リリカ(プレガバリン)の作用機序

痛みを感じる機序

人は痛み(ここでは二次痛覚限定)をどのようにして感じるのかですが、

まず、皮膚の自由神経終末のポリモーダル受容器で電気信号に変換された刺激が、Naチャネル開口→Na流入→活動電位発生→脱分極という一連の繰り返しを経て、C繊維上を移行します(活動電位の伝導)。

一次ニューロンは脊髄に入ると後角膠様質でシナプスを形成する。シナプス後の二次ニューロンは対側に交叉し、脊髄の前外側を視床まで上行する。(↑図は温痛覚においては交叉していないので正確には間違いです直すのが手間なのであしからず)

二次ニューロンは視床の後外側腹側核(VPL核)で三次ニューロンとシナプスを形成する。三次ニューロンは内包後脚を通って、頭頂葉の中心後回にある感覚野に投射する。

上の下行性抑制系の図を見れば分かる通り、温痛覚と触・圧覚の経路は別経路を取るため注意が必要である。痛みの神経は先経路であるが、触・圧覚の方の経路は以下の経路を取る。

一次ニューロンは脊髄に入ると同側の後索を上行。第六胸髄以下のニューロンは後索の内側寄りにある薄束を通り、それより上のニューロンは後索の外側にある楔状束を通る。一次ニューロンは延髄に入るとそれぞれ薄束核、楔状束核と呼ばれる神経核で二次ニューロンとシナプスを形成します。

二次ニューロンは延髄で交叉(左右のニューロンが入れ替わる)し、内側毛帯と呼ばれる束になってさらに上行して視床の後外側腹側核(VPL核)に入り、三次ニューロンとシナプスを形成します。

三次ニューロンは視床から大脳の内包後脚を通り、頭頂葉の中心後回にある感覚野に至ります。

以上、引用元:wiki

リリカの作用点

この一連の流れにおける、一次ニューロンの神経終末から、電位依存性CaチャネルからのCa2+流入により、放出される神経伝達物質がグルタミン酸とSPの2種類です。

リリカは、Caチャネルのα2δサブユニットに結合し、Caの流入を抑制して、神経伝達物質の放出を抑えることで、一次ニューロンと二次ニューロンの伝達を遮断して、痛みを止める薬です。

脊髄後角でのシナプス形成を抑える関係で、眠気、ふらつきがでやすいと言われています(痛み以外の神経伝達にも関与するため)。

電位依存性Caチャネル

電位依存性Caチャネルのα2δ??なんじゃそりゃ?と思ったので、少し調べました。

電位依存性Caチャネル(つまり、細胞の中と外の電位差によってCaを流入させるチャネル)は、5つのサブユニット(α1、α2、β、γ、δ)で構成されていて、そのうちのα2δという組み合わせのユニットに、結合して不活性化することでCaの流入を止めようという話。

α2δサブユニットは、どうやら電流やチャネルの発現量の増強のような補佐的な作用をになっているみたいで、主作用として必要なのはα1サブユニットのようです。

α1サブユニットは、構造の違いからT型、L型、N型、P/Q型、R型のチャネルに分類され、それぞれ発現部位と活性化閾値が異なっています。

L型は言わずと知れた、Ca拮抗薬の作用チャネルで、骨格筋、心筋、平滑筋などに存在しています。神経に存在して、神経伝達物質を放出させるために必要なチャネルは、N型とP/Q型のチャネルになります。

神経終末のα1サブユニット(N型とP/Q型チャネル)の活性化によって、グルタミン酸やSPが放出されるのを直接的に抑えるというより、補佐的に働くα2δサブユニットを抑制して間接的に抑えるという感じでしょうか。

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