後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

長期収載品の処方等又は調剤について

詳細は別ページ(処方箋の記載事項)を参照。

2024年10月から処方箋の様式が変更され、「変更不可(医療上必要)」と「患者希望」欄が設けられることになります。

ただし、10月以降も当面の間、改正前の処方箋様式を手書き等で修正することにより使用することが出来ます

  • 新様式処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄にレまたは×・・・選定療養対象外。備考欄への理由の詳細記載は必須ではない(医療上の必要性について懸念することがある場合のみ)。
  • 新様式処方箋の「患者希望」欄にレまたは×・・・選定療養対象。
  • 旧様式処方箋の「変更不可」欄にレまたは×・・・10月からはレ点だけで理由(医療上必要or患者希望)の記載がなければ疑義紹介の対象になる。レ点の下に理由を記載することで疑義紹介を避けることが出来る。また、変更不可欄にレ点を記載していなくても薬剤名の隣や備考欄等に理由を記載することで、旧様式での選定療養と選定療養外の指示を行う事が可能。

上記以外の銘柄名処方や、そもそもレ点を記載することができない一般名処方の取り扱いについては薬剤師が判断する。

長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品について

1.対象医薬品の考え方について

長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養において、対象とする医薬品については、次の(1)から(3)までを全て満たすものとする。なお、詳細については「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の第3の 30(2)及び(3)で示したとおりであり、併せて参照すること。

  • (1) 後発医薬品のある先発医薬品(いわゆる「準先発品」を含む。)であること(バイオ医薬品を除く)。
  • (2) 後発医薬品が収載された年数及び後発品置換え率の観点から、組成及び剤形区分が同一であって、次のいずれかに該当する品目であること。
    • ① 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過した品目(後発品置換え率が1%未満のものは除く。)
    • ② 後発医薬品が初めて薬価基準に収載されてから5年を経過しない品目のうち、後発品置換え率が 50%以上のもの
  • (3) 長期収載品の薬価が、後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を超えていること。この薬価の比較にあたっては、組成、規格及び剤形ごとに判断するものであること。

2.対象医薬品リストについて

1の考え方に基づき、長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品についてリストを作成し、次のとおり厚生労働省ホームページで公表しているため、参照されたい。

なお、処方等又は調剤の場面における選定療養の適用にあたっては、医療上必要があると認められる場合や、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合に該当するかどうかを考慮して、判断する必要があること。

長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養における費用の計算方法について

第1 計算方法の概要

1 基本的な考え方

  • ○ 患者の診療に係る費用は、大きく次の(1)及び(2)から構成される。
    • (1) 選定療養による「特別の料金」となる費用(長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1に相当する費用)
    • (2) 選定療養を除く保険対象となる費用(保険外併用療養費と患者自己負担の合計額)
  • ○ 患者負担の総額は、(1)である選定療養による「特別の料金」と、(2)のうち「患者自己負担」の合計となる。
  • ○ 費用の計算に用いる数値のうち、医薬品の規格単位ごとの、「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1」と、「保険外併用療養費の算出に用いる価格」については、厚生労働省ホームページで公表している対象医薬品リスト(以下「厚労省マスタ」という。)において示す数値を用いる。

2 計算の手順

○ 1の基本的な考え方を踏まえた計算の手順は次のようなイメージとなる。

  • (1) 選定療養による「特別の料金」となる費用(長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1に相当する費用)
    • ① 長期収載品の規格単位ごとの「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1」の価格を用い(厚労省マスタで「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1に相当する費用」として公表)(単位:円)
    • ② ①の価格に基づき、数量等を踏まえ診療報酬の算定方法(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号。以下「算定告示」という。)の例により薬剤料に係る点数を算定(単位:点)
    • ③ ②に 10 円を乗じた額に消費税分を加える。(単位:円)
  • (2)選定療養を除く保険対象となる費用(保険外併用療養費と患者自己負担の合計額)
    • ① 長期収載品の規格単位ごとの「選定療養を除く保険対象となる費用」に係る価格を用い(厚労省マスタで「保険外併用療養費の算出に用いる価格」として公表)(単位:円)
    • ② ①の価格に基づき、数量等を踏まえ算定告示の例により薬剤料に係る点数を算定(単位:点)
    • ③ ②の長期収載品の薬剤料に係る点数に 10 円を乗じる。(単位:円)(※)
    • ④ ③に、患者に応じた自己負担率を乗じた額が「患者自己負担」となり(単位:円)、③に、1から自己負担率を控除した率を乗じた額が「保険外併用療養費」となる。
    • (※) 当該長期収載品に係る分
  • (3)患者負担の総額
    ○ 2(2)④で求めた「患者自己負担」の額に2(1)③で求めた額を加えた額が「患者負担の総額」となる。

第2 詳細な計算方法

(1) 「特別の料金」に係る費用の計算方法

「特別の料金」に係る費用は、以下のとおり計算する。

  • 1. 第1の2(1)①で公表されている「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1」の額を用い、算定告示の例により「特別の料金」に係る点数を算定する。なお、点数は算定告示における所定単位ごとに算定するため、以下の点に留意すること。
  • 2.
    • ア 所定単位に選定療養の対象となる長期収載品が複数含まれる場合にあっては、各長期収載品について「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1」(当該長期収載品が内服薬の場合、1日の処方等又は調剤における数量を乗じた額)を合算した上で点数を算定すること。
    • イ 所定単位に選定療養の対象となる長期収載品以外の医薬品が含まれる場合にあっては、当該選定療養の対象となる長期収載品以外の医薬品の規格単位ごとの薬価(当該医薬品が内服薬の場合、1日の処方等又は調剤における数量を乗じた額)を合算した上で点数を算定すること。
    • ウ 選定療養の対象となる所定単位が複数存在する場合は、所定単位ごとに点数を算定し、当該算定後に各点数を合算すること。
  • 3. 「特別の料金」は消費税の課税対象であるところ、「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1」の額、及びこの額を用いて算定した点数には消費税分は含まれていないため、上記1.で算定した点数に 10 円を乗じて得た額に消費税分を加え、「特別の料金」に係る費用(以下「A」という。)を求める。
    算式
    「特別の料金」に係る費用(A)
    =「特別の料金」に係る点数× 10 ×(1+消費税率)(円)

(2) 選定療養を除く保険対象となる費用の計算方法
選定療養を除く保険対象となる費用は、以下のとおり計算されるものである。

  • 1. 第1の2(2)①で公表されている「保険外併用療養費の算出に用いる価格」を用いて算定告示の例により薬剤料に係る点数を算定する。この場合において、第2の(1)1.ア~ウに記載の点に留意すること。
  • 2. 上記1.で算定した「選定療養の対象となる長期収載品の薬剤料に係る点数」に、10 円を乗じて得た額が、「選定療養を除く保険対象となる費用(以下「B」という。)」である。
    算式
    選定療養を除く保険対象となる費用(B)
    =選定療養の対象となる長期収載品の薬剤料に係る点数×10 (円)
  • 3.患者自己負担の計算方法
    上記で求めたBに自己負担率を乗じ、保険対象となる費用のうち患者自己負担(以下「C」という。)を求める。
    算式
    患者自己負担(C)=B×自己負担率 (円)

    (参考)保険外併用療養費の計算方法
    Bに1から自己負担率を控除した率を乗じると、保険外併用療養費となる。

    算式
    保険外併用療養費=B×(1-自己負担率)(円)

(3) 患者負担の総額の計算方法
患者負担の総額は、(1)で求めたAと(2)で求めたCの合計となる。

第3 厚労省マスタについて

厚労省マスタにおける「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1」及び「保険外併用療養費の算出に用いる価格」については、診療報酬の算出に当たってのシステムの関係により、以下のとおり、小数点以下の計算を調整した数値を公表する。

  • (1) 「長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1」
    長期収載品と後発医薬品(該当する後発医薬品のうち最も薬価が高いもの)の価格差の4分の1の数値は、価格差の4分の1が小数を含む場合、小数第3位を四捨五入したものを用いる。ただし、薬価基準における長期収載品の規格単位が 10(例:イソジン液 10% (規格単位 10%10mL))の品目については、小数第2位を四捨五入したものを用いる。
    (計算例)
    長期収載品の規格単位ごとの薬価=100.0 円
    後発医薬品の規格単位ごとの薬価=49.3 円の場合、
    価格差の1/4は、(100.0-49.3)×1/4=12.675 であり、公表する数値は小数第3位を四捨五入した 12.68 円となる。
  • (2) 「保険外併用療養費の算出に用いる価格」
    長期収載品の規格単位ごとの薬価から、上記(1)で計算した価格を控除した価格を用いる。
    (計算例)(1)の場合
    100.0-12.68=87.32 円となる。

計算方法の具体例

計算の前提は、調剤報酬の計算方法のページを参照。

なお、

  • 全ての例において、レ点や×がなく、処方薬は供給不安定、剤形上の問題をクリアしていると仮定する。
  • 処方箋は生保、公費併用健康保険を除く3割負担とする。
  • 計算に使用する値は、厚労省マスタを使う。
  • 例は薬剤料のみの金額(他の点数は含まれてない)であり、内服薬剤料の計算は、1剤1日分の合計が15円以下の場合は1点、15円を超える場合は10円又はその端数を増すごとに1点。その後日数を乗じて求める。外用・注射薬薬剤料の計算は、1調剤分ごとに計算した後、五捨五超入して、足し合わせる。

内服1種類1剤

 例:
  • Rp1:オルメテックOD錠20mg 1t 1日1回 朝食後 14日分

厚労省マスタより、オルメテックOD錠20㎎は、
薬価:37.4円、最高GE薬価:20.2円、価格差の1/4:4.30円、保険外併用療養費に使用する値:33.10円
となっている。

価格差の1/4の数値には、ジェネリックの価格に差がある場合(DSEPが20.2円、サワイが10.3円等)、最高GE薬価が採用されるので、価格差の1/4に使用するGEの価格は20.2円となっている。

以上を踏まえて、先発品であるオルメテックOD錠20㎎を患者が選択した場合、

  • A:「特別の料金に係る費用」
    1日分あたり、4.30円×1錠=4.30円→15円以下なので1点。1点×10円×14日分×消費税(1.1)=154円
  • B:選定療養を除く保険対象となる費用
    1日分あたり、33.10円×1錠=33.10円→10円未満を五捨五超入して3点。3点×10円×14日分=420円
  • C:患者自己負担
    B×自己負担率=420円×0.3=126円→130円
  • D:保険外併用療養費
    B×(1-自己負担率)=420円×0.7=294円
  • E:患者負担の総額
    A+C=154円+130円=284円

日数が2倍の28日分になれば、ABCDEは単純にすべて2倍(28日分ならEは560円)になる。

仮に、

  • 医師の指示等で選定療養を行わなくてもよい(先発品投薬)場合の患者負担の総額は、1日分あたり、37.4円×1錠=37.4円→4点×10円×14日分×0.3=168円→170円
  • GEで最高薬価のオルメサルタンOD錠「DSEP」を選んだ場合の患者負担総額は、1日分あたり、20.2円×1錠=20.2円→2点×10円×14日分×0.3=84円→80円
  • GEで最低薬価のオルメサルタンOD錠「サワイ」を選んだ場合の患者負担総額は、1日分あたり、10.3円×1錠=10.3円→1点×10円×14日分×0.3=42円→40円
  • 単純に、後発品との差の1/4だけ自己負担が増加しますと話した場合、最高薬価GEとの金額差は17.2円×14錠=240.8円。これの0.25は60.2円となり、実際の110円負担増と値が大分異なる。

まとめると、このケースでは、

先発品を選び続けた場合の自己負担が14日分あたり114円増加し、サワイを選べば先発品を選ぶ場合よりも14日分あたり240円安くなるということ。

A部分は負担割合と独立しているため、1割負担であっても同じ金額なので、負担割合が低いほど割合ベースでの増加は大きくなるといえる。

外用1種類1調剤

 例:
  • Rp1:ヒルドイドソフト軟膏0.3% 100g 1日3回塗布 体

厚労省マスタより、ヒルドイドソフト軟膏は、
1gあたり薬価:18.5円、最高GE薬価:5.6円、価格差の1/4:3.23円、保険外併用療養費に使用する値:15.27円
となっている。

  • A:「特別の料金に係る費用」
    1調剤分あたり、3.23円×100g=323円→32点。32点×10円×消費税(1.1)=352円
  • B:選定療養を除く保険対象となる費用
    1調剤分あたり、15.27円×100g=1527円→153点×10円=1530円
  • C:患者自己負担
    B×自己負担率=1530円×0.3=459円→460円
  • D:保険外併用療養費
    B×(1-自己負担率)=1530円×0.7=1071円
  • E:患者負担の総額
    A+C=352円+460円=812円

仮に、

  • 医師の指示等で選定療養を行わなくてもよい(先発品投薬)場合の患者負担の総額は、1調剤分あたり、18.5円×100g=1850円→185点×10円×0.3=555円→560円
  • GEで最高薬価のヘパリン類似物質油性クリーム「アメル」を選んだ場合の患者負担総額は、1調剤分あたり、5.6円×100g=560円→56点×10円×0.3=168円→170円
  • GEで最低薬価のヘパリン類似物質油性クリーム「ニットー」を選んだ場合の患者負担総額は、1調剤分あたり、3.2 円×100g=320円→32点×10円×0.3=96円→100円
  • 単純に、後発品との差の1/4だけ自己負担が増加しますと話した場合、最高薬価GEとの金額差は12.9円×100g=1290円。これの0.25は322.5円となり、実際の250円負担増と値が大分異なる。

まとめると、このケースでは、

先発品を選び続けた場合の自己負担が100gあたり252円増加し、ニットーを選べば先発品を選ぶ場合よりも100gあたり710円安くなるということ。

乳幼児医療で自己負担分が全額公費になっている場合は、Aの部分のみを新たに実費で負担しなくてはならなくなるため、3割負担での自己負担増加額の250円ではなく、352円の増加であることに注意です。

内服2種類1剤

 例:
  • Rp1:オルメテックOD錠20mg 1t
       フェロミア錠50mg 2t
           1日1回 朝食後 14日分

厚労省マスタより、フェロミア錠50㎎は、
薬価:6.4円、最高GE薬価:6.2円、価格差の1/4:0.05円、保険外併用療養費に使用する値:6.35円
オルメテックOD錠20㎎は、
薬価:37.4円、最高GE薬価:20.2円、価格差の1/4:4.30円、保険外併用療養費に使用する値:33.10円
となっている。

共に選定療養の対象先発品なので、1日分の薬剤料を合計する。

  • A:「特別の料金に係る費用」
    1日分あたり、4.30円×1錠+0.05×2錠=4.4円→15円以下なので1点。1点×10円×14日分×消費税(1.1)=154円
  • B:選定療養を除く保険対象となる費用
    1日分あたり、33.10円×1錠+6.35円×2錠=45.8円→10円未満を五捨五超入して5点。5点×10円×14日分=700円
  • C:患者自己負担
    B×自己負担率=700円×0.3=210円
  • D:保険外併用療養費
    B×(1-自己負担率)=420円×0.7=490円
  • E:患者負担の総額
    A+C=154円+210円=364円

仮に、

  • 医師の指示等で選定療養を行わなくてもよい(先発品投薬)場合の患者負担の総額は、1日分あたり、37.4円×1錠+6.4×2錠=50.2円→5点×10円×14日分×0.3=210円

すなわち、自己負担は154円上がる(オルメテック単独は114円増加)計算。

A部分はオルメテック単独と同じなので、公費併用で自己負担なしの人は、オルメテック単独と同様に154円の増加

選定療養の対象とならない先発医薬品を把握する

後発医薬品がある先発医薬品の全てが選定療養の対象となるわけではないため、先発医薬品だからといって、望んでいない人に無理に後発医薬品を勧めるのもあれなので、対象にならないものを把握しておくことは大切です。

管理人の薬局で使っている発注システムは、在庫一覧をCSVで出力することが出来るので、そのファイルと厚労省マスタをリレーションして対象にならないものを抽出しています。

ここで問題となるのが、医薬品コードが複数あるという点。代表的なのは、薬価基準収載医薬品コード(厚労省コード)、YJコード、レセ電コードの3つです。

管理人の在庫管理システムから抽出できるファイルはレセ電コードしか載っていないため、医薬品名をキーとして関連付けてますが、両ファイルのキーが異なる場合(大文字と小文字、スペース有無など)は関連付けられないのでご注意ください。(以下ファイルではクレストール2.5やエディロール等多数がはうまく関連付けられてないです。厚労省コードとレセ電コード対応表があればいいんですが)

医薬品名をキーにする場合、以下の2つのファイル(エクセル)を同じディレクトリに置き、採用薬の医薬品名を上書きすれば、リレーションされ、薬価に文字が入ればそれが選定療養対象品目で、それ以外が選定療養外です。

レセプト摘要欄(調剤報酬請求書及び調剤報酬明細書に関する事項

(長期収載品について、選定療養の対象とはせずに、保険給付する場合)

理由のうち、該当するものを記載すること。

  • ①医療上の必要があると医師又は歯科医師が判断したため
    • 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師又は歯科医師が判断する場合。
    • 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師又は歯科医師が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。
    • 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それを踏まえ、医師又は歯科医師が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合。
    • 後発品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、 剤形上の違いにより、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合。
  • ②後発品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、 剤形上の違いにより、長期収載品を調剤する必要があると薬剤師が判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれない。
  • ③後発医薬品の在庫状況等を踏まえ後発医薬品を提供することが困難な場合。

※記載は制度が施行となる令和6年10月からとする

  • 820101325 医療上の必要性があると医師又は歯科医師が判断したため(処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄に「レ」又は「×」の記載があった場合等)
  • 820101326 剤形上の違いにより、長期収載品を調剤する必要があると薬剤師が判断したため
  • 820101324 後発医薬品の在庫状況等を踏まえ後発医薬品を提供することが困難なため

長期収載品の処方等又は調剤に関する事項(「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について

(1) 創薬力強化に向けて、革新的な医薬品等の開発強化、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進等を行うため、イノベーションの適切な評価などの更なる薬価上の措置等を推進することとしているところ、医療保険財政の中で、こうしたイノベーションを推進するため、後発医薬品の安定供給を図りつつ、長期収載品の保険給付の在り方の見直しを行うこととしている。本制度は、こうした政策的な要素を考慮した上で、具体的には、医療上の必要性があると認められる場合等は、保険給付するという前提に立ちつつ、後発医薬品が存在する中においても、薬剤工夫による付加価値等への患者の選好により使用されることがある等の長期収載品の使用実態も踏まえ、長期収載品の処方等又は調剤について、患者の自己の選択に係るものとして、その費用を患者から徴収することとしたものである。

(2) 長期収載品とは、後発医薬品のある先発医薬品(昭和 42 年9月 30 日以前の薬事法(現行の医薬品医療機器等法)の規定による製造の承認がされた医薬品であって、価格差のある後発医薬品があるもの(いわゆる「準先発品」)を含む。)をいうものであること。

(3) 本制度の対象となる長期収載品は、次の①又は②の要件を満たす医薬品あって、当該長期収載品の薬価が、当該長期収載品の後発医薬品(組成、剤形及び規格が同一であるものに限る。以下同じ。)のうち最も薬価が高いものの薬価を超えているものであること。

  • ① 当該長期収載品に係る後発医薬品が初めて薬価基準に収載された日の属する月の翌月の初日から起算して5年を経過した長期収載品(バイオ医薬品を除く。)
  • ② 当該長期収載品に係る後発医薬品が初めて薬価基準に収載された日の属する月の翌月の初日から起算して5年を経過しない長期収載品であって、当該長期収載品に係る後発医薬品の数量を、当該長期収載品に係る後発医薬品の数量に当該長期収載品の数量を加えて得た数で除して得た数(以下「後発品置換え率」という。)が 50%以上であるもの(バイオ医薬品を除く。)
    ただし、①の要件を満たす医薬品であっても、(6)③に記載のとおり、保険医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが困難な場合には選定療養の対象外とすることを踏まえ、後発品置換え率が極めて低い長期収載品(後発品置換え率が1%未満の長期収載品)は、対象外とする。なお、対象となる長期収載品の具体的な品目の一覧(長期収載品の薬価、当該長期収載品の後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価等を含む。)は別途作成し、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定であること。

(4) 保険外併用療養費の支給額は、所定点数から次に掲げる点数を控除した点数に、当該療養に係る医薬品の薬価から、先発医薬品の薬価から当該先発医薬品の後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価を控除して得た価格に四分の一を乗じて得た価格を控除して得た価格を用いて次の各区分の例により算定した点数を加えた点数をもとに計算されるものである。

  • ① 別表第一区分番号C200に掲げる薬剤
  • ② 別表第一区分番号F200に掲げる薬剤
  • ③ 別表第一区分番号G100に掲げる薬剤
  • ④ 別表第二区分番号F200に掲げる薬剤
  • ⑤ 別表第二区分番号G100に掲げる薬剤
  • ⑥ 別表第三区分番号20に掲げる使用薬剤料

(5) 長期収載品の処方等又は調剤を行おうとする保険医療機関又は保険薬局は、本制度の趣旨を患者に適切に情報提供する観点から、(1)に示す本制度の趣旨及び特別の料金について院内の見やすい場所に患者にとって分かりやすく掲示しておかなければならないこと。 また、当該掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないものとすること。ただし、自ら管理するホームページ等を有しない保険医療機関又は保険薬局については、この限りではない。なお、ウェブサイトへの掲載について、令和7年5月 31 日までの間、経過措置を設けている。

(6) 本制度が適用されるのは、次の①から③までのすべてを満たす場合に限られるものであること。

  • ① 患者に対して長期収載品の処方等又は調剤に関する十分な情報提供がなされ、医療機関又は薬局との関係において患者の自由な選択と同意があった場合に限られるものであること。なお、今般、本制度の導入にあたっては、院外処方や院内処方等及びそれを踏まえた調剤時における患者の希望による長期収載品の選択を対象とし、入院中の患者については対象外とする。
  • ② 長期収載品を処方等又は調剤することに医療上必要があると認められる場合に該当しないこと。具体的には、処方箋の「変更不可(医療上必要)」欄に「レ」又は「×」が記載された長期収載品は、医療上必要があると認められるため保険給付の対象となり、選定療養の対象にはならないこと。他方、患者の希望を踏まえ銘柄名処方され、「患者希望」欄に「レ」又は「×」を記載された長期収載品や、一般名処方され、患者が調剤を希望した長期収載品は、選定療養の対象となること。
  • ③ 当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合に該当しないこと。

(7) 患者から長期収載品の処方等又は調剤に係る特別の料金の費用徴収を行った保険医療機関又は保険薬局は、患者に対し、保険外併用療養費の一部負担に係る徴収額と特別の料金に相当する自費負担に係る徴収額を明確に区分した当該費用徴収に係る領収書を交付するものとすること。

(8) 特別の料金については、医療上の必要性等の場合は長期収載品の薬価で保険給付されることや、市場実勢価格等を踏まえて長期収載品の薬価が定められていることを踏まえ、長期収載品と後発医薬品の価格差の一定割合とすること。また、後発医薬品の使用促進を進めていく観点からも、当該一定割合分を徴収しなければならないとすること。具体的には、当該長期収載品の薬価から、当該長期収載品の後発医薬品の薬価を控除して得た価格に4分の1を乗じて得た価格を用いて算定告示の例により算定した点数に 10 円を乗じて得た額とすること。ここでいう当該長期収載品の後発医薬品の薬価とは、該当する後発医薬品のうち最も薬価が高いものの薬価をいうこと。
なお、「選定療養」に係る費用として徴収する特別の料金は消費税の課税対象であるところ、前述で算定方法を示している長期収載品の特別の料金の額に消費税分は含まれておらず、前述の額に消費税分を加えて徴収する必要があること。

(9) 30 における取扱については、「厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養等の一部を改正する告示」(令和6年厚生労働省告示第 122 号)等における長期収載品の処方等又は調剤に係る規定の適用期日を踏まえ、令和6年 10 月1日より適用するものとすること。

公費負担がある場合の選定療養

下記Q&Aでは、健康保険単独と、健康保険と国/地方自治体の公費併用が選定療養の対象になるとされている。しかし、あくまでこれは基本的な考え方にすぎないため、個別の通知を確認する必要がある。

  • 生活保護・・・100%生保は生活保護法五十二条より長期入院選定療養以外は選定療養外とされる上に、法第三十四条により後発しか選択できず。QAよりやむを得ない場合以外先発不可。
    生保と健康保険併用は選定療養対象内に見えるが、生活保護法の縛りを受けるため、100%生保と同様。
  • 公害医療・・・健康保険関係ないので選定療養対象外。(参考:日薬通知
  • 災害(被災)・・・健康保険優先、自己負担分が地方自治体の公費のため、QA問11より選定療養対象
  • 原爆認定(18)・・・生保と同じく100%公費。診療方針が健康保険に準じるので、QA11も考慮し選定療養対象(原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律には生活保護法にある縛りがないため)?
  • 水俣病総合対策医療事業・・・健康保険優先。自己負担が公費のため選定療養対象(参考:熊本県HP
  • 肝炎治療特別促進事業(38)・・・健康保険優先。自己負担が公費のため選定療養対象
  • 自賠・・・健康保険関係ないので選定療養対象外?→労災と同じで対象内の可能性も
  • 労災・・・健康保険関係ないので選定療養対象外選定療養の対象(参考:日薬通知)で、「特別の料金」の計算方法は、医科・歯科については労災保険の単価(12円または11円50銭)ではなく、健康保険と同様10円で計算し、調剤については労災保険の単価は10円なので、そのまま10円で計算する。レセコンでは選定対象外も選択できるが選定対象を選ぶ。(労災単価については、労災診療費算定基準についてを参照)

補足(その他)

  • ヒルドイドローションは選定対象内だが、ヒルドイドローション25gに対応するジェネリックの規格がないため、ヒルドイドローション25g、75g、125g等は選定対象外。ヒルドイドローション50gは選定対象
  • ヒルドイドフォームは選定対象内だが、ヒルドイドフォーム92gに対応するジェネリックの規格がないため、ヒルドイドフォーム92gは選定対象外、ヒルドイドフォーム100gは選定対象
    ヒルドイドフォーム92gの処方はヘパリン類似物質外用スプレー100gもしくは泡状スプレー100gに変更可能(マルホ確認済)。
    それであれば、【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% 100gの処方も【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% 92gも、フォーム92gとスプレー100gどちらを出してもよいことになるが、マルホ曰く、【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% 92gはヒルドイドフォーム92gしか調剤できず選定療養対象外、【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% 100gは先発、後発ともに調剤可能で選定対象とのこと。
    (※この情報はXの北の薬屋さんとぐで太郎さんのポストをもとに記載しています。)

Q&A(長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈)

問1 「「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について」(令和6年3月 27 日保医発 0327 第 10 号)において、「別表第一区分番号C200に掲げる薬剤」、「別表第一区分番号G100に掲げる薬剤」及び「別表第二区分番号G100に掲げる薬剤」が選定療養の対象となるとされているが、入院中の患者以外の患者(往診又は訪問診療を行った患者も含む)に対して医療機関が注射を行った場合も、長期収載品の選定療養の対象となるのか。

(答)長期収載品の選定療養の対象とはならない。
なお、在宅自己注射を処方した場合については、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和6年7月 12 日厚生労働省保険局医療課事務連絡。以下「疑義解釈その1」という。)問9に記載するとおり、長期収載品の選定療養の対象となる。

問2 疑義解釈その1問1の②において、「当該患者が後発医薬品を使用した際に」とあるが、後発医薬品の添付文書において、当該患者への投与が禁忌とされている場合も、実際に当該患者に使用したうえで判断する必要があるのか。

(答)後発医薬品の添付文書において禁忌とされている患者に対しては、当該後発医薬品を使用したうえで判断する必要はなく、この場合は疑義解釈その1問1の②に該当するとみなして差し支えない。

問3 複数の医薬品を混合する際、後発医薬品を用いると配合変化により薬剤が分離する場合であって、長期収載品を用いることにより配合変化が回避できるときは、医療上の必要性があると認められるか。

(答)疑義解釈その1問1の④に該当するため、医療上の必要性があると認められる。


問1 「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「レ」又は「×」がついた場合、保険薬局においてはどのような取扱いになるか。

(答)「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「レ」又は「×」がつくことは、通常は想定されず、医療機関のシステムにおいても双方に「レ」又は「×」を入力することはできないと考えられるが、仮にそのような場合があれば、保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。
なお、医療機関では、「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月 27 日保医発 0327 第 11 号)において、「「変更不可(医療上必要)」欄に「レ」又は「×」を記載した場合においては、「患者希望」欄には「レ」又は「×」は記載しないこと。」としているところであり、医療上の必要性がある場合は、「変更不可(医療上必要)」欄にのみ「レ」又は「×」を記載すること。

問2 令和6年 10 月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に 10月1日以降に処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。

(答)そのとおり。

問3 令和6年 10 月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に 10月1日以降に 2 回目以降の調剤のためにリフィル処方箋や分割指示のある処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。

(答)そのとおり。

問4 令和6年 10 月1日以降に旧様式の処方箋で処方された長期収載品であって、後発品変更不可にチェックがあるものの、理由について記載がされていないものについてどう扱えばよいか。

(答)保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。

問5 「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」(平成 18 年厚生労働省告示第 107 号)第三の十四(三)において、「後発医薬品のある先発医薬品の処方等又は調剤に係る費用徴収その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければならないものとする。」とされているが、掲示内容について参考にするものはあるか。

(答)院内及びウェブサイトに掲示する内容については、以下の URL に示すポスターを参考にされたい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html

問6 医事会計システムの電算化が行われていないものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関及び保険薬局については、薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が 175 円以下の場合は、薬剤名、投与量等を記載する必要はないとされているが、医療上の必要性等により長期収載品を処方等又は調剤した場合の理由は記載が必要となるのか。

(答)記載不要。

問7 生活保護受給者である患者が長期収載品を希望した場合は、どのように取り扱うことになるのか。

(答)
【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象にならない場合】
「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和 34 年厚生省告示第 125 号)第2に基づき、生活保護受給者については、長期入院選定療養以外の選定療養は医療扶助の支給対象とはならないとしている。
このため、生活保護受給者である患者が、医療上必要があると認められないにもかかわらず、単にその嗜好から長期収載品の処方等又は調剤を希望する場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象とはならないため、生活保護法(昭和 25 年法律第 144 号)第 34 条第3項に基づき、後発医薬品処方等又は調剤を行うこととなる。

【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象になる場合】
長期収載品の処方等を行うことに医療上必要があると認められる場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象となる

問8 生活保護受給者である患者が、単にその嗜好から長期収載品を選択した場合、「特別の料金」を徴収するのか。

(答)生活保護受給者である患者について、医療上の必要性があると認められず、かつ、保険医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが可能である場合は、長期収載品を医療扶助又は保険給付の支給対象として処方等又は調剤することはできないため、当該患者が単にその嗜好から長期収載品を希望した場合であっても、後発医薬品を処方等又は調剤することとなる。そのため、「特別の料金」を徴収するケースは生じない


問1 医療上の必要があると認められるのは、どのような場合が想定されるのか。

(答)保険医療機関の医師又は歯科医師(以下、医師等)において、次のように判断する場合が想定される。

  • ① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合(※)であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を処方等する医療上の必要があると医師等が判断する場合。
    (※)効能・効果の差異に関する情報が掲載されているサイトの一例
  • ② 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師等が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。
  • ③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それを踏まえ、医師等が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合
  • ④ 後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなど、剤形上の違いにより、長期収載品を処方等をする医療上の必要があると判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれない。

また、保険薬局の薬剤師においては、
・ ①、②及び③に関して、医療上の必要性について懸念することがあれば、医師等に疑義照会することが考えられ、
・ また、④に関しては、医師等への疑義照会は要さず、薬剤師が判断することも考えられる。なお、この場合においても、調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供すること。

問2 治療ガイドライン上で後発医薬品に切り替えないことが推奨されている場合については、長期収載品を使うことについて、医療上の必要性が認められるということでよいか。
例えば、てんかん診療ガイドライン 2018(一般社団法人日本神経学会)では、「後発医薬品への切り替えに関して,発作が抑制されている患者では,服用中の薬剤を切り替えないことを推奨する.」、「先発医薬品と後発医薬品の治療的同等性を検証した質の高いエビデンスはない.しかし,一部の患者で,先発医薬品と後発医薬品の切り替えに際し,発作再発,発作の悪化,副作用の出現が報告されている」とされているところ、この場合に医療上の必要性は認められるか。

(答)医師等が問1の③に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となる。

問3 使用感など、有効成分等と直接関係のない理由で、長期収載品の医療上の必要性を認めることは可能か。

(答)基本的には使用感などについては医療上の必要性としては想定していない。
なお、医師等が問1の①~④に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となる。

問4 「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月 27 日保医発0327 第 11 号)の「第1 処方箋様式に関する事項」の「3 長期収載品を銘柄名処方する場合における取扱について」の(4)において、「処方の段階では後発医薬品も使用可能としていたが、保険薬局の薬剤師において、患者が服用しにくい剤形である、長期収載品と後発医薬品で効能・効果の差異がある等、後発医薬品では適切な服用等が困難であり、長期収載品を服用すべきと判断した場合には、医療上必要がある場合に該当し、保険給付とすることも想定されること。」とあるが、このような場合には処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の上記判断に基づいて、従来通りの保険給付が可能という理解でよいか。
また、医師等が後発医薬品を銘柄名処方した場合であって、「変更不可(医療上必要)」欄に「レ」又は「×」が記載されていない場合に、長期収載品を調剤する医療上の必要があると考えられる場合は、処方医へ疑義照会することなく、薬剤師の判断で従来通りの保険給付は可能か。

(答)それぞれの場合について、考え方は次のとおりである。
○ 医師等が長期収載品を銘柄名処方し、「変更不可(医療上必要)」欄に「レ」又は「×」が記載されていない場合に、薬剤師として長期収載品を調剤する医療上の必要があると考える場合
・ 医療上の必要性の判断の観点から、問1において保険薬局の薬剤師について記載するとおりの取扱いとなる。

○ 医師等が後発医薬品を銘柄名処方し、「変更不可(医療上必要)」欄に「レ」又は「×」が記載されていない場合に、薬剤師として長期収載品を調剤する医療上の必要があると考える場合
・ 変更調剤に該当するところ、「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」(令和6年3月 15 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、当面の間、疑義照会なく、変更調剤できることとしている。
・ その上で、医療上の必要性の判断の観点から、問1において保険薬局の薬剤師について記載するとおりの取扱いとなる。

問5 「長期収載品の処方等又は調剤について」の「第 1 処方箋様式に関する事項」の「4 一般名処方する場合における取扱について」の(2)において「一般名処方の処方箋を保険薬局に持参した患者が長期収載品を希望した場合には、選定療養の対象となること。」とあるが、一般名処方された患者が薬局で長期収載品を希望し、薬剤師がその理由を聴取した際に、患者希望ではあるものの、患者の疾病に関し、長期収載品と後発医薬品における効能・効果等の違いがある等の医療上の理由と考えられる場合には、保険薬局の判断で従来通りの保険給付とすることは可能か。

(答)問1の後段に記載する通り。

問9 在宅医療において、在宅自己注射を処方した場合も対象となるか。

(答)そのとおり。

問 10 「当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合」について、出荷停止、出荷調整等の安定供給に支障が生じている品目かどうかで判断するのではなく、あくまで、現に、当該保険医療機関又は保険薬局において、後発医薬品を提供することが困難かどうかで判断するということでよいか。

(答)そのとおり。

問 11 医療保険に加入している患者であって、かつ、国の公費負担医療制度により一部負担金が助成等されている患者が長期収載品を希望した場合について、長期収載品の選定療養の対象としているか。

(答)長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は、従来通りの保険給付としつつ、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとしたものであることから、今般、対象外の者は設けておらず、国の公費負担医療制度の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合についても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。
なお、医療上必要があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない。

問 12 医療保険に加入している患者であって、かつ、こども医療費助成等のいわゆる地方単独の公費負担医療の対象となっている患者が長期収載品を希望した場合について、長期収載品の選定療養の対象としているか。

(答)長期収載品の選定療養の制度趣旨は、医療上必要があると認められる場合等は、従来通りの保険給付としつつ、それ以外の場合に患者が長期収載品を希望する場合は、選定療養の対象とすることとしたものであることから、今般、対象外の者は設けておらず、こども医療費助成等のいわゆる地方単独の公費負担医療が対象となっている患者が長期収載品を希望した場合についても、他の患者と同様に、長期収載品の選定療養の対象となる。
なお、医療上必要があると認められる場合に該当する場合は、従来通りの保険給付として差し支えない。

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記事No2859 題名:Re:かるがも様 投稿者:管理人tera 投稿日:2024-10-17 09:50:56

返信ありがとうございます。
後で確認すると言いつつ確認忘れていました・・・。再度保険薬局業務指針で確認したところ、やはり引用元は載ってないですね。
記載いただいた「平成20年厚生労働省告示第59号。(算定告示)」を見たのですが、薬剤料は1剤1日分の記載が見当たらず、選定療養の計算自体は厚労省の計算例で記載されているので1剤1日分でよいのですが、根本の薬剤料の計算根拠がわからず、、、もしご存じならもう少し詳しく教えていただけたら幸いです。


記事No2858 題名:Re:2845 返信ありがとうございまし 投稿者:かるがも 投稿日:2024-10-16 21:11:22

返信遅くなりました。長期収載品の選定療養においても「内服薬の薬剤料は1剤・1日分ごとに計算」が適用される根拠を確認したかったのですが、事務連絡を再度確認し「平成20年厚生労働省告示第59号。(算定告示)」の例により算定、とあった算定告示を参照したところ、薬剤料は1剤1日分、薬剤調製料などのところに服用時点が同一であるものは1剤とみなす旨あり、これらから解釈可能であることがわかりました。お手数をおかけいたしました。ありがとうございました。


記事No2846 題名:Re:調剤くん様 投稿者:管理人tera 投稿日:2024-10-11 21:18:18

はじめまして。
まず、ヒルドイドローションの方は、50で割り切れない数の場合は、どうしても先発の25gを1本は最低出さなければならない状態になることから、Xの方でも選定療養外と言うことにしようということで一旦落ち着いた感じです。実際に今現在、そうした処方を切ることで先発指定にするという医療機関もあります。通達はないので、その後のQA待ちです。

ヒルドイドフォームは、しろぼんネットのQAで私以外の誰かがこう答えていて締め切られていたため、これを記載しましたが、のちに、Xの北の薬剤師さんのツイートでマルホのお墨付きで先発92g→GE100gの変更調剤が可能なため、先発92gは選定療養対象ということになりました。しかしながら、一般名で処方された場合の対応など細かい部分はまだ未確認のままです。
後発嫌宇品変更のページ
https://kanri.nkdesk.com/chouzai/chouzai7.php
は直したんですが、こちらは直し忘れましたので今直しました。


記事No2845 題名:Re:かるがも様 投稿者:管理人tera 投稿日:2024-10-11 21:07:18

内服薬の薬剤料は1剤・1日分ごとに計算した後、五捨五超入して、服薬日数を乗して求める。
とされていますが、その根拠はということですね。。。
この計算方法が何の法律に則ったものか少し調べましたがすぐにはわかりませんでした。昔は薬事日報の保険調剤業務指針を見て勉強していたので、そこに計算方法の引用元が乗っているかもしれません。あとで見てみますので、ひとまずこれで。


記事No2844 題名:補足(その他)の件について 投稿者:調剤くん 投稿日:2024-10-10 11:08:38

いつも大変参考になっております。
上記、補足(その他)に記載がありますヒルドイドの件ですが、何か公的な通知や疑義解釈資料等がありますでしょうか?
もしあれば教えて頂けますでしょうか?
よろしくお願いします。


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