メマリーの作用機序

メマリーの作用点は、神経痛の治療薬であるリリカや、抗てんかん薬の作用点に近いため混同しないよう注意が必要です。

神経伝達

通常時は、神経終末から分泌されたグルタミン酸は、AMPA(non-NMDA)受容体に結合して、Na+流入による神経情報伝達を行います。この時点ではNMDA受容体は、Mg2+による不活性化を受けているため、受容体に結合してもNMDA受容体を介したシグナル伝達は起こりません。

NMDA受容体は普段は活性化されていないというわけです。特別な場合に活性化されます。

その特別の場合というのは~、記憶を形成する場合と、アルツハイマー型認知症の病態時なんですね。

この特別な2つのケースにおいては、AMPA受容体が活性化され続けまして、Na+がどんどん細胞内に流入してきます(AMPA受容体だけの活性化でも活動電位は発生し神経伝達は起こります)。すると、ある電位差(静止膜電位が-70mV→-50mVに上昇すると)になるとMg2+が外れて、NMDA受容体が活性化します。AMPA受容体の持続的の活性化が、NMDA受容体活性化のスイッチになるんです。

NMDA受容体が活性化されると、Ca2+の細胞内流入が起こり、PKC活性化による各種タンパク質の合成やCaMK-Ⅱ(Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡ)を介したAMDA受容体のリン酸化によるシナプスの可塑性、すなわちシナプス伝達の増強・一定時間の持続化が起こります。

血圧を上げたりとか、PGとか色んな物質の生成反応等をはじめとした一連の細胞シグナルはCa2+に奮起されて起こります。Ca2+が細胞内に一過性に貯まる分には生理機能が一時的に増強されるだけで問題ありませんが、常に溜まっていってしまうと、逆に細胞に負担がかかって壊れてしまうわけです。

また、シナプティックノイズ(持続的な電気シグナル)が増大して、記憶を形成する神経伝達シグナルを隠してしまうために、記憶・学習機能が傷害されてしまいます。

メマリーを投与すると、メマリーがNMDA受容体をブロックすることで、細胞の傷害を食い止めてくれます。しかし、常にブロックしてしまうと、記憶形成の一過性のシグナルすらを抑制してしまって本末転倒なので、記憶形成のシグナルの場合は、受容体から外れてくれます。まさにいいとこ取りです。

メマリーはチャネルへのハマり具合がちょうどいいフタの役割をする。フタが開かなければ神経活動が活性化せず(Mg抑制がはずれない)認知機能は改善しないが、フタが開きっぱなしならノイズが発生し、Caがたくさん流入して細胞傷害が起こるということです。

メマリーの効果と副作用

メマリーは行動障害と攻撃性、徘徊も抑制。

メマリーは酸素分子がついてないから酵素により影響されない。。

グルタミン酸が障害を起こすと認知症だが、糖尿病の人がもっとも認知症になりやすい。

メマリーはそのままの形で腎臓から排泄される。そのため、腎機能が悪い人は半量投与が望ましい。単独でも有効性がある。併用は12周めやすで効果判定するが、今の現年齢を超えて認知機能が改善することはないので、症状が変わらなければそれは効果があったとするべき。

Tmaxが約6時間なので、6時間後のSEに注意する。半減期が50hと長いため、少し飲み忘れても効果は落ちない。

なぜ適応が重度なのか、軽度に使うと効率に頭痛の副作用が起こりやすいため。

メマリーのSEとして覚えて置かなければいけないのは5つ。便秘、めまい、頭痛、血圧上昇、傾眠。

参考文献:メマリー資料(第一三共)、https://www.nips.ac.jp/huinfo/research/ns_Res05.htm

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