不整脈の薬

不整脈の薬とは、不整脈が誘発される原因となる、異常自動能、トリガーアクティビティ、リエントリーの3つの要因を取り除く薬である。

薬の分類としては、Sicilian Gambit分類とVaughan Wiliams分類がよく知られている。うちVaughan Wiliams分類はやや古く、この分類方法で不応期不変となっていても、実際は同じ群であっても複数の機序を持つ薬が存在しているため、短縮するものもあったりと、この分類は参考にはなっても鵜呑みにはできないため、Sicilian Gambit分類がもっぱら用いられている。

Vaughan Wiliams分類のⅠ群とかⅡ群の考え方は捨てきれないので、Sicilian Gambit分類とリレーションしてみると以下のようになる。

Naチャネル遮断薬(Ⅰ群)

Ⅰ群は、心房、心室、プルキンエ細胞に作用し、活動電位の最大立ち上がり速度を低下させる薬物で、Na+チャネルの抑制を介して、活動電位の最大立ち上がり速度を低下させて興奮の伝導を遅延させる。遮断作用の強さは、Ⅰc>Ⅰa>Ⅰb。

Naチャネル遮断薬は細胞内Naを低下させ、Na/Ca交換機構でCa2+を汲み出して心収縮力をダウン、すなわち心筋の収縮力を抑える陰性変力作用を少なからず持つため、心疾患を合併している場合は用いない。

心拍が高い場合に効果高い、fastは低いと効果減る。

Ia群

上室性、心室性不整脈に使用。

活性化チャネルに0相(脱分極相)で結合→Naチャネルを遮断し、興奮伝導速度を抑制。心筋の収縮力を抑える=陰性変力作用=左室機能↓。Ca拮抗作用がないので洞調律は→。心電図(ECG)ではNaチャネル遮断のためPRが↑、QRSの幅が広がり↑、T間隔はK遮断作用があるので↑。

Kチャネル遮断作用による3相の遅延→ECGでは活動電位持続時間(APD、QT)延長、有効不応期(ERP)延長。

チャネルからの解離時間によってfast、medium、slowの3タイプあり、slowが最も強い。

QT延長は頻脈性不整脈に著効するが、延長によりプラトー相が遅延し、早期後脱分極→トルサドポアン→Vf(心室細動)へ

この群に属する薬は全て中等度のKチャネル遮断作用を持ち、Na遮断作用はmediumがアミサリン(プロカインアミド)とキニジン、slowがリスモダン(ジソピラミド)とシベノール(シベンゾリン)、ピメノール(ピルメノール)である。 発作性心房細動を始めとして主として使われるのはslowの薬の中でもリスモダンがダントツ。

リスモダンやシベノールは弱いM2遮断(抗コリン)作用=β遮断の逆作用を持ち、シベノールは弱いCaチャネル遮断作用で結節伝導を抑制する。

心外性副作用はアミサリン>リスモダン>シベノールの順。

  • キニジン・・・適応:期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍(上室性、心室性)、心房細動・粗動、電気ショック療法との併用及びその後の洞調律の維持、急性心筋梗塞時における心室性不整脈の予防。
    Na+チャネルを遮断し、細胞内へのNa+の流入を抑制することにより、心房筋、心室筋、プルキンエ線維における活動電位第0相の立上がりを抑制して、刺激伝導を遅延させる。 また活動電位持続時間と有効不応期を延長し、心筋の自動性を低下させ、かつ刺激に対する閾値を上昇させることで、異所性自動能に基づく不整脈の発生を抑制する。 迷走神経遮断作用があり、このため心拍数を増加させるが、この作用は上記の諸作用に比べて非常に弱い
    心機能低下の心房粗動でデルタ波がない場合の第二選択薬として評価
  • アミサリン・・・適応:期外収縮(上室性、心室性)、急性心筋梗塞における心室性不整脈の予防、新鮮心房細動、発作性頻拍(上室性、心室性)の治療及び予防、発作性心房細動の予防、電気ショック療法との併用及びその後の洞調律の維持、手術及び麻酔に伴う不整脈の予防、陳旧性心房細動。
    心筋の異所性自動能や刺激伝導能を抑制し、被刺激性を低下させて、刺激生成異常による各種不整脈に対して抑制作用を示す。
    キニジンと同じく心機能低下時の心房粗動、もしくはWPW症候群での評価
  • リスモダン・・・適応:期外収縮、発作性上室性頻脈、心房細動。
    心筋への直接作用により、活動電位のphase0立上がり速度を減少させるが、その作用はキニジンより弱い。またプルキンエ線維においてphase4の脱分極抑制を示す。 心房と心室、及び房室結節での不応期を延長する、ヒス‐プルキンエ系伝導時間を延長させるが、その作用はキニジンより弱い、リドカインと同等の局所麻酔作用を示し、持続時間はむしろ長い、抗コリン作用は、アトロピンよりはるかに弱いが膀胱収縮反応に対する抑制作用はアトロピンよりも強い。
    上室性不整脈で発作性心房細動への使用が多いか。心機能低下例に使えない。
  • シベノール・・・適応:頻脈性不整脈。電気刺激による心室細動を抑制する、その効果はジソピラミドに比べ強く、持続的である。
    活動電位の持続時間の延長及び高濃度において内向きCa2+電流の抑制作用を示す。 また、低酸素によって惹起される心房活動電位の持続時間の短縮を抑制する。 筋虚血による心筋ATP含量の低下、乳酸含量の増加及び心筋アシドーシスに対して改善作用を示す。 心筋収縮力、心拍出量及び左心室仕事量に対する抑制作用はジソピラミドよりも弱く、また、左心室内圧max dp/dtに対して影響を及ぼさない。
    リスモダンとほぼ同じ使い方
  • ピメノール・・・適応:頻脈性不整脈(心室性)。Afへの適応なし
    プルキンエ線維又は心室筋において、静止膜電位にほとんど影響を与えることなく、活動電位最大立ち上がり速度(Vmax)を用量依存的に抑制し、活動電位持続時間(APD)を延長する。 プルキンエ線維の有効不応期を延長する。 心室内伝導(HV)時間及び心室有効不応期を延長する。 プルキンエ線維において、正常自動能及び異常自動能を抑制する。遅延後脱分極に基づく異常自動能を抑制する。洞周期及び洞房伝導(SA)時間を短縮させ、HV時間、右房及び右室の不応期を延長する。また、逆行性副伝導路を抑制し、室房伝導不応期を延長する。

Ib群

心室性不整脈に使用。

不活性化チャネルに2相(プラトー相)で結合→Naチャネル遮断作用。fastに属する薬が多く陰性変力作用も弱いので左室機能には影響しない。ECGではPR、QRS幅はほぼ変わらず、JTは短縮する。

不応期の長い心室に作用し、APD,QTを短縮する、心房にはほとんど作用しない。

アスペノン(アプリンジン)だけはmidiumのNaチャネル遮断作用を持ち、弱いKチャネル遮断、Caチャネル遮断、ペースメーカー電流抑制作用を持つなど少し性格が異なる。

  • アスペノン・・・適応:頻脈性不整脈。
    プルキンエ線維及び心室筋の最大脱分極速度(Vmax)を用量依存性に抑制し心室筋のVmaxを刺激頻度依存性及び膜電位依存性に抑制する。心室乳頭筋のNaチャネルを活性化状態(AC)よりもむしろ不活性化状態(IC)でより強く抑制する。プルキンエ線維の活動電位持続時間(APD)を用量依存性に短縮させ,心室筋のAPDをわずかに延長させる。プルキンエ線維の有効不応期(ERP)を短縮させるが,ERP/APD比を増大させ,心室筋のERPを延長させる。プルキンエ線維の低カリウム,ノルアドレナリンによる自発性拡張期脱分極を抑制する。心房-ヒス伝導時間(AH時間)及びヒス-心室伝導時間(HV時間)を延長させる。
    Ⅰb群でもmidiumなので上室期外収縮の心機能低下例や、持続性心房細動の心拍調節、PSVT、心室では特発性の心室性不整脈に用いたりもする
  • キシロカイン・・・適応:期外収縮(心室性、上室性)、発作性頻拍(心室性、上室性)、急性心筋梗塞時及び手術に伴う心室性不整脈の予防。
    心臓の神経膜のナトリウムチャネルを遮断することにより、活動電位の立ち上がり速度の減少、心房・心室の伝導性低下・ナトリウムチャネル不活性化回復遅延を来し、相対不応期を延長させる。心機能抑制作用はプロカインアミドに比べて弱い。 い
    心房にはほぼ効果がないので心室(持続性VT、多形性心室頻拍、トルサドポアン)、特に虚血があったり心収縮力を抑制させたくないとき使用。
  • メキシチール・・・適応:頻脈性不整脈(心室性)、糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛,しびれ感)の改善
    プルキンエ線維の最大脱分極速度(Vmax)を用量依存的に減少させ、また膜反応性を抑制する。静止膜電位及び閾値電位に影響を与えず、活動電位持続時間を用量依存的に短縮させる。洞調律に影響を与えることなく、プルキンエ線維の緩徐拡張期脱分極相の勾配を抑制し、自動能を抑制する。プルキンエ線維-心室筋接合部の伝導時間を遅延させる。
    心室性期外収縮、単形性非持続VTの心機能低下例の第一選択、特発性VTの第三選択薬、心室性期外収縮からのトルサドポアンにも使用。ATP感受性K+チャネル活性化作用も持つ

Ic群

上室性、心室性不整脈に使用。

活性化チャネルに0相で結合→最も強力にNaチャネル遮断作用。陰性変力作用も強く左室機能は低下する。Ca拮抗作用はないので洞調律は→。ECGでPR、QRS幅が広くなり、JTは変わらない。

Naチャネル遮断作用は、midiumはプロノン(プロパフェノン)、slowがタンボコール(フレカイニド)とサンリズム(ピルジカイニド)である。

プロノンは併せて中等度のβ遮断作用を持ち、洞結節の自動能や房室結節の伝導能を抑制する効果もある。

タンボコールは弱いKチャネル遮断作用がありややAPD、QTと不応期は延長する。

サンリズムはNaチャネル遮断作用しか持たないのでAPD、QT、ERPは全て不変である。遅延後脱分極(ジギタリス中毒等によるCa2+過負荷による)を抑制する。

  • プロノン・・・適応:頻脈性不整脈。ベタニス併用禁忌。
    心室筋細胞の最大脱分極速度(Vmax)を抑制。心室筋細胞の活動電位持続時間を低濃度(10-6M以下)では延長させ、高濃度では短縮させる。有効不応期を用量依存的に延長させる。電気刺激による心室細動の発生閾値を上昇させる。房室結節内及び心室内伝導時間(AH及びHV時間)を用量依存的に延長させる。洞房結節において、活動電位持続時間を延長させるとともに、活動電位4相の脱分極、最大拡張期電位及び静止膜電位を減少させ、自動能を低下させる。プロプラノロールの1/20~1/70の交感神経β受容体遮断作用を示す。ベラパミルの1/100のカルシウム拮抗作用を示す。末梢血管及び冠血管拡張作用を示すが、心拍数を変化させない。
    midiumでβ遮断作用があるので発作性心房細動の心機能やや低下例に使われることが多い。特発性心室期外収縮のLBBB+RAD型の第一選択。
  • タンボコール・・・適応:頻脈性不整脈(成人はPSVTは除く)。ベタニス禁忌。
    プルキンエ線維及び心室筋において、静止膜電位に影響を与えることなく、最大脱分極速度(Vmax)及び活動電位振幅を減少する。心房筋及び心室筋のVmaxを刺激頻度依存的に抑制する。心室筋での有効不応期を延長し、プルキンエ線維の有効不応期を短縮する。心房内伝導、ヒス‐プルキンエ(H‐V)伝導及び心室内伝導を遅延する。
    発作性心房細動の停止に使われることが多い。サンリズムとほぼおなじ使い方だが、弱いKチャネル遮断作用もあるのでWPW症候群にも使われる。
  • サンリズム・・・適応:頻脈性不整脈。腎機能障害に注意。
    静止膜電位にほとんど影響を与えることなく、最大脱分極速度(Vmax)を用量依存的に抑制する。活動電位持続時間(APD)及び有効不応期(ERP)に影響を与えない。電気刺激による心室細動の発生閾値を上昇させる。遅延後脱分極及び誘発自動能を抑制する。
    クリアなNaチャネル遮断薬として最も発作性心房細動の停止に使われることが多い。

β遮断薬(Ⅱ群)

I(Ca.L)やI(h)減弱作用にて、洞結節の自動能や房室結節伝導能を抑制し心拍を低下させる。心房ではI(Ca.L)、I(Ks)抑制がERPを延長させる。機序の図はページ下部補足の項参照。

心拍低下により左室機能は低下、洞調律も低下、房室伝導時間が延長するのでPR間隔は延長される。

心室筋に対してのI(Ks)抑制による再分極延長、QT延長は微々たるもので気にしなくても良さそう。よってERPは不変。

ナディック(ナドロール)やインデラル(プロプラノロール)は強いβ遮断薬である。インデラルは加えてfastなNaチャネル遮断作用を持つ。

  • ナディック・・・適応:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈。
    直接的に心筋の収縮力を減弱させることなく心臓の刺激伝導系の過剰な興奮を抑制し、心仕事量や心筋酸素消費量を低下させる。
  • インデラル・・・適応:狭心症、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍(上室性、心室性)、頻拍性心房細動(徐脈効果)、麻酔に伴う不整脈、新鮮心房細動、洞性頻脈、褐色細胞腫手術時。
    心拍数の増加を抑制し、心仕事量を減少させ、交感神経β受容体遮断作用を示した。膜安定化作用を示した。
    上室性期外収縮の第一選択。PSVTには頓用で。QT延長リスクがないので持続性VTにも。心房細動のレートコントロールにもしばしば用いられる。安静時狭心症に禁忌。

Kチャネル遮断薬(Ⅲ群)

主に心室性不整脈に用いる。心房は肥大型心筋症の心房細動等。

2相~3相でKチャネルを遮断し、再分極を延長→APD、QT、ERP延長。QT延長によるトルサドポアンに注意。

Naチャネル遮断作用が無いので、心筋収縮力低下作用(陰性変力作用)がなく、心機能低下例に好んで使用される(ソタロールはβ遮断があるので左室機能低下)。

ソタコール(ソタロール)、アンカロン(アミオダロン)、シンビット(ニフェカラント)があり、いずれも高いKチャネル遮断作用を持つ。

ソタコールは加えて高いβ遮断作用で心拍を低下させる。アンカロンは他に中等度のβ遮断作用、α遮断作用、弱いCa拮抗作用、Naチャネル遮断作用がある。

  • ソタコール・・・適応:心室頻拍、心室細動。
    β受容体遮断(Class II)作用により不整脈発生の一因である交感神経系の緊張増加を抑制し,さらにそれらが誘因となって引き起こされる心室頻拍及び心室細動等のリエントリー性の致死性頻脈性不整脈を,活動電位持続時間延長に基づく不応期延長(Class III)作用により抑制する。心電図においてQRS幅には影響を及ぼさず,用量依存的にPR間隔及びQTc間隔を延長した。また,心房及び心室筋の有効不応期を延長し房室伝導を抑制したが,心房内及び心室内刺激伝導時間,ヒス束-プルキンエ線維伝導時間には影響を及ぼさなかった。心筋の活動電位に対して,最大拡張期電位,最大脱分極速度あるいは活動電位振幅に影響することなく活動電位持続時間を延長した。活動電位持続時間に対する延長作用は,心筋の時間依存性外向きカリウム電流(IK)の抑制によるものであった。β1及びβ2受容体への非選択的な結合親和性が認められた(その効力はプロプラノロールの1/100(in vitro)及び1/8~1/16(in vivo))。静脈内投与により収縮力及び心拍数を減少させ,それに伴う収縮駆出期の減少を引き起こした。また,平均動脈血圧,大動脈血流量,左心室仕事量及び左心室内圧上昇速度を減少させ末梢抵抗を増加させたが,一回仕事量及び左室拡張末期圧には影響しなかった。
    器質的心疾患のある心房細動の再発予防や持続性心房細動の洞調律に使用するが適応はない。適応のある心室では持続性心室頻拍の再発予防や心室性期外収縮に使用。うっ血性心不全には禁忌
  • アンカロン・・・適応:心室細動、血行動態不安定な心室頻拍(難治性かつ緊急を要する場合)。
    Vaughan Williams分類のクラスIIIに属する不整脈治療剤であり、作用機序は心筋のK+チャネル遮断作用である。また、Na+チャネル遮断作用、Ca2+チャネル遮断作用及び抗アドレナリン作用を併せ持つ。心室筋細胞において、活動電位持続時間の延長と最大立ち上がり速度の減少を示した。また、洞房結節において洞周期長を延長した。心房、房室結節及び心室の不応期を延長した。てQT間隔の中等度延長と心拍数の減少を示した。
    心機能低下例の心室頻拍、心室細動の二次予防、心房細動の洞調律化(適応外)
  • シンビット・・・適応:心室頻拍、心室細動。
    プルキンエ線維の活動電位立ち上がり速度に影響することなく、活動電位持続時間を濃度依存性に延長させた。心房筋及び心室筋の有効不応期を用量依存性に延長させたが、心室内伝導速度には影響を及ぼさなかった。
    心房粗動の洞調律復帰(適応外)、心室頻拍の治療(QT延長や虚血の関与がない場合などに用いる)、持続性VT停止効果は他Ⅲ群には劣る。

Caチャネル遮断薬(Ⅳ群)

I(Ca.L)やI(Ca.T)を抑制し、洞結節自動能や房室伝導を抑制→心拍を低下させる。EPRは不変。

ベプリコール(ベプリジル)とワソラン(ベラパミル)は高いCaチャネル遮断、ヘルベッサー(ジルチアゼム)中等度のCaチャネル遮断作用を持つことで区別される。

ベプリコールだけは左室機能を低下させないのでアンカロンやシンビットと共に心不全合併例にしばしば用いられる。ただしKチャネル遮断によるJT延長に注意。

遮断されるCaチャネルのうちT型は結節細胞特異的であるが、L型は心筋だけでなく血管にも存在し、ジヒドロピリジン系は血管選択性が高く、フェニルアルキルアミン系は心臓選択性が高く、ベンゾジアゼピンが中間といったところ。

  • ベプリコール・・・適応:持続性心房細動、頻脈性不整脈(心室性)、狭心症。
    遅延整流K+電流の速い成分(IKr)及び遅延整流K+電流の遅い成分(IKs)、遅延整流K+電流(IKur)をいずれも濃度依存的に抑制する。また、アセチルコリン感受性K+電流(IK,Ach)、ATP感受性K+電流(IK,ATP)並びに細胞内Na+誘発K+電流(IK,Na)も濃度依存的に抑制する。この他にも、プルキンエ線維において、内向き整流性電流(IK1)、遅延整流性外向き電流(IK)及び一過性外向き電流(Ito)を濃度依存的に抑制する。心室筋において、Ca2+電流(ICa)を濃度依存的に抑制する。心筋細胞のL型Ca2+チャネルのほかにT型Ca2+チャネルも抑制する。Na+電流(INa)を濃度依存的に抑制し、心房筋及び心室筋、プルキンエ線維において、最大脱分極速度を抑制する。洞房結節、心房筋の活動電位持続時間(APD)を延長させる。また、プルキンエ線維においては、APDを短縮させる。なお、心房筋及び心室筋での静止電位には影響は認められていない。心房筋、房室結節、心室筋及びプルキンエ線維の不応期を延長させる。心房-ヒス束間隔及びヒス束-心室間隔の伝導時間を遅延させる。
    T型Caチャネルも抑制し、Kチャネル遮断作用も持つことから持続性心房細動の心拍調節にしばしば使用。催不整脈作用からうっ血性心不全には禁忌
  • ワソラン・・・適応:頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)、狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患。
    細胞外液Ca++の細胞内流入阻止に基づくCa++拮抗作用、また、特に房室結節に作用して房室伝導系の有効不応期、機能的不応期を延長させ、房室伝導を遅延させる。血圧を緩徐に降下させ、心拍数も軽度に減少させる。その結果、心仕事量が軽減し、心筋酸素消費量も抑制される。冠状動脈を含む血管平滑筋の興奮-収縮連関を抑制し、冠血流量を増加し、末梢血管抵抗を減少する。心筋変性誘発因子に拮抗して心筋変性を抑制し、心筋を保護する。
    フェニルアルキルアミン系でジヒドロピリジン系の結合部位のN部位ではなくV部位に結合、心臓にも血管にも作用するが、心臓選択性が高い。洞結節や房室伝導抑制作用にてPSVT、心房細動のレートコントロール等おもに上室性不整脈に使用。心機能低下例やWPW症候群には使用しない。抗凝固薬との併用は注意。
  • ヘルベッサー・・・適応:頻脈性不整脈(上室性)、手術時の異常高血圧の救急処置、高血圧性緊急症、不安定狭心症。
    末梢血管、冠血管等の血管平滑筋及び房室結節において、細胞内へのCa2+流入を抑制することにより、血管拡張作用及び房室結節伝導時間の延長作用を示し、高血圧、不整脈、狭心症に効果を示す。房室結節の伝導時間、有効不応期、並びに機能的不応期を延長させ、上室性の頻脈性不整脈に対し効果をあらわす。心房の電気刺激によって誘発される上室性の頻脈性不整脈を抑制する。心筋虚血時、細胞内へのCa2+過剰流入を抑制することにより、心機能・心筋エネルギー代謝を保持し梗塞巣の広がりを縮小する。太い冠血管及び副血行路を拡張し、心筋虚血部への血流を増加させる。冠動脈スパスムを抑制する。
    ワソランと同じような使い方。ベンゾジアゼピン系でD部位に結合する。心臓にも血管にも作用するが心臓でのCaチャネル遮断作用はワソランよりは弱く、血管への作用はワソランより強い。冠攣縮作用があるので狭心症、高血圧に使用するケースが多い。

M2拮抗薬(抗コリン薬)

M2拮抗作用(抗コリン作用)により、K+チャネル開口とβ遮断様作用で、洞房結節自動能の上昇、房室伝導時間短縮が期待できる。

そのため、PSVTの確認及び治療に用いる。Naチャネル遮断薬の一部はこの作用を持つが作用としては弱く、副作用のデメリットのほうが大きい。

心房の活動電位持続時間延長、不応期を延長にて、副交感神経優位により引き起こされる心房細動にも効果的。

  • 硫酸アトロピン・・・適応:迷走神経性徐脈及び迷走神経性房室伝導障害、その他の徐脈及び房室伝導障害、他略。
    心臓に対し、低用量では通常徐脈があらわれるが、高用量では心拍数を増加させる。

A1受容体刺激薬

アデノシンA1受容体刺激作用により、I(K.ACh)電流増大やI(Ca.L)抑制による、自動能の抑制、房室伝導時間延長、つまりアトロピンの全く逆の作用。

  • アデホス・・・不整脈への適応はない。

強心配糖体

Na-KATPaseを阻害して、Na-K交換ポンプを抑制→細胞外K+濃度増大でI(K)が弱くなって静止膜電位が上昇→JTの下降。代償性のNa-Ca交換機構活性化により、細胞内Ca2+増加→左室機能改善

動脈圧受容器の求心性神経(血圧上昇に伴い、血圧を下げるために働く迷走神経反射)のNa-Kポンプを抑制して、交感神経を抑制(心拍、心臓収縮力、血管抵抗性の低下)、バソプレシン分泌抑制(細胞外液量低下)を引き起こす。

腎尿細管でNa+の再吸収を抑制し、利尿作用を引き起こし心臓の負荷を軽減する(抗アルドステロン様作用)。よって、心拍数が高く、慢性心不全を合併した不整脈に良い適応。

ジギタリスは安静時の心拍数を減少させるが、運動時の心拍数減少効果は認められないので、運動時の心拍数調節にはジギタリスにβ遮断薬あるいはCa拮抗薬を併用するか、β遮断薬あるいはCa拮抗薬を単独で投与するか両者を併用する。

  • ジゴキシン・・・適応:心房細動・粗動による頻脈、発作性上室性頻拍、虚血性心疾患他によるうっ血性心不全。心筋収縮力増強作用、徐脈作用、抗不整脈作用、また、二次的な作用及び腎におけるNa+の再吸収抑制により利尿作用を有するとされている

補足(アデノシンとアセチルコリンとβ遮断薬)

1、心房筋、結節細胞

A1受容体、M2受容体刺激共にI(K.ACh)電流増大(K+チャネル開口)→心房の活動電位持続時間(APDや)短縮/有効不応期(ERP)短縮。自動能の抑制。房室伝導抑制。

よって、抗コリン薬は、+チャネルを閉口してI(K.Ach)Kを抑制し、心房の活動電位持続時間延長、不応期を延長させる。

この作用は直接作用と呼ばれる

  • I(K.ACh)・・・アセチルコリン感受性K+チャネル電流

2、心房筋、心室筋、結節細胞

A1受容体、M2受容体刺激共にcAMPを減少させて、PKA活性を低下させ、I(Ca.L)、I(Ks)、I(h)、I(Cl)、I(Ti)等の電流を抑制する。テオフィリンやプレタールといったPDE阻害薬もPKA活性を低下させるので同様の作用を示す。

この作用はβの逆の作用であり、β遮断薬様作用と言われる。

心室筋にはI(K.Ach)がほとんど発現していないため、このβ遮断薬様作用のみが発現する。この作用は間接作用と呼ばれる。→PSVT抑制効果はI(Ca.L)抑制作用と、I(K.Ach)の活性化作用による。

  • I(Ca.L)・・・L型Ca2+電流。I(Ca.L)抑制は、房室結節伝導を抑制
  • I(Ks)・・・緩徐活性化遅延整流K+電流。I(Ks)抑制は、結節の再分極を抑制→自動能を抑制する。I(Ks)抑制で心房の活動電位持続時間が延長されそうだが、心房と結節はI(K.Ach)↑とI(Ks)↓の加算であり、I(K.Ach)のほうが大きいので結果A1やM2刺激で心房の活動電位持続時間は短縮される。
  • I(h),I(f)・・・過分極活性化内向き電流。hでもfも同じ意味。I(h)抑制は、洞房結節にのみ発現、ペースメーカー電流を抑制して、心拍を低下させる。
  • I(Cl)・・・CFTR型Cl-電流
  • I(Ti)・・・一過性内向き電流

抗コリン薬は心拍を増加させ結節の伝導を促進する一方、心房筋のAPDやERPは延長される。

電気的除細動

静脈麻酔下に行う電気的除細動は以下の2種類ある。

同期カルディオバージョン 通常のショック
対象 不安定な頻脈(意識有り) Vfや無脈性VT(意識なし)
エネルギー 初回100J-->200J 最初から200J
同期 同期(R波に合わせるタイミング) 非同期
方法 ショックボタン長押し 普通に押す

(参考文献/サイト/図引用元他)

コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。



  • << 前のページ
  • 次のページ >>
ページトップへ