老人保健法

第一条(目的)

この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。

第二条(基本的理念)

国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。

2  国民は、年齢、心身の状況等に応じ、職域若しくは地域又は家庭において、老後における健康の保持を図るための適切な保健サービスを受ける機会を与えられるものとする。

第十二条(保健事業の種類)

保健事業の種類は、次のとおりとする。

  • 一  健康手帳の交付
  • 二  健康教育
  • 三  健康相談
  • 四  健康診査
  • 五  医療(医療費の支給を含む。)
  • 五の二  入院時食事療養費の支給(医療費の支給を含む。)
  • 五の三  入院時生活療養費の支給(医療費の支給を含む。)
  • 五の四  保険外併用療養費の支給(医療費の支給を含む。)
  • 五の五  老人訪問看護療養費の支給
  • 五の六  移送費の支給
  • 五の七  高額医療費の支給
  • 六  機能訓練
  • 七  訪問指導
  • 八  前各号に掲げるもののほか、老後における健康の保持のため必要な事業として政令で定める事業

第十三条(健康手帳の交付)

健康手帳は、健康診査の記録その他老後における健康の保持のために必要な事項を記載するものとし、自らの健康管理と適切な医療の確保に資するため交付するものとする。

第十四条(健康教育)

健康教育は、心身の健康についての自覚を高め、かつ、心身の健康に関する知識を普及啓発するために行われる指導及び教育とする。

第十五条(健康相談)

健康相談は、心身の健康に関し、相談に応じて行われる指導及び助言とする。

第十六条(健康診査)

健康診査は、心身の健康を保持するために行われる診査及び当該診査に基づく指導とする。

第十七条(医療)

医療は、疾病又は負傷に関して行われる次に掲げる給付とする。

  • 一  診察
  • 二  薬剤又は治療材料の支給
  • 三  処置、手術その他の治療
  • 四  家庭における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
  • 五  病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
  • 六  その他政令で定める給付

2  次に掲げる療養に係る給付は、前項の医療に含まれないものとする。

  • 一  食事の提供たる療養であつて前項第五号に掲げる療養(医療法 (昭和二十三年法律第二百五号)第七条第二項第四号 に規定する療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護(以下「長期入院療養」という。)を除く。)と併せて行うもの(以下「食事療養」という。)
  • 二  次に掲げる療養であつて前項第五号に掲げる療養(長期入院療養に限る。)と併せて行うもの(以下「生活療養」という。)
    • イ 食事の提供たる療養
    • ロ 温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成たる療養
  • 三  厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であつて、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの(以下「評価療養」という。)
  • 四  この法律の規定による医療を受けることができる者(以下「老人医療受給対象者」という。)の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(以下「選定療養」という。)

第二十五条(医療の実施)

市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、次の各号のいずれかに該当する者(加入者に限る。以下「七十五歳以上の加入者等」という。)であつて当該市町村の区域内に居住地を有するものに対し、当該各号に該当するに至つた日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)から医療を行う。

  • 一  七十五歳以上の者
  • 二  六十五歳以上七十五歳未満の者であつて、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該市町村長の認定を受けたもの

2  第十七条第一項第六号に掲げる給付(政令で定めるものに限る。)は、市町村長が必要と認める場合に限り、行うものとする。

3  第十七条第一項各号に掲げる給付(同項第六号に掲げるものにあつては、政令で定めるものに限る。)を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる病院、診療所又は薬局(以下「保険医療機関等」という。)のうち、自己の選定するものについて、健康手帳を提示して、受けるものとする。ただし、厚生労働省令で定める場合に該当するときは、健康手帳を提示することを要しない。

  • 一  健康保険法第六十三条第三項第一号 に規定する保険医療機関及び保険薬局
  • 二  前号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める病院及び診療所並びに薬局であつて、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事に届け出たもの

4  前項の規定にかかわらず、同項第二号の病院、診療所又は薬局にあつては、当該病院、診療所又は薬局ごとに厚生労働省令で定める者のみが、医療を受けることができるものとする。

5  保険医療機関等において医療を担当する医師若しくは歯科医師又は薬剤師は、次の各号に掲げる保険医療機関等の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる医師若しくは歯科医師又は薬剤師(以下「保険医等」という。)とする

  • 一  第三項第一号の病院、診療所又は薬局 健康保険法第六十四条 に規定する保険医又は保険薬剤師
  • 二  第三項第二号の病院、診療所又は薬局 前号に掲げる者又はこれらの者以外の医師若しくは歯科医師又は薬剤師であつて厚生労働省令で定めるもの

6  医療(厚生労働大臣が定める療養に係るものを除く。)は、介護保険法第四十八条第一項第三号 に規定する指定介護療養施設サービスを行う同法第八条第二十六項 に規定する療養病床等に入院している者については、行わない。

7  第一項の規定にかかわらず、七十五歳以上の加入者等であつて国民健康保険法第百十六条の二第一項 又は第二項 各号に規定する他の市町村が行う国民健康保険の被保険者とされた者に対しては、当該他の市町村の長が医療を行う。

第二十五条の二(届出)

加入者は、前条第一項第一号に該当するに至つたときその他厚生労働省令で定める場合に該当するときは、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、市町村長にその旨を届け出なければならない。

第二十六条(保険医療機関等の責務)

保険医療機関等及び保険医等は、第三十条第一項の医療の取扱い及び担当に関する基準に従い、医療を取り扱い、又は担当しなければならない。

第二十七条(厚生労働大臣又は都道府県知事の指導)

保険医療機関等及び保険医等は、医療に関し、厚生労働大臣又は都道府県知事の指導を受けなければならない。

2  厚生労働大臣又は都道府県知事は、前項の指導をする場合において、必要と認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。

第二十八条(一部負担金)

第二十五条第三項の規定により保険医療機関等について医療を受ける者は、医療を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該医療につき第三十条第一項の医療に要する費用の額の算定に関する基準により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関等に支払わなければならない。

  • 一  次号に掲げる場合以外の場合 百分の十
  • 二  当該医療を受ける者又はその属する世帯の他の世帯員であつて老人医療受給対象者その他政令で定める者について政令で定めるところにより算定した所得の額が政令で定める額以上である場合 百分の三十

2  保険医療機関等は、第一項の一部負担金の支払を受けるべきものとし、保険医療機関等が善良な管理者と同一の注意をもつてその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお医療を受けた者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、市町村長は、当該保険医療機関等の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。

3  市町村長は、厚生労働省令で定めるところにより、特別の理由により保険医療機関等に第一項の一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対し、当該一部負担金を減額し、又はその支払を免除することができる。

第二十八条の二

前条第一項の規定により一部負担金を支払う場合においては、当該一部負担金の額に五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。

2  前項の規定は、前条第三項の規定により一部負担金の減額又は免除が行われた場合における一部負担金の支払について準用する。

第二十九条(医療に関する費用)

市町村は、医療に関する費用を保険医療機関等に支払うものとし、保険医療機関等が医療に関し市町村に請求することができる費用の額は、次条第一項の医療に要する費用の額の算定に関する基準により算定した医療に要する費用の額から、当該医療に関して当該保険医療機関等に支払われるべき一部負担金に相当する額を控除した額とする。

2  市町村は、保険医療機関等から医療に関する費用の請求があつたときは、次条第一項の医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準に照らして審査した上、支払うものとする。

3  市町村は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金法 (昭和二十三年法律第百二十九号)による社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という。)、国民健康保険法第四十五条第五項 に規定する国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)その他厚生労働省令で定める者に委託することができる

4  前三項に規定するもののほか、保険医療機関等の医療に関する費用の請求に関して必要な事項は、政令で定める。

第三十条(医療に関する基準)

医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準については、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会の意見を聴いて定めるものとする。

2  中央社会保険医療協議会は、社会保険医療協議会法 (昭和二十五年法律第四十七号)第二条第一項 の規定にかかわらず、前項の規定により意見を求められた事項について審議し、及び文書をもつて答申するほか、同項に規定する事項について、自ら厚生労働大臣に文書をもつて建議することができる。

第三十一条(保険医療機関等の報告等)

厚生労働大臣又は都道府県知事は、医療に関して必要があると認めるときは、保険医療機関等若しくは保険医療機関等の開設者若しくは管理者、保険医等その他の従業者であつた者(以下この項において「開設者であつた者等」という。)に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、保険医療機関等の開設者若しくは管理者、保険医等その他の従業者(開設者であつた者等を含む。)に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは保険医療機関等について設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2  前項の規定による質問又は検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3  第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

4  第二十七条第二項の規定は、第一項の規定による質問又は検査について準用する。

5  都道府県知事は、保険医療機関等(健康保険法第六十三条第三項第一号 に規定する保険医療機関又は保険薬局であるものに限る。)につきこの法律の規定による医療に関し健康保険法第八十条 の規定による処分が行われる必要があると認めるとき、又は保険医療機関等の保険医等(同法第六十四条 に規定する保険医又は保険薬剤師である者に限る。)につきこの法律の規定による診療若しくは調剤に関し健康保険法第八十一条 の規定による処分が行われる必要があると認めるときは、理由を付して、その旨を厚生労働大臣に通知しなければならない。

第三十一条の二(入院時食事療養費)

市町村長は、老人医療受給対象者(長期入院療養を受ける者(次条第一項において「長期入院老人医療受給対象者」という。)を除く。以下この条及び次条において同じ。)が、保険医療機関等(薬局を除く。以下この条及び次条において同じ。)のうち自己の選定するものについて第十七条第一項第五号に掲げる給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、その者に対し、入院時食事療養費を支給する。

2  入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額とする。)から、平均的な家計における食費の状況を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、厚生労働大臣が別に定める額とする。以下「食事療養標準負担額」という。)を控除した額とする。

3  厚生労働大臣は、食事療養標準負担額を定めた後に食費の状況その他の事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない。

4  保険医療機関等及び保険医等(薬剤師を除く。次条第四項において同じ。)は、厚生労働大臣が定める入院時食事療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準に従い、入院時食事療養費に係る療養を取り扱い、又は担当しなければならない。

5  老人医療受給対象者が保険医療機関等について食事療養を受けたときは、市町村長は、その老人医療受給対象者が当該保険医療機関等に支払うべき食事療養に要した費用について、入院時食事療養費として老人医療受給対象者に対し支給すべき額の限度において、老人医療受給対象者に代わり、当該保険医療機関等に支払うことができる。

6  前項の規定による支払があつたときは、老人医療受給対象者に対し入院時食事療養費の支給があつたものとみなす。

7  保険医療機関等は、食事療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした老人医療受給対象者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。

8  厚生労働大臣は、第二項の規定による基準及び第四項に規定する入院時食事療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準を定めようとするときは、あらかじめ中央社会保険医療協議会の意見を聴かなければならない。

9  第三十条第二項の規定は、前項に規定する事項に関する中央社会保険医療協議会の権限について準用する。

10  第二十五条第三項から第六項まで、第二十七条、第二十九条第二項から第四項まで及び前条の規定は、保険医療機関等について受けた食事療養及びこれに伴う入院時食事療養費の支給について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三十一条の二の二(入院時生活療養費)

市町村長は、長期入院老人医療受給対象者が、保険医療機関等のうち自己の選定するものについて第十七条第一項第五号に掲げる給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、その者に対し、入院時生活療養費を支給する。

2  入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について介護保険法第五十一条の二第二項第一号 に規定する食費の基準費用額及び同項第二号 に規定する居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「生活療養標準負担額」という。)を控除した額とする。

3  厚生労働大臣は、生活療養標準負担額を定めた後に勘案又はしん酌すべき事項に係る事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない。

4  保険医療機関等及び保険医等は、厚生労働大臣が定める入院時生活療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準に従い、入院時生活療養費に係る療養を取り扱い、又は担当しなければならない。

5  厚生労働大臣は、第二項の規定による基準及び前項に規定する入院時生活療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準を定めようとするときは、あらかじめ中央社会保険医療協議会の意見を聴かなければならない。

6  第三十条第二項の規定は、前項に規定する事項に関する中央社会保険医療協議会の権限について準用する。

7  第二十五条第三項から第六項まで、第二十七条、第二十九条第二項から第四項まで、第三十一条及び前条第五項から第七項までの規定は、保険医療機関等について受けた生活療養及びこれに伴う入院時生活療養費の支給について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三十一条の三(保険外併用療養費)

市町村長は、老人医療受給対象者が、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養又は選定療養を受けたときは、その者に対し、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。

2  保険外併用療養費の額は、第一号に規定する額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及び第二号に規定する額の合計額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及び第三号に規定する額の合計額)とする。

  • 一  当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)につき第三十条第一項に規定する医療に要する費用の額の算定に関する基準を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から、その額に第二十八条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額を控除した額
  • 二  当該食事療養につき第三十一条の二第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から食事療養標準負担額を控除した額
  • 三  当該生活療養につき前条第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から生活療養標準負担額を控除した額

3  保険医療機関等及び保険医等は、厚生労働大臣が定める保険外併用療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準に従い、保険外併用療養費に係る療養を取り扱い、又は担当しなければならない。

4  厚生労働大臣は、評価療養(第十七条第二項第三号に規定する高度の医療技術に係るものを除く。)、選定療養、第二項第一号の規定による基準並びに前項に規定する保険外併用療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準を定めようとするときは、あらかじめ中央社会保険医療協議会の意見を聴かなければならない。

5  第三十条第二項の規定は、前項に規定する事項に関する中央社会保険医療協議会の権限について準用する。

6  第二十五条第二項から第六項まで、第二十七条、第二十九条第二項から第四項まで、第三十一条及び第三十一条の二第五項から第七項までの規定は、保険医療機関等について受けた評価療養及び選定療養並びにこれらに伴う保険外併用療養費の支給について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

7  第二十八条の二の規定は、前項の規定により準用する第三十一条の二第五項の場合において当該療養につき第二項の規定により算定した費用の額(その額が現に療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から当該療養に要した費用について保険外併用療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。

第三十二条(医療費)

市町村長は、次に掲げる場合には、医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給に代えて、医療費を支給する。

  • 一  医療、入院時食事療養費の支給又は特定療養費の支給を行うことが困難であると認めるとき。
  • 二  やむを得ない理由により保険医療機関等以外の病院、診療所又は薬局その他の者について診療、薬剤の支給又は手当を受けた場合において、必要があると認めるとき。
  • 三  保険医療機関等について診療、薬剤の支給又は手当を受け、やむを得ない理由によりその費用を当該保険医療機関等に支払つた場合において、必要があると認めるときその他これに準ずる場合として政令で定めるとき。

2  前項の規定により支給する医療費の額は、医療に要する費用又は保険外併用療養費に係る療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要する費用の額から、その額に第二十八条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額を控除した額及び食事療養又は生活療養に要する費用の額から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額に相当する額を控除した額を基準として、市町村長が定める。

3  前項の医療に要する費用の額は、第三十条第一項の医療に要する費用の額の算定に関する基準により算定した額とし、食事療養に要する費用の額は、第三十一条の二第二項の厚生労働大臣が定める基準により算定した額とし、生活療養に要する費用の額は、第三十一条の二の二第二項の厚生労働大臣が定める基準により算定した額とし、保険外併用療養費に係る療養に要する費用の額は、前条第二項第一号の厚生労働大臣が定める基準により算定した額とする。ただし、それらの額は、現に医療又は食事療養、生活療養若しくは保険外併用療養費に係る療養に要した費用の額を超えることができない。

第三十三条(特別会計)

市町村は、医療(医療費の支給を含む。)、入院時食事療養費の支給(医療費の支給を含む。)、入院時生活療養費の支給(医療費の支給を含む。)及び保険外併用療養費の支給(医療費の支給を含む。)に関する収入及び支出について、特別会計を設けるものとする。

第四十二条(不正利得の徴収等)

偽りその他不正の行為によつて医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給を受けた者があるときは、市町村長は、その者からその医療に関し支払つた価額、支給した入院時食事療養費の額、支給した入院時生活療養費の額又は支給した保険外併用療養費の額の全部又は一部を徴収することができる。

2  前項の場合において、保険医療機関等において診療に従事する保険医等(薬剤師を除く。)が、市町村長に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給が行われたものであるときは、市町村長は、当該保険医等に対し、医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給を受けた者に連帯して同項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。

3  市町村は、保険医療機関等が偽りその他不正の行為により医療に関する費用の支払、第三十一条の二第五項(第三十一条の二の二第七項及び第三十一条の三第六項において準用する場合を含む。)の規定による支払を受けたときは、当該保険医療機関等に対し、その支払つた額につき返還させるほか、その返還させる額に百分の四十を乗じて得た額を支払わせることができる。

第四十三条(文書の提出等)

市町村長は、医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給に関して必要があると認めるときは、当該医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給若しくは保険外併用療養費の支給を受ける者又は当該医療、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養若しくは保険外併用療養費に係る療養を担当する者に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を求め、若しくは依頼し、又は当該職員に質問若しくは照会をさせることができる。

第四十四条(診療録の提示等)

厚生労働大臣又は都道府県知事は、医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給に関して必要があると認めるときは、医師、歯科医師、薬剤師若しくは手当を行つた者又はこれを使用する者に対し、その行つた診療、薬剤の支給又は手当に関し、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。

2  厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給を受けた者に対し、当該医療、入院時食事療養費の支給、入院時生活療養費の支給又は保険外併用療養費の支給に係る診療又は調剤の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができる。

3  第三十一条第二項の規定は、前二項の規定による質問について、同条第三項の規定は、前二項の規定による権限について準用する。

第四十六条の八(高額医療費の支給)

市町村長は、医療につき支払われた第二十八条に規定する一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。以下この条において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、医療費若しくは老人訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額が著しく高額であるときは、その医療又はその保険外併用療養費、医療費若しくは老人訪問看護療養費の支給を受けた老人医療受給対象者に対し、高額医療費を支給する。

2  高額医療費の支給要件、支給額その他高額医療費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。

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