インフルエンザの薬

インフルエンザ患者へのNSAIDs使用については別ページ参照。

インフルエンザについて

インフルエンザの病態については別ページ参照。

インフルエンザの薬は大きくM2イオンチャネル阻害薬とノイラミニダーゼ阻害薬に大別される。

これらの作用機序を知るためにはウイルスの構造、増殖経路を知る必要がある。Wikiに非常に詳しく載っているのでそちらを参照されるとよいだろう。

端折って言うと、インフルエンザウイルスは中心にRNAを持ち、周りをエンベロープという膜に覆われ、その膜上にHA(ヘマグルチニン)、NA(ノイラミニダーゼ)が、膜を貫通する形でM2蛋白が、膜を裏打ちする形でM1蛋白が発現している。

ウイルスはHAを介して宿主細胞のシアル酸に結合し、細胞内部へ取り込まれる。ウイルスのM2蛋白(イオンチャネル)は水素イオンを透過して膜内の酸性度を上昇させるが、これがウイルスのリボ核タンパク質の殻からの遊離(脱穀)を助ける。細胞質に放出されたリボ核タンパク質が核内に移行後、宿主のDNAの一部を利用してウイルス蛋白を合成する。細胞外へ放出された合成されたウイルス粒子がすでに感染している宿主細胞表面のシアル酸に結合した場合、それを取り除く作用をするのがNAで、これのお陰で効率よく未感染の宿主細胞へと感染を広げることができる。

よって、M2イオンチャネルを阻害することは、ウイルスの脱穀を阻害すること、最終的に核内でのウイルスの合成を阻害することにつながり、NAを阻害することはウイルスが効率的に新しい細胞に感染していくのを抑えることにつながる。

M2イオンチャネル阻害薬

B型インフルエンザのM2蛋白(BM2)はA型のM2蛋白と構造が大きく異るため、A型インフルエンザのみに適応となる。

  • シンメトレル(アマンタジン)・・・他にドパミン放出促進、再取り込み抑制、合成促進作用があるためパーキンソン病や脳卒中後のうつに用いられることが多い。

ノイラミニダーゼ阻害薬

タミフルは10代には原則禁忌となります。1歳未満は安全性が確立していないという理由で投与されることは少ないです。ドライシロップ剤の国外臨床試験においては体重8.1kg未満、国内臨床試験においては体重8.5kg未満の幼小児に対する使用経験はない。

平成28年11月24日から用法・用量追加:通常、オセルタミビルとして以下の1回用量を1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する。ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして75mgとする。

  • 幼小児の場合:2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)
  • 新生児、乳児の場合:3mg/kg(ドライシロップ剤として100mg/kg)

リレンザは全年齢同じ吸入回数だが4歳以下への安全性は確立していない。

イナビルは10歳を超えると2キット、10歳未満は1キット。新生児、乳児(1歳未満)への安全性は確立していない。吸入後にうがいや飲食をしても問題ありません。

  • タミフル(リン酸オセルタミビル)・・・カプセル、DS。1日2回・5日間。【予防:1回1カプセル・1日1回・7~10日間(BW37.5kg以上の小児は10日間)】
    腎機能障害患者についてはCCrを計算した上で、(Ccr>30:1回75mg、1日2回)、(10<Ccr≦30:1回75mg、1日1回)、(Ccr≦10:推奨投与量無)
  • リレンザ(ザナミビル)・・・吸入。1日2回・1回2吸入・5日間。【予防:1日1回・1回1吸入10日間】
  • イナビル(ラニナミビル)・・・吸入。1日1回・1回4吸入(10歳未満:1回2吸入)。【予防:成人及び10歳以上の小児には、1日1回・1回2吸入二日間成人及び10歳以上の小児には、40mgを単回吸入また、1回20mg、1日1回2日間吸入可。10歳未満の小児は、20mgを単回吸入】
  • ラピアクタ(ペラミビル)・・・点滴

イナビルQ&A(メーカーHPより)

  • Q:イナビルを予防投与するときの2日間吸入とは?
    A:連続2日間投与となります。また、吸入時間に関する規定はありません。
  • Q:イナビルは何歳から使用できますか?
    A:治療:特に年齢の制限は設けていません。吸入可能なお子さんでしたら使用可能です。ちなみに、臨床開発試験では3歳のお子さんから使用しています。予防:10歳以上のお子さんから使用可能です。
  • Q:イナビル吸入後にうがいをしたり、飲食しても問題ありませんか?
    イナビル吸入後にうがいをしたり、飲食をしても特に問題はありません。
  • Q:イナビルの妊娠中、妊娠している可能性のある婦人への投与は?
    妊娠中又は妊娠している可能性のある患者さんでの安全性は確立していません。妊婦への投与は治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ行ってください。
  • Q:授乳中の患者についての投与は?
    A:動物実験で乳汁に薬物が移行することが報告されていますので授乳は避けてください。

予防投与について

インフルエンザの予防投与ができる薬剤は、タミフルとリレンザ、イナビルのみです。予防投与の場合は用法用量が異なりますので注意します。

また、予防の際は対象者がインフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者に限られます。

  • 高齢者(65歳以上)
  • 慢性心疾患患者
  • 代謝性疾患患者(糖尿病等)
  • 腎機能障害患者

対象者以外のものが予防投与を受ける場合は、全額自費になります。→以下添付文書抜粋。

<注>本剤を予防目的で使用した場合は、保険給付されません(【保険給付上の注意】の項参照)。

保険適用(給付上)の注意

本剤は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療」の目的で使用した場合にのみ保険給付されます。

漢方薬

2009年4月に鍋島茂樹(福岡大学病院)らがインフルエンザの治療において麻黄湯はタミフルと同程度の発熱や頭痛などの症状軽減効果があるという研究結果を報告したことで使用されることが多くなった。

  • 麻黄湯、葛根湯・・・急性期(温)。インフルエンザや風のごく初期で、熱が上がりきってなく、おかんはするが汗をかいていない患者に体温を上昇させ、悪寒を抑え、発汗を促す目的で使用される。発熱を促すことが目的であり、悪寒が収まり発汗が起こるまで使用するのが基本。
  • 桂枝湯・・・急性期(温)。悪寒があり発汗している患者に用いる。
  • 板藍根・・・急性期(冷)。体の熱を抑え、抗ウイルス活性を持つペオールという成分を含む。
  • 銀翹散・・・急性期(冷)。熱を下げ、弱いながら発汗作用を持ち、併せて炎症を抑える。
  • 白虎加人参湯・・・急性期(冷)。炎症がひどく、発汗しているものの体温が上昇し続ける時に用いる。
  • 柴胡桂枝湯・・・亜急性期。インフルエンザの病期が進み、発熱や悪寒を交互に繰り返したり、関節痛などの炎症が発現するようになると消炎効果のある小柴胡湯や、小柴胡湯に桂枝湯をくみあわせたこれが使われる。
  • 竹茹温胆湯・・・インフルエンザの回復期に熱が長引いたり、咳や痰が残っている患者で使用される。弱った胃腸に働き、気管や肺での余計な粘稠痰の形成を抑える作用がある。
  • 人参湯、真武湯、麻黄附子細辛湯・・・虚証。体力が低下してうまく発熱できない場合に用いる。

pharmaTribune 2016.12より

Q&A

Q&A(群馬県 社会保険委員会Q&Aより)

Q:インフルエンザでリレンザが処方されたが患者がいる。薬局内で吸入をしたが失敗した。医師に連絡し、新たにタミフルドライシロップの処方せんが発行され、これを応需した場合について、次のことを教えてほしい。
(1)薬局では新たなタミフルドライシロップの処方せんを応需して、保険請求しても問題はないか。
(2)保険調剤が認められる場合、レセプトのコメント欄にはどう記載すれば良いか。
(3)このような場合、医療機関側が医療保険で返戻・査定等されるか。

A:(1)この場合は、2回目のタミフルは原則自費。ただし、薬局薬剤師は服薬指導義務があることから、患者から負担金を聴取するのではなく薬局で負担しても良いのでは。2回目は保険処方せんであるならば、疑義照会で問題ないと判断できれば、保険調剤で良いのでは。
(2)患者は1回目の処方せんで、調剤されたリレンザが吸入できなかったため、再受診し、服用(内服)可能できるタミフルが新たに処方された。
(3)厚生局の指導医師、各保険者側の医師の審査員によるのでわかりかねます。

新型インフルエンザに係るタミフル等に関するQ&A

問1 新型インフルエンザの流行によりタミフルドライシロップ3%(成分名:オセルタミビルリン酸塩)の入手が困難な場合において、当該製剤の投与対象となる患者に対して、タミフルカプセル75mgを脱カプセルし、賦形剤を加えて調剤した上で交付した場合、薬剤料の算定は可能か。

(答) 新型インフルエンザの流行によりタミフルドライシロップ3%が入手困難な場合であって、当該薬剤の投与が必要な患者に対して、タミフルカプセル75mgを脱カプセルし調剤したものをタミフルドライシロップ3%の用法・用量に従い投与した場合に限り、薬剤料の算定は可能である。この場合、脱カプセルしたタミフルカプセル75mgに係る薬剤料については、オセルタミビルの実際の投与量に相当する分(例えば、5日間でオセルタミビルとして合計262.5mg投与する場合は、タミフルカプセル75mgの3.5カプセル分)を請求するものとし、院内処方の場合には医科レセプトの摘要欄に、院外処方の場合には調剤レセプトの摘要欄に、それぞれ「タミフルドライシロップ不足のため」等のやむを得ない事情を記載すること。
なお、タミフルドライシロップ3%の使用を優先することは当然であるが、その入手が困難であり、かつ、医療上その投与が必要と判断される状況においては、タミフルカプセル75mgを脱カプセルしてタミフルドライシロップ3%の用法・用量に従い投与することについて、本剤の服用方法や米国においても同様の方法が推奨されていることに鑑み、有効性・安全性上、ドライシロップ3%と異なるような特段の問題は生じないと考えている旨を医薬食品局審査管理課に確認済みであることを申し添える。

問2 問1のようにタミフルカプセル75mgを脱カプセルし、賦形剤を加えて調剤した上で交付した場合、保険薬局は自家製剤加算を算定できるのか。
また、入院中の患者に対して同様の調剤をした上で投薬を行った場合には、保険医療機関は院内製剤加算を算定できるのか。

(答)タミフルドライシロップ3%が入手困難な場合であれば、それぞれ算定できる。

問3 新型インフルエンザに係る医療提供体制の確保の一環として、薬局が夜間・休日営業の地域輪番・当番制に参加する場合に、薬事法に基づく営業時間の変更の届出は必要か。

(答)薬局の営業時間変更に係る都道府県知事への届出は、「通常の営業日及び営業時間」について求めているものであり、新型インフルエンザに係る体制確保の一環として夜間・休日営業の地域輪番・当番の体制をとる場合においては、変更届の提出は行わなくても差し支えない。
なお、各薬事担当部局においては、新型インフルエンザに係る医療提供体制に関する担当部局や地域薬剤師会等から輪番・当番体制に関する情報を得るなど、その把握に努められたい。

コメントor補足情報orご指摘あればをお願いします。



記事No73 題名:Re:保険給付上の注意 投稿者:管理人tera 投稿日:2015-03-01 21:54:00

>>通りすがり様
ご指摘ありがとうございます。
今再度確認したら確かに書いてありますね・・・。
大変感謝いたします。


記事No72 題名:保険給付上の注意 投稿者:通りすがり 投稿日:2015-03-01 10:23:55

タミフルの添付文書の【保険給付上の注意】に
本剤は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療」の目的で使用した場合にのみ保険給付されます。
と記載されていますよ。


記事No65 題名:Re:予防目的は全て自費では? 投稿者:管理人tera 投稿日:2015-02-05 19:04:13

>>Yuu様
ご指摘ありがとうございます。

正直申しますと、私自身予防でレセプトを出した経験がないので、添付文書にある、

効能又は効果
○A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防
用法及び用量

1. 治療に用いる場合
通常、成人及び体重37.5kg以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間経口投与する。
2. 予防に用いる場合
(1) 成人
通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7~10日間経口投与する。
(2) 体重37.5kg以上の小児
通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、10日間経口投与する。

の文をそのまま鵜呑みにしてしまい、この条件であれば保険適応されると解釈しておりました。
もし差し支えなければ、添付文書のどのあたりに自費になる根拠的なものが書いてあるかをご教授いただけたら幸いです。
あと、実際に返戻になった経験とかもありましたら、ほんと教えていただけると助かります。

質問に質問で返す形になり大変恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。


記事No64 題名:予防目的は全て自費では? 投稿者:Yuu 投稿日:2015-02-05 16:20:38

「対象者以外のものが予防投与を受ける場合は、全額自費になります。」
→治療以外は全て自費だと思います。添付文書を確認ください。


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