薬局の在宅医療(介護保険・レセプト)

介護保険の被保険者

  • 第一号被保険者・・・65歳以上の方
  • 第二号被保険者・・・40~65歳未満で、介護保険の対象となる疾病のある方

※第二号被保険者は、医療保険加入者のみで生活保護等の医療保険非加入者は該当しない。

第二号被保険者を対象とした疾病

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折をももなう骨粗鬆症
  • 初老期の認知症(アルツハイマー症、脳血管性認知症、クロイツェフェルトヤコブ病、ピック病
  • パーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症(ウエルナー症候群)
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病(神経障害、腎症、網膜症)
  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息などの慢性閉塞性肺疾患
  • 著しい変形性関節症

医療保険・介護保険の併用について

在宅患者訪問薬剤管理指導も居宅療養管理指導も指導内容は全く同じですが、介護保険利用者の場合は、介護保険優先という基本ルールがある。(健康保険法第55条2項)(にも関わらず在宅患者訪問薬剤管理指導料を誤って算定し続けるケースが少なくない)

要支援・要介護認定を受けている人には、在宅患者訪問薬剤管理指導費ではなく、介護保険の居宅療養管理指導費として国保連合会に請求することになります。

ただし、調剤技術料や薬剤費等は調剤報酬として国保連合会または支払基金に請求します。

一方、要介護認定を受けていない人の場合は、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料での算定となり、調剤技術料や薬剤費も含めて一括して調剤報酬で請求します。

介護保険請求 医療保険請求
居宅療養管理指導費 ・(介護予防)居宅療養管理指導費
・麻薬加算
・在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
・在宅患者緊急時等共同指導料
・調剤基本料(各薬局で算定している点数)
 調剤料+薬剤料+各種加算+医療材料
在宅訪問薬剤管理指導 ・在宅患者訪問薬剤管理指導料
・麻薬加算
・在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
・在宅患者緊急時等共同指導料
・調剤基本料(各薬局で算定している点数)
 調剤料+薬剤料+各種加算+医療材料

介護保険・公費の併用について

また、公費と介護保険の関係にも注意が必要。

介護保険が優先になる公費(先に介護保険で9割or8割を給付し、残りの1割or2割を公費が負担する等)には、以下のようなものがあります。

制度 法別番号 公費負担率 利用者負担割合
感染症予防法 10・11 95% 5%
原爆(一般疾病) 19 100% 0%
特定疾患or難病医療 51or54 100% 0%
生活保護
中国残留邦人
12
25
100% 0%

結核等の感染症予防法適応疾患の場合、介護保険で90%、感染症予防法で5%、自己負担が5%となるので注意する。

特定疾患や難病医療では負担限度額が指定されてる場合はそれに準じる。通常重度の特定疾患では全額公費となる。上限管理票については、介護保険分の医療費も医療保険分の医療費に足し合わせる形で計算・記帳する

なお、重度心身障害者医療制度(82)については、介護保険の費用は対象となっておりません(医療保険分のみ)。

生活保護は、介護保険で居宅療養管理指導費を請求する場合、調剤券とは別に「介護券」が必要となる。介護券は暦月単位で福祉事務所(市役所が同様の業務を行っている場合は市役所)から交付される。(交付されてない場合は、電話もしくは、レセコンから出力できる介護券請求書で請求する)

介護券の請求にはケアプランに居宅療養管理指導が記載されていることを確認する必要があるため、役所の担当者がケアマネに直接確認か、請求する薬局側が介護券請求書とともに介護計画書(サービス計画票等呼び名は色々)を送るかしなければならない。ケアマネが出してくる場合もあるが基本は自分たちで出す感じか。

中国残留邦人の40歳~65歳未満の医療保険未加入者は、請求手続き上生保の被保険者として扱う。

公費が完全優先になる公費には、戦傷病者(13・14)、原爆(認定疾病)(18)、公害の4つがあり、すべて100%公費支給されます。

レセプト

医療保険

レセプト摘要欄に、「訪問指示あり 1月2日」「介2(1/2、2/3)」のように訪問日を入れる。薬剤服用歴管理指導料は同時に算定できないため、薬学管理料は0になる。

介護保険

居宅療養管理指導を算定した場合は、医療保険のレセプト(居宅療養管理指導費以外を請求)摘要欄に、○介と訪問に行った回数の記載が必要。介護保険のレセプト(居宅療養管理指導と麻薬加算を請求)の摘要欄には訪問日を記入する。

居宅療養管理指導費のみ(503単位or352単位)が介護保険請求となり、これ以外の点数は、医療保険請求となる。居宅療養管理指導費は、利用者の保険の種別に関係なく国保連合会の介護保険課へ請求する。

H27.8以降、一定以上の所得のある方は、介護保険サービスの利用者負担割合が2割となりました。要介護・要支援認定を受けた方には、利用者負担が1割の方も2割の肩も、市町村から「負担割合証」が交付されますので、居宅療養管理指導等の介護保険対象サービスを実施し、患家から利用者負担を徴収される薬局に置かれては、「負担割合証」にて、利用者負担の割合をご確認下さい。

居宅療養管理指導費は、介護保険の給付限度額には含まれない。通常介護度に合わせて単位上限があり、それに収める形でケアマネさんがケアプランを作成するが、居宅療養管理指導の単位はそれとは別枠であり、単位上限に達していたとしても算定できる。

介護報酬の算定は月4回できるが、算定日の間隔は6日以上空けなければならない。ガン末期利用者は、週2回月8回まで算定可能。

介護保険証は、更新されるとケアマネが郵便やFAXで送ってくれることもあるが、送ってくれない場合は患者さんから見せてもらって入力する。

いまどきのレセコンであれば、請求書と明細書が自動で出力されると思いますが、されない場合は以下の文書に自分で記載し、国保へ請求します。

レセプト提出後問題がなければ、介護給付費等支払決定額通知書及び内訳書が郵送されてきます。

介護報酬の計算方法について(端数処理)

計算方法

  • A 介護報酬(10割分)=総単位数(レセプト(一利用者一暦月)の総単位数)×1単位当たりの単価  【1円未満切捨て】
  • B 介護給付費請求額(9割分)=A×0.9 【1円未満切捨て】
  • C 利用者負担額(1割分)=A-B 【A×0.1の1円未満切上げ】

具体例

ある利用者(1割負担)に、居宅療養管理指導(503単位)を1回行った場合(6級地の市町村に所在する事業所)。(地域区分について

  • 例 総単位数=503単位×1回=503単位
    • A 介護報酬(10割分)=503単位×10円=5030円(1円未満切捨て)
    • B 介護給付費請求額(9割分)=5030円×0.9=4527円(1円未満切捨て)
    • C 利用者負担額(1割分)=5030円-4527円=503円

居宅療養管理指導費は地域区分の人件費割合3区分のいずれにも該当しないため、地域加算の加算はない。

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