骨粗しょう症の治療薬一覧
分類 | 成分名 | 商品名 | 規格・剤形・補足 |
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カルシウム製剤 | 乳酸カルシウム | 乳酸カルシウム | 規格:原末、錠500mg(GEのみ) 適応: 低カルシウム血症に起因する下記症候の改善、テタニー、妊婦・産婦の骨軟化症におけるカルシウム補給、 発育期におけるカルシウム補給 |
グルコン酸カルシウム | カルチコール | 規格:末、注射液 適応:低カルシウム血症に起因するテタニー・テタニー関連症状の改善、小児脂肪便におけるカルシウム補給 |
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Lアスパラギン酸カルシウム | アスパラCA | 規格:錠200㎎ 適応: 低カルシウム血症に起因するテタニー・テタニー関連症状の改善、骨粗鬆症、骨軟化症におけるカルシウム補給、発育期におけるカルシウム補給、妊娠・授乳時におけるカルシウム補給 |
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塩化カルシウム | 塩化カルシウム水和物「ヤマゼン」 | 規格:末 適応:低カルシウム血症に起因するテタニー・テタニー関連症状の改善 |
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大塚塩カル 塩化Ca補正液 |
規格:注 適応:低カルシウム血症に起因するテタニー・テタニー関連症状の改善、鉛中毒症、マグネシウム中毒症、妊婦・産婦の骨軟化症におけるカルシウム補給 |
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卵胞ホルモン製剤 | エストリオール | ホーリン エストリール |
規格:錠0.5㎎(エストリールのみ)、錠1㎎ 適応:【内服】更年期障害、腟炎(老人、小児及び非特異性)、子宮頸管炎並びに子宮腟部びらん、老人性骨粗鬆症 |
エストラジオール | エストラーナ | 規格:テープ0.09mg/0.18mg/0.36mg/0.72mg 適応:【共通】更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う以下症状(血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、泌尿生殖器の萎縮症状、閉経後骨粗鬆症、性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症)、【0.72mg】生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、【0.36mg/0.72mg】凍結融解胚移植におけるホルモン補充周期 |
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結合型エストロゲン | プレマリン | 規格:錠0.625mg 適応:卵巣欠落症状、卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎(老人、小児および非特異性)、機能性子宮出血 補足:適応外 |
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ビタミンK2 | メナテトレノン | グラケー | 規格:カプセル15㎎ 適応:骨粗鬆症における骨量・疼痛の改善 |
活性型ビタミンD3 | アルファカルシドール | ワンアルファ | 規格:錠0.25μg/0.5μg/1.0μg 適応:(慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症)におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、テタニー、骨痛、骨病変等)の改善、骨粗鬆症 |
アルファロール | 規格:散、カプセル0.25μg/0.5μg/1μg/3μg、内用液 適応:(異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、テタニー、骨痛、骨病変等)の改善、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症、骨粗鬆症)におけるビタミンD代謝 |
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カルシトリオール | ロカルトロール | 規格:カプセル0.25μg/0.5μg、注 適応:骨粗鬆症 (慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、クル病・骨軟化症)におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状(低カルシウム血症、しびれ、テタニー、知覚異常、筋力低下、骨痛、骨病変等)の改善 |
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販売中止。規格:錠0.25μg、カプセル0.5μg | |||
マキサカルシトール | オキサロール | 規格:注 適応:維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症 補足:透析下 |
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ファレカルシトリオール | ホーネル フルスタン |
規格:錠0.15μg/0.3μg 適応:維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症(腎不全におけるものを除く)における低カルシウム血症とそれに伴う諸症状(テタニー、けいれん、しびれ感、知覚異常等)の改善、クル病・骨軟化症(腎不全におけるものを除く)に伴う諸症状(骨病変、骨痛、筋力低下)の改善 補足:、 透析下 |
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エルデカルシトール | エディロール | 規格:カプセル0.5μg/0.75μg 適応:骨粗鬆症 |
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ビスホスホネート | エチドロン酸 | ダイドロネル | 規格:錠200㎎ 適応:骨粗鬆症、(脊髄損傷後、股関節形成術後)における初期及び進行期の異所性骨化の抑制、骨ページェット病 |
パミドロン酸 | パミドロン酸ニNa | 規格:点滴静注 適応:悪性腫瘍による高カルシウム血症 乳癌の溶骨性骨転移(化学療法、内分泌療法、あるいは放射線療法と併用すること) 骨形成不全症 |
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アレンドロン酸 | フォサマック ボナロン |
規格:錠5㎎/35mg、ボナロンのみ経口ゼリー35mgと点滴静注有 適応:骨粗鬆症 |
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リセドロン酸 | ベネット アクトネル |
規格:錠2.5mg/17.5mg/75mg 適応:骨粗鬆症 骨ページェット病 |
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ミノドロン酸 | リカルボン ボノテオ |
規格:錠1㎎/50mg 適応:骨粗鬆症 |
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イバンドロン酸 | ボンビバ | 規格:100mg、静注(月1回) 適応:骨粗鬆症 |
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ゾレドロン酸 | リクラスト |
規格:点滴静注 適応:骨粗鬆症 |
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SERM | ラロキシフェン | エビスタ | 規格:錠60㎎ 適応:閉経後骨粗鬆症 |
バゼドキシフェン | ビビアント | 規格:錠20mg 適応:閉経後骨粗鬆症 |
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カルシトニン薬 | エルカトニン | エルシトニン ラスカルトン |
規格:注 適応:骨粗鬆症における疼痛 |
副甲状腺ホルモン剤 | テリパラチド酢酸塩 | テリパラチド酢酸塩 | 規格:静注 適応:骨折の危険性の高い骨粗鬆症 |
テリボン | 規格:皮下注、皮下注オートインジェクター 適応:上に同じ |
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テリパラチド | フォルテオ | 規格:皮下注キット 適応:上に同じ |
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アバロパラチド | オスタバロ | 規格:カートリッジ 適応:上に同じ |
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抗RANKL抗体薬 | デノスマブ | プラリア | 規格:皮下注シリンジ 適応:骨粗鬆症 関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制 |
ランマーク | 規格:皮下注 適応:多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変 骨巨細胞腫 |
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ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体 | ロモソズマブ | イベニティ | 規格:皮下注シリンジ 適応:骨折の危険性の高い骨粗鬆症 |
イプリフラボン製剤 | イプリフラボン | 販売中止。規格:錠200㎎ | |
蛋白同化ステロイド | メテノロン酢酸エステル | プリモボラン | 規格:錠5㎎ 適応:骨粗鬆症、(慢性腎疾患、悪性腫瘍、外傷、熱傷)による著しい消耗状態、再生不良性貧血による骨髄の消耗状態 補足:合成テストステロンで骨粗しょう症に適応有 |
その他 | 沈降炭酸Ca・コレカルシフェロール・炭酸Mg | デノタス | 規格:配合錠 適応:RANKL阻害剤(デノスマブ(遺伝子組換え)等)投与に伴う低カルシウム血症の治療及び予防 |
低カルシウム血症治療薬 |
骨粗しょう症の薬の推奨グレード2015
骨吸収or骨形成促進剤の併用は原則不可(安全性が示されていないため)。例えばテリボンとベネット、イベニティとビビアント等。→ビタミンDやCaの併用は可能。
分類 | 一般名 | 推奨グレード | |||
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骨密度 | 椎体骨折 | 非椎体骨折 | 大腿骨近位部骨折 | ||
カルシウム薬 | L-アスパラギン酸Ca水和物 | C | |||
リン酸水素Ca水和物 | |||||
女性ホルモン薬 | エストリオール | C | C | C | C |
エストラジオール | A | C | |||
結合型エストロゲン(保険適用外) | A | A | A | A | |
活性型ビタミンD3 | アルファカルシドール | B | B | B | C |
カルシトリオール | B | B | B | C | |
エルデカルシトール | A | A | B | C | |
ビタミンK2 | メナテトレノン | B | B | B | C |
ビスホスホネート | エチドロン酸ニNa | A | B | C | C |
アレンドロン酸Na水和物 | A | A | A | A | |
リセドロン酸Na水和物 | A | A | A | A | |
ミノドロン酸水和物 | A | A | C | C | |
イバンドロン酸水和物 | A | A | B | C | |
選択的エストロゲン受容体(SERM) | ラロキシフェン塩酸塩 | A | A | B | C |
バゼドキシフェン酢酸塩 | |||||
カルシトニン薬 | エルカトニン | B | B | C | C |
カルシトニン(サケ) | |||||
副甲状腺ホルモン薬 | テリパラチド(遺伝子組換) | A | A | A | C |
テリパラチド酢酸塩 | A | A | C | C | |
抗RANKL抗体薬 | デノスマブ | A | A | A | A |
その他 | イプリフラボン | C | C | C | C |
(図引用:沢井ラロキシフェン資料2016.3)
DXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry:二重エネルギーX線吸収測定法):2種類のX線を用いて、その吸収率から骨密度を測定する。
薬剤の選択
BMD(Bone Mineral Density:骨密度)を上昇させる指標として、
- 骨量数の増加・・・骨形成促進薬で上昇
- 骨幅の増加・・・骨形成促進薬で上昇
- 骨石灰化の促進・・・骨吸収抑制薬で上昇
らがある。
骨代謝(リモデリング)について、テリパラチドは2倍程度には骨代謝をを活性化させて骨量や骨幅を増やす。プラリアはビスホスやイベニティに比べても高い骨吸収作用を持ち、ほとんど骨代謝が行われなくなる。
- 軽症例(骨密度5以下程度増加させたい):SERM+ビタミンD
- 骨密度6~9程度増加させたい:ビスホスホネート(イバンドロネートが一番効果高い)
- 骨密度10以上増加させたい:テリパラチド(2年で腰椎骨量+9.2%)、イベニティ(1年で腰椎骨量+13.3%)、プラリア(プラリアは期間が設定されていないので最後に使用か)
今は骨形成促進薬で骨を十分形成したあとに骨吸収抑制薬でキープする使い方が主流。
昔はテリパラチドを2回に分けて使ってたが、イベニティがでたので2年連続して使っていいと思う。テリパラチドを少し若いときに使用し、また下がってきたらイベニティ1年。イベニティは再度使うこともできる。
ビスホスは5年で骨が固くなるから、それ以降は一時的にビタミンDとかSERMに移行、その後また再開。
額骨壊死を引き起こす可能性がある薬剤は、ビスホスホネート製剤、プラリア、イベニティの三種類。
Ca製剤
- アスパラCA(Lアスパラギン酸カルシウム水和物)・・・唯一の錠剤
- 乳酸Ca、塩化Ca、グルコン酸Ca、燐酸水素Ca他・・・散剤
沈降炭酸カルシウムは高リン血症治療薬。空腹時に服用すると食事からのリン吸着を行えないので、食後に服用するが、食後すぐ出ないと胃内pHが上昇し溶解性が低下する。
女性ホルモン剤
- ホーリン(エストリオール)
- ジュリナ(エストラジオール)
- プレマリン(結合型エストロゲン)・・・保険適用外。骨密度上昇効果に優れるが、心血管障害、脳卒中、血栓症、乳がんのリスクを増大させる可能性がある。乳がんに関してはエストロゲン単独ではリスク増加は見られないとの報告あり。
ビスホスホネート剤
BPはヒドロキシアパタイトにキレート結合することで骨組織へと進入する。
N含有BP剤(ベネット、ボナロン、フォサマックなど)は、ファルネシルピロリン酸合成酵素(Farnesyl Pyrophosphate Synthase, FPPS)を2箇所阻害し、メバロン酸経路によるファルネシルピロリン酸やゲラニルゲラニルピロリン酸の合成を阻害して、RasなどのGTPタンパク合成を阻害することで、破骨細胞構造を破壊(破骨細胞のアポトーシス)して骨吸収を抑制する。
Nを含有していないBP剤(ダイドロネル)は、ATP類似の代謝物が破骨細胞に対して抑制的に働き、骨吸収を抑制する。
胃粘膜の表面にはリン脂質(ホスファチジルコリンなど)が吸着してバリアを作り胃酸の攻撃を防いでいますが、アレンドロネートはホスファチジルコリンと構造が類似しているため、粘膜表面のホスファチジルコリンと置換して粘膜防御機構を破壊すると考えられている。
副作用は、静注の場合ではインフルエンザと同じ症状(発熱、痛み等。γδT細胞を刺激してサイトカイン産生)を引き起こす。顎骨壊死は歯周病が起因しているため、まずは歯周病を治し、口腔内のケアをきちんと行うことが大切。
- ダイドロネル(エチドロン酸二ナトリウム)・・・200mgを1日1回、食間に経口投与する。投与期間は2週間とする。再投与までの期間は10~12週間として、これを1クールとして周期的間歇投与を行う。
- ベネット、アクトネル(リセドロン酸ナトリウム水和物)
- ボナロン、フォサマック(アレンドロン酸ナトリウム水和物)・・・ボナロン経口ゼリーは口腔咽頭部に潰瘍を生じる可能性があるため、噛んだり又は口中で溶かしたりしないこと。もし噛んでしまった場合はゼリー片が口腔内に残るのを防ぐため、本剤を水で飲んだ後、さらに口腔内をすすぐこと。
- リカルボン、ボノテオ(ミノドロン酸水和物)
- ボンビバ(イバンドロン酸水和物)・・・ボンビバだけは服用後30分ではなく60分水以外の飲食物の服用を避ける。(60分の方が効果が高いため)
ビスホスホネート製剤の顎骨壊死の副作用を防ぐために、歯科治療の際は、抜歯の前後3ヶ月は休薬する。
活性型VD3製剤
ワンアルファ、アルファロールに代表されるVD3製剤は、骨芽細胞上VDRに結合してRANKLの発現を促し、骨吸収を促進するほか、腸管からの Ca、リンの吸収を亢進させると共に、PTH遺伝子の転写を抑制してCa濃度上昇に対してフィードバックをかける(パラトルモンはビタミンD3の産生を促してCaの上昇とリンの上昇に関与する一方で、自身でも腎臓にてCa濃度上昇とリン濃度の低下にかかわる。)。
うちエディロールにのみCa吸収促進に加えて、破骨細胞の形成抑制作用がある。エディロールは破骨細胞前駆細胞の形成は抑制しないが、骨芽細胞のRANKL発現を抑制して上記の骨吸収を抑制することで骨量を増やすと言われる。
活性型ビタミンD3製剤は前立腺がん細胞に対する抗腫瘍効果を期待して他の抗悪性腫瘍薬との併用で処方されるケースがある。
活性型ビタミンD3製剤の筋肉への作用も示されており、筋肉のタンパク質合成が活性化されるという。
- エディロール(エルデカルシトール)・・・共役トリエン構造をもち、遮光保存が必要である。ステロイド骨格を構成する環状構造の一部が開裂した構造をもつ。C環とD環の結合は、trans 配置である。標的受容体と結合する際、ヒドロキシ基は水素結合の形成に関与する。本品は炭素数30に対してヒドロキシ基を4つ含むが脂溶性のため水に溶けにくい
- アルファロール、ワンアルファ(アルファカルシドール)
- ロカルトロール(カルシトリオール)
VK2製剤
グラケーのようなビタミンK2(メナテトレノン)は、骨芽細胞に作用→オステオカルシンのカルボキシル化(Gla化)に必要である。
Gla化されたオステオカルシン(Gla-OC)のみが骨のヒドロキシアパタイトと結合して骨基質中に蓄積され骨形成に関与するという。
適応外で、メナトテレノンは肺がんの再発抑制を目的として他の抗悪性腫瘍薬との併用で処方されるケースがある。
- グラケー(メナトテレノン)
SERM
選択的エストロゲン調節薬(SERMs)としてエビスタ(ラモキシフェン)が使われているが、これは、骨組織特異的にERα、ERβ受容体に結合し、エストロゲン様作用を示す。
SERMは乳腺と子宮に対しては抗エストロゲン作用を、骨と脂質代謝に対してはエストロゲン作用を示すため、乳がん適応はないが、タモキシフェン(同じSERM)と同程度の乳がん抑制作用を示す。脂質代謝に対してもLDLコレステロールの抑制効果がある。
エストロゲンは破骨細胞に直接働きJNKの抑止並びにAP-1の結合活性を抑止することによって破骨細胞のRANKLに対する応答性を阻害し、破骨細胞による骨吸収を抑える。
ラロキシフェンは骨形成に対する効果よりも、骨吸収を抑制する効果のほうが強い特性を有するとされている。
ラロキシフェンには、冠動脈性心疾患・脳卒中のリスク増大は認められなかったようですが、静脈血栓塞栓症のリスクの増大があることから注意する。
抗エストロゲン作用があるために、妊娠している女性には禁忌となっている。
カルシウム製剤や活性型ビタミンD3製剤との併用が推奨されている。
- エビスタ(ラロキシフェン)
- ビビアント(バゼドキシフェン)
- タモキシフェンとトレミフェンには骨粗鬆症の適応はない
カルシトニン製剤
カルシトニンは破骨細胞上のCPCRⅡ受容体に結合して骨吸収を抑制する。疼痛に主として使用する。副甲状腺ホルモンの逆の作用である。
椎体骨折の抑制効果は認められているが、非椎体骨折、大腿骨近位部骨折の抑制効果は示されていない。
- サーモトニン筋注10など(サケカルシトニン)・・・錠剤なし、すべて注射剤です
副甲状腺ホルモン製剤
生体内副甲状腺ホルモン(パラトルモン:PTH)は、血中Ca濃度が低下すると副甲状腺から分泌されるホルモンで、骨芽細胞および骨髄間質細胞のPTH/PTHrP受容体(PTH1受容体)に結合します。この結合により、骨では骨芽細胞のRANKL発現を亢進させて、破骨細胞の分化を促進して骨吸収を促進し、腎臓では1,25(OH)2D産生を増加、遠位尿細管でのCa再吸収によって血中のCa2+濃度を上昇させる。このPTHのN末端から34個のアミノ酸を取り出したのがフォルテオ。
フォルテオの作用機序を考えるうえで、PTH同様の活性を持つ薬であれば、Ca2+の濃度を上げるために骨を溶かす骨吸収が促進すれば治療薬にならないと思うわけだが、それはPTHの持続的投与の場合。
フォルテオの1日1回、間歇(かんけつ)投与になると、PTHの作用とは全く異なる働き(骨芽細胞の分化促進とアポトーシス抑制による骨形成促進作用)をする。
したがってフォルテオには1日1回をきちんと守るということと、漠然と24ヶ月以上にわたって続けることができないという制約がある。2年以上使用できない理由として、動物実験にて骨肉腫の増加がみられたためとされている。
フォルテオの使用で、1年使って残り1年は取っておいてあとで使うという使い方も可能だが、2年連続して使うことで後の骨折リスクも下がるため、連続使用が推奨。フォルテオに限らず、生涯に〇ヵ月の制限がある注射剤は、どれか1つのみを生涯で使用することが出来る(複数の注射を一人が使用することは出来ない)。
フォルテオの第一選択は、骨折の患者(椎体骨、大腿骨遠位部等)で、骨治癒を早める作用がある。
- フォルテオ(テリパラチド)・・・ペン型注射剤で針はA型が別に必要、1本600μgで1日1回20μg(30日分)、空打ちはオゼンピックと同じく初回のみ。24か月間まで。常に冷所保存。
- テリボン(テリパラチド)・・・皮下注とオートインジェクターがある。皮下注は週1回。オートインジェクターは週2回の1本使い切りの針付き、24ヵ月間まで。常に冷所保存。
- オスタバロ(アバロパラチド)・・・副甲状腺ホルモン関連タンパク製剤に分類されるカートリッジ型注射剤、1日1回、18か月間まで。常に冷所保存(機械ごと)。
テリパラチドとの比較では骨密度変化率約1%程度有意であったとされる。
注入器のオスタバロインジェクターは管理医療機器なので薬局でも取り扱い可能。オスタバロインジェクターのガイドメニューの注射するアイコンをクリックすると注射の手順を見ることが出来る。製剤カートリッジの交換は初回取り付け時と14日ごとの交換時、交換後のみ決定ボタンを押して空打ち必要。注射ボタン2秒長押しするだけ。電池は専用電池だが、予備電池が1本同封されており、これだけで18ヵ月持つとのこと。詳しい使用方法はオスタバロナビにて。
RANKL阻害剤
骨芽細胞上に存在するRANKLは、膜結合型あるいは可溶型として存在し、骨吸収を司る破骨細胞及びその前駆細胞の表面に発現する受容体であるRANKとの相互作用を介して破骨細胞の形成、機能及び生存を調節する必須の蛋白質である。デノスマブはRANK/RANKL経路を阻害し、破骨細胞の形成を抑制することにより骨吸収を抑制する。
ビスホスホネートは成熟した破骨細胞のみに作用するのに対して、プラリアはすべての破骨細胞に作用する。
その結果、ビスホスホネートが海綿骨のみなのに対して、皮質骨及び海綿骨の骨量を増加させ、骨強度を増強させると考えられる。
ビスホスと同じように、抜歯で休薬することがある(抜歯前3-4ヵ月、抜歯後6-8週:AAMOSポジションペーパーより)
- プラリア(デノスマブ)・・・6ヶ月に1回皮下注。低カルシウム血症の予防にデノタスチュアブル配合錠を毎日服用。
ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体
- イベニティ(ロモソズマブ)・・・12か月間(1年間)の使用、12ヵ月で効力は低下しビスホス並みとなる。1月に1回2本のシリンジを皮下注。デュアル・イフェクト(骨形成促進作用と骨吸収抑制作用を併せ持つ)作用。骨形成を抑制し、骨吸収を促進するスクレロスチンという物質の働きを抑える。
投与後数ヶ月で、海綿骨骨量幅増加、骨内膜面の骨形成で皮質幅の増大、3ヶ月目以降に骨リモデリングの低下による二次石灰化亢進が起こる。
イベニティ終了時には、急な骨吸収作用を抑えるため一時的に骨吸収抑制剤を入れる。
プラリアのように血清Caの濃度が減少する可能性はあるものの、必ずしもカルシウムを併用しなくてもいい。検査で低カルシウムの時にビタミンDやCaを足す感じになる。
とはいえ、1年で13%程度BMDを上昇させるため、ビタミンDとエディロールの補給は必要と考える。
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コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。
記事No850 題名:Re:中村様 投稿者:管理人tera 投稿日:2019-01-24 18:56:42
ご指摘ありがとうございます。
早速修正させていただきました。
今後とも宜しくお願いいたします。
記事No849 題名:誤植がありましたので 投稿者:中村賢輔 投稿日:2019-01-24 09:51:54
https://kanri.nkdesk.com/drags/kotu.php
の最初の図の下部にある
(図引用:沢井ラモキシフェン資料2016.3)ですが、
(図引用:沢井ラロキシフェン資料2016.3)の誤植かと思います。念の為、指摘させて頂きました。
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