統合失調症のEPS(錐体外路症状)
錐体外路症状(EPS:extra pyramidal symptom)には以下のようなものがある。
パーキソニズム
パーキンソン病に見られる運動減退の総称で、小刻み歩行、仮面様顔貌、振戦、動作緩慢、筋強剛などの症状が含まれる。
アカシジア
静座不能症とも呼ばれ、患者は「じっとしてられない」、「足がむずむずする」など訴え、時に不安焦燥感、を伴う。抗精神病薬の投与後、比較的早期に出現する。
ジストニア
眼球上転、斜頸、舌突出、体幹のねじれやツッパリなどの、筋緊張の異常な亢進によって引き起こされる症状の一群。 特に急性咽喉頭ジストニアでは咽喉頭狭窄を起こし、嚥下困難、構音障害、呼吸困難などの症状を引き起こし、突然死に至ることがあるため注意が必要である。
ジスキネジア
顔面、口、舌、顎、四肢、体幹などに出現する不随意運動の総称で、口唇ジスキネジアが最も出現頻度が高く、口をもぐもぐさせる動きや舌なめずりや舌を突出させる動きが特徴的である。
抗精神病薬の長期投与で起こり、不可逆性であることが多い。
その他、臨床においてよく見られるものとして、心機能障害による不整脈、便秘による麻痺性イレウス、多飲水・水中毒、肝機能障害などがある。また頻度は少ないが、重篤なものとして悪性症候群がある。
悪性症候群
抗精神病薬服用中に発熱、錐体外路症状、自律神経症状、意識障害などを生じる。
最も重篤な副作用である。高力価抗精神病薬の投与開始時や薬剤増量時、抗パーキンソン薬や抗不安薬の中止・減量時に身体的疲労や脱水、精神症状の増悪などが重なった場合に発症することが多い。
多くの場合、抗精神病薬の投与開始後数時間から2週間以内に発症し、一ヶ月を超える発症は5%以下と少ない。
悪性症候群は抗精神病薬の副作用だけでなく、まれではあるがパーキンソン症状の悪化でも見られる(うちの父親が多系統萎縮症で、症状悪化で幻覚、筋硬直、発熱で悪性症候群と診断されて入院したため)。
脚の痙攣は1週間、24時間止まらず、腕の硬直は3,4日続き、上に上げた手が下がらない状態。
ガイドライン的には、脱水に対して補液、ダントリウムの点滴、ブロモクリプチンの鼻腔注入であるが、この時は、アセリオ(アセトアミノフェン)とノルデム1輸液、ダントリウムの静注で対処した。
体重増加
セロトニン受容体の遮断によって体重増加が起こる可能性がある。
非定型抗精神病薬ではオランザピンで多い。
6週間で9kg以上の増加がある場合には、その後も体重増加が続く場合があるので注意を要する。
高血糖
非定型型抗精神病薬では、高血糖、糖尿病性アシドーシス、糖尿病昏睡などの副作用が報告されている。
オランザピンやクエチアピンは、糖尿病や糖尿病の既往歴のある患者には禁忌であり、家族歴を有する場合には慎重投与となっている。
体重増加が見られない場合でも高血糖が引き起こされる可能性があるので、十分な注意が必要である。
症状は、口渇、多飲、多尿、頻尿などが見られる。
関連ページ
コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。
- << 前のページ
- 次のページ >>