メニエール、めまい
講演の資料としてまとめたパワーポイント(下手ですが・・・)。
耳の構造
【外耳】は耳介と外耳道、【中耳】は鼓膜、つち骨、きぬた骨、あぶみ骨、鼓室、耳管口、【内耳】は中耳より先
通常鼓膜より先は無菌状態だが、耳かきやピンタ(急な風圧)によって鼓膜が傷つけられてしまうと、中耳まで細菌が入り炎症を起こし、耳垂れが起こる。
基本は有毛細胞へのK+流入による脱分極からスタート。内リンパ液はカリウムが多く、外リンパ液にはナトリウムが多い。
音の伝達(聴覚)(蝸牛が関与)
音波→外耳道→鼓膜→ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨→卵円窓(前庭窓)→前庭階の外リンパ液の振動→鼓室階の外リンパ液の振動→鼓室階と蝸牛管の境界の膜の一部でもあるコルチ器の基底膜が振動→3列の外有毛細胞と1列の内有毛細胞が蓋膜に触れることで毛が折れ曲がる→有毛細胞が脱分極を起こす→有毛細胞が興奮→蝸牛神経に興奮が伝わる→らせん神経節→橋にある蝸牛神経核→ラセン神経節から入力され、台形体核を経て、大脳皮質(聴覚野)へ入力。
前庭の2つの窓、卵円窓はアブミ骨とつながっていて、蝸牛窓は入ってきた振動音を中耳へ出して圧を調節する窓。
列の外有毛細胞と1列の内有毛細胞はピアノの鍵盤のように並んでいる。蝸牛入口付近の有毛細胞は高音を、入り口から遠い有毛細胞は低音を感知する。有毛細胞は一般に再生することはないので、入口付近の高音を感知する有毛細胞が特に損傷しやすく、高音部の難聴が起こりやすい。また、有毛細胞の損傷による音が耳鳴りと言われている。
平衡感覚(直線加速度)(前庭・耳石が関与)
卵形嚢・球形嚢の内壁には平衡感覚を受ける平衡斑(耳石器)と言われる組織がある。体が斜めになると耳石群がくっついた状態で動いて、耳石膜が動くと、有毛細胞が動きを感知して、前庭神経→橋の前庭神経核→動眼、外転、滑車神経核へと出力、 前庭小脳へと出力、脊髄前角へと出力。
平衡感覚(回転加速度)(三半規管が関与)
外側半規管・前半規管・後半規管の一端には膨大部という膨らみ部分があって、そこに前庭神経へ通じる有毛細胞がクプラに覆われた形で存在していて、回転によるリンパ液の流れを感知している。
良性発作性頭位めまい症
通常、耳石器にくっついている耳石がなんらかのきっかけで剥がれ落ちて、半規管内へ。
なんらかのきっかけは、カルシウムの不足。閉経後の女性はホルモンが少なくなる関係でCaが少なくなりこのめまいが起こりやすいという。
半規管は回転加速度を感知する器官で、頭を動かしたりした時のリンパ液の流れを感知するわけだが、リンパ液の感知が終わった後にも耳石が残っているとそれが徐々に動くので、耳石が止まるまでの間はずっと回転が起こっていると認識されてしまう。それがめまい。
治す方法は、耳石をもとの前庭にある耳石器まで戻す寝返り運動が最も良いとされる。
橋にある前庭神経核は外眼筋を支配している動眼神経、外転神経、滑車神経へと情報を伝えて、眼球が顔を振ったほうとは逆の方向へ移動する。このことから眼球運動が診断基準の一つとなる。
めまいによる悪心嘔吐は、前庭器官から延髄外側網様体の嘔吐中枢への求心性の情報による(延髄~橋のCTZからではなく)ため、前庭神経核等のH1受容体を遮断するトラベルミン等が著効する。前庭器官は間接的にCTZも刺激するとか。だからCTZのD2と5-HT拮抗も効くみたい。
メニエール病(内リンパ水腫)
メニエールの明確な原因は不明。ストレス、睡眠不足、気圧の変化、自律神経関連等様々な可能性。
メニエールの症状は、めまいに加えて、難聴、嘔気、耳鳴りと多数の症状を合併する。これらは約30分から6時間程度持続し、その発作を反復することが特徴。また、通常の耳鳴りと違ってメニエール病は低音部の難聴が特徴的。
内耳の内部は内リンパ液と外リンパ液がそれぞれ内リンパ腔と外リンパ腔に満たされている。メニエールの機序は、内耳の内リンパ液の産生と内リンパ嚢における内リンパ液の吸収の不均衡により生じると言われている(wikiより)。
リンパ液の量が急に増えれば内圧上昇によって内外リンパ液の境界膜(基底膜など)が膨張や破裂をして、聴力を司る蝸牛と平衡感覚を司る前庭部が障害されるため、上記のような症状がでる。一度障害された有毛細胞は元に戻らないため、徐々に悪くなっていく。
耳鳴りは有毛細胞の異常運動や、障害による伝達障害が考えられている。
治療は、発作急性期には、トラベルミン、吐き気対策にプリンペラン等、その他安定剤(エリスパン、アタラックス、リーゼ等)を使用。発作間欠期にはセファドールやメリスロン、アデホス、イソバイド、漢方製剤(五苓散、苓桂朮甘湯、柴苓湯等)が使用される。
中でもイソバイドは初めに甘みと酸味、のちやや苦味があり飲みづらいため、必要に応じて冷やすもしくは2倍希釈で服用するが、オレンジジュース、コーラ、ポカリスエットの混合が服用しやすさを優位に改善したという文献(久保和彦ら:耳鼻と臨床)もある。
水分制限は現在は必ずしも望ましいわけではなく、逆に十分な水分摂取により抗利尿ホルモンの分泌を抑制して内耳循環を改善し、内リンパ水腫の形成を抑制する水分大量摂取が推奨されている。
その他
低血糖によるめまいは、脳のエネルギー不足による。脳梗塞によるめまいは、脳へ血液が行かないこと、貧血の眩暈も脳へ酸素が行かないこと。
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