ACE阻害薬とARB

これら二つはレニン-アンジオテンシン系において血圧上昇に関与するアンジオテンシンⅡの働きを抑制する薬剤です。

レニンの活性化によってアンジオテンシンⅡが産生されると、アンジオテンシンⅡは血管平滑筋に存在するAT1(アンジオテンシンⅡ受容体 タイプⅠ)と副腎皮質に存在するAT1に結合することで、血管収縮作用とアルドステロン分泌促進作用を示します。

エビデンスの量の関係、及び心筋梗塞抑制効果の関係で、ACE阻害薬のほうがARBに比べて分があるが、空咳や血管浮腫の副作用について考えれば、ACE阻害薬よりもARBのほうが分があるといえる。

ACE阻害薬、ARB両者に見られる注意点としては、妊娠中の服用が禁忌であること、血清カリウムの上昇をきたすことがあげられる。

利尿薬ではNa排泄低下により代償的にレニン-アンジオテンシン系が亢進するため、ACE阻害薬を併用すると過度の血圧低下が起こる。→合剤の有効性。

また、これらは即効性ではなく有効かどうかは4~8週後に行われる。ACE阻害薬の降圧作用にはブラジキニンによるNO遊離も絡んでいる。

AⅡは、腎臓において主として輸出細動脈を収縮(輸入細動脈よりも)させ、糸球体内圧を上昇させるとともに、メサンギウム細胞の増殖やTGFβを介して糸球体硬化を進展させる。

腎臓の機能にあるように、糸球体で浸透圧によるろ過を行う(圧力を作る)ために輸入細動脈よりも輸出細動脈の血管が細くなっているが、腎血流が悪くなると圧力が維持できず、さらに輸出細動脈を収縮させてろ過圧を高めようとする。これを抑制するので、AT1拮抗薬には腎保護作用あり。

心筋は高血圧で肥大する以外に、AⅡが直接心筋を肥大させる。心臓の心筋細胞以外の部分である間質を増殖させ、繊維化や動脈内腔の狭小化を引き起こす。アルドステロンが腎臓や心臓の線維化が強く促進する。

ACE阻害薬

ACE阻害薬の作用機序

アンジオテンシン転換酵素(ACE=キニナーゼⅡ)を阻害することでアンジオテンシンⅡの生成を抑制する薬剤。 心血管系の肥厚を改善させ、動脈硬化の進展を阻止する。

動脈を拡張し、後負荷を改善、アルドステロン抑制→Na貯留抑制 により前負荷も軽減。

糖・脂質代謝に悪影響を与えず、インスリン抵抗性を改善する。尿蛋白の減少効果など腎保護効果、心不全・心筋梗塞の予後改善に効果的と心血管イベント抑制や生命予後改善エビデンスは豊富なものの海外用量に比べて用量が低い(レニベースで1/4,タナトリルで1/2)のと空咳のSEのせいで敬遠されがち。

ACEはブラジキニンを不活性型にする酵素であるキニナーゼⅡと同一であるため、ACEを阻害するとキニナーゼⅡを阻害することとなり、 結果としてブラジキニンが分解されずに、ブラジキニンによる生理作用が増強する。これが空咳の原因である。空咳は就寝前投与にすることやCa拮抗薬や利尿薬を併用するといくらかましになるという。

ACE阻害薬の種類

  • タナトリル(イミダプリル)・・・糖尿病性腎症にも適応(腎保護)。プロドラッグ、空咳の発現頻度が低い、(T1/2:8h)。海外用量の1/2。
  • レニベース(エナラプリル)・・・慢性心不全にも適応(心保護)。海外用量の1/4。
  • アデカット(デラプリル)・・・速攻型、1日30~60mg
  • インヒベース(シラザプリル)・・・降圧効果はレニベースより強い(T1/2:53h)。海外用量の1/2.5。
  • コナン(キナプリル)・・・プロドラッグ
  • エースコール(テモカプリル)・・・吸収のよいプロドラッグ(T1/2:22h)。海外用量と同じ。
  • コバシル(ペリンドプリル)・・・有効域が広く、血管リモデリングの改善作用あり(T1/2:53h)。海外用量の1~1/2。
  • ゼストリル、ロンゲス(リシノプリル))・・・海外用量の1/4。
  • オドリック、プレラン(トランドラプリル)・・・海外用量の1/4。
  • カプトプリル(カプトプリル)・・・海外用量の1/3。
  • セタプリル(アラセプリル)・・・海外用量と同用量。
  • チバセン(ベナゼプリル)・・・海外用量の1/8。

ARB

ARBの作用機序と特徴

AT1(アンジオテンシンⅡタイプⅠ)受容体に結合しAⅡに拮抗し、緩やかではあるが確実な降圧作用を示す。

直接血管平滑筋に作用するだけでなく、アルドステロン分泌を抑制することで、Naの貯留を防いで血圧を低下させる。 そのため、ACE阻害剤と同様、心・腎保護作用がある。 慢性心不全やCKDへの積極的使用がなされる。

Ca拮抗薬は動脈拡張作用による末梢性浮腫が発現することが知られているが、ARBは末梢細動脈だけでなく細静脈の血管も拡張することで、Ca拮抗薬との併用により末梢性浮腫の発現を抑制すると言われる。

これを抑制するために、T型やN型チャネル抑制効果を持つCa拮抗薬を使用する方法もあるが、T/N型チャネル抑制による効果は気持ち程度なので、Ca拮抗薬にARBを併用するというのが一般的になっている。

ロサルタンは尿細管で尿酸吸収を担うURAT1トランスポーターを阻害することで尿酸上昇を抑制するため、利尿薬による尿酸値上昇を緩和できる。また慢性心不全において血圧を下げずに心保護作用を期待するために0.125mg投与もしばしば行われる。

ARBの種類

  • ディオバン(バルサルタン)・・・降圧力★★。AT1受容体に選択性が高い)。血管収縮度=23.3。半減期が短く分2投与推奨。
  • ニューロタン(ロサルタン)・・・降圧力★。AT1選択性=1000倍。血管収縮度=67.5。尿酸値低下作用。
  • ブロプレス(カンデサルタン)・・・降圧力★★★。AT1選択性=1万倍。プロドラッグ。血管収縮度=90.2
  • ミカルディス(デルミサルタン)・・・降圧力★★★。AT1選択性=3万倍。血管収縮度=16.1。
    CYPの影響を受けず、胆汁からほぼ100%排泄される。血中半減期が20~24hとARB中最も長く、24hにわたり持続的な降圧作用を示す。PPARγ活性化作用を併せ持ち、インスリン抵抗性を改善し、糖・脂質代謝を改善する。腎保護作用にも期待。
  • オルメテック(オルメサルタンメドキソミル)・・・降圧力★★★+。高親和性AT1拮抗薬。血管収縮度=95。
    プロドラックでCYPの影響を受けず、前駆体は脱エステル化をうけてオルメサルタンに代謝される。活性酸素を生み出すNADPHオキシダーゼの働きを低下させる。
    その他、抗酸化作用、抗ストレス作用、インスリン抵抗性改善作用、エストロゲン作用増強作用(→抗コレステロール)、 脳血流増加作用あり。
  • アバプロ、イルベタン(イルベサルタン)・・・降圧力★★★。適応はないが、ニューロタンに匹敵する腎保護作用がある。尿酸値低下作用。
  • アジルバ(アジルサルタン)・・・降圧力★★★★。最も降圧力が強い。

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記事No358 題名:降圧力の比較には用量の併記をお願いします 投稿者:土橋 美由紀 投稿日:2016-09-25 08:41:50

たとえばアジルバ10mgとブロプレス12mgを比較したときの感覚がこれではよくわからないのです。


記事No325 題名:Re:岡田様 投稿者:管理人tera 投稿日:2016-07-19 19:57:20

はじめまして。
ARBとACE併用は特に問題ございません。
保険上も切られることもなく(栃木)、血圧コントロール良好であれば、継続で良いかと思います。


記事No324 題名:アジルバとタナトリルの併用 投稿者:岡田 周 投稿日:2016-07-19 12:20:25

朝食後タナトリル5mg1錠、夕食後アジルバ20mg1錠を服用していますが問題はありませんか?
至急お教え下さい。宜しくお願いいたします。


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