マスト細胞とFcεRI
FcεRIはα鎖、β鎖、およびSS結合により二量体を形成するγ鎖からなる四量体構造をとっている。
α鎖はその細胞外領域でIgEのFc領域と結合する。β鎖とγ鎖は細胞内へのシグナル伝達を 担うサブユニットであり、ともに細胞内領域にITAM(immunoreceptor tyrosinebased activation motif)を有する。
β鎖は、γ鎖を介した細胞内シグナル伝達を増幅するのみならず、α鎖の成熟化を促進することにより細胞膜上のFcεRIの発現を促進することが知られており、β鎖 が会合することにより抗原に対するマスト細胞の感受性が大きく増大すると考えられている。
γ鎖はFcεRIのみならず、他のFc受容体やT細胞受容体など様々な受容体に共通のシグナル伝達分子として機能する。
ヒトFcεRIα鎖の構造は以下のようなものである。
Exはエクソンの略で、ExとExの間にはイントロンが省略されている。
Ex1AとEx1Bは最近発見されたプロモーター部位であり、ここにはPU.1やYY-1、Elf-1が結合して転写を抑制しているという。また、IL-4はこのプロモーター部位に作用して、 転写を促進する。
Ex1上流プロモーターでは、GATA-1、PU.1、YY-1が強調的にα鎖プロモーターを活性化する。Ex1のあとの第一イントロンにはUSF1、USF2複合体が結合し、転写を活性化する。
一方、ヒトFcεRIβ鎖の構造は以下のようなものである。
β鎖遺伝子では、翻訳開始点上流の2箇所のOct-1結合部位がプロモーター活性に必須であり、さらに第4イントロンには転写制御エレメントが存在し、MXF-1と その補因子であるFHL3との複合体が結合して転写制御をしている。
また、alternative plicingにより生じるC末端欠失体(Ex5の後ろ=第5イントロンにあるmRNAが原因)は、β鎖と競合してα鎖と結合してα鎖の成熟化を阻害する。
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