訪問リハビリテーションと介護予防訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションと介護予防訪問リハビリテーションの定義(介護保険法第8条第1項、第5項)
この法律において「居宅サービス」とは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売をいい、「居宅サービス事業」とは、居宅サービスを行う事業をいう。
「訪問リハビリテーション」とは、居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、その者の居宅において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションをいう。
厚生労働省令で定める基準は、病状が安定期にあり、居宅において、心身の機能の維持回復及び日常生活上の自立を図るために、診療に基づき実施される計画的な医学的管理の下における理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを要することとする。
訪問リハビリテーションの申請(介護保険法施行規則第117条)
法第七十条第一項 の規定に基づき訪問リハビリテーションに係る指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書又は書類を、当該指定に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
- 一 事業所(当該事業所の所在地以外の場所に当該事業所の一部として使用される事務所を有するときは、当該事務所を含む。)の名称及び所在地
- 二 申請者の名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名、生年月日、住所及び職名(当該申請に係る事業所が法人以外の者の開設する病院又は診療所であるときは、開設者の氏名、生年月日、住所及び職名)
- 三 当該申請に係る事業の開始の予定年月日
- 四 申請者の定款、寄附行為等及びその登記事項証明書又は条例等(当該申請に係る事業所が法人以外の者の開設する病院又は診療所であるときを除く。)
- 五 事業所の病院若しくは診療所又は介護老人保健施設の別
- 六 事業所の平面図
- 七 事業所の管理者の氏名、生年月日及び住所
- 八 運営規程
- 九 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
- 十 当該申請に係る事業に係る居宅介護サービス費の請求に関する事項
- 十一 誓約書
- 十二 役員の氏名、生年月日及び住所
- 十三 その他指定に関し必要と認める事項
2 前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、当該指定を受けようとする者が法第百十五条の二第一項 の規定に基づき介護予防訪問リハビリテーションに係る指定介護予防サービス事業者の指定を受けている場合において、既に当該都道府県知事に提出している前項第四号から第九号までに掲げる事項に変更がないときは、これらの事項に係る申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる。
3 法第七十条の二第一項 の規定に基づき訪問リハビリテーションに係る指定居宅サービス事業者の指定の更新を受けようとする者は、第一項各号(第三号及び第十一号を除く。)に掲げる事項及び次に掲げる事項を記載した申請書又は書類を、当該指定に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
- 一 現に受けている指定の有効期間満了日
- 二 誓約書
4 前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、当該申請に係る事業者が既に当該都道府県知事に提出している第一項第四号から第九号までに掲げる事項に変更がないときは、これらの事項に係る申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる。
訪問リハビリテーションの人員、設備、運営(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第2~3条、第75~83条)
第二条 (定義)
- 一 居宅サービス事業者 法第八条第一項に規定する居宅サービス事業を行う者をいう。
- 二~七 略
第三条(指定居宅サービスの事業の一般原則)
指定居宅サービス事業者は、利用者の意思及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供に努めなければならない。
2 指定居宅サービス事業者は、指定居宅サービスの事業を運営するに当たっては、地域との結び付きを重視し、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、他の居宅サービス事業者その他の保健医療サービス及び福祉サービスを提供する者との連携に努めなければならない。
指定居宅サービスに該当する訪問介護(以下「指定訪問介護」という。)の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、入浴、排せつ、食事の介護その他の生活全般にわたる援助を行うものでなければならない。
第七十五条(基本方針)
指定居宅サービスに該当する訪問リハビリテーション(以下「指定訪問リハビリテーション」という。)の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、利用者の居宅において、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない。
第七十六条(従業者の員数)
指定訪問リハビリテーションの事業を行う者(以下「指定訪問リハビリテーション事業者」という。)は、当該事業を行う事業所(以下「指定訪問リハビリテーション事業所」という。)ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下この章において「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士」という。)を置かなければならない。
2 指定訪問リハビリテーション事業者が指定介護予防訪問リハビリテーション事業者(指定介護予防サービス等基準第七十九条第一項 に規定する指定介護予防訪問リハビリテーション事業者をいう。以下同じ。)の指定を併せて受け、かつ、指定訪問リハビリテーションの事業と指定介護予防訪問リハビリテーション(指定介護予防サービス等基準第七十八条 に規定する指定介護予防訪問リハビリテーションをいう。以下同じ。)の事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合については、指定介護予防サービス等基準第七十九条第一項 に規定する人員に関する基準を満たすことをもって、前項に規定する基準を満たしているものとみなすことができる。
第七十七条(設備及び備品等の要件)
指定訪問リハビリテーション事業所は、病院、診療所又は介護老人保健施設であって、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けているとともに、指定訪問リハビリテーションの提供に必要な設備及び備品等を備えているものでなければならない。
2 指定訪問リハビリテーション事業者が指定介護予防訪問リハビリテーション事業者の指定を併せて受け、かつ、指定訪問リハビリテーションの事業と指定介護予防訪問リハビリテーションの事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合については、指定介護予防サービス等基準第八十条第一項 に規定する設備に関する基準を満たすことをもって、前項に規定する基準を満たしているものとみなすことができる。
第七十八条(利用料等の受領)
指定訪問リハビリテーション事業者は、法定代理受領サービスに該当する指定訪問リハビリテーションを提供した際には、その利用者から利用料の一部として、当該指定訪問リハビリテーションに係る居宅介護サービス費用基準額から当該指定訪問リハビリテーション事業者に支払われる居宅介護サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする。
2 指定訪問リハビリテーション事業者は、法定代理受領サービスに該当しない指定訪問リハビリテーションを提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額及び指定訪問リハビリテーションに係る居宅介護サービス費用基準額と、健康保険法第六十三条第一項 又は高齢者の医療の確保に関する法律第六十四条第一項 に規定する療養の給付のうち指定訪問リハビリテーションに相当するものに要する費用の額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならない。
3 指定訪問リハビリテーション事業者は、前二項の支払を受ける額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問リハビリテーションを行う場合は、それに要した交通費の額の支払を利用者から受けることができる。
4 指定訪問リハビリテーション事業者は、前項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ利用者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、利用者の同意を得なければならない。
第七十九条(指定訪問リハビリテーションの基本取扱方針)
指定訪問リハビリテーションは、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、リハビリテーションの目標を設定し、計画的に行われなければならない。
2 指定訪問リハビリテーション事業者は、自らその提供する指定訪問リハビリテーションの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
第八十条(指定訪問リハビリテーションの具体的取扱方針)
指定訪問リハビリテーションの提供は理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行うものとし、その方針は、次に掲げるところによるものとする。
- 一 指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、医師の指示及び次条第一項に規定する訪問リハビリテーション計画に基づき、利用者の心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立に資するよう、妥当適切に行う。
- 二 指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又はその家族に対し、リハビリテーションの観点から療養上必要とされる事項について、理解しやすいように指導又は説明を行う。
- 三 常に利用者の病状、心身の状況、希望及びその置かれている環境の的確な把握に努め、利用者に対し、適切なサービスを提供する。
- 四 それぞれの利用者について、次条第一項に規定する訪問リハビリテーション計画に従ったサービスの実施状況及びその評価について、速やかに診療記録を作成するとともに、医師に報告する。
第八十一条(訪問リハビリテーション計画の作成)
医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、当該医師の診療に基づき、利用者の病状、心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、当該サービスの目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した訪問リハビリテーション計画を作成しなければならない。
2 訪問リハビリテーション計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければならない。
3 医師又は理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士は、訪問リハビリテーション計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。
4 医師又は理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士は、訪問リハビリテーション計画を作成した際には、当該訪問リハビリテーション計画を利用者に交付しなければならない。
第八十二条(運営規程)
指定訪問リハビリテーション事業者は、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下この章において「運営規程」という。)を定めておかなければならない。
- 一 事業の目的及び運営の方針
- 二 従業者の職種、員数及び職務の内容
- 三 営業日及び営業時間
- 四 指定訪問リハビリテーションの利用料及びその他の費用の額
- 五 通常の事業の実施地域
- 六 その他運営に関する重要事項
第八十二条の二(記録の整備)
指定訪問リハビリテーション事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 指定訪問リハビリテーション事業者は、利用者に対する指定訪問リハビリテーションの提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。
- 一 訪問リハビリテーション計画
- 二 次条において準用する第十九条第二項に規定する提供した具体的なサービスの内容等の記録
- 三 次条において準用する第二十六条に規定する市町村への通知に係る記録
- 四 次条において準用する第三十六条第二項に規定する苦情の内容等の記録
- 五 次条において準用する第三十七条第二項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
第八十三条(準用)
第八条から第十三条まで、第十五条から第十九条まで、第二十一条、第二十六条、第三十条から第三十三条まで、第三十五条から第三十八条まで、第五十二条及び第六十四条の規定は、指定訪問リハビリテーションの事業について準用する。この場合において、これらの規定中「訪問介護員等」とあるのは「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士」と、第八条中「第二十九条」とあるのは「第八十二条」と、第十三条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴」と読み替えるものとする。
訪問リハビリテーションの人員、設備、運営の留意事項(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について)
5 訪問リハビリテーション費
(1) 算定の基準について
- ① 訪問リハビリテーションは、指示を行う医師の診療の日から三月以内に行われた場合に算定する。また、別の医療機関の医師から情報提供を受けて、訪問リハビリテーションを実施した場合には、情報提供を行った医療機関の医師による当該情報提供の基礎となる診療の日から三月以内に行われた場合に算定する。 この場合、少なくとも三月に一回は、リハビリテーションの指示を行った医師は当該情報提供を行った医師に対してリハビリテーションによる利用者の状況の変化等について情報提供を行う。なお、指示を行う医師の診療の頻度については利用者の状態に応じ、医師がその必要性を適切に判断する。
- ② 訪問リハビリテーションは、利用者又はその家族等利用者の看護に当たる者に対して一回当たり二十分以上指導を行った場合に、一週に六回を限度として算定する。
- ③ 事業所が介護老人保健施設である場合にあって、医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、利用者の居宅を訪問して訪問リハビリテーションを行った場合には、訪問する理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の当該訪問の時間は、介護老人保健施設の人員基準の算定に含めないこととする。なお、介護老人保健施設による訪問リハビリテーションの実施にあたっては、介護老人保健施設において、施設サービスに支障のないよう留意する。
(2) 指定訪問リハビリテーション事業所と同一の建物に居住する利用者に対する取扱い
訪問介護と同様であるので、2(11)を参照されたい。
(3) 「通院が困難な利用者」について
訪問リハビリテーション費は「通院が困難な利用者」に対して給付することとされているが、通所リハビリテーションのみでは、家屋内におけるADLの自立が困難である場合の家屋状況の確認を含めた訪問リハビリテーションの提供など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合は訪問リハビリテーション費を算定できるものである。「通院が困難な利用者」の趣旨は、通院により、同様のサービスが担保されるのであれば、通所系サービスを優先すべきということである。
(4) 集中的な訪問リハビリテーションについて
集中的な訪問リハビリテーションとは、退院(所)日又は認定日から起算して一月以内の期間に行われる場合は一週につき概ね二日以上、一日当たり四十分以上、退院(所)日又は認定日から起算して一月を超え三月以内の期間に行われる場合は一週につき概ね二日以上、一日当たり二十分以上実施する場合をいう。
(5) 注3について
訪問介護と同様であるので、2(16)を参照されたい。
(6) 訪問介護事業所のサービス提供責任者に対して行う指導及び助言について
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下5において「理学療法士等」という。)が訪問介護事業所のサービス提供責任者に同行して利用者の居宅を訪問し、利用者の身体の状況、家屋の状況、家屋内におけるADL等の評価を共同して行い、かつ、当該理学療法士等がサービス提供責任者に対して、訪問介護計画を作成する上での必要な指導及び助言を行った場合に、三月に一回を限度として算定する。この場合において、指導及び助言を行った日を含む月の翌月から翌々月までは当該加算は算定できない。 なお、当該加算を算定する日は、算定できる訪問リハビリテーション費は一回までとする。 また、理学療法士等は指導及び助言の内容について診療録に記載しておくこと。
(7) 頻回のリハビリテーションを行う必要がある旨の特別の指示を行った場合の取扱い
注6の「急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリテーションを行う必要がある旨の特別の指示を行った場合」とは、保険医療機関の医師が、診療に基づき、利用者の急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリテーションを行う必要性を認め、計画的な医学的管理の下に、在宅で療養を行っている利用者であって通院が困難なものに対して、訪問リハビリテーションを行う旨の指示を行った場合をいう。この場合は、その特別の指示の日から十四日間を限度として医療保険の給付対象となるため、訪問リハビリテーション費は算定しない。
(8) サービス提供体制強化加算について
- ① 4(23)②及び③を参照のこと。
- ② 指定訪問リハビリテーションを利用者に直接提供する理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士のうち、勤続年数が三年以上の者が一名以上いれば算定可能であること。
(9) 記録の整備について
- ① 医師は、理学療法士等に対して行った指示内容の要点を診療録に記入する。 理学療法士等は、リハビリテーション実施計画書の内容を利用者に説明し、記録するとともに、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点及び指導に要した時間を記録にとどめておく。なお、当該記載については、医療保険の診療録に記載することとしてもよいが、下線又は枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにすることとする。
- ② リハビリテーションに関する記録(実施時間、訓練内容、担当者等)は利用者ごとに保管され、常に当該事業所のリハビリテーション従事者により閲覧が可能であるようにすること。
訪問リハビリテーションと介護予防訪問リハビリテーションの費用
補足
訪問リハビリテーションは、指示を行う医師の診療の日から三月以内に行われた場合に算定する。
医師は、理学療法士等に対して行った指示内容の要点を診療録に記入する。理学療法士等は、リハビリテーション実施計画書の内容を利用者に説明し、記録するとともに、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点及び指導に要した時間を記録にとどめておく。
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