母親の赤ちゃんへの影響

この項では、母親が赤ちゃんに与えるアレルギーの影響についていくつか述べることにする。

まず、避けられない影響として遺伝的要因が挙げられるが、これの影響は父親よりも母親の影響が大きいことがわかっている。

子宮内でもアレルゲンの感作は受けるため、母親がダニ、ハウスダストやアレルギーを起こしやすい食物をとっている場合、子宮内の胎児がそれらに対する 感作を受けてしまい、ダニやハウスダスト特異的感作Th2細胞が誘導され、子宮内からでてそれらと接したときに急激に反応する可能性がある。

次に、生まれてくるときであるが、分娩様式によってアレルギーへの罹患のしやすさが大分異なるといわれている。

正常経膣分娩の場合、今まで無菌状態であった胎児は出産時に初めて母親の膣内細菌に侵されることになる。

一般に新生児では外来株よりも、母親由来の細菌株のほうが定着しやすい ことから、生まれてきた新生児の腸内細菌叢は母親の腸内細菌叢や膣内細菌叢に類似することになる。

初期の細菌が残っていきやすいことを考えれば、この時点での母親の腸内細菌叢はベストの状態で望みたいところである。

一方、帝王切開分娩の場合では、こうした細菌曝露の機会はないため、腸内常在菌であるビフィズス菌などの有用菌の生着は遅延する上、アレルギー罹患率も正常分娩に比べて 上昇する。

最後に母乳の影響であるが、母乳に含まれるIgA抗体が新生児の腸管免疫にかかわっていると言うことは周知の事実である。

でわアレルギーはどうかというと、ミルクではなく母乳をきちんと服用させたからと言ってそのアレルギー疾患発症率が100%下がると言うわけではないらしい。

これは、母胎にプロバイオテックスを投与することで母乳中のTGF-βの量が有意に上昇したと言う事実からもわかる通り、母乳中の菌成分組成は母親のアレルギー体質に かなり影響するためである。


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