薬物の骨に与える影響

1、ステロイド
ステロイドはRunx2タンパク質抑制作用にて骨形成を抑制するほか、OPGの抑制、RANKLの活性化により骨吸収も抑制することで骨粗しょう症が起こると考えられる。
骨密度低下はステロイドの量と投与期間に依存するが、プレドニゾロン2.5mg未満の少量だっても椎体骨折の相対危険率は1.55になり、リスクはある。具体的には以下の表(日本骨代謝学会ガイドラインより)で合計スコアが3以上の場合に薬物療法が推奨される。(→65歳以上だというだけでスコアが4点あり薬物療法推奨)

危険因子 スコア
既存骨折 なし 0
あり 7
年齢 <50 0
50≦ <65 2
≧65 4
GC投与量(mg/日) <5 0
5≦ <7.5 1
≧7.5 4
骨密度(%YAM) ≧80 0
70≦ <80 2
<70 4

2、プロトピック
プロトピックはFKBP12を活性化して最終的にNFATc1の核内移行を抑えることで、骨吸収を抑制する。

3、カルシトニン
カルシトニンは破骨細胞上のCPCRⅡ受容体に結合して骨吸収を抑制する。

4、エストロゲン
選択的エストロゲン調節薬(SERMs)としてエビスタ(ラモキシフェン)が使われているが、これは、骨組織特異的にERα、ERβ受容体に結合し、骨吸収を抑制する。

5、ビスホスフォネート(BP)
BPはヒドロキシアパタイトにキレート結合することで骨組織へと進入する。N含有BP剤(ベネット、ボナロン、フォサマックなど)は、メバロン酸経路によるファルネシルピロリン酸やゲラニルゲラニルピロリン酸の合成を阻害して、RasなどのGTPタンパク合成を阻害することで、破骨細胞構造を破壊して骨吸収を抑制する。 Nを含有していないBP剤(ダイドロネル)は、ATP類似の代謝物が破骨細胞に対して抑制的に働き、骨吸収を抑制する。

6、活性型ビタミンD3製剤
ワンアルファ、アルファロールに代表されるVD3製剤は、骨芽細胞上VDRに結合してRANKLの発現を促し、骨吸収を促進するほか、腸管からのCa、リンの吸収を亢進させると共に、PTH遺伝子の転写を抑制してCa濃度上昇に対してフィードバックをかける(パラトルモンはビタミンD3の産生を促してCaの上昇とリンの上昇に関与する一方で、自身でも腎臓にてCa濃度上昇とリン濃度の低下にかかわる。)。

7、ビタミンK製剤
グラケーのようなビタミンK2(メナテトレノン)は、骨芽細胞に作用→オステオカルシンのカルボキシル化(Gla化)に必要である。 Gla化されたオステオカルシン(Gla-OC)のみが骨のヒドロキシアパタイトと結合して骨基質中に蓄積され骨形成に関与するという。

8、糖尿病治療薬
チアゾリジン系、SU剤、インスリン製剤を用いる症例において骨量減少の速度が速い。

9、β遮断薬
骨折リスクが低下するというメタ解析の結果が示されている。

10、利尿薬
チアジド系利尿薬は尿中カルシウムの再吸収を促進するため、カルシウム排泄量を減少させることで骨粗鬆症には良い影響を与える一方で、ループ利尿薬は逆にカルシウムの尿中排泄を増加させることで骨粗鬆症リスクを増加させる。

11、抗精神病薬
SSRI、SNRIは骨折リスクを増加させる報告がある。

12、抗てんかん薬
肝臓でのビタミンDの代謝促進や易転倒性により骨折リスクを上昇させるとの報告有。

13、抗凝固薬
ヘパリン、ワルファリンによる骨折リスク上昇の報告有。


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