在宅医療に対する診療報酬上の評価等

在宅医療に取り組む前の準備

届出事項

届出内容 提出先
在宅患者訪問薬剤管理指導に係わる届出 地方厚生(支)局
介護給付費の請求及び受領に関する届 国保連合会介護保険係
居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導事務所の指定に係る記載事項 都道府県等の介護保険の担当部署
生活保護法指定介護機関指定申請書 都道府県等の生活保護の担当部署

在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出は、在学患者訪問管理指導を行うために必要な届です。(関東信越厚生局

介護給付費の請求及び受領に関する届は、介護保険における居宅療養管理指導費を請求する前に必要な届です。(例:埼玉県

居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導事務所の指定に係る記載事項の届出は、保険薬局は介護保険の指定事業所としてみなされるため申請する必要はありません(介護保険法第71条)が、不要申し立てをした後に再申請を行う場合に必要となります。(例:埼玉県

医療機関のみなし指定において、県により別途届出が必要な場合がありますのでご注意下さい(例:サービス提供開始届出書(群馬県))。介護保険事業者番号は群馬だと104の後に薬局コード7桁をつけた、計10桁の番号。

新規事業者の指定は、20日必着で次の月より算定可能。開設者の印鑑は印鑑証明の印鑑であり、別途印鑑証明書を添付する必要があります。また、振込先に指定した通帳の表と裏のコピーも添付する必要あり。請求方法は、通常レセプト10件以下程度であれば、帳票(紙媒体)を選ぶことになります。

生活保護法指定介護機関指定申請書は、生保と中国残留邦人を扱う際に必要となる届出です。この指定を受けると、生活保護指定介護機関の指定を受けると同時に中国残留邦人等支援法による指定も受けます。

なお、以下の期間以前(<>の中)に生活保護法の指定保険薬局となっていた薬局は、みなし指定を受けるため届出を行う必要はありません。

介護保険の場合 以下の指定申請 医療保険の場合 以下の指定申請
生活保護法等指定介護機関及び
<開局が平成12年4月1日以降は必要>
中国残留邦人等支援法介護期間
<開局が平成20年4月1日以降は必要>
生活保護法等指定医療機関及び中国残留邦人等支援法指定医療機関

(例:埼玉県、指定を希望する日は居宅を始める月、介護保険指定日は保険薬局指定日、居宅管理指導と介護予防居宅管理指導を同じように記載する)。

まとめると、

が必要です。

なお、例のような場合は開設者と請求者及び受領者が同一法人、同一人物なため大丈夫ですが、別の場合は委任状(埼玉)記入例)を提出する必要があります。

平成26年7月1日から、「生活保護法第54条の2の第4項において準用する同法第49条の2第2項第2号から第9号までに該当しない旨の誓約書」(以下「誓約書」)の提出が義務付けられました。生活保護法指定介護機関指定申請書に誓約書を添付の上提出するようになった。

介護サービス内容に変更が生じた時は、ご自身が交わした契約書の内容に従います。日薬のフォーマットを使用しているならば、料金体系が変更になった場合、1ヶ月前にサービス変更合意書に新しい料金体系の重要事項説明書や契約書を添付して押印という流れになるかと思います。(サービス変更合意書(pdf)、(サービス変更合意書(word)サービス変更合意書(引用元))を提出する必要があります。

平成26年度介護報酬改定に伴う負担額変更に関しては特例があります。(「平成26年度介護報酬改定により変更される重要事項説明書の取扱いについて」 )
以下抜粋
利用者負担額改定表を紙で配布する等を行った上で、利用者又はその家族へ説明し、理解を得る。その場合、利用者負担額の改定に同意した旨の署名・捺印は必ずしも必要しないが、各介護事業所は以上の説明を行った日時・方法・対象者を明確に記録に残しておくこと。

「介護給付費等の請求及び受領に関する届」等について

提出先は国保連合会です。郵送もしくは持ち込みのみで、FAXは不可。

届出理由 提出期限 提出する届
新規事業者の指定を受けた場合 県から指定された月の20日(必着) 介護給付費等の請求及び受領に関する届
住所、名称等が変更になった場合 県へ変更届を提出後
振込銀行及び口座番号を変更する場合 変更しようとする振込月の10日(必着)
請求者および受領者(口座名義)を変更する場合
請求方法を変更する場合(インターネット請求へ変更する場合を除く) 変更しようとする月の前月20日(必着)
伝送接続先電話番号を変更する場合
インターネット請求へ変更する場合
※現在、ISDN回線の事業所のみ
電子情報処理組織又は磁気テープ、フレキシブルディスクもしくは光ディスクによる請求に関する届

平成26年11月以降、インターネット回線での請求が可能になります。平成30年3月末以降はISDNでの請求は廃止されます。

<注意事項>
【提出枚数】
1つの事業所番号に対して1枚の提出が必要です。
例えば、事業所で複数のサービスを行っていて、複数の事業所番号を指定を受けている場合は、それぞれの事業所番号ごとに届の提出が必要となります。
また、事業所で複数のサービスを行っていても、指定を受けている事業所番号が1つの場合は、提出する届は1枚となります。

【提出期限】
届出理由により、提出期限は10日又は20日(土・日曜日、祝日の場合は、提出期日が早まります)必着となります。

【記載誤りの多い事例】
・開設者印と印鑑証明書印の不一致及び開設者住所と印鑑証明書住所の不一致(請求印等を押印されている例が多く見られます)
・通帳の表紙と表紙裏のコピー未添付(表紙のみ添付されている例が多く見られます)
・異動年月欄の未記載及び記載誤り(サービス提供月を請求付きとして記載されている例が多く見られます)

薬局における作成物(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

薬局内に掲示するもの 運営規定の概要
◎介護保険サービス提供事業者としての掲示
◎訪問薬剤管理指導の届出を行なっている旨の掲示
◎無菌製剤処理加算に関する掲示(許可を受けている場合)
居宅療養管理指導を行うにあたって利用者に記載してもらうもの ◎重要事項説明書(省令第8条・87条の4)
◎契約書(介護保険用)(薬局・利用者各1通保持する)
在宅患者訪問薬剤管理指導を行うにあたって利用者に記載してもらうもの ◎訪問薬剤管理指導に係る説明書
◎契約書(医療保険用)(薬局・利用者各1通保持する)
薬剤師が記入するもの ◎訪問薬剤管理指導記録簿(薬歴)(省令第19条)
医師への報告書(省令第89条2項)
その他作成するべき文書 薬学管理指導計画書
◎居宅療養管理指導サービス後の領収書(医療保険の領収書と分けるのが基本)
◎無菌製剤処理業務の指針(共同利用の場合に限る)
その他準備するべき文書 個人情報使用同意書(省令第33条第3号)
商品故障・苦情処理表(省令第36条2号)
事故受付処理表(省令第37条第2号)

(書式の一部は日薬HPより抜粋)

※在宅患者訪問薬剤管理指導では、法令上の契約書は必要ないですが、のちのトラブル発生対策に、同意書・契約書を記載して頂いておくことが望ましい。利用者又はその家族からの申し出があった場合には、これらの文書の交付に代えて、電磁的方法により提供することも出来る。

※領収書は手書きのもので可。レセコンによっては医療保険と介護保険の領収書を2枚出力することは可能ですので手間はないかと思います。

※交通費を請求する場合は、運営規程の第8条の3に請求額を記載しておくこと。(例:片道 ○○~○○km ○○円等)

※重要事項説明書の9、苦情申立窓口には、国保連合会の連絡先を記載すること。

医師から発行される文書

診療情報提供書 既往歴、病状、処方内容、身体状況等患者情報。フォーマットは薬局で準備して渡してもよい
訪問指示のある処方箋 「訪問の指示」を処方箋の備考欄に記載。口頭指示でもよいが、あとで備考欄や薬歴に記載。

※医師は診療情報提供書を記載することで、情報提供加算1として250点の加算がつくので、両者にメリットが有ることを伝えると良い。

参考:
診療情報提供料(Ⅰ)(医科)  250点/月1回/患者
保険医療機関が、診療に基づき保険薬局による在宅患者訪問管理指導の必要を認め、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの同意を得て、当該保険薬局に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に関わる在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な情報を提供した場合に、患者一人につき月1回に限り算定する。

文書による情報提供は、必ずしも訪問の都度実施しなければならないと明記されているわけではない。しかし、「その都度」もしくは「延滞なく」実施することが望ましい。(H28年保険調剤QA Q149)

一人の患者が複数の病院にかかっていた場合、どの病院の医師を主治医とするかで悩むこともあるかもしれない。この場合、薬学的管理計画書の疾患に関する全ての医師から指示書、訪問指示をもらい、すべての医師へ報告をする必要がある。

眼科、皮膚科や耳鼻科の単発処方等、計画書外の疾患においては薬剤服用歴管理指導料を算定することになる。

もちろん中6日以内の規定は守らなければならないため、今日はA内科、明日はB整形、明後日はC精神科と受診し、それぞれから訪問指示を貰えば、薬は毎日届けたとしても、訪問薬剤管理指導は包括で1回しか請求できない。

在宅医療の流れ(イメージ)

初回の場合

  • 1、医師や他医療スタッフからの訪問依頼、もしくは、薬局側からの提案。この時、高カロリー輸液の投与方法が中心静脈からであること、調剤可能な薬剤であること、処方箋の受け渡し方法を確認しておく。
  • 2、退院時カンファレンスへの参加(退院同時に算定する場合)→退院時共同指導について説明し、同意書に署名→文書にて情報提供
  • 3、医師等依頼主から、診療情報提供書と処方箋を受け取る(FAXで受取、原本を在宅で患者から回収も可)
  • 4、患者宅へ事前連絡し、契約内容・料金のお知らせ、介護認定の有無、各受給者証(1割か2割か)・印鑑等必要書類、訪問日時、駐車スペース、輸液保管スペースについて確認しておく
  • 5、患者ファイルの作成(訪問薬剤管理指導記録簿、薬学的管理指導計画書、地図、診療情報提供書)
  • 6、重要事項説明書・契約書の用意
  • 7、身分を証明する名札や名刺を準備する

居宅療養管理指導を行う前に、予め何らかの形で顔合わせをしておいたほうが良い(Drと一緒に、もしくはケアマネと一緒に)。なぜなら、初対面の状態で指導を行うのは少々難儀であるため。

顔合わせの時にケアマネの連絡先がわからなければ聞いたり、もしそのまま重要事項説明書と契約書に印鑑をもらえるのであればもらう。時期的に介護認定更新の時期であったりすると、担当者会議に出席させてもらい、ケアマネやヘルパーと一緒に介護計画を練ってから指導を行えるため、その後の指導を円滑に行うことができる。

薬剤師の在宅での位置づけは、薬の管理以外に、Drとのパイプ役としての役割である。ケアマネやヘルパーはDrと直接のコンタクトを取りにくい立場にあるため、互いの要望を上手く伝えるパイプ役を上手くこなすだけでも十分な価値がある。在宅を上手くこなすために必要なのは連携といっても過言ではない。

また、在宅訪問する薬剤師はなるべく限定したほうが良いと思う。対患者さんということもあり、ある程度の心を許せる関係を構築できなければ、相手の要望を聞き出すことができず、結果、良い指導を行うことができなくなってしまう。

訪問介護の生活援助サービスの一つに、「買い物や薬の受け取り」という項目があり、20分以上45分未満の場合が191単位、45分以上の場合が236単位となっている。ヘルパーさんが薬をただもらいにいくだけで191単位であれば、薬剤師が実際にご自宅に伺い、時間制限なく指導を行って503単位のほうが良いのではという考え方もある。

在宅における基本的注意

保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える場合にあっては、特殊の事情がある場合を除いては算定できない。(医療保険のみで、介護保険は算定可能)

元に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が在宅業務を行っている患者についても算定できない。

算定する日の間隔は6日以上あけること(例:木曜日の次は木曜日)

基準調剤加算の施設基準の要件に「地域の保険医療機関の通常の診療時間に応じた開局時間となっていること」とある。保険薬局の開局時間は、地域の保険医療機関や患者の需要に対応できるよう、特定の保険医療機関からの処方箋応需にのみ対応したものであってはならず、具体的には、特定の保険医療機関の休憩時間に応じた一時閉局となっていないことが求められる。ただし、一時閉局することがある場合であっても、その時間帯を活用して在宅薬剤管理指導を実施しているケースなどについては、当該要件を満たしていると解釈して差し支えない。(H24年疑義解釈その1より)

駐車禁止除外指定について

薬剤師が患家を訪問する際、道路事情により、やむを得ず駐車禁止の場所に車両を駐車せざるを得ない状況がある場合、駐車禁止除外の指定を受けることができる。交付にあたっては、除外標章交付申請書2通のほか、自動車検査証、主たる運転者の免許証、細則第3条の2第3項第9号に掲げる車両に該当することを証明する書面を、当該車両の運転者または使用者の住所地(法人の場合事業所の所在地)を管轄する警察署に提出する。

道路交通法施行細則によれば、駐車禁止(法第45条第1項各号を除く)及び時間制限駐車区間の規制の対象から除く車両は、

  • ア 緊急自動車その他の車両であって、公共性が極めて高く、緊急に、広域かつ不特定な場所に対応することが必要な用務に使用中のもの
  • イ 緊急自動車その他の車両であって、前記アの用務に準ずる程度の公益性が高く、広域かつ不特定な場所に対応することが必要な用務に使用中のもの
  • ウ 身体障害者等で歩行が困難な者が現に使用中の車両及び患者輸送車その他専ら歩行が困難な者を輸送するための車両であってその輸送に使用中のもの

とされており、訪問薬剤管理指導の業務については、アまたはイに該当することになります。

なお、駐車禁止等の規制の対象から除外される場所は、公安委員会が道路標識等により指定した駐車禁止等として規制した場所に限られています。法第44条に定める駐停車禁止場所、法第45条第1項に定める法定の駐車禁止場所、同条第2項に定める無余地駐車となる場所、法第47条に定める駐車の方法は除外とならないので注意する。(H26保険薬局Q&A Q106より)

繰り返し業務

  • 1、処方箋(備考欄に訪問の指示)に基づき調剤を行う
  • 2、患者宅に電話し訪問の日時を決定する(調剤日にあわせて訪問する必要はなく、お互いに都合の良い日時を相談して決める)
  • 3、訪問計画を立てる。訪問計画書の1通は在宅主治医に提出、コピーを薬歴に保存する。
  • 4、患者宅を訪問する。FAX処方箋を持参。
    • 4-1、介護保険被保険者を確認し、介護保険欄に介護度が記入されている場合:在宅患者訪問薬剤管理指導ではなく、介護保険の居宅療養管理指導人して請求することになるので、保険者番号、保険者名、被保険者番号、認定日・認定期間を控えておく。確認後、サービス内容や費用を患者/家族に説明し、居宅療養管理指導サービスに関する契約を行う(利用者用・薬局用各2通必要)。またケアマネージャーにもサービスを開始することを連絡し連携を図る。
    • 4-2、介護認定欄に介護度が記入されていない場合:在宅患者訪問管理指導料として医療保険で請求するので、契約等は不要。ただし、訪問にかかる点数を説明し、患者の同意をとっておくのが望ましい。
  • 5、処方薬を交付するとともに、薬剤の保管状況の確認、服薬状況の確認、服薬の援助と工夫を行う。なお、訪問服薬指導終了後、一部負担金を徴収する(介護と医療保険、OTCの領収書は分ける。また、処方箋受付日と訪問日が異なる場合、薬代の日付と訪問代の日付は同じにならない。)。
  • 6、訪問薬剤管理指導記録簿(あるいは薬歴)に、服薬支援内容を記載する。
  • 7、訪問結果と服薬支援内容について、在宅主治医(介護保険利用者の場合は、ケアマネージャーにも)に報告書にてフィードバックする。(報告書のコピーを患者ファイルに入れておく)
  • 8、薬学的管理指導計画書の作成及び見直し(最低月1回以上の見直しが必要

一人暮らしの高齢の患者さん、特に在宅療養を行っているような方に電話であれこれ話すのは難しいため、訪問日時は前回の訪問時か、Drの往診の時にDrから伝えてもらったり、ケアマネ経由で伝えてもらったりすると良い。電話に出ないケースも多々ある。

訪問日については、Drの指示を仰ぎ、それに準ずる。Drが1ヶ月に1度往診→薬はその丁度中間に持っていくというような、2週間ズレで行ったりすると、Dr的には往診の間に薬剤師に体調や生活環境管理を確認してもらえると助かるということになることもある。

※臨時処方により(週3回目の訪問等)、算定できない場合、緊急訪問の指示を医師に確認し、「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料」を算定する。

訪問時にあると便利なもの
  • 文房具(油性マジック、はさみ、セロテープ、ホチキス、朱肉、ユニパック)
  • 使い捨て手袋(ラテックスグローブ他)
  • ウェットティッシュ
  • ビニール袋
  • 機器類(体温計、血圧計、パルスオキシメーター)
  • 手指消毒剤
  • おくすりカレンダー
  • 来月のシフト表
  • 携帯電話(ストップウォッチ、カメラ等として)

サポート薬局との連携

二回目以後の在宅訪問では、別の薬局(サポート薬局)が臨時的に在宅訪問を行うことができる。(あくまで在宅期間薬局が対応できない臨時的場合)

基幹薬局 サポート薬局
訪問薬剤管理指導
(介護予防)居宅療養管理指導費
調剤基本料
調剤料
薬剤料
これに関わる加算点数 これに関わる加算点数

なお、サポート薬局が在宅訪問薬剤管理指導のみを行った(調剤を行っていない)場合は、調剤に関わる点数(調剤料や薬剤料など)は基幹薬局が請求することになる。もちろん、在宅訪問薬剤管理指導料は基幹薬局が請求しなければならないゆえ、無料で在宅業務を行うことに問題がある場合は、両薬局間で費用の配分について予め取り決めをしておくことが望ましい。

※麻薬管理指導加算を算定する場合には、在宅基幹薬局及びサポート薬局の双方が麻薬小売業の免許を取得しておく必要がある。

※在宅基幹薬局とサポート薬局は薬学的管理指導計画の内容を共有することが求められている。

※基幹薬局のサポート薬局として、重要事項説明書に薬局名(及び連絡先)を明記して患者に了解を得ておく。

小規模薬局間の連携による在宅業務の評価
サポート薬局が臨時に調剤及び訪問薬剤管理指導を行った場合

介護保険について

介護保険の被保険者

  • 第一号被保険者・・・65歳以上の方
  • 第二号被保険者・・・40~65歳未満で、介護保険の対象となる疾病のある方

※第二号被保険者は、医療保険加入者のみで生活保護等の医療保険非加入者は該当しない。

第二号被保険者を対象とした疾病

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折をももなう骨粗鬆症
  • 初老期の認知症(アルツハイマー症、脳血管性認知症、クロイツェフェルトヤコブ病、ピック病
  • パーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症(ウエルナー症候群)
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病(神経障害、腎症、網膜症)
  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息などの慢性閉塞性肺疾患
  • 著しい変形性関節症

医療保険・介護保険の併用について

在宅患者訪問薬剤管理指導も居宅療養管理指導も指導内容は全く同じですが、介護保険利用者の場合は、介護保険優先という基本ルールがある。(健康保険法第55条2項)(にも関わらず在宅患者訪問薬剤管理指導料を誤って算定し続けるケースが少なくない)

要支援・要介護認定を受けている人には、在宅患者訪問薬剤管理指導費ではなく、介護保険の居宅療養管理指導費として国保連合会に請求することになります。

ただし、調剤技術料や薬剤費等は調剤報酬として国保連合会または支払基金に請求します。

一方、要介護認定を受けていない人の場合は、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料での算定となり、調剤技術料や薬剤費も含めて一括して調剤報酬で請求します。

介護保険請求 医療保険請求
居宅療養管理指導費 ・(介護予防)居宅療養管理指導費
・麻薬加算
・在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
・在宅患者緊急時等共同指導料
・調剤基本料(各薬局で算定している点数)
 調剤料+薬剤料+各種加算+医療材料
在宅訪問薬剤管理指導 ・在宅患者訪問薬剤管理指導料
・麻薬加算
・在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
・在宅患者緊急時等共同指導料
・調剤基本料(各薬局で算定している点数)
 調剤料+薬剤料+各種加算+医療材料

以下、『要支援・要介護被保険者』に対する療養の給付。( 「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合(平成 20 年厚生労働省告示第 128 号)→別表第三が調剤報酬点数表)

区分 入院中の患者以外の患者 入院中の患者 入所中の患者
自宅、GH、老人ホーム他 介護療養型医療施設の病床以外の病床 介護療養型医療施設(認知症病棟の病床を除く) 介護療養型医療施設(認知症病棟の病床に限る) 老健 特養
在宅患者訪問薬剤管理指導料 × - × × × ○(末期の悪性腫瘍の患者に限る)
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 - - - - ○(末期の悪性腫瘍の患者に限る)
在宅患者緊急時等共同指導料 ○(同一日において、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費が算定されている場合を除く) - - - - ○(末期の悪性腫瘍の患者に限る)
退院時共同指導料 - × × × ×
薬剤服用歴管理指導料 ○(同一月において、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費が算定されている場合を除く。ただし、当該患者の薬学的管理指導計画に係わる疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬を行われた場合には算定可。) - - - -
長期投薬情報提供料
外来服薬支援料
服薬情報等提供料
○(同一月において、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費が算定されている場合を除く) - - - -
薬剤料・特定材料 - - -
上記以外の管理料 - - - -
居宅療養管理指導費 - × × × ×

介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、養護老人ホーム、入居者50人以上のケアハウス等は、居住系施設ではないため、訪問薬剤管理指導料は原則、居宅療養管理指導費はどんな場合でも算定できない(末期の悪性腫瘍の患者の場合のみ、医療保険で訪問薬剤管理指導が算定可能。要介護者であっても医療保険で算定する)。

なお、老健施設入所者に対する処方箋の交付は、「介護老人保健施設入所者に対する処方せんの交付について」にて原則不可、一部の薬剤のみ可能とされている。

高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準(第二十条)

  • ハ 施設入所者に対しては、別に厚生労働大臣が定める場合を除き、健康保険法第六十三条第三項第一号に規定する保険薬局(以下「保険薬局」という。)における薬剤又は治療材料の支給を目的とする処方箋を交付してはならない。

療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(第二十条)

第十二 療担基準第二十条第四号ロの処方箋の交付に係る厚生労働大臣が定める場合

  • 一 悪性新生物に 罹患している患者に対して抗悪性腫瘍剤(注射薬を除く。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 二  疼痛コントロールのための医療用麻薬の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 三 抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 四 インターフェロン製剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能若しくは効果を有するものに限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 五 血友病の治療に係る血液凝固因子製剤及び血液凝固因子抗体 迂回活性複合体の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 六 自己連続携行式腹膜 灌流に用いる薬剤の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 七 診療報酬の算定方法別表第三調剤報酬点数表(以下「調剤点数表」という。)の第4節区分番号30に掲げる特定保険医療材料の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 八 エリスロポエチン(在宅血液透析又は在宅腹膜 灌流を行っている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して使用する場合に限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 九 ダルベポエチン(在宅血液透析又は在宅腹膜 灌流を行っている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して使用する場合に限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 十 エポエチンベータペゴル(在宅血液透析又は在宅腹膜 灌流を行っている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して使用する場合に限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 十一 人工腎臓用透析液(在宅血液透析患者に対して使用する場合に限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 十二 血液凝固阻止剤(在宅血液透析患者に対して使用する場合に限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合
  • 十三 生理食塩水(在宅血液透析患者に対して使用する場合に限る。)の支給を目的とする処方箋を交付する場合

このうち内服薬及び外用薬として処方箋発行できるものは一~三、注射薬として処方箋発行できるものが四~十三(特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件 第十六のニ)で、いずれも薬剤料のみ?

ラゲブリオについては、新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その75)にて、「抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能又は効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能又は効果を有するものに限る。)」とみなして、本剤に係る薬剤料を算定できるが調剤料等の算定については、算定できない様に思われる。

居宅療養管理指導が算定可能な居住系施設には、自宅、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、入居者50人未満のケアハウス等が該当する。

居宅療養管理指導費を算定している場合は、薬剤服用歴管理指導料は原則算定できないということ(例外は表参照)。

介護保険・公費の併用について

また、公費と介護保険の関係にも注意が必要。

介護保険が優先になる公費(先に介護保険で9割or8割を給付し、残りの1割or2割を公費が負担する等)には、以下のようなものがあります。

制度 法別番号 公費負担率 利用者負担割合
感染症予防法 10・11 95% 5%
原爆(一般疾病) 19 100% 0%
特定疾患 51 100% 0%
生活保護
中国残留邦人
12
25
100% 0%

結核等の感染症予防法適応疾患の場合、介護保険で90%、感染症予防法で5%、自己負担が5%となるので注意する。

特定疾患では負担限度額が指定されてる場合はそれに準じる。通常重度の特定疾患では全額公費となる。

生活保護は、介護保険で居宅療養管理指導費を請求する場合、調剤券とは別に「介護券」が必要となる。介護券は暦月単位で福祉事務所(市役所が同様の業務を行っている場合は市役所)から交付される。(交付されてない場合は、電話もしくはレセコンから出力できる介護券請求書で請求する)

介護券の請求にはケアプランに居宅療養管理指導が記載されていることを確認する必要があるため、担当者がケアマネに直接確認か、請求する側が請求書とともに介護計画書を送るかしなければならない。

中国残留邦人の40歳~65歳未満の医療保険未加入者は、請求手続き上生保の被保険者として扱う。

公費が完全優先になる公費には、戦傷病者(13・14)、原爆(認定疾病)(18)、公害の4つがあり、すべて100%公費支給されます。

指導料・加算について

一包化加算・自家製剤加算

一包化加算自家製剤加算簡易懸濁法は別ページ参照。

在宅患者調剤加算について

在宅患者に対する薬学的管理指導及び指導の実績として、在宅患者訪問薬剤管理指導料、(介護予防)居宅療養管理指導費、合わせて10回以上あること、その他いくつかの基準を満たしている薬局は在宅患者調剤加算の申請を行うことができます。

届出が受理されると、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、(介護予防)居宅療養管理指導費のいずれかに対する加算として在宅患者調剤加算料(15点)を算定することができる。

退院時共同指導料について

保険医療機関に入院中の患者に、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医又は看護師等と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、退院時共同指導料を算定することができる。

入院中の病院にて患者に提供する「退院時共同指導報告書」の参考書式と退院時共同指導の記録簿が、薬剤師のための在宅医療(徳島県薬剤師会のホームページ)に掲載されている。

お会計のタイミングは、急遽退院できなくなってしまうことを考えれば、退院後に月まとめで合算して、もしくは次回の在宅訪問時がよいのではないだろうか。レセプトは他のものと別にすることに注意する。

在宅患者緊急時等共同指導料について

いわゆるサービス担当者会議を行った場合等に算定できる。医師は必ずしも出席する必要はないが、カンファレンスの指示と、その結果の情報提供を受ける必要があるので、医師が絡まない担当者会議では算定できない。

当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該保険医療機関の保険医等、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問看護ステーションの看護師等又は居宅介護支援事業者の介護支援専門員と共同で患家に赴き、カンファレンスに参加し、それらの者と共同で療養上必要な指導を行った場合に、在宅患者緊急時共同指導料を算定することができる。

無菌調剤処理加算(無菌調剤室の共同利用)

無菌製剤処理が必要な薬剤を含む処方箋を受け付けた無菌調剤室を有しない薬局(処方箋受付薬局)で調剤に従事する薬剤師が、他の無菌調剤室を有する薬局(無菌調剤室提供薬局)の無菌調剤室を利用して無菌製剤処理を行うことができる。

無菌調剤室の共同利用

(図引用:在宅業務をはじめよう 共創未来グループ 2014.8 34p)

ただクリーンベンチを設置しただけのような薬局は無菌調剤室ではないので共同利用できない点に注意する。

無菌調剤室の共同利用を始めるにあたり、事前にしておくことは、

  • 薬局共同利用に関する指針の策定→どこかの薬剤師会のを改変して準備
  • 当該薬剤師に対する研修の実施、その他必要な措置→研修は終了証までは必要ない。基本は無菌調剤室提供薬局の指示で行う。
  • 共同利用に関して必要な事項を記載した契約書等(契約書等には、指針や研修に関すること、事故発生時の報告に関する内容を含む)→どこかの薬剤師会のを改変して準備

無菌調剤室の共同利用を始めるにあたり、必要な届出類は以下。なお、この手続きは処方箋受付薬局が行い、無菌調剤室提供薬局は何もする必要はない。

  • 無菌製剤処理加算の届出
  • 構造設備変更届に関する事項・・・保健所に「変更届+構造設備の概要」と確認用に指針と契約書を、厚生局に「保険薬局届出事項変更届」を提出
    • 新規開設薬局・・様式第一「薬局の構造設備の概要」欄に無菌調剤室提供薬局の許可番号・名称・所在地を記載
    • 既存薬局・・・変更届の「変更内容」の欄に記載
      無菌調剤室提供薬局の無菌調剤室の「共同利用を行う場合」「共同利用を取りやめる場合」、無菌調剤室提供薬局を変更する場合、等
      新たに共同利用を行う場合は、事項:無菌調剤室の共同利用における構造設備、変更前:-、変更後:無菌調剤室の共同利用/許可番号/薬局名称/薬局所在地を記載する。
  • 薬事法に基づく書類等への記載に関する事項(概要)
書類等 処方箋受付薬局 無菌調剤室提供薬局
指針 協力する
研修 指示する
契約書
帳簿 - 無菌調剤室利用に関する帳簿を備え、3年間保存
調剤された薬剤(容器又は被包)への表示 薬局の名称、、住所、所在地 省略可
処方箋への記入等 薬局の名称、所在地 薬局の名称、所在地
処方箋の保管 調剤済みとなった日から3年間保存 -
調剤録への記入等 調剤済みとなるまでに行ったすべての事項について記載 無菌製剤処理を行った薬剤に関する事項のみの記載で良い
薬局機能情報 可(○○薬局(無菌調剤室提供薬局の名称及び所在地)の無菌調剤室を共同利用)
(問13)無菌調剤室を有しない薬局が他の薬局の無菌調剤室を利用して無菌製剤処理を行った場合(薬事法施行規則第15条の9第1項のただし書における無菌調剤室の共同利用)、予め無菌調剤室提供薬局の名称・所在地について地方厚生局に届け出ていれば、無菌製剤処理加算を算定できると理解して良いか。(H26年調剤報酬改定QA)

(答) 貴見のとおり。

医療材料・衛生材料の供給

詳しくは、特定保険医療材料のページを参照。

保険薬局で給付できる特定保険医療材料

特定保険医療材料に該当する高度管理医療機器

  • 腹膜透析液交換セット
  • 在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル
  • 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ
  • 在宅寝たきり患者処置用膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル
  • 在宅血液透析用特定保険医療材料(回路を含む。)
  • 皮膚欠損用創傷被覆材
  • 水循環回路セット

特定保険医療材料に該当する高度管理医療機器は、、医師の処方箋に基づき、社会保険各法において支給する場合に限り、①から③の要件をいずれも満たす薬局は、高度管理医療機器等販売業の許可を取得する必要はないこと。

  • ① 特材高度管理医療機器等を患者に支給する際、薬剤師が患者の当該医療機器の使用状況や使用履歴を確認した上で、当該医療機器の使用方法及び管理方法の指導を添付文書等に基づいて適切に行っていること。併せて、調剤録に必要事項を記載するとともに当該医療機器を支給した時点で、薬剤服用歴に患者の氏名、住所、支給日、処方内容等、使用状況、使用履歴及び指導内容等の必要事項を記載していること。
  • ② 特材高度管理医療機器等の保管や取扱いを添付文書等に基づき適切に行っていること
  • ③ 在宅業務従事者等の資質の向上を図るため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づく研修を実施するとともに、定期的に在宅業務等に関する学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること。なお、薬剤師に対して、医療機器に関する講習等への定期的な参加を行わせていることが望ましい。

「インスリン注射器等を交付する薬局に係る取扱いについて」の一部改正について 薬生機審発0510第1号

腹膜透析液交換セット

血液透析(HD)ではなく、腹膜透析(PD)を自宅で行っている患者に使用。

CART(腹水濾過濃縮再静注法)は、がんや肝硬変等でたまった胸水や腹水を穿刺して採取して、それを濾過、濃縮して患者に再静注する方法で、CAPDやAPDとは異なる。

在宅中心静脈栄養用輸液セット

これらは中心静脈栄養(IVH)の調剤に使用する特定保険材料。

特定保健医療材料 分類 価格
在宅中心静脈栄養用輸液セット 本体 1490円
付属品 フーバー針 411円
輸液バッグ 406円

本体

体外式カテーテル又は埋込み型カテーテルに接続して使用するチューブセット。(輸液ライン(フーバー針除く)、注射器、穿刺針を含む)

  • 自然落下式・ポンプ接続兼用輸液セット
    • ジェイ・エム・エス
      • JMS輸液フィルター付輸液セット
      • JMS輸液セット
      • プラネクタ輸液セットフィルタ付
      • プラネクタ輸液セット
      • プラネクタ輸液セット側注用
    • テルモ
      • シュアプラグAD輸液セット
      • シュアプラグ輸液セット
    • トップ
      • トップ輸液セット
    • ニプロ
      • ニプロフィルターセット
      • ニプロ輸液セット
      • ニプロアイセット
  • 輸液ポンプ用輸液セット
    • ニプロ
      • ニプロCPチャンパーセット
    • エア・ウォーター・メディカル
      • テルフュージョンポンプ用チューブセットフィルター付

フーバー針

埋め込みポート用医薬品注入器具。埋込み式カテーテルで皮下に植え込んだポートに穿刺し、輸液ラインとポートを接続するもの

  • エア・ウォーター・メディカル
    • ウイングニードル
  • スミスメディカル
    • グリッパープラス
    • グリッパープラス(グリッパーニードル)
  • 東レ・メディカル
    • ウィングド シュアカン
    • ウィングド シュアカン(シュアカン セーフティⅡ)
  • ニプロ
    • コアレスニードルセット
    • セーフタッチ コアレスニードルセット

輸液バッグ

単回使用輸液容器。在宅中心静脈栄養に用いる輸液を封入するもの

  • テルモ
    • ハイカリックIVHバッグ
  • ニプロ
    • アリメバッグ

補足説明

鎖骨下(or腹部、上腕など)の皮下にポートを埋め込む処置を行っていれば、自宅にて高カロリー輸液の点滴(中心静脈栄養法)を行うことが可能です。中心静脈カテーテルは、鎖骨下静脈(or内頸静脈、大腿静脈、肘静脈)から挿入し、カテーテル先端は上下静脈に置きます。

病院に入院している時であれば、高カロリー輸液(フルカリック等)やライン(カテーテル、ヒューバー針等のセット)は病院で出すので、院外薬局が関わるのは退院したあとに自宅でIVHを行っている患者さんにこれらの医薬品や医療機器を提供する場合となります。

退院時のケアマネやヘルパー、病院の看護師さんとの担当者会議の中で、何が必要かをきちんと確認しておくと良いでしょう。

必要なものの一例を示すと、

  • フルカリック(医薬品)・・・注射薬として算定。併売でメーカーにより納品までに時間がかかることも有り。規格(ml)も複数あり。卸に事前に確認しておく。
  • 生食シリンジ(医薬品)・・・生食シリンジにはスリップタイプ(針にくっつけるタイプ)とロックタイプ(点滴の時にアダプターに接続するタイプ)の2種類あるので注意する。通常IVHカテーテルで血液の逆流防止(カテーテル内を満たす)に使うのであればロックタイプになる。最近はヘパリンロックより安全な生食ロックが主流になってきているが、生食かヘパリン加生食かも確認必要。ラインを外す時(入浴や散歩)にのみ使用するので、1日1回使用するものでもない、週1とか。

    以下参考
    ヘパリンロック・生食ロック(動画)
    在宅IVHの指導法(その2)【動画解説】
  • テルフュージョン ポンプ用チューブセット(フィルター付)(管理医療機器)・・・いわゆるラインの本体。携帯型HPNポンプ(カフティーポンプS)にカセット部を接続することで、一定の流量で輸液できる。
    ポンプ本体と付属品は医療機関と契約したリース会社が患者に貸与し、医療機関が保険で費用を算定して、リース会社にリース料を支払う。
    機械器具74で輸液ポンプ用輸液セットに該当。これは特定保険医療材料に該当するので、1つ1880円(赤字)で処方箋調剤かつ保険請求可能。
  • シュアプラグ(一般医療機器)・・・チューブにつなぐプラグで、横から他の注射薬を入れることができる。これは特定保険医療材料ではないので処方箋調剤できないし、自費で患者に購入させることもできない。ただで渡すことはOK。特定保険医療材料か否かはメーカーに聞くと良い(テルモ問い合わせ:0120-128-195)
  • グリッパープラス(管理医療機器)・・・埋め込みポートにぶっさすHuber針。テルモでは取扱がない。これは特定保険医療材料で、1つ411円(もちろん赤字)で処方箋調剤かつ保険請求可能。

H26年の調剤報酬改定から一部の医療機器を処方箋調剤できることになったが、実際に医療機器を処方箋調剤するケースは稀である。

というのは以下の図を見ると分かる通り、病院側が在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算(2000点)を算定する場合は、その点数の中に月に6回までは含まれるからで、7回目以降で初めて処方箋調剤となるからである。
→7回目以降について、記事No771にて訂正コメントを頂いたので、下記に引用させていただきます。

医療機関がセット加算を算定した際には輸液セット等を院外処方することはできません(在宅療養指導管理材料加算 通則2)。7組目以降の特定保険医療材料は医療機関が保険償還価格で請求できます。(特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について)
要するに、全部院内で出すか、全部院外処方する必要があります。なお、保険薬局で請求する場合には1組目から保険償還価格で請求可能です。

在宅中心静脈栄養法の保険請求
引用元:保険請求ガイド(テルモ)

病院側はこの加算2000点を算定すれば医療機器代を入れても2000円くらいは儲かるらしい。

こういうことは在宅担当医の指示に従うのが良いだろう。

すなわち、基本的に処方箋で発行されて薬局が出すのは、輸液とロック用の生食かヘパリンの2つになる。もちろん輸液は単体(B1等を混合する必要が無い場合)であれば、クリーンベンチ(H24年の調剤報酬改定で無菌調剤室がなくても大丈夫になった。これについては日薬のサイトを見ると良いだろう。)とかは必要ないし、ある程度長期に出すことも可能。混ぜると7日あたりが限度か。

在宅寝たきり患者処置用気管内ディスポーザブルカテーテル

呼吸不全患者の気道確保や喀痰の吸引を目的として使用する気道切開カニューレ。

カフなし単管は気道確保と喀痰吸引、カフ付き単管は誤嚥防止と発声に使用する。

在宅寝たきり患者処置用膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル

前立腺肥大や尿道狭窄等により起こる排尿障害の患者で、薬物療法やリハビリ療法が無効な場合に使用する尿カテーテル(バルーンカテーテル)。

ドレナージに用いる瘻は、腎盂瘻、尿管瘻、膀胱瘻がある。

在宅寝たきり患者処置用栄養用用ディスポーザブルカテーテル

チューブを介して経腸栄養剤を投与時に使用。経鼻、経胃(PTEG、PEG、PEG-J)、腸瘻(PEJ)。

在宅血液透析用特定保険医療材料

血液透析用のダイアライザー等。HDも在宅でできるのかな?保留。

携帯型ディスポーザブル注入ポンプ

在宅医が携帯型ディスポーサブル注入ポンプ加算として請求するか、処方箋で特定保険医療材料として請求するか。

緩和ケアや化学療法において、微量の薬液を正確に持続注入できるポンプとして、電動のポンプの他に、バルーン型持続注入ポンプ(携帯型ディスポーザブル注入ポンプ)がある。

注入速度が製品ごとに決まっており、製品を変更せずして持続注入の速度を変更することができないため、必要量が安定していない患者には適さない。温度変化が大きいと注入速度に影響する。

PCA(patient controlled analgesia)機能付きのものは、患者が自らの意志で必要な鎮痛麻酔薬等を追加投与できる。

PCAポンプ

PCAポンプは機械式PCAポンプ(在宅悪性腫瘍等患者指導管理料の注入ポンプ加算:医科)と上記のディスポーサブルPCAポンプに分類される。機械式のほうが投与量を細かく設定できるため報酬が低くてもメリットは高いとされる。

いずれもオピオイドを充填したメディケーションカセットをポンプ本体に装着し、流速を設定することで一定量のオピオイドを体内に注入することができる。また、定時投与に上乗せしてレスキュードーズも設定できる。(厚生労働省:医療用麻薬の使用方法

具体的な調剤手順としては以下(参考:調剤と情報2020.11)

  • 処方箋発行→クリーンベンチでメディケーションカセット内への薬液の充填。必要に応じて他の付属品(機器、専用チューブ、留置針他)を用意。
  • PCAポンプの消耗品の交換の目安が1週間のため、1週間毎の処方設計がデフォルト。よって定時の7日分とレスキュードーズとして3日分を加えた10日程度で用意することとなる。
  • 例えば、モルヒネ持続皮下注射60mg/日必要なら、10日で600mg(モルヒネ注射剤50mg 5mlが12A)必要。流速を0.3ml/時に設定するとすれば、10日分で24*0.3*10=72ml必要なので、12mlの生理食塩水(処方としては20mlが1本)を加えて、希釈する。

各ポンプの特徴はタイガーさんのを貼り付けておきます。

レセプト

医療保険

レセプト摘要欄に、「訪問指示あり 1月2日」「介2(1/2、2/3)」のように訪問日を入れる。薬剤服用歴管理指導料は同時に算定できないため、薬学管理料は0になる。

介護保険

居宅療養管理指導を算定した場合は、医療保険のレセプト(居宅療養管理指導費以外を請求)摘要欄に、○介と訪問に行った回数の記載が必要。介護保険のレセプト(居宅療養管理指導と麻薬加算を請求)の摘要欄には訪問日を記入する。

居宅療養管理指導費のみ(503単位or352単位)が介護保険請求となり、これ以外の点数は、医療保険請求となる。居宅療養管理指導費は、利用者の保険の種別に関係なく国保連合会の介護保険課へ請求する。

H27.8以降、一定以上の所得のある方は、介護保険サービスの利用者負担割合が2割となりました。要介護・要支援認定を受けた方には、利用者負担が1割の方も2割の肩も、市町村から「負担割合証」が交付されますので、居宅療養管理指導等の介護保険対象サービスを実施し、患家から利用者負担を徴収される薬局に置かれては、「負担割合証」にて、利用者負担の割合をご確認下さい。

居宅療養管理指導費は、介護保険の給付限度額には含まれない。通常介護度に合わせて単位上限があり、それに収める形でケアマネさんがケアプランを作成するが、居宅療養管理指導の単位はそれとは別枠であり、単位上限に達していたとしても算定できる。

介護報酬の算定は月4回できるが、算定日の間隔は6日以上空けなければならない。ガン末期利用者は、週2回月8回まで算定可能。

介護保険証は、更新されるとケアマネが郵便やFAXで送ってくれることもあるが、送ってくれない場合は患者さんから見せてもらって入力する。

いまどきのレセコンであれば、請求書と明細書が自動で出力されると思いますが、されない場合は以下の文書に自分で記載し、国保へ請求します。

レセプト提出後問題がなければ、介護給付費等支払決定額通知書及び内訳書が郵送されてきます。

介護報酬の計算方法について(端数処理)

計算方法

  • A 介護報酬(10割分)=総単位数(レセプト(一利用者一暦月)の総単位数)×1単位当たりの単価  【1円未満切捨て】
  • B 介護給付費請求額(9割分)=A×0.9 【1円未満切捨て】
  • C 利用者負担額(1割分)=A-B 【A×0.1の1円未満切上げ】

具体例

ある利用者(1割負担)に、居宅療養管理指導(503単位)を1回行った場合(6級地の市町村に所在する事業所)。(地域区分について

  • 例 総単位数=503単位×1回=503単位
    • A 介護報酬(10割分)=503単位×10円=5030円(1円未満切捨て)
    • B 介護給付費請求額(9割分)=5030円×0.9=4527円(1円未満切捨て)
    • C 利用者負担額(1割分)=5030円-4527円=503円

居宅療養管理指導費は地域区分の人件費割合3区分のいずれにも該当しないため、地域加算の加算はない。


【参考・引用文献、引用図】

コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。

(件名or本文内でキーワード検索できます)



記事No2509 題名:御礼 投稿者:やまやま 投稿日:2023-05-21 09:12:05

管理人tera様
お返事ありがとう御座いました
処方元から訪問指示をいただけました
しかし患者様は薬局を移る選択をされました
今後精進します


記事No2484 題名:Re:やまやま様 投稿者:管理人tera 投稿日:2023-05-17 22:52:16

透析でも処方箋が発行されていれば可能かとは思います。
私も介護の透析患者しか実際に算定したことがないので確実とは言えませんが、大丈夫なのではないでしょうか。


記事No2477 題名:医療保険で在宅を行う場合の診断名 投稿者:やまやま 投稿日:2023-05-16 18:03:51

お返事ありがとうございます
重ねて質問させていただきたいのですが、

当薬局ではこれまで、がん末期の方と経管栄養を必要とする医療ケア児の方しか
医療保険での在宅を行ったことがありません  
透析の方は対象になるのでしょうか?

なお介護認定は受けておられません


記事No2471 題名:Re:やまやま様 投稿者:管理人tera 投稿日:2023-05-16 15:53:10

はじめまして。
じほうの保険調剤Q&Aで、医師の往診を受けていなくても、通院が困難であれば算定可能とされています。


記事No2464 題名:透析患者さんの訪問薬剤管理指導 投稿者:やまやま 投稿日:2023-05-14 08:24:12

いつもお世話になっております
透析患者さんから、家族が車を手放すので薬局まで来れなくなる、薬を届けて貰えないかと相談がありました
透析へはクリニックの送迎バスで通うそうです
この場合、医師の指示があれば、訪問薬剤管理指導を行えますでしょうか?


ページトップへ