目次
再生医療等製品
再生医療等製品の定義(薬事法第二条第九項)
「再生医療等製品」とは、次に掲げる物(医薬部外品および化粧品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
- 一 次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの
- イ 人又は動物の体の構造又は機能の再建、修復又は形成
- ロ 人又は動物の疾病の治療又は予防
- ニ 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの
概要(薬事法等の一部を改正する法律案の概要)
医薬品や医療機器とは別に「再生医療等製品」を新たに定義する。
人の細胞に培養等の加工を施したものであって、
- ①身体の構造・機能の再建・修復・形成や、②疾病の治療・予防を目的として使用するもの
- 遺伝子治療を目的として、人の細胞に導入して使用するもの
これらはいずれも人の細胞等を用いることから、品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有している。具体的には、政令で範囲を定める予定
均質でない再生医療等製品については、有効性が推定され、安全性が確認されれば、条件及び期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入する。その場合、承認後に有効性・安全性を改めて検証する。
医師等は、製品の使用に当たって患者に対して適切な説明を行い、使用の同意を得るよう努めるものとする。
使用成績に関する調査、感染症定期報告や使用の対象者等に係る記録と保存など、市販後の安全対策を講じる。
※厚生労働大臣が指定した再生医療等製品については、製造販売業者は長期に記録を保存するとともに、医療機関は使用の対象者等について記録・保存しなければならないこととする。
再生医療等製品による健康被害について、副作用被害救済制度及び感染等被害救済制度の対象とする。(*独立行政法人医薬品医療機器総合機構法関係)
製造所における製造管理又は品質管理の基準を作成し、品質・安全性等を確保する(再生医療等安全性確保法案の下での細胞培養加工施設と共通)。
業として人体から採血することは原則禁止されているが、再生医療等製品について、その製造業者や医療機関が人体から採取した血液を原料として、製品を製造することを可能とする。(*安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の改正)
再生医療等製品の製造販売業及び製造業
再生医療等製品の販売業の許可(薬事法第四十五条)
再生医療等製品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、再生医療等製品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
2 前項の許可は、営業所ごとに、その営業所の所在地の都道府県知事が与える。
3 次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の許可を与えないことができる。
- 一 その営業所の構造設備が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき。
- 二 申請者が、第五条第三号イからヘまでのいずれかに該当するとき。
4 第一項の許可は、六年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
再生医療等製品を販売するためには、営業所ごとに都道府県知事の許可を得なければならない。更新制であり、続けて許可を受ける場合は、6年毎に更新(更新申請書・許可証)しなければならない。
許可の要件は、
- 再生医療等製品販売業の営業所の構造設備
- 申請者の欠落要件
- 再生医療等製品営業所管理者の設置(厚生労働省令で定める基準に該当する者)
再生医療等製品の販売業の管理者の設置(薬事法第四十六条、薬食発0806第3号)
前条第一項の許可を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、再生医療等製品の販売を実地に管理させるために、営業所ごとに、厚生労働省令で定める基準に該当する者(以下「再生医療等製品営業所管理者」という。)を置かなければならない。
2 再生医療等製品営業所管理者は、その営業所以外の場所で業として営業所の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その営業所の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
再生医療等製品の製造業者は、製造所ごとに、厚生労働大臣の承認を受けて、再生医療等製品に係る生物学的知識を有する者その他の技術者(再生医療等製品製造管理者)を置かなければならないこととされているが(新法第23 条の 34 第3項関係)、当該承認の対象は、次に掲げる者等を予定していること。
- ① 医師、医学の学位を持つ者
- ② 歯科医師であって細菌学を専攻した者
- ③ 細菌学を専攻し修士課程を修めた者
- ④ 大学、専門学校等で微生物学、細胞生物学、分子生物学、発生生物学その他これらに関する内容を含む科目の講義及び実習を受講し、修得した後、3年以上の再生医療等製品又はそれと同等の保健衛生上の注意を要する医薬品、医療機器等の製造等に関する経験を有する者
なお、同一施設において再生医療等製品以外の製品を取り扱う場合に、当該製品の製造管理者又は責任技術者が上記の要件を満たし、承認される場合にあっては、当該製品の製造管理者又は責任技術者との兼務を認めることとすること。
再生医療等製品の販売業の営業所の構造設備(薬局等構造設備規則第五条の二)
再生医療等製品の販売業の営業所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
- 一 採光、照明及び換気が適切であり、かつ、清潔であること。
- 二 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
- 三 冷暗貯蔵のための設備を有すること。ただし、冷暗貯蔵が必要な再生医療等製品を取り扱わない場合は、この限りでない。
- 四 取扱品目を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
再生医療等製品に関する経過措置(薬食発0806第3号)
改正法の施行の際現に業として再生医療等製品の製造販売又は製造をしている旧法の許可を受けている者は、新法の製造販売業又は製造業の許可を受けたものとみなすとともに、当該許可の有効期間は、旧法に基づく許可の有効期間の残存期間とすること。(改正法附則第 27 条、第 28 条関係)
また、改正法の施行の際現に業として再生医療等製品を販売等している旧法第4条第1項、第34条第1項又は第39条第1項の許可を受けている者は、新法の販売業の許可を受けたものとみなすとともに、当該許可の有効期間は、旧法に基づく許可の有効期間の残存期間とすること。なお、現に業として再生医療等製品を販売等している場合とは、再生医療等製品の製造販売業者と当該再生医療等製品の販売行為に係る契約を締結しているなどにより、現に再生医療等製品の販売ができる状態にある場合が該当するものであること。(改正法附則第 45 条関係)
さらに、改正法の施行の際現に再生医療等製品について医薬品又は医療機器として旧法の承認を受けている者は、当該品目に係る新法の承認を受けたものとみなすとともに、当該承認に係るQMS(GMP)調査の有効期間は、旧法に基づくQMS(GMP)調査の有効期間の残存期間とすること。(改正法附則第 30 条関係)
申請に関する経過措置(薬食発0806第3号)
改正法の施行前にされた旧法に基づく許可等の申請であって、改正法の施行の際、許可等をするかどうかの処分がなされていないものについてのこれらの処分については、なお従前の例によることとすること。(改正法附則第63 条、改正政令第 18 条関係)
施行前の準備(薬食発0806第3号)
新法の規定に基づき薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととなっている基準の設定、希少疾病用再生医療等製品の指定等については、厚生労働大臣は、改正法の施行前においても、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くことができること。
また、新法に規定する再生医療等製品の製造販売の承認申請等の手続は、改正法の施行前においても行うことができるが、具体的な取扱いについては追って通知するものであること。(改正法附則第 64 条関係)
再生医療等製品
- ES細胞(胚性幹細胞)・・・受精卵から作製された細胞。倫理面の課題あり。受精卵→目、筋肉、骨などの細胞へ。
- iPS細胞(人工多機能性幹細胞)・・・体の細胞に特定の遺伝子を導入し作製された細胞。がん化等の課題あり。皮膚細胞等→目、筋肉、骨などの細胞へ。
- 体性幹細胞・・・生物がもともと持つ細胞。限定された種類の細胞にしか分化しない。
- 体性幹細胞以外の体細胞・・・生物がもともと持つ細胞。特定の種類の細胞に分化したものであり、それ以外の細胞にならない。
これらの技術を使用することで、軟骨細胞の修復による変形性関節症、リウマチの治療、免疫細胞活性化によるがん治療、遺伝子操作による遺伝性疾患の治療等が期待される。
「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
10 保険適用されている再生医療等製品の医薬品医療機器等法に基づく承認に係る用法、用量、使用方法、効能、効果又は性能と異なる用法、用量、使用方法、効能、効果又は性能に係る使用又は支給に関する事項
- (4) 薬局にあっては、調剤報酬点数表第1節に規定する調剤基本料の注5の規定に基づく届出を行った薬局であって、(3)のア及びイの要件を満たす病院又は診療所の医師又は歯科医師から交付された処方箋に基づき再生医療等製品を投与又は支給するものであること。
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記事No30 題名:Re:再生医療等製品 投稿者:管理人tera 投稿日:2014-09-30 20:53:24
水谷様
ご指摘ありがとうございます。
仰るとおり、再生医療機器の製造業と販売業については許可で間違いないです。
私が「薬事法等の一部を改正する法律案の概要」の医療機器の製造業の部分にある、
「医療機器の製造業について、許可制から登録制に簡素化する。」
の文を勘違いして載せてしまったためです。
製造業について薬局が関わる可能性はほぼないと思い、少し注意を怠ったせいかと思います。
気づいて頂いて大変感謝します。
記事No29 題名:再生医療等製品 投稿者:水谷 投稿日:2014-09-30 15:17:08
記事内には製造販売業・製造業は『許可制から登録制へ』とありますが、リンク先のPDFファイルにはいずれも『許可を受けたものでなければ、業として製造販売(製造)をしてはならない』と書かれています。
8月に出された「薬食発0806第3号」にも、同様の記載があります。
その後登録制に変更になったという情報は得ておりませんが、変更になったのでしょうか?
記事No20 題名:Re:再生医療等製品 投稿者:管理人tera 投稿日:2014-08-26 13:25:48
ITOU様
ご指摘ありがとうございます。
薬事法改正全般の経過措置を含めて現在確認しており、少々反映まではお時間かかるかと思います。
よろしくお願いいたします。
記事No19 題名:再生医療等製品 投稿者:ITOU 投稿日:2014-08-26 08:23:56
販売業者のついては、経過措置もあります。
確認お願いいたします。
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