ボシュリフの作用機序

ボシュリフは「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」に効果・効能を持つ抗がん剤で、1日1回毎日同じ時間に500mgを食後に服用する。

ボシュリフは、Bcr-Ablチロシンキナーゼ(変異したBcr-Ablチロシンキナーゼ含む)とSrcチロシンキナーゼに結合し、白血病細胞の増殖を抑えるディアルインヒビターの第二世代TKIである。

白血病細胞の異常増殖は、Bcr-AblチロシンキナーゼのATP(アデノシン三リン酸)結合部位にATPが結合することで、基質のチロシンがリン酸化し、下流のシグナル伝達が次々にリン酸化されることにより、核内の増殖シグナルが恒常的に伝わることで起こる。

ボシュリフは、Bcr-AblチロシンキナーゼのATP結合部位にATPと競合的に結合することにより、基質のチロシンリン酸化を阻害するとともに、Bcr-Ablチロシンキナーゼの直下に位置するSrcファミリーキナーゼ(Src,Lyn)、CrkL、Stat5などの下流のシグナル伝達系の数カ所のポイントにおいてもリン酸化を阻害し、白血病細胞の異常増殖を抑制すると考えられている。

ボシュリフは、Src及びAblの両キナーゼ活性に対して選択的に阻害する一方、浮腫及び造血毒性の原因と考えられているPDGFR及びKitに対する阻害作用は低いことが示されている。

相互作用

禁忌に該当する薬剤はない。

CYP3A4で代謝されるので、アゾール系抗真菌薬、マクロライド系、ニューキノロン系、HIVプロテアーゼ阻害薬、GFJ等で作用が強く出ることが有り、抗てんかん薬やPPI、SJ等で作用が減弱することがある。

副作用

早期から多くの人に下痢が現れる(93.7%)。水分とともに電解質も失われるので、ひどい場合は水分だけでなく経口補水液で補う必要がある。初回処方時にロペラミドの同時処方が推奨。

嘔吐、吐き気(36.5%)が出て食欲が低下することがある。

首筋や手足、背中等に発疹が現れる(38.1%)。

骨髄機能の抑制により、貧血(だるさ、息切れ、めまい)、白血球減少(感染症)、血小板減少(易出血性)が現れることがある。

体液貯留(胸水、肺水腫、心嚢液貯留、腹水、全身性浮腫等)により、むくみ、息苦しさ、お腹の張りが現れることがあるので、定期的に体重測定が行われる。

服用中に行う検査

治療効果の判定:血液や骨髄液を採取し、白血病細胞が減っているかどうかを定期的に調べる。

副作用の早期発見:血液検査(血球数、肝機能、腎機能)、体重測定(浮腫)、胸部X線(呼吸器症状)、心電図(QT延長)、心エコー(呼吸器症状)

(参考・引用文献:ファイザー指導箋(ボシュリフを服用される方へ))

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