利尿薬

利尿薬は、サイアザイド系、ループ利尿薬、K保持性利尿薬、バソプレシン受容体阻害薬の4つに大きく分類され、作用機序はそれぞれ異なりますが、バソプレシンブロッカー以外の3つについては、Naイオンの血中への再吸収を抑制することで降圧作用を示すという機序は共通しています。

利尿薬の作用点は下記を参照。

サイアザイド系利尿薬

腎尿細管再吸収など、利尿作用が弱く、主に降圧剤として使用される。

塩分摂取量が多い患者の場合、RA系が活性化していないのでARB/ACE阻害薬の効きがイマイチなのことが多いのでこれが適応となる。高尿酸血症にも注意する(記事下部参照)。

遠位尿細管のNaポンプ(Na-Cl共輸送系)を阻害→Na, H2O再吸収抑制→相対的にNa-K交換機構活性化

  • フルイトラン(トリクロルメチアジド)・・・低K血症は少量投与やAT2、ACE阻害薬との併用でかなり予防できる。高血圧には1日1回の少量投与。浮腫には1日2回投与おk。
  • ダイクロトライド(ヒドロクロロチアジド)

ループ利尿薬

利尿作用が最も高い。降圧作用は弱いが腎機能を悪化させにくい。降圧目的で使われていた場合重度のCKDである可能性が高い。

ヘンレ上行脚でNa、Cl受動的再吸収抑制→尿の濃縮・希釈機構の抑制→相対的にNa-K交換機構活性化

朝食、朝昼後に服用の1日1~2回が多い(夜は不眠を招くため)。昇圧アミンに対する血管壁反応性低下→手術前慎重投与。

  • ラシックス(フロセミド)・・・高血圧、浮腫に適応。
  • ルプラック(トラセミド)・・・浮腫のみに適応
  • ダイアート(アゾセミド)・・・うっ血性心不全、浮腫に適応

K保持性利尿薬

まとめるとこの部類になるが、それぞれ微妙に作用点が異なる。

アルドステロンは心臓や腎臓の線維化に関わるため、心不全による浮腫でよく使用される。また総合的に血圧を下げる作用があるので高血圧にも使用される。他利尿薬で低K血症になりがちな患者にも使用される。

  • アルダクトンA(スピロノラクトン)・・・利尿作用も降圧作用も弱い。
    遠位尿細管~集合管のアルドステロン受容体に拮抗→Naチャネル遮断→遠位尿細管のNa-K交換機構不活性化→Na、H2O再吸収抑制
    うっ血性心不全に適応あり。
    鉱質コルチコイド受容体だけでなく、アンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体に対する親和性もあるため、女性ホルモン様作用(女性化乳房他)が起こることがある。対策はセララ切り替え。
  • トリテレン、ジウテレン(トリアムテレン)・・・アルドステロンと無関係に直接尿細管に作用する。
  • セララ(エプレレノン)・・・SAB(選択的アルドステロンブロッカー)。1日1回。Tmax:1.46h、T1/2:5h。 アルドステロンは、 腎などの上皮組織並びに心臓、血管及び脳などの非上皮組織における鉱質コルチコイド受容体に結合し、ナトリウム再吸収及びその他の機序を介して血圧を上昇させる。

    K保持性利尿薬であるスピロノラクトンの作用機序は、Na-K交換機構のアルドステロン受容体に拮抗することで、Na+の血液中への再吸収を抑制して血圧を下げるというものであるが、 SAB(選択的アルドステロンブロッカー)は、このNa-K交換機構のアルドステロン受容体だけでなく、その他の組織のアルドステロン受容体にも作用し、結果的にアルドステロンによるNa貯留を抑えるばかりか、アルドステロン→ Na貯留から起こるレニンへのネガティブフィードバックも抑制することができる。

    レニンは、レニン-アンジオテンシン系の図からもわかるとおり、最終的には”血圧を上げる”物質ですので、レニンが少なくなれば、血圧が常に下がっている状態が保てるわけです。

    一方、日本人のように食塩の摂取量が多い場合は、食塩の摂取量が多い=Na+が多いことを意味するので、ネガティブフィードバックをかけずしてレニン活性は低下しています。

    このような食塩によって誘発される低レニン高血圧は、食塩によって血圧が上昇しているので、アルドステロンやアンジオテンシンらの作用で血圧が上がっているときとは違って、ACE阻害薬、ATⅡ拮抗薬など他の降圧剤は効きにくいといわれますが、SABはこのような低レニン型の高血圧であっても優れた降圧作用を示すといわれています。

    つまり、SABは食塩摂取量の多い低レニン型の高血圧患者さんに適しています。

    利尿剤以外の降圧剤との併用は問題ないですが、今主流のACE阻害orATⅡ拮抗薬+利尿剤の組み合わせよりも、ATⅡの腎保護、心保護作用がない分、分が悪いのかもしれません。

    併用禁忌薬としては、K保持性利尿薬と同じようにK+貯留を招くゆえ、カリウム製剤、そして、CYP3A4で代謝されることから、イトリゾールと併用不可、GFJ(グレープフルーツジュース)はなるべく一緒にとらないように伝えます。

バソプレシン受容体阻害薬

集合管にてバソプレシンV2受容体に拮抗し、水再吸収を阻害することにより選択的に水を排泄し、電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す。また、多発性のう胞腎においてはバソプレシンによる細胞内cAMPの上昇を抑制することにより、腎容積及び腎のう胞の増大を抑制する。

うっ血性心不全や肝硬変による体液貯留に用いる場合、Na+を排泄せずに水分のみを排泄するため、高ナトリウム血症にならないためにも他の利尿薬(ループ、サイアザイド、抗アルドステロン等)と併用して使用する。

特に投与開始時又は漸増期において、過剰な水利尿に伴う脱水症状、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、少なくとも本剤の投与開始は入院下で行い、適切な水分補給の必要性について指導すること。また、本剤投与中は少なくとも月1 回は血清ナトリウム濃度を測定すること。

目標体重に戻っても漫然と投与しない。

  • サムスカ(トルバプタン)・・・心不全及び肝硬変における体液貯留、常染色体優性多発性のう胞腎に適応。

利尿薬と高尿酸血症

腎臓の糸球体にてろ過された尿酸は、近位尿細管で90%が再吸収され、残りが尿中に排泄される。尿酸の尿細管内への取り込み(尿細管分泌) と尿細管細胞内への取り込み(再吸収)はURAT1(尿酸トランスポーター) によってなされている。

このURAT1は尿酸排泄促進薬(プロベネシドなど)の標的でもあり、有機アニオン(グルコース、アミノ酸などの陰イオン) 、乳酸、ニコチン酸らと交換で尿酸を再吸収するタンパク質です。

一般に利尿薬服用によって血流量が減少すると、レニン-アンジオテンシン系が賦活され、Na+吸収を伴う血圧の上昇が起こります。

有機アニオン類は近位尿細管でNa+と共輸送によって再吸収されるので、この際にNa+と一緒に尿細管細胞内へと再吸収される。

尿細管細胞内 で増加した有機アニオン類はURAT1を介して尿細管へと分泌され、それと交換で尿酸が再吸収されて高尿酸血症になる。

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