労災保険(労災保険指定薬局療養担当契約事項)
北海道労働局のPDFファイルがよくまとまっています。変更や指定申請書、請求書送付の申込書もこちらに載っています。
労災保険とは
労災保険は、労働者災害補償保険の略で、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、死亡などに対して適用される。
保険者は政府であり、その事務は事業場の所在地を管轄する都道府県知事が行う。
労災の保険料は全額会社負担(業種により保険料に差がある。土木系は高い)。
労災で休業した場合、公休を含めて事故の日から4日目以降に休業補償給付を受けることが出来るが、最初の3日間は有給で処理する必要がある。
休業補償給付は、給付基礎日額の60%相当の金額に加えて、給付基礎日額の20%が特別支給金として労災保険から支払われます。
給付申請は8号用紙を用いる。
従業員が労災を使った場合、自動車保険のように保険料が上がるか否か→「労働者が100人以上いる会社」または「労働者が20人以上100人未満で災害度係数が0.4以上の会社」で業務災害(通勤災害は除外)であれば保険料が引き上げられる場合があります。なので、会社はなるべく労災を利用してほしくないようです。
労災アフターケア制度とは
- 『アフターケア』制度のご案内(厚生労働省)
仕事によるケガや病気で療養されている方は、そのケガや病気が治った後も、再発や後遺障害に伴う新たな病気を防ぐため、労災保険指定医療機関でアフターケア(診察や保健指導、検査など)を無料で受診することができる。
アフターケア対象の患者が薬局を利用する場合、5号用紙などの用紙に変えて、「健康管理手帳」を提示する必要がある。健康管理手帳は、傷病により2年ないし3年の機嫌がさだれられているため、その都度手帳を確認し、有効期限と健康管理手帳番号を確認する。
なお、アフターケアの請求は別請求書用紙(「アフターケア委託費請求書(薬局用)」(実施要領様式第6号)に「アフターケア委託費請求内訳書(薬局用)」(実施要領様式第6号の2))で行う。
アフターケアの薬剤は対象傷病ごとに定められている。
アフターケアでは、訪問薬剤管理指導料を算定することはできない。(慣例となっているが、根拠は不明。詳しくは下記コメントNo1144参照)
労災保険の介護(補償)等給付
- 介護(補償)等給付の請求手続き(厚生労働省)
業務中や通勤中の事故で、傷病や障害を患ったために、障害(補償)or傷病(補償)年金を受け取る権利を有することになり、他の人の常時介護or随時介護を必要とすることになった際に、労災保険から受け取ることができる介護給付のことです。
介護(補償)等給付を請求するときは、所轄の労働基準監督署長に、「介護補償給付・複数事業労働者介護給付・介護給付支給請求書」(様式第16号の2の2)を提出する。
指定の申請
労災保険を取り扱うためには、別に労災保険指定薬局の指定を受ける必要があります。
指定を受けていなくても薬局が10割で調剤をして領収証を発行し、患者さん自らがその領収証を役所(所轄労働基準局長)に持っていくという方法もあります。
指定を受けようとする薬局の開設者は、
- 労災保険指定薬局指定申請書
- 薬局の開設許可証の写し
- 指定薬局・指名機関登録(変更)報告書
を所轄の労働局に提出する。(申請書等はDLできないので労働局から送ってもらうとよいでしょう)(埼玉はこちら。)
指定期間は、指定の日から原則として3年であるが、別段の申し出がないときは、自動的に更新される。
指定の変更
変更の届出が必要なのは下記の通り
- 薬局を廃止、休止もしくは再開したとき
- 管理薬剤師の異動があったとき
- 開設者の氏名又は住所が変更されたとき
- 薬局の名称が変更されたとき
- 支払いを受ける金融機関又は口座を変更したとき
変更の届出は、文書(様式は県により異なる)で届け出ること。(埼玉はこちら。)
療養の給付
傷病労働者が労災保険指定薬局で薬剤の支給を受けるためには、
- 5号用紙:療養補償給付たる療養の給付請求書(業務上の負傷・疾病の場合)
- 16号の3用紙:療養給付たる療養の給付請求書(通勤上の負傷・疾病の場合)
を処方箋と一緒に提出して調剤を依頼する。
この時、5号or16号の3用紙を持参していない場合は、自費で処理し、後日請求書と引き換えに返金する。
提出された療養の給付請求書は労災保険番号と事業主の署名押印を必ず確認すること。
患者さん自ら請求する場合は、患者さんが持参する7号(2)用紙(業務災害)or16号の5用紙(通勤災害)の薬剤師証明欄に必要事項を記入して、領収証とともに交付する。(記載例:表面、裏面)
また、5号用紙等にて申請した医療機関から、別の医療機関に変える場合は、変更後の医療機関に対して、様式6号及び16号の4の提出をしなければなりません。
これらの療養補償給付請求書類(5、6、7、16号用紙)は厚生労働省HPよりDLできます。(A4の用紙に拡大縮小することなくプリントしてください)
(引用;労災保険より)
(平成26年2月より)労災レセプトのオンライン請求ができるようになりました。予め都道府県労働局に届出書類を提出し、IDとパスワードを取得するすることで請求が可能になります。
労災オンライン請求の届出書類及び請求方法については、労災レセプト(厚生労働省)を参照してください。
レセプト提出後に労災扱いなった場合
医療保険としてレセプトを提出した後に提出済みの処方を労災に変更する場合、既に提出したレセプトは取り下げ等は行わずそのままにし、患者様からは1~3割の所定の負担金を受け取ったままで、追加で7割、計10割分の代金は受け取らない。その分に関する5号用紙や16号の3用紙を記載する必要もない。
薬局が医療保険で請求してしまった分(後日労災に変更する分)の金額(7~9割分)は医療保険から振り込まれる。(医療機関側ではお金に関しては特にすることはない。薬局は患者から頂いた3割+医療保険からの7割で10割は戻るため。)
患者側の方は、患者の会社側(又は本人)が医療保険の方に7~9割分を支払い、その際受け取るレセプトの写し(封がしてあるかも?)と、1~3割分の薬局や病院の領収証を持って、労働基準局へ請求する。
その際、7号(2)用紙や16号の5用紙を持参する場合があるが、そのときは、治療に要した期間や証明者の名前と印鑑を押して返してあげる。
1~3割分が重度心身等の公費で、窓口の支払いがゼロであった場合も、レセプトは取り下げず、医療保険の方から10割分が戻るのではないかと思われる(推測)
薬剤費の請求
初回請求分は被災労働者の事業所を管轄する労働基準監督署ごとに、
- 薬剤費請求書(労働者災害補償保険薬剤師請求書:指薬機様式第一号)・・・1枚作成。内訳書の合計額等を記載。管轄ごとにまとめる。
- 療養給付たる療養の費用請求書・・・5号or16号用紙等(厚労省HPよりDL可能)
- 薬剤費請求内訳書(指薬機様式第二号)・・・レセプトを見ながら記載
を添付し、指定薬局所在地の都道府県労働局に毎月10日までに送付する。
2回目以降は療養給付たる療養の費用請求書の提出は不要。
1番目と3番目の1号、2号用紙はダウンロードはできませんので、監督署から取り寄せてください。(様式1号、2号は常に置いておくとよいでしょう)
監督署に、どの請求書を何枚必要か書いたメモと切手(2,3枚なら120円、5,6枚なら140円)を貼った返信用封筒(A4の用紙が折らずに入る封筒)を同封して送ると、請求書を送り返してくれます。
6号用紙等も同様に記載し、労働局に提出します。(請求書は労働局からまとめて送ってもらうか取りに行きましょう)
記載例(5号、7号、6号様式):療養の給付(費用)請求書
2回目以降は、薬剤費請求書を被災労働者すべてを一括して1枚作成し、薬剤費請求内訳書を添付すればよい。
※実際の請求
労災に関する薬局での請求は意外と適当といいますか、完璧でなくてもよいようです。
通常は、病院と薬局で1通ずつ、薬局に提出してもらった5号用紙などの指定病院などの名称と所在地の欄に、薬局名と薬局の住所を記入してもらって(または記入して)提出します。
ただし、労災の事業所が病院と薬局で2通の申請書を渡してくれる場合はいいですが、両方で1通しか渡さない場合すらありますから、そういう場合、記入は病院の方のみにお願いしてもらい、指定病院などの名称と所在地の欄は、病院名と病院の住所、薬局はそのコピーをもらって提出するだけでもOKです。
診療単価
診療単価は、健康保険と同じく1点10円で計算する。(医科・歯科は診療単価が1点12円(or11.5円))
選定療養の対象となる後発医薬品のある先発医薬品を選んだ場合、選定療養の対象になる。
処方箋の保存
処方箋の保存は、療養の給付請求書に記載されている労働保険番号又は年金証書番号及び事業場の名称を記載し、完結の日から3年間保存する。
掲示
指定を受けた薬局は、「労災保険指定薬局」と書かれた標札(縦10cm、横5.5cm、地色:濃紺、文字色:白)にて薬局内のみ安い場所に掲示しなければならない。
その他
処方箋へ「労災」の文言を入れなければならないとされる記述は見つからず。アフターケアは処方箋に記載する必要がある。
コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。
記事No1403 題名:Re:くっきー様 投稿者:管理人tera 投稿日:2020-07-25 11:24:34
後々のトラブル(病院では労災申請していないのに薬局だけしていると連絡があるなど)防止のためにも、自費で処理し、必要であれば7号記載でよろしいかと思います。
同様の質問がYahoo知恵袋にもありましたが、同様の見解です。
ただし、逆のパターン(病院が0割の労災で処方箋を交付してきて、薬局が労災未指定の場合)を考えたら、処方箋の負担割合は気にしないで、薬局が労災指定なら労災で請求してしまってもいいとは思います。
このケース未経験につき、主観にすぎませんので、確実なのは管轄の労働局へ聞くのが間違いないと思います。
記事No1401 題名:労災指定 投稿者:くっきー 投稿日:2020-07-23 23:43:21
コメント失礼致します。
病院が労災指定の病院ではなく、処方箋の保険は自費で記載されておりました。当薬局は労災指定薬局であり、患者様から5号用紙を渡されたのですが処方箋は自費と記載されているので自費でよいでしょうか。お分かりでしたら教えていただければ嬉しいです。
記事No1172 題名:返信大変遅くなりました 投稿者:りっひー 投稿日:2020-03-04 10:00:43
調べていただきありがとうございました!
とても参考になりました。その後やはり「不支給」で通知が届きました。
明確な根拠があれば現場としてもやりやすいのに…
もどかしい部分もありますが、機会があれば厚生局の方にも確認できたらと思っています。
ありがとうございました!
記事No1144 題名:Re:りっひー様 投稿者:管理人tera 投稿日:2020-01-31 13:02:26
先程折返しがありました。
アフターケアでの訪問薬剤管理指導の算定はできないということでした。
1日かけて担当の方が根拠まで調べてくれたみたいですが、わからななかったようです。
此処から先は厚生労働省に確認してみないわからないですが、聞きますか?と言われましたが、とりあえず大丈夫と伝えました。
つまり、労働局レベルでさえも、慣例となっているのに根拠は示せないということですね。
力になれなくて申し訳ないですが、ひとまずこれを回答とさせていただきます。
記事No1142 題名:Re:りっひー様 投稿者:管理人tera 投稿日:2020-01-30 19:15:22
自分の方でも除外理由までは確認できませんでしたので、労災保険指定薬局療養担当契約事項にあるように、別に通達(調べられなかったのですが)で出ていたか、他の規定があるのか。
というわけで、埼玉の労働局に聞いてみようと電話してみたんですが、会議中で折り返しのはずが、未だ連絡なし。
また改めて時間があるときに確認しわかったらここに書き込みます。
算定できないとするならば、自費で算定するか無料か、確かに根拠を示してほしいところではありますね。