嘔吐、下痢、便秘の薬

嘔吐、下痢、便秘について

嘔吐、下痢、便秘の病理については別ページ参照。

OS-1やポカリスエットについては別ページ参照。

便秘の薬

慢性便秘は原因がはっきりしている「器質性便秘」「痙攣性便秘」及び「薬剤性便秘」と、原因がはっきりしていない「便秘型IBS」及び「機能性便秘」にわけられる。

「便秘型IBS」では、腹痛・腹部不快感が特徴であり、器質的疾患を除外するための下記アラームサインに気をつける。

  • 50歳以上
  • 大腸器質的疾患の既往歴または家族歴
  • 急激な体重減少
  • 発熱、関節痛、皮疹
  • 粘血便や便潜血陽性
  • 夜間就寝中の症状発現

「機能性便秘」の患者の約4割が「便秘型IBS」の診断基準に当てはまる。「便秘型IBS」の患者の約9割が「機能性便秘」の症状を有する。

つまり、アラームサインに該当しないもので、便秘症状があれば機能性便秘で、その中で腹痛、腹部不快感があれば便秘型IBSということになる。異常がないのにもかかわらず、主にストレスにより症状が発現する点において、機能性ディスペプシアにすごくよく似ている。根本治療もストレスの除去である。

塩類下剤

腸管内で吸収されにくいため、腸内に留まり浸透圧を上げることで水分を吸引し、緩下作用を示す。多量の水分とともに服用がベスト。習慣性がなく長期間の投与も可。

重質酸化マグネシウム末は、5.0gの容積が30ml以下のもの、平均粒子径が大きい。軽質酸化マグネシウム末は、5.0gの容積が30ml以上のもの、平均粒子径が小さい。

平均粒子径が小さいと粒子が軽いため、ふわふわしてしまい、結果的にかさが大きくなる。平均粒子径が大きいと粒子が重いため規則正しく配列し、結果かさが小さい。よって、重質酸化マグネシウムのほうがかさばらず、測定するのには適していると言える。

一方、水を含んだ場合は考え方が異なる。平均粒子径が小さいものは水を含むと体積がぎゅっと縮まるが、平均粒子径が大きい物は水を含むとばらばらになりやすい。砂と砂利のようなもの。口の中で広がらないようにするためには粒子径の小さい軽質酸化マグネシウムのほうがいいのかも。

マグラックスやマグミットは、水を加えると10秒前後で崩壊する上、崩壊後の平均粒子径はマグミットが56μm、マグラックスが42μmと小さい、そのため、少量の水と混ぜるとペースト状になる(まとまりやすい)ため、口の中で広がらず、飲み込めない人にも使いやすい。

昔は、酸化マグネシウム=軽質、重質酸化マグネシウム=重質だったみたいだが、現在は、ただの酸化マグネシウムといったら重質のことを指す。軽質も販売はされているがマイナー。

糖類下剤

塩類下剤と同様の機序に加えて、腸内細菌が薬剤を分解して生成する有機酸による蠕動運動刺激作用も併せ持つ

  • モニラック(ラクツロース)・・・便秘関連適応:①産婦人科術後の排ガス・排便の促進、②小児における便秘の改善

膨張性下剤

水分を吸収しつつ便に浸透することにより、腸の内容物を膨張させ、大腸を刺激し排便を促す。

  • バルコーゼ(カルメロースナトリウム)・・・適応:便秘症

湿潤性下剤

便の表面張力を下げることで水分吸収を容易にし、軟化・湿潤させて排便を促す。ビーマスには、大腸を刺激し、蠕動運動を亢進する成分も配合されている。

  • ビーマス(カサンスラノール・ジオクチルソジウムスルホサクシネート)・・・適応:①便秘症、②腹部臓器検査時又は手術前後の腸管内容物の排除

大腸刺激性下剤

大腸粘膜を刺激することで排便を促す。効果発現までに通常6~8時間かかるため、朝の排便を期待する場合は就寝間への服用が良い。連用にて大腸黒皮症をきたす。

  • ラキソベロン(ピコスルファートNa)・・・適応:①各種便秘症、②術後排便補助、③造影剤投与後の排便促進
  • テレミン(ピサコジル)・・・適応:①便秘症、②消化管検査時又は手術前後における腸管内容物の排除。剤形:坐薬のみ
  • プルゼニド(センノシド)・・・適応:便秘症。大腸で腸内細菌の作用によりレインアンスロンを生成→大腸運動促進。尿の赤変あり。
  • アローゼン(センナ)・・・適応:便秘(ただし、痙攣性便秘は除く)、駆虫剤投与後の下剤
  • 新レシカルボン(炭酸水素Na他)・・・適応症:便秘症。剤形:坐薬のみ。直腸内で徐々にCO2を発生し、腸運動を亢進させる。主に習慣性便秘に使用

クロライドチャネルアクチベーター

慢性便秘症の効能を有するクロライドチャネルアクチベーター。

小腸粘膜上皮細胞のClC-2クロライドチャネルを活性化し、腸管内への水分分泌を促進し、便を軟らかくし、腸管内の輸送を高めて排便を促進。初回投与24時間以内に約60~75%の患者で自発排便が認められ、便の硬さや便秘の伴う症状を有意に改善する。

腸管の水分分泌を担う塩化物イオン(クロライドイオン)が関与。粘膜上皮細胞内の基底膜側にあるNa-K-2Cl共輸送体などを介して粘膜上皮細胞内に取り込まれたクロライドイオンは、小腸上皮頂端膜(腸管内腔側)に存在するタイプ2クロライドイオンチャネル(ClC-2)を介して腸管内腔に移動する。それに伴い、ナトリウムイオンも受動的に腸管内腔に移動する結果、腸管内腔に水が分泌される。

ルビブロストンは小腸上皮頂端膜に存在するClC2を活性化することで、腸管の水分分泌を促進。便を軟らかくして腸管内での輸送性を高め、排便を促進する。

長期にわたり投与しても改善効果を維持することが確認されている。

適応症は、器質性便秘をのぞく慢性の便秘症。妊婦とその可能性がある婦人、授乳婦に対する投与は禁忌

  • アミティーザ(ルビプロストン)・・・適応:慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

下記のリンゼスの作用機序と似ているので、図に一緒にまとめてみた。

共にCl-を腸管腔に出すことで、受動的に水を腸管腔へ引き寄せる作用がある。Cl-チャネルは幾つか種類があり、その中のClCチャネルをアミティーザが、CFTRを間接的にリンゼスが活性化する。

グアニル酸シクラーゼC受容体受容体アゴニスト

腸粘膜上皮細胞に発現しているGC-C受容体に局所的に結合する。GC-C受容体を活性化することにより、細胞内のサイクリックGMP(cGMP)濃度を増加させ、腸管分泌並びに腸管輸送能を促進させる。

更に、リナクロチドは、ストレスや大腸炎によって引き起こされる大腸痛覚過敏(腹痛・腹部不快感)を抑制する。

リナクロチドによるこれらの大腸機能促進作用及び痛覚過敏改善作用が、IBS-C における排便異常並びに腹痛/腹部不快感の改善に寄与していると考えられる。

  • リンゼス(リナクロチド)・・・適応:IBS(便秘型過敏性腸症候群)。なかでも便秘が優位な便秘型IBSに。1日1回食前(食後投与や、食前投与に比べBSFSが高まり、下痢の発現率が高くなる))。夜はストレスにさらされないので朝が推奨。苛酷試験で規格の逸脱が認められたため、防湿・乾燥機能を持つアルミ包装により品質保持を図っているため、服用直前に取り出し、一包化や半錠には適していない。

抗コリン薬

痙攣性便秘のみに使用。

  • ブスコパン(ブチルスコポラミン)・・・便秘関連適応:痙攣性便秘
  • ロートエキス(-ヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミン)・・便秘関連適応:痙攣性便秘。ロートエキスに含まれている主成分l-ヒヨスチアミン、アトロピン及びスコポラミンは、抗コリン作用を示し、アトロピンは迷走神経刺激、 食物刺激、ガストリン又はヒスタミンによる 胃酸又はペプシンの分泌を抑制するほか、 抗ストレス胃潰瘍作用、胃細胞保護効果、小腸運動及び 腸液分泌抑制作用、鎮痛作用があることが知られている。 一方、スコポラミンには血圧降下作用及び鎮けい作用 が認められている。

下痢の薬

アヘンアルカロイド

オピオイド受容体は腸管壁内に存在している。μ受容体は、副交感神経細胞体、副交感神経終末、交感神経終末に存在するため、消化管運動の促進作用と抑制作用の2面性を有している。κ受容体は副交感神経終末に存在する。

  • ロペミン(ロペラミド)・・・適応:下痢症。腸管壁内の副交感神経終末のμ受容体を刺激してAchの放出を抑制する。
  • セレキノン(トリメブチン)・・・適応:①慢性胃炎における消化器症状(腹部疼痛、悪心、あい気、腹部膨満感)、②過敏性腸症候群(便秘型・下痢型・交替型問わず)。
    運動亢進状態にある腸管では,副交感神経終末にあるオピオイドμ及びκ受容体に作用して,アセチルコリン遊離を抑制し,消化管運動を抑制する。一方,運動低下状態にある腸管では,交感神経終末にあるμ受容体に作用してノルアドレナリン遊離を抑制する。その結果,副交感神経終末からのアセチルコリン遊離が増加し,消化管運動を亢進する。
    また、平滑筋細胞において,弛緩した細胞に対しては,Kチャネルの抑制に基づく脱分極作用により細胞の興奮性を高め,一方,細胞の興奮性に応じて Ca チャネルを抑制することで過剰な収縮を抑制することが推測される。

5-HT3受容体遮断薬

5HT3受容体は、迷走神経(副交感神経)や腸管神経叢等の神経節や、内在性知覚神経終末、CTZ、嘔吐中枢に存在する。

迷走神経節の5HT3受容体が刺激されるとAch等の神経伝達物質が分泌され、輸送機能の亢進・水分輸送異常が起こり下痢が引き起こされる。腸管の内在知覚神経終末の5HT3受容体が刺激されると、求心性迷走神経を介して大脳皮質へと投射され、腹痛や内蔵知覚過敏が引き起こされる。

  • イリボー(ラモセトロン)・・・適応:IBS(下痢型過敏性腸症候群)。男性と女性で用量が異なるので注意。
    なかでも下痢が優位な下痢型IBSに。下痢型IBSは主としてストレス等に起因して引き起こされる下痢症状で、月に2回以上下痢を繰り返し、いつも腹痛や腹部不快感があり、急な腹痛や下痢でトイレに駆け込むことがあるなどの症状を有する。

抗コリン薬

腸管壁内のムスカリン受容体を遮断して腸管運動を抑制する。

  • トランコロン(メペンゾラート)・・・適応:過敏性大腸症=過敏性腸症候群。トランコロンP配合錠はフェノバルビタールとの配合剤。上部消化管に対するよりも下部消化管に対してより選択的。
  • チアトン(チキジウム)・・・適応:過敏性大腸症候群。上部消化管に対するよりも下部消化管に対してより選択的。
  • ブスコパン(ブチルスコポラミン)・・・下痢関連適応:機能性下痢

収斂薬

  • タンニン酸アルブミン(タンニン酸アルブミン)・・・適応:下痢症。腸粘膜のタンパク質と結合し被膜を形成し、分泌と刺激を抑制することで止瀉作用を示す。鉄剤とは併用禁忌。牛乳アレルギー、細菌性下痢に禁忌
  • フェロベリン(ベルベリン・ゲンノショウコエキス)・・・適応:下痢症。ベルベリンは主として殺菌作用、蠕動抑制作用、胆汁分泌作用を示し(機序不明)、ゲンノショウコエキス中に含まれるタンニンはタンナルビンと同じ作用にて収れん作用を示す。

ベルベリンと似た名前でいつもこんがらがるパパベリンはアストフィリン(気管支拡張)やストミン(内耳血流↑)に含有しているが、PDE阻害→cAMP↑による平滑筋弛緩作用により鎮痙作用を示すとともに、血管拡張作用ある。

そのため、適応は胃炎,胆道(胆管・胆のう)系疾患に伴う内臓平滑筋の痙れん症状以外に、脳動脈硬化症の随伴症状,急性動脈塞栓,末梢循環障害,冠循環障害による血管拡張と症状の改善作用がある。

吸着薬

腸内のガスや細菌などの有害物を吸着して粘膜への刺激を和らげ、止瀉作用を示す。

  • アドソルビン(天然ケイ酸Al)・・・適応:下痢症。

乳酸菌製剤

腸内で糖を分解して乳酸を産生し、腸内を酸性にして有毒菌の発育防止構内細菌叢の是正。(乳酸菌製剤の詳しい説明

  • ラックビー(ビフィズス菌)・・・適応:腸内菌叢の異常による諸症状の改善
  • ラックビーR(耐性乳酸菌)・・・適応:ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、ナリジクス酸投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
  • ビオフェルミン(散:ラクトミン+糖化菌。錠剤:ビフィズス菌)・・・適応:腸内菌叢の異常による諸症状の改善
  • ビオフェルミンR(耐性乳酸菌)・・・適応:ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
  • ミヤBM・・・適応:腸内菌叢の異常による諸症状の改善
  • レベニン(耐性乳酸菌)・・・適応:ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
  • ビオスリー(ラクトミン、酪酸菌、糖化菌)・・・適応:腸内菌叢の異常による諸症状の改善

過敏性腸症候群治療薬

  • ポリフル、コロネル(ポリカルボフィルCa)・・・腸内にてゲル化し→便中の水分を調節することで便秘・下痢を改善する。胃酸によりCaが離脱して作用を示すため、必ず食後に服用。コップ一杯の多めの水で服用する。

嘔吐の薬

D2遮断薬

CTZのD2受容体を遮断することで嘔吐を抑える。消化管の迷走神経末端のD2受容体も遮断し、ACh遊離を促進し消化管運動を促進する。すべて食前15~30分前に服用。

  • プリンペラン(メトクロプラミド)・・・D2遮断作用+5HT3遮断作用+5HT4刺激作用
  • ナウゼリン(ドンペリドン)
  • ガナトン(イトプリド)・・・ChE阻害作用+D2遮断作用

コリンエステラーゼ阻害薬

アセチルコリンの分解を抑制してアセチルコリン濃度を高め、消化管運動を改善する。

  • アコファイド(アコチアミド)・・・ChE阻害作用。適応はFDのPDSのみだが、作用機序的には嘔気にもよさそう。
  • ガナトン(イトプリド)・・・ChE阻害作用+D2遮断作用

5-HT3受容体遮断薬

CTZの5HT3受容体を遮断する。また、胃の求心性迷走神経終末への5HT3を介した刺激は、延髄網様体嘔吐中枢へ接続して、反射反応(胃の逆蠕動運動と腹圧の上昇)に伴う嘔吐が引き起こされる。

  • ナゼアOD(ラモセトロン)
  • プリンペラン(メトクロプラミド)・・・D2遮断作用+5HT3遮断作用+5HT4刺激作用

5-HT4受容体刺激薬

腸管壁内アウエルバッハ神経叢のシナプス前神経終末に作用してAchの放出を増加して消化管運動を促進する。

  • ガスモチン(モサプリド)
  • プリンペラン(メトクロプラミド)・・・D2遮断作用+5HT3遮断作用+5HT4刺激作用

局所麻酔薬

胃粘膜の内在性知覚神経を麻酔し、反射性嘔吐を抑制する。胃炎、胃潰瘍に伴う嘔吐に適応

  • ストロカイン(オキセサゼイン)・・・適応:食道炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、過敏性大腸症に伴う疼痛・酸症状・あい気・悪心・嘔吐・胃部不快感・便意ひっ迫。局所麻酔作用に加えて、ガストリン遊離抑制作用。
  • スルカイン(ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル)・・・適応:胃炎に伴う胃痛・嘔気・胃部不快感。知覚神経終末の局所麻酔作用

胃・腹痛の薬

PPI・H2ブロッカー

胃薬を参照

抗コリン薬

抗コリン作用により鎮痙作用、胃酸分泌抑制作用を示す。

  • ブスコパン(ブチルスコポラミン)・・・適応胃・十二指腸潰瘍、食道痙攣、幽門痙攣、胃炎、腸炎、腸疝痛、痙攣性便秘、機能性下痢、胆のう・胆管炎、胆石症、胆道ジスキネジー、胆のう切除後の後遺症、尿路結石症、膀胱炎、月経困難症における痙攣並びに運動機能亢進
  • ロートエキス(-ヒヨスチアミン、 アトロピン及びスコポラミン)・・・適応:胃酸過多、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、痙れん性便秘における分泌・運動亢進並びに疼痛
  • セスデン(チメピジウム)・・・・適応:①胃炎、胃・十二指腸潰瘍、腸炎、胆のう・胆道疾患、尿路結石における痙攣並びに運動障害に伴う疼痛の緩解、②膵炎に起因する疼痛の緩解。迷走神経刺激によるラットの胃の痙縮に対し、静脈内投与でアトロピンの約3倍、ブチルスコポラミン臭化物の約5倍の抑制作用を示す。

局所麻酔薬

嘔吐の項参照

図引用元:インタビューフォームより

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