前立腺肥大の治療法
前立腺肥大症は、膀胱下閉塞により排尿障害を主とした疾患で、下部尿道の左右に発生、肥大し、尿道を圧迫するために、膀胱刺激による頻尿と排尿困難をもたらします。
診断は通常エコーや尿流測定等を行うことで行いますが、IPSSスコアの問診だけでも診断可能です。
前立腺肥大治療は、薬物療法と手術療法が行われ、前立腺肥大の薬としてはアドレナリンα1受容体阻害して前立腺部平滑筋を弛緩させる薬が第一選択薬として用いられます。
これらの症状を改善する第一選択薬がα遮断薬である。α1受容体を遮断することで、前立腺の収縮を抑制し、過緊張を改善して、排尿症状と蓄尿症状を同時に治療できる。最初に抗コリン薬でOAB症状を抑えると排尿症状に支障をきたすおそれがあるので、大概はα遮断薬と一緒して、かつ慎重に使う。
α1受容体には、α1A、α1B、α1Dがあって、正常前立腺は(α1A:α1B:α1D=63:6:31)、肥大した前立腺は(α1A:α1B:α1D=85:1:14)血管平滑筋(α1B=100%)の構成比であるため、α1Aを選択的に阻害する薬が最も良いとされる。
ユリーフはどの薬よりもα1Aに対する選択性があるということだ。選択性とは言っても、α1Bに作用も多少はあるので血圧低下のSEももちろんある。
前立腺自体が大きくなっている(前立腺体積30ml以上)場合は、5α還元酵素を阻害するアボルブが第一選択となる。プロスタールのような抗アンドロゲン薬も含めて、中止すると前立腺が再び肥大する、PSA値が低下するため、前立腺がんの発見が遅れるといったデメリットもある。
抗コリン薬(膀胱括約筋を弛緩させて、もっと尿を貯めれるようにする薬)としては、ベシケアとかバップフォーがあるが、口渇、便秘のようなSEが出やすいのでそれが悩みではある。
そのデメリットを補うべく出たのが、β3刺激薬(ベタニス)で、これは交感神経を興奮させて膀胱括約筋を弛緩させる薬である。
- 蓄尿時(交感神経支配)
→膀胱弛緩(β3)、前立腺尿道括約筋収縮(α1)、内尿道括約筋収縮(α1)、外尿道括約筋収縮(β) - 排尿時(副交感神経支配)
→膀胱収縮(M)、前立腺尿道括約筋弛緩(NO)
交感神経が興奮した緊張された状態では、膀胱は弛緩し、前立腺は収縮する。副交感神経が興奮したリラックスされた状態では、膀胱は収縮し、前立腺は弛緩する。ションベンをするときの感じを思い出せば一目瞭然だ。
これら薬物療法で対処できない場合は、前立腺をくりぬくといった外科的療法の適応となる。
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