薬袋・薬情・手帳等への記載事項
容器・被包への記載事項(薬剤師法第25条、薬剤師法施行規則第14条)
薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤した薬剤の容器又は被包に、処方箋に記載された患者の氏名、用法、用量その他以下の事項を記載しなければならない。
- 調剤年月日
- 調剤した薬剤師の氏名
- 調剤した薬局又は病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設(獣医療法 (平成四年法律第四十六号)第二条第二号 に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者を含む。以下同じ。)の名称及び所在地(往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者のうち、法人以外の者にあつては、その氏名及び住所とする。以下同じ。)
まとめると、
- 患者の氏名(例:山田太郎)
- 用法・用量(例:・1日1回 朝食後 28日分。1回1錠服用)
- 調剤年月日(例:H24.4.1)
- 調剤した薬剤師の氏名(例:調剤花子)
- 調剤した薬局の名称及び所在地(例:○○薬局 ○○県○○市○○)
関係法規上では明確に禁止されているわけではないが、少なくとも健康保険に係る調剤(保険調剤)においては広告付きの薬袋は使用すべきではない。(H26保険調剤Q&A Q209)
薬情への記載事項(薬機法施行規則第十五条の十三、服薬管理指導料、地域支援体制加算)
2 法第九条の四第一項の厚生労働省令で定める事項(薬情への記載事項)は、次のとおりとする。ただし、薬剤師法第二十五条に規定する事項が記載されている調剤された薬剤の容器又は被包を用いて、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に情報の提供を行わせる場合には、第一号から第四号までに掲げる事項を記載することをしない。
- 一 当該薬剤の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称。以下同じ。)
- 二 当該薬剤の有効成分の名称及びその分量(有効成分が不明のものにあつては、その本質及び製造方法の要旨。以下同じ。)
- 三 当該薬剤の用法及び用量
- 四 当該薬剤の効能又は効果
- 五 当該薬剤に係る使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項
- 六 その他当該薬剤を調剤した薬剤師がその適正な使用のために必要と判断する事項
服薬管理指導料を算定する場合
服薬管理指導料を算定する場合は、
ホ 薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者に提供すること。
患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書又はこれに準ずるもの (以下この表において「薬剤情報提供文書」という。)により患者に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
イ 患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、薬剤情報提供文書により患者又は現に薬剤を管理している者(以下この区分番号において「患者等」という。)に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
(2) 薬剤の服用に関する基本的な説明
患者ごとに作成した薬剤服用歴等に基づいて、処方された薬剤の重複投薬、相互作用、薬物アレルギー等を確認した上で、次に掲げる事項その他の事項を文書又はこれに準ずるもの(以下「薬剤情報提供文書」という。)により情報提供し、薬剤の服用に関し、基本的な説明を患者又はその家族等に行うこと。また、必要に応じて、製造販売業者が作成する医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)に基づく患者向け資材を活用すること。
- (イ) 当該薬剤の名称(一般名処方による処方箋又は後発医薬品への変更が可能な処方箋の場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、形状(色、剤形等)
- (ロ) 用法、用量、効能、効果
- (ハ) 副作用及び相互作用
- (ニ) 服用及び保管取扱い上の注意事項
- (ホ) 調剤した薬剤に対する後発医薬品に関する情報
- (へ) 保険薬局の名称、情報提供を行った保険薬剤師の氏名
- (ト) 保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等
ア 情報提供等
- (イ) 2の(2)の薬剤情報提供文書により行う薬剤に関する情報提供は、調剤を行った全ての薬剤の情報が一覧できるようなものとする。ただし、調剤した薬剤を複数の薬袋に入れ交付する場合は、薬袋ごとに一覧できる文書とすることができる。なお、薬剤情報提供文書については、処方内容が前回と同様の場合等においては、必ずしも指導の都度、患者に交付する必要はないが、患者の意向等を踏まえた上で交付の必要性を判断し、交付しない患者にあってはその理由を薬剤服用歴等に記載する。
- (ロ) 薬剤情報提供文書における「これに準ずるもの」とは、ボイスレコーダー等への録音、視覚障害者に対する点字その他のものをいう。
- (ハ) 効能、効果、副作用及び相互作用に関する記載は、患者等が理解しやすい表現によるものとする。また、提供する情報の内容については正確を期すこととし、文書において薬剤の効能・効果等について誤解を招く表現を用いることや、調剤した薬剤と無関係の事項を記載しないこと。
- (ニ) 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方箋発行医に確認する等慎重に対応すること。
- (ホ) (2)の(ホ)の「後発医薬品に関する情報」とは、次に掲げる事項とし、薬剤情報提供文書により提供するとともに、必要な説明を行うこと。また、後発医薬品の情報に関しては、可能であれば一般的名称も併せて記載することが望ましい。なお、ここでいう後発医薬品とは、「「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等について」の別紙1に掲げられたものに加え、別紙2に掲げられたものも含むものであること。
- ① 該当する後発医薬品の薬価基準への収載の有無
- ② 該当する後発医薬品のうち、自局において支給可能又は備蓄している後発医薬品の名称及びその価格(当該薬局において備蓄しておらず、かつ、支給もできない場合はその旨)
かかりつけ薬剤師指導料を算定する場合
「区分番号10」の服薬管理指導料に係る業務を実施した上で患者の理解に応じた適切な服薬指導等を行うこと
地域支援体制加算を算定する場合
(4) 当該保険薬局は、原則として初回の処方箋受付時に(記載事項に変更があった場合はその都度)、当該担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項(近隣の保険薬局との連携により24 時間調剤ができる体制を整備している保険薬局は、連携薬局の所在地、名称、連絡先電話番号等を含む。)等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書(これらの事項が薬袋に記載されている場合を含む。)により交付していること。なお、曜日、時間帯ごとに担当者が異なる場合には、それぞれ曜日、時間帯ごとの担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等を文書上に明示すること。 また、これらの連携薬局及び自局に直接連絡が取れる連絡先電話番号等を当該保険薬局の外側の見えやすい場所に掲示すること。
(9) 当該保険薬局は、地方厚生(支)局長に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行うとともに、処方医から在宅患者訪問薬剤管理指導の指示があった場合に適切な対応が できるよう、例えば、保険薬剤師に在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な研修等を受けさせ、薬学的管理指導計画書の様式をあらかじめ備えるなど、在宅患者に対する薬学的管理指導が 可能な体制を整備していること。また、患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の情報提供をするために、当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であることを掲示し、当該内容を記載した文書を交付すること。
Q:初回の処方箋受付時に患者へ交付する文書には、時間外等に調剤応需が可能な「近隣の」保険薬局に関する情報(所在地、名称、開局時間、連絡先など)を記載するよう求められているが、自局のみで時間外・休日・夜間の調剤を応需している場合には、自局に関する情報を提供することで当該要件を満たしていると解釈して差し支えないか。
A:差し支えない。
手帳への記載事項(調剤報酬に関する事項)
ウ 手帳
- (イ) 「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次の①から④までに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。
- ① 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録
- ② 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録
- ③ 患者の主な既往歴等疾患に関する記録
- ④ 患者が日常的に利用する保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等
④については、当該保険薬局と他の保険薬局又は保険医療機関等の間で円滑に連携が行えるよう、患者が日常的に利用する保険薬局があれば、その名称及び保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を手帳に記載するよう患者に促すこと。
なお、④の患者が日常的に利用する保険薬局の名称等については、令和3年3月31 日までの間は適用しない。 - (ロ) 手帳については、患者に対して、手帳を活用することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向等を確認した上で手帳を用いないこととした場合にあっては、その理由を薬剤服用歴等に記載する。なお、手帳を活用しているが、持参を忘れたこと等により提示できない患者に対しては、「注1」のただし書の点数を算定することになる旨説明するとともに、次回以降は手帳を提示するよう指導すること。
- (ハ) (3)のウの手帳への記載による情報提供は、調剤を行った全ての薬剤について行うこととする。この場合において、「服用に際して注意すべき事項」とは、重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項、あるいは投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む。)等であり、投薬された薬剤や患者の病態に応じるものである。
- (ニ) 手帳による情報提供に当たっては、患者に対して、保険医療機関を受診する際には医師又は歯科医師に手帳を提示するよう指導を行う。また、患者が、保険医療機関や他の保険薬局から交付されたものを含め、複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合は患者の意向を確認した上で、同一の手帳で管理できると判断した場合は1冊にまとめる。なお、1冊にまとめなかった場合については、その理由を薬剤服用歴等に記載する。
- (ホ) 患者が手帳を持参し忘れたことにより提示できない場合は、手帳に追加すべき事項が記載されている文書(シール等)を交付し、患者が現に利用している手帳に貼付するよう患者に対して説明することで、既に患者が保有している手帳が有効に活用されるよう努めるとともに、当該患者が次回以降に手帳を提示した場合は、当該文書が貼付されていることを確認する。
- (へ) 電子版の手帳については、 「お薬手帳(電子版)の運用上の留意事項について」の一部改正について(令和3年10月25日薬生総発 1025第1号) の「第三 運営事業者等が留意すべき事項」を満たした手帳であれば、紙媒体の手帳と同様の取扱いとする。その際、保険薬局においては、同通知の「第二 提供薬局等が留意すべき事項」を満たす必要がある。
- (ト) 手帳の媒体(紙媒体又は電子媒体)は患者が選択するものであり、手帳の提供に当たっては、患者に対して個人情報の取扱い等の必要事項を説明した上で、患者の意向を踏まえて提供する媒体を判断すること。
- (チ) 紙媒体の手帳を利用している患者に対して、患者の希望により電子版の手帳を提供する場合には、電子版の手帳にこれまでの紙媒体の情報を利用できるようにするなど、提供する保険薬局が紙媒体から電子媒体への切り替えを適切に実施できるよう対応すること。
かかりつけ薬剤師指導料を算定する場合
かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する場合は、他の保険薬局及び保険医療機関おいても、かかりつけ薬剤師の情報を確認できるよう、患者が保有する手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する。
患者が服用中の薬剤等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、患者の意向を確認した上で、服薬指導等の内容を手帳等に記載すること。
薬情・手帳記載に関する留意点(関東信越厚生局集団指導要点より)
下記別ページ(薬剤服用歴管理指導料の項目)を参照。
Q&A
Q&A(埼玉県薬剤師会vol.5)
A:記載しなくても良い。ただ、シールに薬剤師印の欄がある場合、患者が印鑑を押すものだと解釈することもある。
コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。
- << 前のページ
- 次のページ >>