乾癬
乾癬とは、表皮が正常の皮膚のおおよそ10倍以上の速度で作られ過剰に増殖している、真皮の拡張した血管の周りに免疫反応にかかわるリンパ球や好中球などの種々の免疫細胞が遊走してきている、等の特徴を備えていて、過剰に生産された表皮は厚く積み上がり、鱗屑となって剥がれ落ちていきます。
詳しい原因は不明で、遺伝に気候、ストレス、喫煙、風、飲酒、食生活などの外的要因や生活習慣病等の内因因子が加わって発症すると考えられている。
今解明されているのはヒトHLAのうちHLA-Cw6と呼ばれる特定の抗原(表皮細胞)がKIと呼ばれる受容体(免疫細胞)との間で直接情報のやりとりをしていて、HLAとKIRの組み合わせが乾癬のひとは正常なヒトに比べて違いがあるということがあります。
その他、乾癬では必須脂肪酸のひとつであるリノール酸レベルが低いヒトが多いことなど、脂質代謝の変調というデータもあります。
乾癬の種類
乾癬は症状により5つの種類にわけられる。
- 尋常性乾癬・・・乾癬の90%を占める。頭部、肘、膝など刺激を受けやすい部分に表れ、6割は爪にも症状が見られる。
- 滴状乾癬・・・小さな水滴程度の大きさの皮疹が全身に出現
- 乾癬性紅皮症・・・尋常性乾癬が全身に広がって皮膚全体が潮紅した状態→生物学的製剤の適応
- 膿疱性乾癬・・・発熱、倦怠感を伴い、急激に全身の皮膚が潮紅し、膿疱が多発する。特定疾患。
- 関節症性乾癬・・・通常の皮膚症状に加えて、リウマチのように関節が腫れたりする
乾癬の治療
乾癬の治療は、現在根治療法ないということで対症療法が主体となります。日常生活においては、肥満、高熱は避け、なるべく日光に当たること。
薬物療法としては、外用剤では、オキサロール等のビタミンD3製剤とverystrong以上のステロイドでの治療が一般的で、内服薬では、シクロスポリンやMTX(適応外→2019.3より適応へ)といった免疫抑制剤、レチノイド、その他として、PUVA療法や、生物学的製剤も場合により使用されます。
VD3とステロイドを個別に混ぜるとうまく混ざらないことを改善した、合剤であるドボベット軟膏やマーデュオックス軟膏(混ざるようにした工夫は特許技術とか)もあります。
コムクロシャンプーはデルモベートをシャンプーにしたもので、1本125ml、頭部1/3あたり500円玉ほどの量を使用する。頭皮全てに使用するのであれば500円玉×3個分で計約7mlほど使用、1本が約16日分ということになる。
使用方法は、乾いた頭皮に(濡れてたら乾かす)上記の量を塗布し、15分おく、この時ODTは不可、そしたら泡立ててから水で洗い流す。このシャンプー自体に界面活性剤が入っているので軽い皮脂とか汚れは取れるが、さらにシャンプーを使用することもできる。
レチノイドはビタミンA誘導体で、表皮の過剰な増殖を抑える。胎児に影響をあたえるので男性女性ともに避妊が必要。
乾癬に使用できる生物学的製剤としては下記の4種類がある。
一般名 | アダリムマブ | インフリキシマブ | ウステキヌマブ | セクキヌマブ |
---|---|---|---|---|
製品名 | ヒュミラ | レミケード | ステラーラ | コセンティクス |
標的 | TNF-α | TNF-α | IL-12/23 p40 | IL-17A |
剤形 | 皮下注射 | 点滴静注 | 皮下注射 | 皮下注射 |
適応 | 尋常性乾癬 関節症性乾癬 |
尋常性乾癬 関節症性乾癬 乾癬性紅皮症 膿疱性乾癬 |
尋常性乾癬 関節症性乾癬 |
尋常性乾癬 関節症性乾癬 |
(参考・引用文献:乾癬を知ろう マルホパンフ、医薬ジャーナル2015.11別刷)
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