グラナテック点眼の作用機序

Rhoキナーゼ阻害作用

Rac、Cdc42などのRhoが活性化されると、アクチン細胞骨格系(p21G蛋白であるRhoとその基質であるROCK(Rho-associated coiled-coil forming protein kinase)による系)が制御される。なお、SOSおよびRasGRFはRhoファミリーのRacを直接活性化する。

グラナテック点眼(リパスジル)は、Rhoキナーゼを阻害してアクチンの重合を抑制する。

Rho/ROCK細胞内シグナルの伝達

作用点

PG関連薬のような副流出路からではなく、主流出路(線維柱帯-シュレム管流出路)からの房水流出を増大させる。副交感神経作動薬が毛様体に作用することによる副次的作用であるのに対し、これは主流出路の組織に直接作用するという。

Rhoキナーゼ阻害薬は、Rho/ROCK細胞内シグナルの伝達を抑制し、それにより、アクチンの脱重合、細胞骨格の収縮変化、線維柱帯細胞の形状変化をもたらす。

さらに、傍シュレム管結合組織では、線維柱帯細胞と細胞外マトリクスの接着に関与する種々のタンパク質に変化をもたらし、線維柱帯同士の結合を一時的に弱めたり、細胞外マトリクスの構造を変化させることで、房水流出抵抗が減少すると考えられている。

それらの作用により、シュレム管内皮細胞に到達する房水量が増加し、それにより巨大空砲が増加、シュレム管に移行する房水量が増加するという。

緑内障について

補足

  • 20%以上視野の細胞がなくなると視野の欠損が起こる。眼圧は下降させるしか治療方法はない。
  • 眼房水は毛様体が産生する。房水流出障害が最も多い。開放隅角緑内障がその40%くらい、中でも正常眼圧緑内障が多い。
  • 開放隅角緑内障は線維柱帯の目詰り。正常眼圧緑内障は眼の奥部の視神経の障害、弱いから。
  • 70歳以上は10人に一人がかかっている(緑内障)
  • ステロイドは細胞外マトリクス産生が亢進する。
  • 単剤が第一選択→だめなら変更→多剤併用。Rock阻害剤は単剤では弱いので第一選択薬としては使えないかも。
  • Rock阻害剤は線維柱帯の目詰りを直接取る作用。他にない機序なので他のどの薬剤とも併用OK。
  • 線維柱帯細胞の間隙の上昇と細胞外マトリクスの減少(Rho、アクチン繊維を消失させる)。この作用は可逆的であり、薬剤を除去すると元に戻る(アクチン)
  • 点眼後2hが最大効果、長期使用のリバウンド無し。
  • 結膜充血がほぼ必ず起きる(治験では69%)。初回0-12wで出現。点眼後5分後あたりから30分くらいまで軽度の充血、2時間で軽微の充血というデータ。大体は2時間あれば元の状態に戻るので、朝起きてすぐ点眼すれば出勤時には充血のない状態になる。
  • この充血は一過性であり、点眼のたびに繰り返す。充血はRock阻害の薬理により血管が拡張するために起こると考えられている。
  • 室温保存でOK。
  • 参考・引用元
    • 興和創薬グラナテック点眼製剤資料

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