投影の液体で、匂いはない。ピロリドンカルボン酸は塩の形で皮膚に多く含まれ、NMFとして重要な役割を果たしている。非常に吸湿性があり皮膚や毛髪に良好な質純正を示し柔軟性と弾力性を与える個。高温や低温においても安定である。皮膚や眼に対して高濃度でも刺激はほとんどなく、クリーム、乳液類を初め基礎化粧品の保湿剤としても用いられている。 | |
アラニン、アルギニン、セリン、グルタミン酸など | NMFの組成にセリン、アラニンなど16種類のアミノ酸が有利の形で薬40%含まれており、アミノ酸が化粧品原料として興味ある物質であることが示唆 | ||
プロリン | エタノールに溶けやすいアミノ酸。コンディショニング作用 | ||
乳酸Na | NMFの成分の一つで吸湿力を示す。乳酸と水酸化Na溶液とを反応させて得られ、グリセリン類似の特質を持つ。 | ||
尿素 | 軽度の殺菌作用。角質の柔軟・保湿作用 | ||
その他 | 加水分解コラーゲン | 主として牛、または豚の骨、皮、およびサケ、タラ、オヒョウ、ヒラメなどの潰瘍物の川などを酸、アルカリ、酵素などで加水分解して得られるコラーゲン加水分解物。保湿効果に優れ、皮膚や毛髪の表面にしなやかな保護幕を作る。 | |
ヒアルロン酸Na | 真皮内に存在する保湿成分の一つであり、自身の100倍以上の水分を吸収すると言われる。ヒアルロン酸と多価アルコールの併用で保湿作用を高めることができる | ||
ラウロイルグルタミン酸ジ | L-グルタミン酸、ラウリン酸、高級アルコール、コレステロールからなるエモリエント剤。皮膚に対してはセラミド様機能を持ち荒れ肌を改善する。毛髪に対しては毛髪細胞膜複合体様の機能を持ち損傷毛の修復効果に。 | ||
動植物成分 | プラセンタエキス | 牛、豚、羊の胎盤より無菌的に精製水で抽出される。各種ビタミン、ミネラル類を多く含み、皮膚の組織呼吸亢進、メラニン形成阻害、皮膚柔軟作用、 シミそばかす改善、肌荒れなど数多くの作用を示す。 | |
ローヤルゼリー | ミツバチの働き蜂が分泌する粘性物質。細胞を賦活し、皮膚組織の新陳代謝を促進し、シミ・小じわを防ぐ作用があり、さらに皮膚の保湿作用を高める。含有成分のヒドロキシデセン酸は抗菌作用を示す。 | ||
はちみつ | ミツバチが集めた蜜であるが、元になる植物によって色調に違いがある。80%は糖分で、果糖、ブドウ糖が主であり、ショ糖、麦芽糖などを少量含んでいる。さらに、ギ酸、乳酸、リンゴ酸、ゴム質、ロウ質、アセチルコリン、ビタミンB群を微量含んでいる。化粧品では皮膚を滑らかにするのに用いる。 | ||
グリコール酸 | サトウキビやブドウに存在する成分。クロロ酢酸を加水分解をするか、グリシンに亜硝酸を作用させて得られる。角質の柔軟効果や除去効果があり、肌を滑らかに整える。ケミカルピーリング剤として古くなった角質を強制敵意に剥離し新しい皮膚の再生を促すためにも用いる。 | ||
リンゴ酸 | リンゴの果実中にある白色の結晶または結晶性粉末である。リンゴ酸のエステルであるリンゴ酸ジイソステアリルは高粘調液体で、低刺激性であり、油性成分として化粧品に広く使用される。 | ||
トレハロース | 酵母類、動植物広くに渡り存在。2分子のグルコースが結合した非還元性の二糖である。保湿効果の高い糖として、乾燥している細胞を保護する。角質層の水分保持機能を高める。 | ||
グリコシルトレハロース | トウモロコシデンプン由来の糖質。高い保湿力のほか紫外線によるダメージからの保護、肌荒れ抑制などの効果 | ||
ベタイン | トリメチルグリシン。植物から抽出される天然のアミノ酸系保湿剤であり、帯電防止剤としても使われる。吸保湿性が高く、皮膚や髪に柔軟性と弾力間を与える。髪に吸着しやすい。 | ||
水溶性コラーゲン | 哺乳動物・魚介類などの結合組織から抽出して得られる。分子間架橋で結ばれていないコラーゲン分子を水溶性コラーゲンと呼ぶ。保湿作用、保護作用を示す。 |
抗炎症剤 | ||
角質層の水分保持は通常NMF(天然保湿因子)と皮脂膜によってコントロールされている。 肌の水分を補う保湿成分として、NMFの構成要素である、 アミノ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、乳酸などが用いられる。 また真皮層の保湿にかかわりの深いヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸や、水酸基を多く持つ 多価アルコール類も用いられる。 | ||
成分名 | 作用 | 安全性 |
εアミノカプロン酸 | 中性アミノ酸で、白色の結晶または結晶性の粉末である。抗プラスミン剤であり、プラスミンに起因する出血症状、炎症、アレルギー症状を改善する。 | |
グリチルリチン酸2K | カンゾウ根から抽出して得られたグリチルリチンのカリウム塩の形にしたグリチルリチンの誘導体である。解毒作用、抗アレルギー作用あり。 |
pH調整剤 | ||
酸とそのNa塩とを混合することで緩衝溶液となり、作用を示す。これらは収斂剤としても働く。 | ||
成分名 | 作用 | 安全性 |
クエン酸 | 天然に存在する有機酸の一種で、レモン、みかんなどに含まれている酸味成分。収斂作用やキレート作用を持ち、酸化防止剤、収斂剤などとして幅広く化粧品に用いられる。生体成分 | |
乳酸 | 穏やかな角質溶解作用とともに殺菌作用もある。菌の繁殖帽子。 |
抗菌剤 | ||
抗菌剤は防腐剤と殺菌剤の2つの目的で大別される。 | ||
成分名 | 作用 | 安全性 |
メチルパラベン | パラオキシ安息香酸メチルのこと。最も一般的に使われる。 | |
クオタニウム73 | 感光素201号。シアニン系の色素で、抗菌性を有する。黄色ブドウ球菌や大腸菌への阻止作用がある。経皮的使用による皮膚への影響は少ない。化粧品には強い抗菌性を利用して皮膚の清浄、保護などの目的で。 | |
フェノキシエタノール | グリコールエーテルの一種であり、殺菌作用があり、グラム陰性菌に対して特に有効である。パラベンの代用、組み合わせOK |
界面活性剤 | |||
水と油を混ぜるのに必要で、油の中に細かい水滴が分散しているW/O型、水中に細かい湯的が分散している水中油型のエマルションを作る。クリームや乳液 を作るためには必ず必要である。 | |||
分類 | 成分名 | 作用 | 安全性 |
陰イオン性 | 石鹸 | イオンに解離して親水基の部分がマイナスに帯電する。水酸化Naと高級脂肪酸の反応により作られる。 | |
陽イオン性 | 逆性石鹸 | イオンに解離して親水基の部分がプラスに帯電する。強力な殺菌作用があり、手指、皮膚の消毒に用いる。 | |
非イオン性 | PEG10ソルビタンココエート | モノヤシ油脂肪酸ソルビタンに酸化エチレンを重合したものである。微黄色~黄色の液でわずかに特異集がある。優れた乳化能を有する非イオン性界面活性剤である。 | |
PEG75 | PEGはポリエチレングリコールの略で酸化エチレンの重合体である。均一な単体化合物ではなく重合度の異なる高分子の混合物である。酸化エチレンは、強い殺菌作用のある揮発性の液体で、化粧品ではポリエチレングリコールの導入原料に用いられる。ポリエチレングリコールは水溶性d刺激もないので、クリーム、乳液、石鹸などに用いられる。 | ||
イソステアリン酸PEG15グリセリル | イソステアリン酸は飽和脂肪酸であり、ステアリン酸よりも酸化されにくく、液体である。イソステアリン酸とポリオキシエチレングリセリンのものエステル。 | ||
ステアリン酸PG | ステアリン酸とプロピレングリコールのエステル。乳化剤 | ||
ステアリン酸グリセリル | ステアリン酸のグリセリルモノエステルである。W/O型乳化剤 | ||
ステアリン酸スクロース | ショ糖の脂肪酸エステルからなる非イオン性界面活性剤 | ||
ラウリン酸ポリグリセリル10 | ラウリン酸とポリグリセリンとのモノエステル反応により得られる非イオン性界面活性剤 |
その他の原料 | |||
水と油を混ぜるのに必要で、油の中に細かい水滴が分散しているW/O型、水中に細かい湯的が分散している水中油型のエマルションを作る。クリームや乳液 を作るためには必ず必要である。 | |||
分類 | 成分名 | 作用 | 安全性 |
増粘剤 | カルボマー | カルボキシビニルポリマー。水溶性高分子で、毒性、皮膚刺激はほとんどない。水に分散して酸性を示す。これをアルカリで中和すると、透明な高粘度の溶液が得られる。天然が無視つと違い、年度の安定性に優れ、皮膚ではさらっとした感触が得られる。微生物による汚染がされにくい。 | |
キサラタンガム | ブドウ糖や炭水化物をキサントモナス属菌を用いて発酵させて得られる微生物由来の天然ガム質である。他の天然ガム質と比べて分子量が10~100倍大きく、個の大きな分子量が特異な粘性を出す。 | ||
ヒドロキシエチルセルロース | セルロースのヒドロキシエチルエーテルである。水溶液の安定性、皮膜形成能が優れているので、増粘剤、分散剤、結合剤として用いられる。 | ||
アルコール類 | TEA | トリエタノールアミン。アンモニア水と酸化エチレンの反応によって得られるアルカリ剤である。無色~淡黄色の液体で吸湿性に富み、わずかにアンモニアの臭気があり、空気や紫外線により色に着色する。柔軟な良質のクリーム、乳液、ローションに使用される。エモリエント効果も和えられ保湿剤としても働く。アルカリ剤はけん化あるいは脂肪酸を中和する形で使用される。アルカリ性化粧品の場合は、遊離のアルカリが角質層を膨潤、柔軟にする効果がある。 | |
皮膜形成剤 | アクリルアミド/アクリル酸アルキル/アクリルアルキルDMAPA/メタクリル酸メトキシPEG | t-ブチルアクリルアミドとエチルアクリレートとN,,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドとメトキシポリエチレングリコールメタクリレートとの共重合体。皮膜系製剤として使われる。ポリビニルアルコールの水が蒸発したときの皮膜形成能、シャンプーでは毛髪保護 | |
キレート剤 | エデト酸二ナトリウム | エデト酸(EDTA)の二ナトリウム塩で、金属イオンのキレート剤として、硬水軟化の目的、あるいは透明化の目的で石鹸に配合される。化粧水の透明化、酸化防止、変色防止、ビタミンCの安定化、脂肪臭の除去、殺菌の目的などにも用いられる。 | |
メタリン酸Na | キレート能。緩衝作用、分散作用、洗浄作用など | ||
アルカリ剤 | 水酸化カリウム | 希薄溶液は皮膚表皮を軟化させる作用。脂肪酸と結合して石鹸となる。化粧水のアルカリ剤として。 | |
その他 | エタノール | 溶剤として使用される他、清浄、殺菌、収斂、可溶化、乾燥促進などの目的で配合 |
油性原料 | |||
化粧品原料、乳液、クリーム原料として水と乳化させて使用する。 | |||
分類 | 成分名 | 作用 | 安全性 |
炭化水素 | スクワラン | スクワランはサメ類の肝油から得られるスクワレンに水素添加して得られるもので無色透明の油である。スクワレンは人の皮脂中にも約5%含まれ、コレステロールの前駆物質としても知られている。 | |
エステル類 | トリオクタノイン | 2-エチルヘキサン酸とグリセリンからなるトリグリセリド。水蒸気透過性の優れた膜を形成し、さっぱりしている乳化しやすい油性成分。 | |
高級アルコール | ベヘニルアルコール | 菜種油の還元アルコールより得られる高級アルコール。乳化安定性に優れており安全性も高い。融点が高い。 |
アストリンゼント作用(収斂作用)・・皮膚を引き締める作用
モイスチャー作用(保湿作用)・・・皮膚に潤いを与えて保持し、乾燥を防ぐ作用。
エモリエント作用・・・皮膚を柔軟にする作用
化粧水の作り方
化粧水の作り方は至って簡単で、水とグリセリンを混ぜただけでも一応化粧水が出来上がります(300円以下で1リットルできます)。
ただ、これだけではつまらないので、自作する場合はアスコルビン酸や精油を混ぜたり、グリセリンをベタインで代用したり、精製水をフローラルウォーター で代用したりして自分だけの化粧水を作ります。
<材料>
精油・・・3滴
無水エタノール・・・5ml
グリセリン・・・2.5ml
フローラルウォーター(or精製水)・・・100ml
作り方は、精油をエタノールに溶かしたら、グリセリンを加えて、最後にフローラルウォーターを加えてよく振って混ぜるだけです。
化粧水用の容器は100円ショップで買ってくるのが安上がりでよいでしょう。防腐剤やキレート剤、界面活性剤は加えていないため、使用期限は1ヶ月、 使う前に軽く振ってから使うとよいでしょう。
ネロリのフローラルウォーターはいい香りがしてお勧めですよ。メントールを入れてさわやかにしてもOK。
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