原爆認定医療(18)・原爆一般医療(19)
広島・長崎に投下された原爆の被爆者について、公費で医療費を負担する制度。
原子爆弾被爆者に対する医療給付には以下の2つの制度がある。
- 認定疾病に対する医療の給付(18)
- 一般疾病に対する医療の給付(19)
指定医療機関
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定に基づいて、都道府県知事が指定した医療機関。
認定疾病医療(18)
被爆者認定疾病(原爆症)医療機関指定申請は都道府県に対して行う(H27年4月以前は厚生局だった)。
申請書に開設許可証、平面図等を添付して県庁に持参若しくは郵送にて提出。
指定を受けることができるのは、病院、診療所、薬局、訪問看護ステーションのみで、歯科医院は該当しない。
一般疾病医療(19)
被爆者一般疾病医療機関指定申請も都道府県(県庁)に対して行う。
指定された薬局には、被爆者一般疾病指定医療機関指定書が交付される(期限は無し)。
医療の給付
医療の給付を受けるためには、役所(県庁)で被爆者健康手帳と認定書の交付を事前に受ける必要がある。
被爆者健康手帳は、被爆時に一定の地域にいた者、原爆投下後2週間以内に入市した者、被爆者の救護等を行ったもの及びそれらの者の胎児について交付される。
認定書は、厚生労働省の認定を受けた者に交付される。認定申請については、疾病・傷害ごとに申請することができ、疾病・傷害ごとに認定または却下されます。つまり「人」に対する認定ではなく、「病気」 に対する認定であるため、Aという病気で却下されたとしても、その後Bという病気になって申請すれば認定される可能性もあります。また、同じAという病気 であっても、治癒しているという理由で一度却下になったあと、再発などにより病状が悪化し、治療状況が変化した場合には、再度申請すると認定となる可能性 もあります。(原爆症認定について・・・厚生労働省)
- 原爆医療の給付・・・厚生労働省
18、19いずれも、原爆の放射線と関係のない疾病については給付の対象にならない。
認定疾病医療(18)
医療機関に被爆者健康手帳と認定書を提示することで、全額公費となる。
厚生労働大臣の指定した医療機関で受診した場合は現物給付、指定医療機関以外で受診した場合は、領収証と医療の内容を記載した書類を申請書に添え、居住地の都道府県知事に認定疾病医療費の支給を申請することで償還払いされる。
一般疾病医療(19)
医療機関に各種健康保険証と被爆者健康手帳を提示することで、健康保険の自己負担分(保険給付の残りの部分)が全額公費となる。
公費分は社保又は国保に健康保険分を請求する際に、社保又は国保を通じて国に請求する。
18と同じように、厚生労働大臣の指定した医療機関で受診した場合は現物給付、それ以外の医療機関で受診した場合は、一般疾病医療費の支給を保健所に申請(例:埼玉県)して償還払いを受ける。
戦傷病者とは違って、原爆被害者は認定疾病以外に対してもほぼすべての疾病に対して自己負担はゼロとなる。
特殊な場合
- 高額療養費制度の対象となる場合は、その上限金額が支給限度額になる。
- 健康保険未加入者については、原爆医療で3割給付され、窓口で7割徴収する。
- 公費の優先順位・・・結核医療のみが原爆医療に優先される。生活保護や障害者総合支援法の公費よりも原爆医療が優先なため、生活保護者は原爆医療で10割が給付される。
診療方針及び診療報酬(法第十四条)
指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。
2 前項に規定する診療方針及び診療報酬の例によることができないとき又はこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第十四条第二項の規定による診療方針及び診療報酬
七十五歳以上の者(平成十四年九月三十日において七十歳以上である者(同年十月一日において七十五歳以上である者を除く。以下「経過措置対象者」という。)を含む。)及び六十五歳以上七十五歳未満の者(経過措置対象者を除く。)であって高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成十九年政令第三百十八号)別表に定める程度の障害の状態にあるものに係る指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、後期高齢者医療の診療方針及び診療報酬の例による。
二 厚生労働大臣が、国の開設する指定医療機関についてその主務大臣との間に、当該指定医療機関が医療を担当する場合における診療報酬について、健康保険の診療報酬又は後期高齢者医療の診療報酬に比して低額な診療報酬によるべき旨の協定をしたときは、当該指定医療機関の診療報酬は当該協定の規定により算定するものとする。
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