カルシウム拮抗薬

作用機序

細胞内にCaイオンが流入すると、Caはカルモジュリンとともにミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を活性化し、ミオシンをリン酸化(MLCp)することで、ATPを使い平滑筋を収縮させます。そして、収縮後はホスファターゼの作用で直ちに脱リン酸化され、平滑筋は弛緩します。

MLCKはERK1/2とp38によっても調節されています。

Ca拮抗薬は血管平滑筋細胞や心筋の細胞膜に存在する膜電位依存性Caチャネルに結合することで、細胞内へのCaイオンの流入を抑制します。臨床的に用いられているCa拮抗薬の多くはCaチャネルの中でも平滑筋、心筋に多く存在するL型Caチャネルに選択的に結合します。

平滑筋は骨格筋に比べて筋小胞体の発達が悪いため、筋小胞体に貯蔵されているCaではなく、細胞内へ流入するCaの依存度が大きい。つまり、神経や骨格筋とは異なり、平滑筋の活動電位はNaスパイクではなく、Caスパイクである。

系統の違い

臨床的に用いられているCa拮抗薬は大きく3つの系統(ジヒドロピリジン系、ベンゾチアゼピン系、フェニルアルキルアミン系)に分けられる。

ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬は血管選択性が高いので、主として降圧剤としてのみ用いられる。ベンゾチアゼピン系やフェニルアルキルアミン系のCa拮抗薬は、血管に対する作用はジヒドロピリジン系に及ばないものの、心臓(心筋・房室結節)に対する選択性があるので、心抑制作用、心拍低下作用も持ち、主として狭心症、不整脈にも使用される。

ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は、圧受容器反射を介した交感神経の活性化から、反射性の頻脈が起こりやすい。アゼルニジピン(カルブロック)は降圧に伴う心拍数の増加・頻脈が見られにくい。

製品名 一般名 降圧力 作用時間 抑制チャネル
アダラート ニフェジピン 4.5 4 L型
ノルバスク アムロジピン 4 5 L型
コニール ベニジピン 3.5 4 L型、T型、N型
カルブロック アゼルニジピン 3 4 L型、T型
アテレック シルニジピン 2 3 L型、N型
ニバジール ニルバジピン 2 3 L型、T型
ランデル エホニジピン 2 4 L型、T型
ヘルベッサー ジルチアゼム 1 3 L型

(表:日経DI 2015.4より改変)

腎微小血管にはL型、N型、T型の3つのチャネルがあり、腎臓においてはL型は輸入細動脈のみを、N型とT型は輸入細動脈だけでなく輸出細動脈をも拡張するので、糸球体内圧を下げることができる(腎保護作用)。

このことは下肢浮腫に関しても同様で、L型のみに作用するものよりも、N型・T型に作用するもののほうが末梢性浮腫が少ない。

一般的にL型は心筋・血管平滑筋に広く存在し心筋・血管収縮作用を、N型は神経終末に存在し交感神経興奮作用を、T型は主に心臓に存在し洞結節の活動電位発生に関わるため、T型は心保護作用、腎保護作用を、N型は腎保護作用、交感神経抑制効果を併せ持つと言われる。

冠攣縮性狭心症の発作予防には、冠攣縮を予防する効果があるニフェジピン、ベニジピン、ジルチアゼムが使われる。血圧を下げたい場合から順にニフェジピン>ベニジピン>ジルチアゼムの優先順位。冠攣縮は夜間~朝方にかけて起きやすいので夕食後に長時間作用するニフェジピンCRを服用するのが効果的。

また、適応を有していない場合が多いが、長時間型のCa拮抗薬(ニフェジピン、アムロジピン)を1回(10mg朝)に高用量使うより、2回(5mg朝晩)に分けて使ったほうが良好な降圧効果が得られることが示されている。

Ca拮抗薬の種類

  • ジヒドロピリジン系・・・血管選択性が高く、動脈硬化進展阻止作用もある。動脈の拡張作用が強いため末梢でのうっ血→浮腫。グレープフルーツ(CYP3A4)、イトリゾール、シメチジンで増強。ジゴシン(P-糖タンパク質)でも増強。
    • アダラート(ニフェジピン)・・・速効性で強力な降圧作用
    • アダラートL・CR、ラミタレートL(ニフェジピン)・・・Lは徐放剤(T1/2=3.7h)、CRは24時間にわたり有意な降圧。
    • アテレック(シルニジピン)・・・降圧に伴い、交感神経活性抑制効果を有する。(T1/2:5.2h)。浮腫が少ない。1日2回。
    • ノルバスク、アムロジン(アムロジピン)・・・作用時間がもっとも長い(T1/2:39h)
    • カルスロット(マニジピン)
    • ニパジール(ニルバジピン)・・・1日2回。
    • カルブロック(アゼルニジピン)・・・降圧効果の発現が緩やかで作用の持続時間が長く、心拍数には変化をきたさないので頻脈患者に頻用。16mgでアムロジピン5mgと同等。
    • コニール(ベニジピン)・・・降圧作用は他のCa拮抗薬に比べて緩やか(T1/2:1.7h)1日1回。冠攣縮抑制効果あり。
    • バイロテンシン(ニトレンジピン)・・・(T1/2:10h)
    • ランデル(エホニジピン)・・・心保護作用とともに腎保護作用を有する
    • ペルジピン(ニカルジピン)・・・(錠T1/2:1.5h)、1日3回
  • ベンゾチアゼピン系・・・洞結節や房室結節の活動電位はCaイオン流入で生じるので、上室性不整脈にも有効
    • ヘルベッサー(ジルチアゼム)・・・血管拡張、心筋に対する作用を中等度に持つ。
  • フェニルアルキルアミン系・・・安静時狭心症には朝の発作を抑えるために、朝と就寝前の2回投与する。
    • ワソラン(ベラパミル)・・・心筋のみならず血管のCaチャネルに対して抑制作用をもつので、狭心症や高血圧を合併している不整脈に適している。プラザキサとの併用は注意すること。

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記事No161 題名:Re:ヤマシタ様 投稿者:管理人tera 投稿日:2015-10-02 18:53:45

グレープフルーツとの相互作用につきましては、別ページ
→http://goo.gl/fW1RFn
にてまとめてありますので、そちらをご参照いただきたく思います。


記事No160 題名:Ca拮抗薬について 投稿者:ヤマシタミチコ 投稿日:2015-10-02 14:18:15

グレープフルーツとの相互作用の強弱を教えてください。


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